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三沢 厚彦《Animal 2016-01》
(2016年 樟に油彩 北九州市立美術館蔵)
クスノキの丸太からチェーンソーで切り出し、ほぼ実物大に彫り出されたライオンの姿は圧倒的な存在感を放ちます。彫刻家・三沢厚彦が2000年から手掛けてきた木彫刻シリーズ「ANIMALS(アニマルズ)」。動物から得たインスピレーションに従って独自の表現により新たなリアリティを追求しています。力強いノミの彫り跡がはっきりと見える手法で形作られ、その木肌は油絵具で色彩豊かに着彩されています。卓越した技術に裏付けられた独創的な作品は、生き生きとした表情で生命感を漂わせ、どこかユーモラスで愛らしくもあります。また、特徴的なフォルムとともに印象的な眼は私たちと視線を合わせることはありません。左右で色の異なる瞳は、それぞれにはるか彼方(かなた)を見ているようです。緑の瞳には自然あふれる「美術の森」が、そして青い瞳には高見の丘から望む海が映り込んでいるのかもしれません。
学芸員 長峰 真奈美