本市では美しいまちづくりを進める一環として、これまで「建築文化賞」「緑の街かど賞」「都市の色彩賞」の3賞を実施してきましたが、さらに景観づくりについての関心を高めていただくため、平成11年度に3賞を統合し、「北九州市都市景観賞」として新たにスタートしました。
この賞は、建築物や緑化スペース他、魅力ある都市景観の向上に寄与したものを広く紹介することにより、多くの市民の皆様の参加を得て、美しいまちづくりを形成していくことを目指しています。
第1回目となる今回は、市民の皆様からの推薦など218通87件の応募があり、選考委員会での選考の結果、次の7物件の表彰が決定しました。
第1回北九州市都市景観賞
第1回受賞作品
オープンモールお城通り
オープンモールお城通り(小倉北区船場町周辺)
都心に新しい空間が出現した。北九州には無かった稀に見るおしゃれで快適な空間である。デパートの新館増築に伴い官民の接点である際(きわ)の所で、お互いの配慮と努力によって実現した都市景観である。
ここが公共だ、民間だと意識する事なく馴染んだオープンモールに面したコーヒーハウスからの行き交う人々を見る豊かな時間。目線をウィンドウに遊ばせながら行き交う車を心配する事も無く広い空間を自由気儘に歩く快適さ。「こんないい女がいたか」と思わず振り返りたくなる、そんな人を美しく見せてしまう要素を持つ場所である。
遠くに小倉城の緑を眺めながら、紫川、鴎外橋へと、都心と自然と歴史がうまく融合して連なっていく北九州ならではの景観形成を期待させる生活空間である。
所有者・管理者 お城通り世話人会、北九州市
設計者 株式会社日建設計
施工者 株式会社竹中工務店、旭工業株式会社
完成年次 平成10年9月
東京第一ホテル小倉
東京第一ホテル小倉(小倉北区馬借一丁目2番1号)
北九州市の市街地を流れる紫川、その川面に映える建築が東京第一ホテル小倉である。ややもすると、都市に林立する建築は川に背を向けて立地しがちである。
しかしながら、東京第一ホテル小倉は空間を紫川に開き、しかも、紫川の水辺空間を内部に取り込んでいる。デザイン構成と色調は二つのトーンで構成されたアースカラーの壁面と、ライトグリーンの広大なガラス面で構成され、紫川と共に周辺の都市空間に違和感を与えない調和した景観を形成している。
おりしも、紫川流域は北九州市の「紫川マイタウン・マイリバー整備事業」が進んでいる。東京第一ホテル小倉が、今後の、紫川流域に展開する景観形成の布石である事を願っている。
所有者 東京第一ホテル小倉
設計者 株式会社岡田建築設計
施工者 東洋建設株式会社・株式会社奥村組JV
完成年次 平成9年6月
小倉競馬場
小倉競馬場(小倉南区北方四丁目5番1号)
小倉市街地から南部郊外住宅地への結節点にある当施設は、広く西日本・九州一円から集客する、広大なオープンスペースを持つ小倉競馬場で、最近スタンドをはじめ周辺環境を大改造、これまでの雰囲気を一新させた。今回の表彰対象となった他の公共施設とは性格が異なるため、審査について活発な討論が展開された。しかしこの施設は、これまで平日は家族連れのピクニックの場として、地域住民に開放されていたこと、改装後は日本庭園・イベントステージ、子供達のための野外遊具・泉の広場・乗馬センター等、以前に増して積極的な周辺環境整備と、市民開放を推進し、単なるギャンブル施設とは一味違った、景観整備と接近の良さ(モノレール駅との直結等も含め)等が、高く評価された。
さらに国道322号線やモノレール、北九州大学のエレベーターでの移動景観の改善に役立ったばかりか、市街地と郊外を結ぶ結節点におけるランドマークの形成に、貢献していることが高い評価につながった。
所有者 日本中央競馬会
設計者 日本競馬施設株式会社、株式会社東畑建築事務所
施工者 株式会社フジタ・株式会社間組・株式会社淺沼組JV、大成建設株式会社・安藤建設株式会社・
株式会社錢高組JV、西松建設株式会社・松尾建設株式会社JV、三井建設株式会社・
新日本製鐵株式会社JV
完成年次 平成11年6月
八幡東田緑地
八幡東田緑地(八幡東区大字枝光)
この緑地は洞海湾の工業地を見渡す水辺に建設され、周辺に多彩なアミューズメント施設が立地する。
水面を隔てて北に石峰山が横たわり、北東に牧山、背後に皿倉・帆柱山塊を望むこの場所の魅力は、単に水辺を工業港湾から人の手に取り戻したという理念によって支えられているのではない。
私たちはこの場所に立つことで、水面と山が寄り添う洞海湾の「本来の自然の居ずまい」を伺い知ることを許される。シンプルな護岸、手摺り、東屋は、私たちの原風景への旅を邪魔することなく置かれている。私たちがここで時間を過ごすとき、港の水や環境、産業や街の歴史への興味がわき起こる。建築の意匠や造園の様式を必要としない「洞海」(くきのうみ)の風景体験がここにはある。デザインされた景観が溢れる現代都市で、新しい思策の場にならんことを。
所有者 北九州市
設計者 株式会社爽環境計画九州事務所
施工者 株式会社九州緑化建設、有限会社賀松園、株式会社スピナ、株式会社岡部組、株式会社折園、
株式会社濱田重工エンジニアリング、有限会社原黄組
完成年次 平成10年10月
新日鐵全天候バースの鳥の絵
新日鐵全天候バースの鳥の絵(戸畑区大字飛幡1)
深緑色の海、ボリュームのある赤い若戸大橋、これといった個性のない工場群。そんな洞海湾に一陣の風と共に、幸せと元気を運んで来たかのように飛び交う鳥の群。背景の繁雑な工場が視界からふっと消え去り、鳥の楽しい色のみが記憶の中に焼きつく。
船の積み荷を降ろす際、雨に濡れない様にと船を繋留する船の大きな倉庫である。一番大きな鳥は14mもあるのに、このスケールの中では空を飛んでいる鳥と大差ない大きさである。
壁面の演出は多々試みられているが、見る人に不快感を感じさせずに色彩を取り入れる事は、結構難しいことである。何の変哲もない倉庫の壁面が、専門家の手に成る色面構成で心地良い風のように人々の心を和やかにしてくれる。
所有者 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所
壁面デザイン 有限会社色彩計画研究所
施工者 株式会社奥村組・新日本製鐵株式会社・株式会社間組JV
完成年次 平成9年9月
志井サンハイツ第二住宅管理組合緑のまちづくり活動
志井サンハイツ第二住宅管理組合緑のまちづくり活動(小倉南区志徳二丁目4番)
細長い、巾がそれほど広くない棟間の空間に数多くの種類の木々が植えられていて、いろいろの枝振りや色合があって、その変化性に眼を見張った。
住区の人達はその量の豊かさとこの変化の豊かさとに心を躍らせ、充足感に溢れた日々を送っておられることは想像に難しくない。すくすく育っている様は心を安らげてくれる。いつまでもこの状態が続くよう願うと同時に、住区の方々の長い年月にわたる心配りの賜と心からの敬意を表する。
所有者・管理者 志井サンハイツ第二住宅管理組合
完成年次 昭和60年4月
第1回受賞作品(特別賞)
東田第一高炉
東田第一高炉(八幡東区東田二丁目3番12号)
1901年(明治34年)に近代鉄鋼業の始まった場所を示す東田第一高炉は、修復作業を経て新たな装いをもとに保存・再生の道を歩み始めた。一時は解体・撤去の危機に直面したが、保存・再生への道は広範な市民運動を基盤に、各分野の専門家、関係企業や行政の担当者など、多くの人々の熱意と実践活動の成果を踏まえた上での選択であった。
保存運動の議論の過程で、歴史的な産業遺産を地域固有の景観としていかに生かしていくかは大きなテーマであったが、東田第一高炉の保存を通して、北九州市民は一つの解答を出した。
東田第一高炉の存在と、その保存・再生へ向けた多くの人々の活動の実績は、北九州市のこれからの景観づくりを考える上で、極めて重要な役割を果たすべき内容をもっているといえる。
所有者 北九州市
完成年次 平成11年7月
このページの作成者
都市戦略局都市再生推進部都市再生企画課
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