平成18年6月22日(木曜日)14時~16時30分
第14回議事要旨(平成18年6月22日開催)
会議要旨
1 日時
2 場所
東京第一ホテル小倉 9階 アルタイルの間
3 出席者
会長
小野委員
委員
嵐谷委員 牛嶋委員 緒方委員 加藤委員 坂井委員 林委員 早瀬委員 松野委員 松藤委員 山元委員 渡辺委員
事業者
新門司南地区公有水面埋立事業:北九州市環境局施設課、港湾空港局計画課
自家用火力発電設備建設事業:新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所
事務局
環境局環境監視部環境保全課 (環境監視部長他2名)
4 議題
(1)新門司南地区公有水面埋立事業環境影響評価準備書の審査について
(2)自家用火力発電設備建設事業に係る環境影響評価方法書の審査について
5 議事要旨
審議に先立ち、「新門司南地区公有水面埋立事業環境影響評価準備書」及び「自家用火力発電設備建設事業に係る環境影響評価方法書」の審査について諮問を行った。
(議題1)新門司南地区公有水面埋立事業環境影響評価準備書の審査について
事業者からこれまで手続きとして行われた縦覧(23名)、説明会(参加者55名)及び意見書の提出(6件)並びに意見書の内容及び事業者の見解について説明があった。次に、事業者から準備書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた。
早瀬委員
全体を聴かせていただいていて、環境影響評価法の趣旨からすると不満を感じたので一言申し上げておきたいと思います。環境影響評価法の趣旨というのは、環境への負荷をできるだけ小さくしようということであって、従来の環境基準等との「まる」「ばつ」の評価を行うアセスとは全く異なった枠組みが出来上がったのだと理解しているのですが、そういう意味からすると、評価の視点というのは、基準に照らしてどうかということよりも環境保全措置を、事業者が実行可能な範囲で十分にしているかどうか、という事が評価されるべきであると考えています。そういう視点からすると、環境保全に関する措置の記載というのが、何か軽視されているような気がしますし、環境保全措置が果たしてこれで事業者の方で十分に検討されたのかどうかということについて、十分に私どもの方で判断がしづらいような気持ちさえしています。
もう一つ気になったのは、市民から埋立地の跡地利用に関して意見が提出されていますが、埋立後の土地利用がもし分かっているものであるならば、ぜひ住民の方とコミュニケーションをすべきではないかと思うのです。それができない理由としてここで主務省令を持ち出されたのですが、主務省令に書いてあることは、それをしてはいけないと書いてあるわけではなく、標準的な環境アセスメントとしてそれをしなさい、という風に書かれているのだと思います。そうすると、埋立地の利用についても、情報があるのであれば、それについて環境への配慮をどのように行うかについて、何らかの意思表示をすることが適切ではないかと思います。
事業者
環境保全措置については、主務省令に基づいて「調査、予測及び評価の結果において、環境影響がない、又は極めて小さいと判断される場合以外に検討する」という方針で、環境保全措置を検討してございます。ただ、ほとんどの環境要素について、影響がない、又は極めて小さいと判断したので、環境保全措置を追加で検討したものはほとんどございません。ただ、それだとあまりにも不親切な記載となりますので、準備書には、事業の計画段階ですでに実施することとしていた事項として、「環境配慮事項」を記載しております。これについては、最大限の環境配慮を計画させていただいております。
事業者
2つ目のご意見の埋立地の利用についての件でございます。この件は、地元説明会においても質問が若干ございまして、現時点において私どもが考えている埋立地の土地利用については、一部が港湾緑地、倉庫用地、この2つを併せて全体面積の概ね2分の1以上となります。残りの土地につきましても、レクリエーション的な用地ということで考えております。これは公有水面埋立法に基づく埋立でございますが、埋立用材として、全体で2分の1以下、今回の場合は360万立方メートルに対して120万立方メートルですから、3分の1程度でございますが、管理型の廃棄物を入れるということで、土地の売却はなかなか現時点においては予想できないため、公共がある程度管理した土地利用ということで、港湾の緑地及び倉庫用地、それからレクリエーション関係の土地利用を現時点では考えております。ただ、地元説明の時にも話しておりますが、埋立が終了するのが、今から工事期間を含めますと十数年先になりますので、現時点の土地利用計画で完全に決定かというと、そうではなく、埋立終了時点の社会情勢、周辺の土地利用等と関係して参ります。しかしながら、基本的には埋立用材からしますと、大規模な土地の売却等は難しいだろうと考えております。
以上でございます。
早瀬委員
いわゆる埋立地の利用というのは、間接的な影響と考えられるのですが、環境アセスメントのスコーピングから全く除外してしまうのは、少し不適切かと思います。住民説明会では、今後の土地利用について適切に説明しているとのことなので、コミュニケーションの方はよろしいかと思いますが、図書への記載については、今後検討していただきたいと思います。
今回の事業の場合、埋立終了後の土地利用が緑地やレクリエーション地だと、あまり環境への負荷がないので、「一連の事業の流れの中で、護岸及び埋立工事の環境影響が大きいということで、ここに重点を絞って環境影響評価を実施した」という説明であれば十分理解できるのですが、杓子定規に「埋立地の跡地利用については対象ではない」と言われると、このような大きな工事をするにもかかわらず、一連の事業の流れの中で一部分だけ環境影響評価を行っても、議論するのが虚しい気持ちになります。そういう意味で、住民の方とぜひコミュニケーションをやっていただきたいと思います。
それから、環境保全措置に関しては、環境配慮事項と環境保全措置ということを分けて記載していますが、環境配慮事項も環境保全措置と同じと思います。ですから、「計画の当初から採用することとしていた環境配慮事項というのが環境保全措置であって、その環境保全措置を前提にしたうえで環境アセスメントを実施して、それで環境に十分に配慮した結果となったので、追加的な環境保全措置は検討しなかった」というような説明だったら、十分理解できると思います。
松藤委員
水質監視の計画について、ダイオキシン類の測定を年1回行うとのことですが、事業者の見解として「ダイオキシン類は水に溶けないということと、現在の響灘西区の最終処分場の例からして問題ありません」と記載してありますが、水質の項目として、浮遊物質濃度を測定し、これにより副次的にダイオキシン類をモニターするということが一般的にやられておりますので、これを追加で記載されたほうがいいのではないかと思います。
それから、説明には無かったのですが、今日、現地を見せていただいた感想として、台風時期等に今回の埋立地の海側に高波が来た場合、具体的にどのような対策を採るのでしょうか。埋立工事中に非常に強い波が来た時、海域に埋立用材が飛散する可能性も否定できないのではないかと思います。
事業者
一つ目のご意見ですが、ダイオキシン類は粒子状物質に吸着して排出されることも考えられますので、浮流物質量の監視を行う旨追加させていただきます。
事業者
それから二つ目の護岸の高さについてのご質問にお答えします。ご存知のとおり、平成11年にこの辺りの海域は過去最大に近い高潮を受け、既存の埋立地が被害を受けましたので、その経験を元に、護岸の高さを既存の埋立地より高くいたしました。今回の埋立地についても、護岸高を十分波浪の影響を直接受けないように高くする予定でございます。以上でございます。
坂井委員
先ほどのダイオキシン類の水質測定に関して、「ダイオキシン類対策特別措置法の政令に年1回以上測定」と規定されているため、これに準拠して水質の測定を年1回と計画しているのだと思います。水に溶けにくい特性もございますが、住民の意見にもございますように、ダイオキシン類は非常に関心の高い項目です。そこで、可能であれば、生活環境項目に準じて年4回程度測定できないものかと一つの提案、意見でございます。年一回の測定だけでは評価が難しく、また化学物質の問題ですからこの辺りも少し考慮していただきたいと思います。
また、今回この準備書を平成18年度に審査するわけですが、全般的に見てみると、平成14年度までのデータが中心になっています。水質項目に関して、平成14年度以降の市の測定データを見てみると、それほど大きく変化はしてないのですが、環境影響評価を行うデータとしては少し古いのではないか思います。少なくとも、北九州市の測定データは平成16年度まで公表されていると思いますので、準備書の作成・公表時期を考えると、もう少し新しいデータが使えたのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
それから、もう一点、水質予測についてですが、本事業実施区域の海域では、現状でCOD濃度が環境基準2ミリグラム(1リットルあたり)を超えていると記載されていますが、本事業実施後の予測結果を見ると、CODの変化が1.9ミリグラム(1リットルあたり)あるいはそれ以下になっています。現状を踏まえていないのではないか、あるいは予測シミュレーションが合っていないのではないかと思われます。それで、CODの濃度予測は不確実性を含んでいるのではないか、と思われます。したがって、事業実施後の事後調査を浮遊物質に着目して実施するということですが、浮遊物質量のみではなくCODについてもぜひ検討していただければと思います。以上でございます。
事業者
1点目のダイオキシン類の測定についてですが、現状では年1回で計画しております。費用の面もあるのですが、今後、福岡県等の意見も踏まえて検討していきたいと思います。
次に、予測に使っている測定データに関してですが、平成14年度に方法書の手続きが終了して、現況調査・準備書の作成に入りました。その後、環境影響評価の制度とは別の制度でございますが、市の大規模事業評価委員会の審査等がありまして、事業が約1年程度止まっていた経緯がございます。そのため、測定データが少し古くなってしまいました。しかしながら、平成14年度以降、本事業実施海域において大規模な埋立事業がありませんので、海岸線の形状等について大きな変化は無く、実際に水質データを比較してもそれほど大きな変化はないことから、平成14年度のデータを予測に使用しました。
事業者
3点目のCODの予測結果が1.9ミリグラム(1リットルあたり)となり環境基準を満足しているのは、現況のCOD濃度を踏まえると不適切ではないかというご指摘ですが、現在の予測値は、年平均値での結果を掲載しております。環境基準と比較する場合はCODの75%値で評価しますから、この年平均値の結果に一定の係数がかかるといいますか、75%値の方が高くなります。年平均値では、現在の測定値と比べてそれほど変化はないと理解しています。
事業者
CODを事後調査項目に加えるようご提案がありましたが、これについては、現在、市が毎月水質の測定を行っている新空港島西側のS16地点、北側のS-1地点の測定データを、事後調査として活用していくように検討します。
坂井委員
水質の予測値をCODの環境基準である2ミリグラム(1リットルあたり)以下に無理に抑えようとしているのではないかと危惧しているのと、予測値に幅があるのではないでしょうか。予測値にばらつきや誤差等がある程度入ってくるのではないかと思うのですが、そういったものは考慮されているのでしょうか。
事業者
CODについては、無理に環境基準値以下に抑えようと予測しているわけではございません。実際に、年12回毎月測定した結果を現況値に使用して予測を行っています。
また、予測値の幅、誤差につきましては、通常、分析精度等で表現される不確かさ、あまりそういった概念がないようです。もし誤差を表現するとすれば、実際の現況測定における分析精度の誤差等が表現されるのではないかと考えています。
坂井委員
ありがとうございました。
嵐谷委員
大気についてお尋ねします。建設機械の稼動による大気汚染の予測・評価の指標に、降下煤塵を使用していて、工事用車両の走行による大気汚染の予測・評価にはSPM(浮遊粒子状物質)を使用しています。人の健康影響として吸入性粉塵を考える場合、降下煤塵で評価されるのはどうかと少し危惧しております。
それから、工事用車両の走行に伴う浮遊粒子状物質の環境濃度の予測結果を見ますと、環境基準以下となっており、できる限り環境保全措置によって、濃度を低減する努力をされていると思います。これも大事な評価だと思うのですが、例えば、環境保全措置として、工事用車両の排ガス基準は何年の規制をクリアしているか等について検討されたのか、あるいは、予測の結果は十分に環境基準以下でそれほど負荷がないためこれらの検討は行っていないという結論だったのでしょうか。
また、地球温暖化が今非常に騒がれていていますが、工事の際に排出されるCO2は、全く考慮されていないのでしょうか。あるいは、この程度の工事車両台数では、大気中のCO2について計算するまでなく微々たるものだから考慮していないのでしょうか。
事業者
回答します。1点目の建設機械の稼動に伴う粉塵等の予測については、浮遊粒子状物質で評価すべきで、降下煤塵で人への健康影響を判断できないのではないかというご質問についてですが、まず、工事中の粉塵等が環境アセスメントの項目に入ったのは、環境影響評価法の主務省令で標準項目として掲げられてからが中心となっています。粉塵の評価については、土木研究所の方でどのような評価をするのか検討され、スパイクタイヤ粉塵の基準を満足した場合には統計的に浮遊粒子状物質についても影響は小さいといった解析の基に、現在は降下煤塵で評価するのが標準的なやり方となっております。工事用車両の走行に伴う浮遊粒子状物質は別途評価するような形を今とっております。
2点目の質問ですが、SPMや窒素酸化物の予測の元となる排出量データでございますが、こちらについては、基本的に得られるデータの最新のものを用いるような形をとっております。そのデータの中には、一部、何年規制の値を考慮したものもありますが、今回の環境アセスメントの中では、既存知見でできるだけ新しいものを考慮し設定したということでございまして、何年規制という部分をきちんと考慮して予測はしておりません。
以上でございます。
嵐谷委員
降下煤塵を測る場合は、月の平均として測定するわけです。1月間装置を置き、その総量になってくるわけで、基本的には日間変動が大きくなる中で、こういうようなやり方が果たして大気汚染の評価、特に浮遊粒子状物質の評価として、昔は昭和40年代は良かったのかもしれないが、最近はこのような評価で環境アセスメントを実施することは、私は好ましくないのではないかと思います。やはり日間変動のある中で正確に大気中の浮遊粒子状物質の濃度を調査・予測するべきで、降下煤塵の予測値から浮遊粒子状物質の濃度を予想するならば、初めから浮遊粒子状物質を調査・予測されたほうがよろしいのではないか。工事用車両の走行における環境アセスメントは浮遊粒子状物質で調査・予測を行っているので、これと整合性がとれていないのではないかと思います。環境省が出している大気汚染の環境基準は、降下煤塵ではなく浮遊粒子状物質であるわけです。そういう面では、先ほど申した通り、降下煤塵の月平均という1つの平均で評価するのではなく、日間変動をきちんと押さえた浮遊粒子状物質で評価されるべきだったのではないかと思っています。
それから、地球環境を考えたときに、CO2についてはこのような埋立のアセスメントでは全く関係ないと考えてよろしいのか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
事業者
今の2つ目のCO2に関する質問でございますが、今回の埋立事業において、CO2の発生要因、それは運搬車両の走行という部分ではもちろんありますけれども、その負荷は、必ずしも予測の対象とするほど大きなものとは考えておりませんので、今回の事業に関しては環境アセスメントの対象としては必要ないと考えております。
小野会長
今の降下煤塵の問題は、測定方法自体と基準値の使い方に問題がありますが、これは国の環境アセスメント制度自体に係る広い問題ではないかと思います。要はここだけの問題ではないのかもしれません。
坂井委員
降下煤塵の件ですが、評価基準のところでスパイクタイヤ粉塵の基準を利用していますが、これは東北、北海道地方でスパイクタイヤを使用したことによって、非常に粉塵問題があった特殊な時期の法律を引用していると思うのですが、北九州の環境の現状を考えてみたときに、この評価基準でよいのかということを、もう一度再考していただけないでしょうか。あまりにも数値が大きいということで、これを評価の基準としていいのかどうか。北九州市独自のアセスメントを考えた方が良いのではないかと思います。浮遊粒子状物質の問題点と合わせて、健康問題が最優先されると思いますので、考慮いただけたらと思います。
小野会長
事業者にその見解をすぐに答えさせるのは無理だと思います。むしろ、その問題は例えば国の研究所等、環境アセスメントに関する技術を研究している機関に、埋立事業を実施する場合、この問題をどう扱うか研究してもらうように言う必要があると思います。
坂井委員
少なくとも、目安、評価の基準については検討できるのではないでしょうか。例えば北九州市が測定している降下煤塵の平均値等を考慮するとか、基準作りはできると思いますが。これは少し特殊な法律を引用していると思いますので。
小野会長
基準として少し大きすぎる値については、なぜこの数値を基準に採用したのかということを事業者の方から直接説明していただければと思います。その点をよろしく。
そのほかの点でご質問、ご意見等ございませんでしょうか。
林委員
ご検討願いたい件が1つあります。環境影響評価準備書の「動物の重要な種の予測結果」の鳥類において、「埋立地の存在により生息場の一部が消滅するが、当該重要種の分布範囲は広く、埋立区域が主要な餌場や繁殖場にはなっていないことなどから、動物の重要な種への影響は極めて小さいと考えられる。」と記載されています。
この「極めて小さいと考えられる」という記載について、鳥類のうち「カンムリカイツブリ」についてはご検討を願いたいと思います。準備書の資料編には「カンムリカイツブリ:周防灘や洞海湾でも比較的多く生息する。生息環境である浅海域が埋立などにより減少しており、博多湾では激減している」というふうに書いてあり、整合がとれておりません。
北九州市周辺では、響灘、洞海湾から新門司にかけて、飛行場は別にしましても、3000ヘクタールくらいは埋立てが済んでいるのではないかと思いますが、今度の40ヘクタールが、全体と比べてこんなわずかだから影響は極めて小さい、というのは少しひっかかる気がいたします。これでよろしいかどうか、もう一度検討をお願いしたいと思います。
小野会長
分かりました。検討してご報告いただけますでしょうか。
そろそろ時間がありませんので、締めさせていただきますが、先ほど委員からご意見いただいたように、事業者自身の姿勢を問われているということをひとつお考え下さい。北九州市は210キロの海岸線を持っている。自然海岸のままで置いておけば問題ないわけです。だけど、人間の都合でどうしても公有水面を埋立て、そこに廃棄物等を捨てざるを得ない、そういう場所を造りたい。造る上については、誠にすみませんが造らせてもらいたいという姿勢はずっと持って欲しいと私は思っております。
この辺りの姿勢を文章の中に感覚として受け取れるように。例えば基準値とか、そういうふうなものは感覚を裏付けるための数値でありますので、基準値を盾にとって頑張るのではなくて、我々はこれだけのものを出しますが、基準値はこれくらいですから、ご勘弁願います、という気持ちの方が先に立てば、おそらく書き方が変わってくると思います。
そういうことで先ほどのような問題は、多分もっと良くなっていくだろうと思います。
準備書を読んでみますと、杓子定規紋切り型という言葉がぱっと頭に浮かぶくらいの文章です。工事は15年の長きに渡ります。その長い期間に順応的にことをやっていく、場合によっては方向を変えることもあります、ということまで考えていいと思います。そういうことを書けば、もっと理解しやすい総合的な評価というものが出てくるのではないと、私は会長として思っております。よろしくお願いします。
(2)自家用火力発電設備建設事業に係る環境影響評価方法書の審査について
事務局からこれまで手続きとして行われた縦覧(2名)、意見書の提出(0件)について説明があった。次に、事業者から方法書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた
早瀬委員
きっと排ガス処理等は適切に実施されると思うので、関心は二酸化炭素及び産業廃棄物にあります。この二酸化炭素及び産業廃棄物についてのアセスメントは、排出量、発生量をどのようにして努力してどれだけ負荷を小さくするかということに尽きるだろうと思います。そのような視点から調査・予測・評価をされれば良いと思うのですが、方法書の「環境への負荷の量の程度に係る調査及び予測の手法の選定」において、予測の手法として、建設工事の実施及び施設の存在・稼働に伴う廃棄物を定性的に予測すると書いてあるのですが、何を予測されるのかこの文章を読む限りではよく分からない。また、二酸化炭素に関しても、「環境影響の程度を定量的に予測することは困難である」と書きつつ、結論は「定量的に予測する」と書いてあるが、どういうことなのかよく分からない。この2点についてお答えください。
事業者:新日本製鐵株式会社
表現の方法が不適切であったのかもしれません。
廃棄物の定性的な予測というのは、廃棄物として発生するものをどのようにして減らすかという対策と、どのようにして廃棄物をリサイクルに回していくかということを明らかにしていきます。具体的にどれだけ廃棄物が発生するから、それによる環境への影響がどのくらいあるということを予測するわけではないので、定性的という記載をさせていただいております。具体的な記載内容については準備書で検討させていただければと思っております。
同様に、二酸化炭素の予測についても、現在の環境中の二酸化炭素濃度に対して、事業の実施による寄与がどれだけあるかというのは予測が困難であることから、実際には排出源からのCO2排出量がどれくらいかを予測し、それに対して、事業者として保全対策によりどれくらい削減できるかという形で定量的な予測をするということを表現したかったのですが。これについても、準備書では分かりやすく表現していきたいと考えております。
早瀬委員
準備書は、環境影響評価の手法が確定し、それに基づいて調査・予測・評価を行った後の図書です。準備書作成の際に、具体的な内容を表明するということですが、調査・予測・評価を行う前のこの方法書の段階でもう少し明確に記述する必要性があると思います。
緒方委員
建設予定地の現状はどうなっているのかという記載がありません。現状の土地の状態や土地利用について記載すべきと思います。
事業者:新日本製鐵株式会社
現状は、端的に申しますと、更地に近い状況でございまして、若干、過去に使用していた重油タンクの名残等がございます。それは本事業とは特に関係なく、すでに撤去する予定になっておりまして、本年度中には完全に更地になります。
坂井委員
北九州市では、地球温暖化の問題にこれから本格的に取り組んで行くと聞いたのですが、これまでの液化天然ガスから石炭に燃料を変えるということで、CO2の排出量が相当増えるのではないかと思います。CO2の排出量を減らすというのであれば、CO2を回収する技術もかなり発達していますし、石炭火発でもそういった技術を実験的にやっているところもありますから、積極的にそういった先進的な技術も検討されてはいかがでしょうか。
事業者:新日本製鐵株式会社
石炭の貯留と申しますか、排ガスからCO2を回収して、それを例えば海底に埋める等の研究が進められているところでございますが、現段階では商用ベースではなかなか実用化されていない状況でございまして、将来、商用ベースで技術が確立されれば、それも選択肢の一つとして検討させていただければと思います。
また、CO2に関して若干補足説明をさせていただきますが、当然、今回の発電設備によりCO2は増加いたします。日本は1990年に対して2012年までにCO2排出量を6%削減する目標を出していますが、一方、弊社は鉄鋼連盟の自主行動計画に基づいて、1990年に対して2012年までにCO2を10%削減するということを目標とさせていただいておりまして、当然、八幡製鐵所も新日本製鐵の削減目標の下で努力をさせていただいております。今のところ今回の発電設備の設置で増加するCO2排出量は、八幡製鐵所としては、省エネ対策で2012年までに増加分を吸収できるようになってございます。
小野委員
ありがとうございます。時間でございますので、特にご意見がなければ、これで終わりたいと思います。
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環境局環境監視部環境監視課
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