令和7年5月21日(水曜日)14時00分から15時30分まで
第60回北九州市環境影響評価審査会議事要旨(令和7年5月21日)
1 日時
2 開催方式
ウェブ会議
3 出席者
委員
藍川委員、伊藤委員、岩松委員、岡本委員、川﨑委員、楠田会長、柴田委員、副島委員、豊貞委員、蓑島委員、村瀬委員
事業者
日本製鉄株式会社九州製鉄所
事務局
環境局環境監視部環境監視課(環境監視部長ほか4名)
4 議題
「(仮称)日本製鉄株式会社九州製鉄所八幡地区構内天然ガス焚き発電所建設計画 計画段階環境配慮書」の審査
5 議事要旨
(楠田会長)
それでは、審議に入らせていただきます。まずは、事前にいただいております意見がございます。それをご紹介しまして、事業者から回答をいただければと存じます。まずは、副島委員から事前にご意見を頂戴しております。それでは副島委員ご発言をお願いいたします。
(副島委員)
意見書の方に書きましたとおり、事業規模が増加するということだと理解しているのですが、冷却水に関しての質問です。まず、水源として自社水源というのが挙がっていますが、これはどういうものなのでしょうか。
(事業者)
自社水源は水利権を有している遠賀川の水や、あるいは事業者として貯水ダムも有しておりまして、それらから供給する水源を指しています。
(副島委員)
そちらへの影響は評価対象にはならないということでよろしいですか。
(事業者)
本事業は冷却塔方式を用いた淡水冷却を行うのですが、使用量としては事業者が普段使っている水量に比べると、その割合でいうとほんの小さな増加にしかなりませんので、新たに発電所を作ることによる水源への影響はほとんどないということで考えております。
(副島委員)
はい。ありがとうございます。もう1点挙げさせてもらったのが、温排水の放流があるのかどうか気になったのですが、先ほどの説明では海水冷却ではないので温排水はないという説明でしたが、現在と比べて増えたりはしないということでよろしいのでしょうか。
(事業者)
海水冷却方式の発電所としての温排水の排出はないのですが、厳密には、冷却塔の中を冷やすのに使った、使い古しの水を幾らか海域に排水する計画はございますので、それが先ほど申しました一般排水含めて、日最大53,000立方メートルという排水量になります。これは冷却塔を巡ってきた水ですので幾らかの熱を持った水を海域に出すということで計画しております。
(副島委員)
それはアセスメント対象になっていないようですが、無視できるぐらいということなのでしょうか。
(事業者)
こちらは量が十分に小さいので配慮書段階の予測評価項目には選定しませんでした。方法書以降の正式な予測評価項目には取り上げてきちんと予測評価する計画でございます。
(副島委員)
はい。わかりました。ありがとうございます。
(楠田会長)
それでは副島委員、追加のご質問ございませんか。
(副島委員)
結構です。ありがとうございます。
(楠田会長)
それでは次にいただいていますご質問は、今日欠席されております田中委員からのご意見でございます。それでは事務局の方からご紹介をお願いできますか。
(事務局)
はい。それでは田中委員からのご意見を代読いたします。資料2をご覧ください。
1.施設について 発電燃料の供給場所に近接している点や現石炭ヤードを再利用されることから、現在提案されている施設構造を用いるとした場合、位置について単一案である点に異論はないが、施設構造について地球温暖化の観点から、複数検討されても良かったのではと思う。施設構造について複数検討されなかった要因は何か。
2.冷却水について 環境負荷の低減及び消費電力の削減の観点から、冷却水の一部として日明浄化センターの排水の処理水を使用する予定と記載(配慮書p.2-15)されているが、日明浄化センターからの処理水の流路やその設備についての記載がないが、どのような方法で処理水を持ってくるのか。以上です。
(楠田会長)
はい。ありがとうございます。それでは事業者の方から回答を頂戴いたします。よろしくお願いします。
(事業者)
まず一つ目の施設構造の複数案についてですが、これは主に温暖化防止という観点で発電方式や使用燃料の話とお察ししております。これについては私どもの計画では天然ガスによる火力発電のみを検討しているというのが、確かにご指摘のとおりなのですが、その理由としましては、製鉄所の電源としての使用が可能な安定かつ大きな出力を出せるものとしては、今、事実上火力発電しか選択肢がないこと、それから、天然ガス炊きのコージェネの発電施設ということで、現時点では、火力発電の中では最高効率の発電設備ということが言えること、その二つが大きな理由でございます。あとは、カーボンニュートラルへの寄与としましては、やはりこの発電方式を採用することで、将来的な水素等の混焼の可能性を残すことができまして、今はまだ目指すということで配慮書には記載しておりますが、将来的には2050年目標に向けて、混焼あるいは専焼に向けて努力をしていくということで、本方式を採用しております。以上です。
続きまして、二つ目のご質問についてもお答えいたします。日明浄化センターの処理水の活用ですが、これは配慮書にも記載していますとおり、検討中の段階でして、具体的な計画や方法論についてはまだ詰まってないところですので、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。以上でございます。
(楠田会長)
はい。ご説明どうもありがとうございます。それでは事前にいただきましたご質問が以上の2件でございますので、続きまして、今日出席されておられます委員の皆様方から、ご発言を頂戴いたします。はい。それでは川﨑委員お願いいたします。
(川﨑委員)
鳥の観点からご質問させていただきます。2点ほどあります。資料の31ページを見ていただきたいのですが、この右の地図の中で、真ん中が工場地域になるのですが、北九州の工場地域の上空をタカの仲間のハチクマが渡りを行います。これは9月から10月の初めにかけて渡っていくのですが、方向がその地図の右にある下関の方から若松区の高塔山に向けて飛びます。この飛ぶ方向はその日の風向きによって変わり、東風がある時はこの高塔山へ向かうし、北風が強いときは風師山を通じて足立山から皿倉の方に抜けていくというような形で、必ずしも高塔山を通るわけではないのですが、高塔山で9月、10月にかけて、ずっと観察されている方がおられまして、去年の9月、10月にかけて10,438羽というカウントがされております。この数はどれぐらいかというのがわかりにくいかと思うのですが、長崎県の五島市にある福江島が、一番ハチクマが渡って、中国の方に飛び出す場所として有名なところなのですが、ここで昨年シーズンが14,904羽、約1,5000羽がカウントされています。そのカウントが全部とは言えないですが、日本で観察されるハチクマの大多数がそこでカウントされているのではないかと思われ、その数の70%近くが高塔山で昨年見られています。ということは、今回建設予定地の上空を1万羽のハチクマが渡っているという状況なので、先ほど説明があったように、建設予定地は石炭ヤードで動植物が生息してない状況ではありますが、その上空を鳥が移動に使っているという点が一つあります。
それからもう一つ、事業実施想定区域の海を挟んで南側が西港地区になるのですが、ここをハチクマだけではなくヒヨドリという鳥が秋口にかなりの数が下関の方から西港地区、小倉港に向けて渡っています。そのようなヒヨドリの群れの一部が今回の建設予定地の上空を飛んでいる可能性もあります。そして、そういったヒヨドリを狙ってハヤブサなどの猛禽類がこの付近に生息しているという観察もあります。現に西港地区では高い建物でハヤブサが何回も観察されているので、おそらくその付近を餌場として利用している個体がいるのではないかと思われます。今回の建設予定地も海を挟んだ北側になるのですが、十分ハヤブサなどの行動範囲に含まれるので、そういったところの生息状況がわかりません。ですから、地表面での動植物が住まないだろうという判断で選定項目から外れていますが、実際このような場所で、大きな鳥が生息しているというのが実態にあるので、その実態を調べた上で、影響があるかどうか、今後の調査の中でわかってくることなので、最初から調査項目から外すというのはいかがかなという感じでして、鳥というのは空中を飛んでくるので、やはり調査項目の中に含めるべきというのが私からの提案です。以上です。
(楠田会長)
はい。川﨑委員どうもありがとうございます。それでは、事業者の方からご回答を頂戴いたします。
(事業者)
まず一つ目、調査項目に選定するかしないかというお話につきましては、今日ご説明しているのはあくまでも配慮書段階の予測対象項目のことでございまして、配慮書段階では重大な影響を受けるおそれがある項目を選定して、事前の予測という位置付けで予測することになっておりますので、そこからは外しております。このあとの方法書で選定して準備書で結果を報告する予測評価項目としては、動植物や鳥類含めて、改めて検討し直して、選定の必要性を判断したいと考えております。なお、この事業地周辺につきましては、ご指摘のハチクマやハヤブサ、それから海が近いのでミサゴ等の猛禽類がいる可能性が高いことはこちらも承知しておりますので、それらの既存の調査結果や、場合によっては事業者側で少し簡易的な事前の調査などもした上で、今後の予測評価項目への採用を検討して参りたいと思います。以上です。
(川﨑委員)
一応今後の検討として加えていただけるなら、それで結構です。その計画を今後見させていただければと思います。
(楠田会長)
よろしゅうございますか。それでは次のご質問を頂戴いたします。それでは、藍川委員お願いいたします。
(藍川委員)
何点か確認も含めて教えてください。まず、要約書の5ページ、スライドで言うと4枚目です。3、4号機の廃止をまずされると思うのですが、いつが廃止かというのが見にくいところがあります。3、4号機が廃止されると625MWが賄えなくなり、その代わりに7号機あるいは8号機が順次稼働して、500MW、2基合わせて1,000MWを発電してくることになると思います。3、4号機の625MWがなくなる時期と、7、8号機で500MWないし1,000MWが稼働する時期について、どう読むのか難しいのですが、625MWを賄いきれなくなるということはないのでしょうか。これがまず1点目です。
次に、それと関連して、2、5、6号機が、2040年前後に廃止になると思いますが、それまでは稼働している状況で、7号機、8号機はもう稼働を始めていると思います。更に言えば、その前には工事期間があると思いますが、2、5、6号機は石炭火力で動いている状況で、工事期間に入って、石炭置き場はどうされるのかというのをお伺いしたいというのが二つ目です。まずこれからお願いできますでしょうか。
(楠田会長)
それでは事業者の方から回答を頂戴いたします。
(事業者)
まず一つ目のご質問いただきました件、7、8号機の立ち上げと3、4号機の廃止のタイミングです。今回は3、4号機の老朽化に伴う7、8号機の立ち上げになりますので、まず7、8号機を立ち上げて、その電力の供給できる状況になって、3、4号機については順次廃止をしていきたいと思っています。一方で、具体的な廃止の時期につきましては将来のカーボンニュートラルを含めた電力需要や3、4号機の老朽劣化状況、これらの進捗を踏まえて具体的なタイミングを決定したいと思いますが、順番としては7、8号機を立ち上げて、3、4号機を廃止するという計画としております。
二つ目の2から6号機の石炭の発電設備の件ですが、今回は石炭ヤードに発電設備を建設いたします。先ほどご指摘いただいたとおり、発電設備に石炭を使っていますので、別の場所を確保あるいは今の場所を制約して使用することによって、石炭の場所を確保するということで計画をしております。
(藍川委員)
わかりました。ありがとうございます。新しい場所を作るとなるとその場所によっては、石炭からの飛散というのもあり得るかと思うので、その辺りは十分配慮して進めていただければと思います。
続きまして、同じく5ページですが、一番下のCO2排出原単位を2050年の前後で0にするというような目標を持っておられると思います。これは要約書の1ページの「目的」のところにも書いてある2050年のカーボンニュートラルというのを目指しておられるのだと思いますが、2050年に水素等の専焼にできる見込みというのはあるのでしょうか。こう書かれると、目標とは書いてありますが、実現されるのかなと思いました。ここまで書いて大丈夫かという質問です。
(事業者)
図には、今回導入させていただきます発電設備を、まずLNGの専焼という形で入れさせていただいています。将来の水素技術の導入に関しましては、まだ残念ながら技術習熟の状況だということで、メーカーの方で検討いただいております。ですので、このメーカーの技術はきちんと確立してくるのかということ、それから水素の供給サプライがきちんと整うのかということを踏まえて、これらが成り立てば目標という形で設定させていただくということで記載しております。
(藍川委員)
趣旨はよく理解しているつもりです。その上で、ここまで書いて大丈夫かということで、書き方、図の表し方をもう少し工夫された方が、こうなるという期待を非常に持つような誤解を招かないのではないかなと思いました。書きようがないのでこのままというのも、説明をよくした上であり得るとは思いますので、今後ご検討いただければと思います。
あとは、要約書の51ページ、配慮事項の選定について、施設が稼働する時の排ガス中のNOxについては現時点での配慮事項として入れているということだと思います。今回の工事がどれぐらいの規模、どれぐらいの資材が運搬されるのかわかりませんが、今後それらが具体化してくる中で、規模が大きい場合、工事車両、工事用の資材等の搬出入の際に、主要国道で交通量の多いところを使って運ばれるということではありますが、交通量も+αで増えると思います。今後その辺の具体的な計画が見えてきた段階で、自動車の運搬によるNOx、SPMというのも、場合によっては考慮していただければと思います。これは要望ですので、次の質問に移らせていただきます。あと二つです。
一つは、下関の長府局というのが20km圏内としてSPMが非達成であるという一覧があったと思いますが、このアセスというのは下関市でも行われるのでしょうか。
(事業者)
下関市及び山口県は対象外となっております。
(藍川委員)
わかりました。確認だけです。最後です。煙突が見えるかどうかというスライドがあったと思いますが、要約書の77ページですが、一番下の彦島南公園だけが×になっている表について、彦島南公園では視認できないという意味の×だと理解したのですが、その右端の垂直視角の予測結果で、視認できないにもかかわらず、A案、B案で角度が入るのはなぜなのでしょうか。
(事業者)
これは見える見えないにかかわらず、離隔距離と煙突の高さから割り出した、見かけの角度になります。間の遮蔽物の有無は関係なしで三角形を描いて求めた角度になります。
(藍川委員)
なるほど。実際には見えない、×となっている理由は途中に何かがあるからですか、あるいは地球が丸いからですか。
(事業者)
山ですね。地形の遮蔽を受けて見えないという×です。
(藍川委員)
わかりました。ありがとうございます。以上です。確認と今後ご検討いただければということがほとんどでしたので、以上でよろしくお願いいたします。
(楠田会長)
藍川委員どうもありがとうございました。それでは次のご発言がございましたら頂戴いたします。それでは伊藤委員お願いいたします。
(伊藤委員)
それでは、環境影響評価としては、私としては特に何も問題ないような気がするのですが、二つ確認をさせてもらいたいです。先ほど藍川委員の話もありましたが、スライド4ページの電源の目的で、製鉄所の主要電源若しくは電力会社供給となっており、かなり長期的な予想になっています。製鉄所の高炉がいつまで続くのかとか、あるいは製造だけでずっと継続してやるという前提に立っているのかとか、色々あると思うのですが、もし製鉄所の電源の必要性が縮小した場合は、その分は電力会社への供給にまわして、計画とおり4基の発電所を建設するかどうかということを確認させてください。
それからもう一つは、環境影響評価とは直接関係ないとは思うのですが、今原発で色々問題にはなっていますが、南海トラフ等の津波を想定して、防波護岸の強化や防波堤などが必要かどうかということと、万が一被害を受けた時に発電所としての安全性に問題がないかということについて確認をさせてください。以上です。
(楠田会長)
はい。伊藤委員ありがとうございます。それでは事業者の方からご回答をお願いいたします。
(事業者)
まず一つ目にご質問いただきました件、弊社の電炉化等と関係あるのかというところに関しましては、電炉事業計画とは関係のない事業になっております。今回の資料にも記載させていただきましたが、既設の発電所の老朽化に伴う今回の案件となっています。将来の電力の需給に関してですが、将来のカーボンニュートラルの増強、これに伴う電力の使用増等を踏まえた今回の電源仕様となっておりますので、弊社の生産構造の変化に伴って現時点では能力の見直しをするといったことは考えておりません。これが一つ目の答えになります。
二つ目について、先ほどの震災等に関するリスクの考え方ですが、大型の津波襲来に備えて非常電源等の大事な設備については高所に設置するというようなこと、それからアンモニア等の有害な物質については二重化する等の対策を織り込むといったことを引き続き検討していきたいと思っております。詳細については今後検討課題ということで考えております。以上です。
(楠田会長)
はい。ありがとうございます。伊藤委員、よろしゅうございますか。
(伊藤委員)
はい結構です。
(楠田会長)
はい。それでは次のご発言ございましたら頂戴いたします。ご発言がございませんので、これで(仮称)日本製鉄株式会社九州製鉄所八幡地区構内天然ガス焚き発電所建設計画 計画段階環境配慮書の審査を終了いたします。どうもありがとうございました。
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