平成15年5月28日(水曜日)14時-16時
第11回議事要旨(平成15年5月28日開催)
会議要旨
1 日時
2 場所
ホテルジェネラス小倉 2階 響の間
3 出席者
会長
小野会長
委員
内海委員 加藤委員 古賀委員 坂井委員 林委員 早瀬委員 森下委員 渡辺委員
事業者
環境局業務部施設課(米谷主幹他1名)
事務局
環境局環境保全部 (井上部長他2名)
4 議題
(仮称)新・新門司工場建設事業に係る環境影響評価準備書の審査について
5 議事
当該準備書の審査について諮問があり、はじめに事務局からこれまでの手続き及び縦覧に供した準備書に対する意見(8件)について説明があった。次に事業者から準備書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた。
小野会長
今までの説明についてのご質問、ご意見等をいただきます。 問題点というのは、まず、旧工場を解体することに伴う問題点。2点目が新しい工場ができて、設備を設置し稼動することに伴う問題。3点目が、これが稼動することによって、大気がどのような影響を受けるか。4点目が周辺環境の動植物の保全にかかわる問題点と言っていいのかもしれません。この4つぐらいかと私は考えております。
早瀬委員
私は、環境政策を考える仕事をしているのですが、環境問題に対する住民の方の意見と政策との関係に非常に関心があります。1つ目は、ゴミの排出規制に関連して、「ゴミを少なくしていく方向のとき、将来大量のゴミ処理を見込む点は矛盾すると思われる」と、「矛盾している」という指摘が市民からの意見の中にありますが、これに対し担当の方は、どのようにお答えになっているのでしょうか。 2つ目は、環境アセスメントの制度です。これは環境保全目標の達成だけが目的ではなくて、より良い環境をつくっていくということが究極の目的であろうと思います。そういう視点から、住民の方の意見を生かしていくということは大切です。そのために縦覧の手続き等があるのですが、縦覧の手続きについて、17時までしかだめだとか、コピーについついての意見が出ていましたが、この制度を生かしていく上ではとても重要なご意見ではないかと思います。それは、環境アセスメントの制度を担当の部局に関係するのかと思いますが、そういうご意見に対して答えられない理由は何でしょうか。 3つ目は、ダイオキシン類の関係です。ダイオキシン類について、人体や健康への影響を長期的にも見て、分からない部分がまだ多いのではないでしょうか。ですから、周辺に住んでおられる方は不安を感じてもしようがない。しかも、自らが受けるリスクについて自分たちはどうしようもない、自分たちでリスクを回避する方法を持っていないということですから、そういった方の不安にできるだけ対応していくということも重要なのではないでしょうか。そういった意味から、やはり年1回の測定は、ご意見に対してもう少し考えていく必要があるのではないでしょうか。ダイオキシン類のモニタリングについてどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
事業者
市では、ゴミの減量には常に気を使っており、分別収集などいろいろ苦労して取り組んでいます。減量化してもどうしても残るゴミは焼却しますが、ゴミもエネルギーと考えて、発電して有効利用しています。 今回、焼却能力が600トン(1日あたり)から720トン(1日あたり)に増加します。現在、北九州には3工場あり、全体の焼却能力は2010トン(1日あたり)です。計6%増えるのですが、焼却工場は常にフル運転できる訳ではありません。年1回のオーバーホールや中間灰出といった整備があります。また、故障等もあります。今でも非常に苦しい運転をしていますので、そのようなときにゆとりを持ちたいということで能力を増やしています。
事務局
2番目の環境アセスメントの制度、縦覧の手続きについてお答えします。環境アセスメントの報告書の縦覧は、現在、原則として本庁の環境局と事業を行う当該区役所で行うようにしています。新・新門司工場の建設に係るアセスメントについては、市民の便宜を図るという意味で、本庁と門司区役所に加え、松ヶ江出張所も加えて3か所で縦覧を行い、33人が縦覧されました。 夜間・休日については、縦覧を行う庁舎が夜間・休日は閉庁しますので、安全管理上の問題もあり、現在のところは縦覧するようになっていません。コピーの提供については、いくつかの自治体ではコピーを行っていると聞いており、現在他都市の実情を調査しております。北九州市の中で縦覧しているものとしては、環境アセスメント以外には、廃棄物処理に係る生活環境影響調査の結果、瀬戸内海環境保全特別措置法での事前評価結果、都市計画案、土地区画整理事業計画案、公有水面埋立法に係る埋め立て免許申請、大規模小売店舗立地法による届出書等、数多くありますが、いずれもコピーは行っていません。縦覧物のコピーにあたっては、著作権の問題や、情報公開条例の手続きとの調整等、注意を要するものであり、市における他の縦覧物との調整を図る必要もあるため、現在、調査検討している段階です。
事業者
焼却工場におけるダイオキシン類の調査は、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年)により、JIS規格に従った方法で年1回実施しております。これとあわせて、この地域の松ケ江観測局という常時観測局でダイオキシンの調査は年4回実施しております。 住民の方から、AMESA(アメサ)というダイオキシン類の連続測定装置の設置ができないかという意見をいただいています。AMESAによる測定は、現段階でJIS規格で定められているものではありません。また、AMESAは連続サンプリングはできますが、サンプリング期間のダイオキシン類の濃度の平均値を測定するものであり、連続的に濃度を測定できるものとはなっておりません。AMESA等、ダイオキシン類の測定技術については、市として今後の技術開発の動向等を見て、JIS規格、基準値の変更等に対して、従来どおり最大限の対処を行いたいと考えております。
早瀬委員
ゴミの削減については、今まで環境アセスメントの準備書や報告書で、これだけ意見が出て住民の方の関心が高かったことはなかったということで、とても関心が高くていいことかと思っています。ぜひ、今後のゴミ削減の施策を進めるにあたって、今回関心を持たれた住民の方とのパートナーシップ、お互いに支持するかたちで進めていっていただきたいという希望を持っています。 縦覧については、インターネットなども使えるのではないかと思うので、ぜひ情報の公開がよりスムーズにいって、住民の方の個人的な環境意識ができるだけ反映されるような仕組みづくりについて努力していただきたいと思います。ダイオキシンの連続測定について、これは法律を満たしてればよいというのがアセスメントの目的ではない。JIS規格等々はあまり意味がないのではないでしょうか。それと、ダイオキシン類の慢性的な影響について注意するということであれば、ピークモードや連続測定よりもむしろ長期的な濃度の方が、意味があるのではないでしょうか。できれば連続測定についてはお考えいただきたいと思います。
古賀委員
AMESAは日本では「連続測定装置」と訳されていますが、「連続サンプリング装置」が正しい言い方です。測定の方法は基本的には変わりません。1回のサンプリング時間が従来の4時間から4週間と長くなるので、サンプリングの割合は下がることになります。また、焼却炉には温度をコントロールする装置が必要ですが、イギリスやドイツに聞くと、自分たちは日本の焼却炉のように性能が良くない、温度条件が非常にばらつくので、ダイオキシン類の排出は長期的なものを見ないといけない、と言っています。しかし、日本の焼却炉は非常に良く温度管理ができているから、温度を測定すれば、燃焼管理がコントロールできるのではないか。ぜひ日本の炉を自分たちの国に導入したいという意見も出ています。その背景には、日本は従前からゴミを燃やすことで処分しており、ヨーロッパやアメリカは山に埋めることでやっていたというように、社会的背景が違うということも効いており、ヨーロッパの方式がすぐれているから即導入というのは、私は疑問を感じます。 パンフレットの中に環境監視計画というのがあり、煙突の排ガスについて常時監視項目、測定項目としています。この中で、燃焼温度を常に測っているわけですから、それが公開できるようなかたちで、ちゃんと温度管理ができますよ、すなわちそれがダイオキシンの生成を防いでいますという情報を市民の方々に提供できるのではないかと私は考えています。
小野会長
大変いい提案を1ついただきました。連続監視をする中に燃焼温度の監視を入れておきなさいということですが、これは取り入れているのでしょうか。
事業者
ダイオキシン類の発生抑制、ダイオキシン類の回収という目的で、焼却炉の燃焼温度、それと一酸化炭素の濃度を常時監視して、ダイオキシン類に対する対策をとっております。
小野会長
それは数値公表できるようになっているのですね。
事業者
将来そういうことを含めて検討してまいりたいと思います。
林委員
鳥の調査方法と調査結果について。調査のしかたはラインセンサス法とポイントセンサス法で「一定の範囲に出現する鳥類をカウントする」という言葉が使ってありますが、結果のところに種類だけには触れて、数えた結果が全く出ていない。数については全く触れられてないので、評価書には数についてもある程度の表現ができるかと思います。
小野会長
ご意見として承っておきますか、それとも数の調査結果を今後入れますか。
事業者
数を含めた資料を準備しています。
小野会長
とにかく数は入れますということですよね。そのほうが具体的でいいと思います。
加藤委員
私は建築のほうですので、焼却方式の違いというはよく分かっておりません。それで、住民の方から意見が出ているのはもっともだと思います。焼却方式別にアセスメントを実施することは、判断基準になるわけですから、改めて時間をとって、どういう基準があってどういうことができるのかという比較を提示していただくのがいいのではないかと思います。1つ、非常に不思議だと思いますのは、焼却方式が決まっていない段階で、環境アセスメントの結果が一定となるということです。ある方式を選ぶとアセスメントの結果がこのようになるけれども、他の方式を選ぶと違ったアセスメントの結果になると思うのですが、そういうことはないのですか。
小野会長
焼却方式がガス化溶融炉方式かストーカー炉プラス灰溶融炉で、その比較が出ていない。それは同じなのですか、違うのですかというご質問です。
事業者
焼却方式ですが、現在の北九州の3工場は、すべてストーカー方式です。階段状の火格子という板台の上でゴミを燃やした後、溶融炉で灰を溶かすというのがストーカー炉プラス灰溶融炉方式です。つまり今までのストーカー炉に溶融炉をつけ加えるというものです。 一方、ガス化溶融炉には大きく分けて、シャフト、キルン、流動床と3つの方式があります。シャフトというのは製鉄で使われている方式で、コークスと一緒にゴミを入れて、ゴミを溶かすとともに、ガスを発生させるという方法です。溶けたものはスラグといって、金属を含む砂状のかたまりになっています。ガスはボイラーで燃やして発電します。 キルン式というのは、まずゴミを小さく砕きます。次に、円柱状の加熱炉の中で400度から500度程度で、ゴミを蒸し焼きにして、ゴミをガスと残渣に分解します。残渣から金属を取り除いて、溶融炉に持っていき、加熱炉から発生するガスの熱でその残渣を溶かすという方式です。これがガス化溶融炉のキルン式です。 流動床というのは、円柱形のドラムに砂が入っていまして、そこでガス化するという方法です。残渣はキルンと同様に溶融炉に持っていき、ガスの熱で溶かすという仕組みです。金属は、下からとられて、鉄とアルミが再生されるというやり方です。
小野会長
方式によって、出てくるものが違うのですか。
事業者
シャフト炉とストーカープラス溶融炉の場合は、スラグとメタルが出ます。流動床とキルンの場合は、鉄とアルミが回収され、スラグが出ます。
小野会長
今、焼却方式を決められないというのはどういうことですか。
事業者
方式によって一長一短がありますので、どれをとるか慎重に比較検討しているということです。
小野会長
その比較の結果を書けばよかったのではないでしょうか。
事業者
この準備書の作成にあたっては、ストーカープラス灰溶融炉とガス化溶融炉の3方式の計4方式について、別々に予測評価し、環境負荷の一番大きい条件のものを記載しております。例えば、SO2、NOxについては、4方式のどれが入っても、それ以上環境負荷は大きくなりませんという諸元を使い予測評価しております。それは大気環境だけではなく、全体の項目につきまして、そういう観点で準備書を作成・評価しています。
小野会長
住民の方からいただいたご意見の中には、今、答えられる問題と、これから考えるべき問題と分かれていると思いますので、それは今ここでいちいち取り上げる必要はないかと思っていますが、関連のご質問がありましら今、お伺いしておいたほうがいいかと思います。
内海委員
住民の方々のご意見は非常に大事なことだと思いますが、この審査会の役割を明確にしておく必要があります。この審査会は、環境影響評価の結果について審査をする委員会で、どういう炉にすべきという技術評価の委員会ではありません。多分住民の方々の意見の多くはどの方式を入れるかという技術的評価のところが非常に大きなウエートを占めていると思います。そういうことをはっきりとさせると、この準備書に対しての審査会の意義が明確になってくるのだろうと思います。 もう1つ大事なことは、どういうことをやっても基本的に絶対安全と言い切れるものではないのです。その中で、今ある知見で環境影響評価がきちんと行われているか審査するのがこの会議の役割です。事業体としては、今後起こる住民不安に対しては別途きちんとした対応が必要だということになるわけです。今ここで行っている予測範囲は、風向の問題とか、滞留するのではないかという話がありましたが、それについてはきちんとした環境影響評価をしなくてはいけない。 どれだけダイオキシン類の毒性があるかということに関しては、私たちの立場からも分かりません。また、ニトロアレン類についての意見もありましたが、これについても発癌性物質としてきちんと確定したものではないので、よく分からない。今は、法的にやらなくてはいけないことをきちんとして、もう一方で公共事業体ですから、住民の方々が将来不安にならないように、今後このような努力をしますというところが準備書の中で書かれるべきである。この環境影響評価委員会の判断として、事業者にはそういう態度をとっていただきたい。それは、公共事業の非常に大切なところだと思います。
小野会長
委員からの要望ですので、委員会の記録として残したいと思います。
内海委員
もう1つ、確認ですが、おそらく住民の方々の勘違いだろうと思うのですが、5-125の六価クロムの調査値で、定量下限値と調査値とをたぶん混同されたのだろうと思います。ですから、そこだけはきちんとお答えになったほうがいいだろうと思います。0.02を調査値だと誤解されたのだと思います。
小野会長
それでは、予定をしておりました時間ですので、これからは貴重な動植物についての内容に入っていきたいのですが、ここで5分程度の休憩をとりたいと思います。
(注)これ以降の審議につきましては希少種保護の観点から非公開とさせていただきます。
このページの作成者
環境局環境監視部環境監視課
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