平成14年9月3日(火曜日) 14時30分-16時30分
第9回議事要旨(平成14年9月3日開催)
会議要旨
1 日時
2 場所
北九州市エコタウンセンターC会議室
3 出席者
会長
小野委員
委員
嵐谷委員 牛嶋委員 加藤委員 古賀委員 豊川委員 林委員 早瀬委員 松野委員 渡辺委員
環境局長
大庭清明
事務局
環境管理課(野田課長、青栁指導係長、北里企画調整係長、他4名)、
環境産業政策室(谷上主幹、柴田主査、他1名)、施設課(宮崎主査、他1名)
事業者
新日本製鐵株式会社
4 議題
1)第3期北九州市環境影響評価審査会会長の選出
2)総合環境コンビナート複合中核施設建設事業に係る環境影響評価準備書の審査について
5 議事
審査会規則第3条第1項の規定に基づき会長の互選が行われ小野委員が選出された。
当該準備書の審査について諮問があり、はじめに事務局からこれまでの手続き及び縦覧に供した準備書に対する意見(5件)について説明があった。次に事業者から準備書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた。
早瀬委員
要約書19ページの二酸化炭素の削減量の計算方法をもう少し詳しく知りたいが、廃棄物で発電することによって発電所での発電量が削減できるというが、その電力量に相当する二酸化炭素の量が減ると理解して良いか。廃棄物として残しておいて一方で電力は従来どおり発電するという状態と廃棄物を燃やして発電する状態、その2つの状態を比較するのが適当ではないかと思われるがどうか。
事業者:新日本製鐵株式会社
廃棄物処理という観点から、本事業ではマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルを総合的に実施し、可能な限りリサイクルを行っていこうという考え方を持っている。廃棄物を単純に焼却してしまう場合には、そのまま二酸化炭素として出て行くわけであるが、積極的な熱回収により電気の回収ができる。当事業では電気の回収を行うのが、要約書には二酸化炭素を減らし地球温暖化を防止していくという観点から、まず化石燃料を使った発電を減らすべきとの考えの基に、その場合にこれだけ減りますよ、ということを表にした。
したがって、準備書本文の5-225ページに電気事業連合会から発表された二酸化炭素の排出原単位(キログラム-CO2(1キロワット時あたり))の情報を載せているが、LNG火力、石油火力、石炭火力で発電した場合の平均した数字を使って、その分が削減可能という考え方で廃棄物発電に伴う二酸化炭素の削減量を表示した。
早瀬委員
化石燃料の使用量の削減分を二酸化炭素の量に換算したとの理解でよいか。
事業者:新日本製鐵株式会社
そうです。
早瀬委員
もう少し科学的に二酸化炭素の発生について考えてみると、当該事業ではゴミを保管する段階にもメタン発酵等による二酸化炭素の発生が考えられるが、今回の報告ではそこまでは考えられていない。けして悪いというわけではないが、ややわかりにくいので質問した。
渡辺委員
要約書12ページの周辺環境の現況に交通振動とあるが、文中の騒音規制法は振動規制法ではないかと思うがどうか。
事業者:新日本製鐵株式会社
ご指摘のとおり訂正する。
林委員
要約書19ページ、動物への影響の環境保全対策の(1)に「事業地内に池を設置し」とあるが、環境影響評価準備書の2-7ページに表2-7-1土地利用計画があり、その中に池の面積とか構成比を入れた方が良いと思うがどうか。
事業者:新日本製鐵株式会社
検討する。
小野会長
それについては後ほどもう一度議論したい。用地の問題があるので、緑地の保全のために池の大きさをどれくらいにしたら良いのか、そういう問題もある。
林委員
準備書に鳥類という言葉と野鳥という言葉の両方が使われているが、これは全部鳥類に統一してほしい。
小野会長
ちなみに野鳥と鳥類の区別についてはご存じか。鳥類と言った場合、飼育されている鳥も全部入る。一般的にしておいた方がよいだろう。
古賀委員
要約書20ページ環境監視計画の煙突排ガスの中に常時監視項目があるが、ダイオキシン類の発生が燃焼温度で非常に鋭敏に出てくるということがあるので、この常時監視項目に燃焼管理のシステム等で測定した炉の温度を入れていただき、将来的にはデータを市民の皆さんがみられるようにすることが必要である。
小野会長
燃焼温度というのを連続監視の中に入れる必要があるということであるがどうか。
事業者:新日本製鐵株式会社
炉の中で温度を何点か測っている。燃焼炉の出口の温度が、最も良いのではないかと思うので、そこを監視項目にしたいと思う。
小野会長
運転中は温度が変動するもので、変動により汚染物質生成のマキシマムが問題になる。マキシマムは温度によって調整できるということであり、温度を測定すれば異常を感知できるため、燃焼炉の温度を監視する必要がある。
早瀬委員
この装置が操業されると、そこから出てくるアウトプットとしての排気あるいは廃棄物は、この装置に入れるものにより影響を受けるのではないか。最初に入れるものというのは、この場合、廃棄物だが少し気になる。そこで、廃棄物として、どんなものが入ってくるのか、将来的にチェックを行い、モニタリングを行うことを考えているかどうかお尋ねする。
事業者:新日本製鐵株式会社
産業廃棄物については搬出先と処理契約を結んで受け入れていくことになるので、契約前に申し込まれる廃棄物の性状については適正に分析して、この施設で処理できるものであることを確認した上で受け入れていく。当初はそれを確認して、継続的に入ってくる場合においては定期的に約束したルールが守られているかどうか、これを受け入れ検査していくということになる。これは受け入れる物などにより頻度は適宜変えるが、それをきちんと監視していく。
早瀬委員
ぜひ、そういった監視の結果などを一般の方にもわかるようなかたちで公表するようなシステムを作っていただきたい。
事業者:新日本製鐵株式会社
受け入れ先だけで決められない場合もあると思うが、可能なものは取り組んでいきたい。リサイクル法等の法律に基づいて持ち込まれるもの、あるいは民間同士の契約に基づいて持ち込まれるもの、それぞれによって公表できる範囲は変わってくる可能性はあると思われるが、努力はしていきたい。
小野会長
情報公開の問題との関わりについて、市はどのように考えているか。
事務局
廃棄物の受け入れの問題については、情報公開の観点から出さなければならないというルールはありません。この件については、今からどのようなことがこの複合中核施設でできるかを、事業者と相談しながら考えたい。それから排出ガスなどの規制があるものについては、できる限り公開するという原則でやっていきたい。実際に今、エコタウンに立地する企業の方々の測定データについては、自主的な公開というものは実施しているので、それと同様に今回の複合中核施設についても、できる限り情報を出してもらうようお願いする。
小野会長
そういう体制を作っていかないといけない。
事業者:新日本製鐵株式会社
廃棄物には製造のノウハウが集約されていることもあり、専門家が見れば廃棄物の性状からどのような原料が使われているか解る場合もあり、公表できるものとできないものがある。ただし、そこのデータが分らないと環境の安全が保てない恐れがあるような特別な行政指導がある場合は、廃棄物の排出元と協議して対応したいと考えている。具体的な対応策については、この場で約束できるものではないことをご理解いただきたい。
小野会長
今の点は皆さんどのようにお考えか。
豊川委員
ただ今、早瀬委員がおっしゃったように、処理された後のことは良いし、処理する途中についても十分な検討が行われている内容であったと思うが、ゴミを処理されるまでは貯めておくという段階があり、そこで人体や環境に影響がある状況になるかならないかという点は重大なことだと思う。情報の公開はもとより、有害物質が出ないものだけを受け入れるとか、貯めるとか、もし不測の事態が生じて有害なものが出た時にはどのような処置を行うとか、何かあったときのチェック機構のようなシステムが必要であると考えるがどうか。
小野会長
集まってきたものを集積しておく場所の管理は当然、事業者が行うわけであるが、これについての説明をお願いする。
事業者:新日本製鐵株式会社
廃棄物の性状に従って、飛散や雨水による溶出を防止する構造の貯留場所を造って貯留するので、外部に漏れることはないと思われる。中で働く人の労働安全衛生上の問題については、労働安全法等の規定に基づき対処する。
豊川委員
それでは当然、マニュアルの下、有害的なものがあるかどうかというチェックが行われ、ゴミを持ち込む側か受け入れる側かどちらかが責任を持って行っているのか。
事業者:新日本製鐵株式会社
これは先ほどお答えしたように、持ち込みの契約をする前に、まず廃棄物がどんなものであるのかがわかるように、先方で分析したものを提出していただいて、そのとおりかどうかは受け入れたときに受け入れ側でチェックする、という方法で確認する。
豊川委員
問題が生じたときには、それに対する責任はどちらが取るという契約内容になっているのか。
事業者:新日本製鐵株式会社
高濃度すぎて扱えないようなもの、特殊なもの、有害なものが入っている場合は、当然お断りするということになり、入ってきてしまったものについては、その物に応じて、そこで働く人たちに影響がないように、その時点で密閉するなどにより、対応せざるを得ないと思う。基本的には、事前にチェックをして、そういうものが入ってこないようにすることとしている。
豊川委員
前回の審査会でも意見を述べているが、住民には廃棄物に対する不安があるようだ。また、悪臭に関しては、事業者よりいろいろな説明があったが、貯めている間に有害なものが出てくるようなことがないようにお願いしたい。非常時、災害時の対策はどうなっているのか。例えば、高潮、台風、大洪水、地震、火災などが発生した場合、貯留していたゴミが外に出ることなどが懸念されるが、そういう場合の体制はどうなっているのか。厳重にそのようなことがないような施設になっているのか。
事業者:新日本製鐵株式会社
高潮については、当該事業地を含む響灘地域の大部分が冠水するようなことはないと考えている。火災については、火災が発生しないよう消防局の指導を得て建築物を建設することとなっている。貯留中の自然発熱については、散水等により対処することを考えている。それから、取り扱うものは基本的に固形廃棄物であり、廃油がごく一部入ってくるのではないかと予測される。また、当施設で使用する潤滑油や点火用の灯油などについては、消防法の規制に基づき、タンクが破れても流出しないよう防油堤の設置が義務付けられており、関係法令に従って設計することとなっている。以上のような対処を考えている。
牛嶋委員
環境監視計画について、煙突排ガスの有害物と一般環境監視項目の騒音以下、悪臭、ダイオキシン類の測定頻度が年に1回ないし2回ということ、それから、先ほどの有害物と一般環境監視項目についての監視期間は稼動開始後2年間ということだが、どうして年1回ないしは2回で良いのか、あるいは稼動開始後2年間でよいのか、説明を願いたい。
事業者:新日本製鐵株式会社
まず、一般環境監視項目の監視期間については、今回の環境影響評価の中で環境に及ぼす影響の程度を予測しており、施設の稼動が安定した後の2年間まで監視して、予測どおりであることが確認されれば、それ以上継続する必要がないのではないかという考えに基づいて設定している。それから、煙突排ガスの定期監視項目については、それぞれ、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法に規定される頻度に基づくものであり、有害物については、基準がない項目もあり、これらは自主的に測定して確認するものであり、年に1回ということで規定したものである。
牛嶋委員
施設の稼動開始後2年間の監視期間は施設が安定するまでということで、監視期間の設定が機械の方の事情であることが理解できた。逆に、それを受ける側の環境レベルの問題はないのか。例えば風向きなど。そういった周りの諸条件によって変わる要素はないのか。
事業者:新日本製鐵株式会社
風向き等については現況調査のところで、この地域の特徴的な風向きや煙突高さからみた最大着地濃度地点とかを想定してダイオキシン類の観測地点なども決めているので、例えば年2回測定すれば、風向きが変わる季節に応じて評価できるのではないかということで決定した。
加藤委員
この廃棄物の搬入の領域は、どういう領域をカバーしているのか。また、最終の廃棄物、すなわち処理灰は業者委託とのことであったが、具体的にどこにどういうかたちで持ってきて処理されるのか。入ってくる方と出ていく方を確認したい。
事業者:新日本製鐵株式会社
今回の環境影響評価では、排出ガス量が最大となり環境負荷が最大となる条件、すなわちカロリーが高い産業廃棄物が定格能力一杯入ってくるという条件でいろいろな計算をしている。しかし、産業廃棄物であるため、現時点ではどの会社から、どんなものが何トン入るか厳密に確定しているわけではない。ただし、この事業を始める時に想定しているものとして、7割程度が、現在、埋められているもので、今後埋め立てが困難となるものを想定しており、これらをリサイクルに変更するものである。これは、自動車のシュレッダーダストなどであるが、響灘地区に運び込まれているものがリサイクルに形が変わるということで、搬入ルートが大きく変わるということではない。その他は北九州市内から集められるもの、1割程度が県外、市外から来ると考えている。これは事業者の勝手な想定であり、契約が結ばれたものではないので、多少の変動はあるかとは思う。
また、処理灰の処理先については、北九州市が管理している管理型処分場、あるいは響灘開発株式会社が管理する響灘の管理型処分場を考えている。
豊川委員
先ほどの件ですが、安全対策についての施設、設計、図書ができると思われますが、それができた際は、やはり専門家に見せて十分に検討していただき、住民など第三者にも説明できるような形にされた方が良いのではないか。
事業者:新日本製鐵株式会社
これから廃棄物処理施設としての設置許可の手続き等があり、そこで専門的な部分については審査いただき許可を得る、という手続きを踏んでいくことになっている。
豊川委員
一般的に行われる危険物の確認申請のようなことについて言っているのか。
事業者:新日本製鐵株式会社
廃棄物処理施設の設置許可申請を進めていく中で、いろいろな技術基準等があるので、そこでチェックを受けながら進めていくということである。
豊川委員
当然そのようなチェックは行われると思うが、本事業のような全国規模に展開するゴミを商品とすると言うか、原料にする事業を行う場合、今までのやり方で検討を行えば良いのか、様々なケースについて検討されてみてはどうか、という意見である。
小野会長
監視のためのシステムのことと思うが、これは、これから検討していかなければならない。
豊川委員
施設は既存の基準に対してはクリアするように建設しなければ許可されないわけであるから、きちんと造られると思うが、本事業は全国でも珍しい事業であるため、既存の基準をクリアしたから良いということで事業を進めてしまって、後で後顧の憂いにならないようしなければならない。ついては、行政や専門家に相談をし、不測の事態が発生した場合の対応等についてシミュレーションを行うなど検討を行ったらどうか。
小野会長
豊川委員からフォローアップのためのシステムをきちんとやりなさい、というご注意をいただいたというふうに理解しておきたいと思う。
それでは時間がきましたので、5分ほど休憩を取りたいと思います。その後で、貴重な動植物についての審議に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
(注)これ以降の審議につきましては希少種保護の観点から非公開とさせていただきます。
このページの作成者
環境局環境監視部環境監視課
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