グリーンエネルギーポートひびき事業
SDGs未来都市として、地域環境問題に積極的に取り組む港づくりを行っている本市では、2011年から広大な産業用地と充実した港湾施設を有する若松区響灘地区で、風力発電などのエネルギー関連産業の集積を目指す「グリーンエネルギーポートひびき」事業を進めています。
事業の目的
国の第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組が進められており、洋上風力発電は、平成31年の「再エネ海域利用法(注)」の施行などにより、その中核として導入が進められています。
(注)「海洋再生可能エネルギー発電の整備に係る海域の利用促進に関する法律」
また、洋上風力発電は海洋調査、風車・基礎及びその他設備の製造・組立・建設、海洋土木工事、O&M(運転管理とメンテナンス)など産業の裾野が広く、経済効果や雇用創出効果が期待できるといわれています。
そのため、響灘地区の特徴を活かし、「風力発電関連産業の総合拠点化」を進めることにより、港湾、臨港地区における産業・物流の活性化、さらには、北九州市における経済活性化等に貢献します。
響灘地区の特徴
響灘地区には、次のような事業に適した特徴があります。
- 港湾に隣接した広い産業用地
- 充実した港湾施設
- 背後にモノづくり産業を支える企業が集積
- 良好な風況
洋上風力発電に関わる産業の例
部材製造・組立及び工事関連・O&M・海陸物流など様々な業種から構成されており、産業の裾野が広く、関連する分野が多岐に渡ります。
部材製造
風車メーカーのサプライチェーン
・ナセル(発電機、コンバータ、増速機、主軸、ベアリングなど)
・ブレード
・タワー(電力ケーブル、メンテナンス用昇降機・はしごなど)
その他設備製造
・基礎:製造、防錆処理、塗装
・海底ケーブル:製造
・変電設備:製造(電気設備他)
組立及び工事関連
・基地港湾でのプレアッセンブル(事前組立)
・工事:基礎工事、海底ケーブル工事、風車設置工事、撤去工事
・各種調査
(参考) 設置船、作業船、敷設船、水中ロボット、調査船、航空機などを使用。
O&M(風車の運転管理,海底ケーブル・基礎・風車の維持管理)
・運転管理
・維持管理:点検・修理 (参考) 作業船、交通船、ヘリコプターなどを使用。
・人材育成:O&M研修、洋上サバイバル訓練
海陸物流
・海運:輸送、積卸し、積込み、艤装、積出し
・陸運:輸送、積卸し、積込み、積出し
・保管:ヤード保管、倉庫保管、通関、検数
本市の目指す総合拠点の4つの機能
本市の目指す「風力発電関連産業の総合拠点」は次の4つの機能を備えるものです。
(1)積出・建設拠点
風車設置場所へ向けた最終積出基地としての機能
(2)物流拠点
風車部品の輸出入、移出入拠点としての機能
(3)O&M拠点
風車のオペレーション及びメンテナンスを行う機能
(4)製造産業拠点
背後地に風車関連産業を集積し産業拠点としての機能
総合拠点イメージ
総合拠点化に向けたシナリオ
総合拠点の基盤を作る (フェーズ1,2,3)
- 風力発電関連産業の集積促進の契機として、臨海部に風車の実証研究エリアを設置することで、研究拠点の形成や関連する産業の誘致を進めます。
- また、風力発電関連産業の総合拠点化を加速させるために、響灘の港湾区域に大規模な洋上ウインドファーム事業を誘致し、併せて基地港湾を整備することで、特殊作業船の拠点、EPCI(設計・調達・建設・据付)、海陸物流等の関連産業を創出します。
- さらに、継続的な利用により響灘地区をはじめ地元に関連産業が根付くよう、計画が進む西日本地域の複数の洋上ウインドファーム事業者に基地港湾の利用を働きかけます。
総合拠点を充実させる (フェーズ3)
- 日本をはじめとするアジアでの洋上風車の普及を見据え、”地元企業の部品供給等への参入支援”や”風車関連部材メーカー等の誘致”、“O&M拠点の充実”を図ります。
具体的な取り組み状況(フェーズ1:実証研究施設等の誘致)
平成25年5月から7月に「響灘地区への風力発電関連産業の集積促進に係る公募」実施。
(1)株式会社北拓及びジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
メンテナンスに関する物流倉庫兼メンテナンス・トレーニングセンター開設、風力発電所(洋上
設置モデル2基を陸上に設置)と太陽光発電所を併設したハイブリッド発電所「響灘ウインドエナ
ジーリサーチパーク」設置。
響灘ウインドエナジーリサーチパークの竣工について
(2)自然電力株式会社
定格出力が約5MWの大型風車を設置した「北九州響灘風力発電所・太陽光発電所」を設置
するなど、公募の提案に沿って着実に事業を進めています。
自然電力「北九州市響灘風力発電所・太陽光発電所」の竣工について
具体的な取り組み状況(フェーズ2:大規模洋上ウインドファームの誘致)
平成28年8月
響灘の北九州港港湾区域に大規模な洋上ウインドファームを誘致する「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業者」の公募実施。
平成29年2月
九電みらいエナジー株式会社を代表企業とするコンソーシアム「ひびきウインドエナジー」(平成29年4月、特別目的会社(SPC)「ひびきウインドエナジー株式会社」を設立)を選定しました。
平成30年1月
事業が円滑かつ確実に実施されるよう、本市は同社と「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業」に係る基本協定を締結し、洋上風力発電関連産業の創出に協力して取り組むことに合意しました。
令和元年10月
使用する風車の機種候補をMHI-Vestas社製9.5MWに決定し、令和4年度の着工に向けて、現在、ウインドファームの詳細設計や環境アセスメントなどを進めています。
具体的な取り組み状況(フェーズ3)
第3フェーズでは、「総合拠点の基盤作りに向けた環境整備」と、「総合拠点の充実のための取り組み」を進めています。
総合拠点の基盤作りに向けた環境整備
風車はナセル、タワー、ブレード及び基礎といった重厚長大な部材で構成されており、その荷揚げ、運搬・保管、事前組立や洋上への積出しを安全で効率よく行うには、高い耐荷重性を備えた荷さばき地と岸壁が不可欠となります。これらを備えたものが「基地港湾」です。
現在、本市では、総合拠点の基盤となるインフラで、主に「積出・建設拠点」機能に必要不可欠な「基地港湾」の整備を進めており、令和2年度からはその一部を国の事業として国が整備することになりました。
まずは、この基地港湾が響灘洋上ウインドファーム事業で利用されることにより、洋上風力発電に関わる新しい産業が基地港湾及びその周辺に創出されることが期待されています。
さらに、平成31年4月、「再エネ海域利用法」が施行され、今後、洋上風力発電の普及拡大が大きく進むと期待されています。創出された関連産業がしっかり地元に根付くよう、特に、西日本地域の洋上ウインドファームの事業者に基地港湾の利用を働きかけています。
総合拠点の充実のための取り組み
これまで洋上風力発電の中心は欧州でしたが、地球温暖化防止に向けて再生可能エネルギーの導入が進む中、日本や台湾などアジアでも事業がスタートしました。
そこで、 欧州の風車メーカーや洋上風車の基礎メーカーなどは、アジアの洋上風力発電の普及拡大を見据え、日本で風車や基礎の製造をするために、部品の調達や組立工場の立地を検討しています。
北九州地域には、モノづくり産業や響灘地区の広い産業用地などの強みがあり、地元企業による部品製造への参入や、市内外から響灘地区への工場進出が期待できることから、産業拠点を目指し、地元企業の参入支援や工場の誘致に取り組んでいます。
また、洋上風力のO&M機能の充実に向け、人材育成の拠点化など具体的展開方針について検討しています。
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このページの作成者
港湾空港局エネルギー産業拠点化推進室エネルギー産業拠点化推進課
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