平成19年1月19日(金曜日)14時~15時30分
第16回議事要旨(平成19年1月19日開催)
1 日時
2 場所
小倉リーセントホテル 2階「福智の間」
3 出席者
会長
小野委員
委員
嵐谷委員 加藤委員 古賀委員 坂井委員 野上委員 早瀬委員
林委員 藤井委員 森下委員 山元委員 渡辺委員
事業者
西小倉駅前市街地再開発準備組合
事務局
環境局環境監視部環境保全課 (環境監視部長他2名)
4 議題
西小倉駅前第一地区高層建築物建設事業に係る環境影響評価準備書の審査
5 議事要旨
審議に先立ち、「西小倉駅前第一地区高層建築物建設事業に係る環境影響評価準備書」の審査について、環境影響評価審査会に諮問を行った。
事務局からこれまで手続きとして行われた縦覧(1名)及び意見書の提出(0件)の状況について報告を行った。次に、事業者から準備書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた。
小野会長
委員の皆様方でご質問、ご意見等ございましたらご自由にしばらくの間承りたいと思います。宜しくお願いいたします。
渡辺委員
騒音のことでお伺いします。建設工事における建設機械の騒音の予測結果が書かれていますが、この時期は、工事開始後3ヵ月目の工事の最盛期、山留工事及び土工事と、要するに地上の工事ですよね。その時期に敷地内で複数色々な建設機械が稼働した場合に、どういう騒音の最大値が生じるかということを計算したと思うのですが、一つはよく準備書を読んでみると、仮囲いがあって、その仮囲いの中で建設機械が動いて、その仮囲いが防音壁の役割を果たしての予測結果であろうということは解るのですけど、この結果の表だけでは読む側が解りにくいと思います。環境保全措置で仮囲いを致しますということが明記されているから、準備書をじっくり読むと解るのですが、例えば「仮囲い後の予測結果」等、条件を明記されたほうがよいのではないかと思います。それから仮囲いの高さも、わかり易さという意味で明記したほうがよいと思います。
小野会長
ありがとうございました。事業者はそれでよろしいですか。了解できますね。はい、そのように処置してください。
渡辺委員
もう一点よろしいでしょうか。
仮囲いとは実際は何でしょうか。例えば防音シートとか、木製とか色々なものがあると思いますが、騒音の予測で大事なのはご承知のように、どれくらいの透過損失があるか、十分遮音効果があるかどうかというのがポイントになります。敷地境界で78デシベルという予測値と環境保全目標を比較していますが、この予測値は透過損失分を引いた値じゃないかと思います。仮囲いとしてどういう材料を想定されて、透過損失をどのくらい見込んでいるのかというのをお聞きしたいと思います。
事業者
お答えします。仮囲いとしまして高さは3メートル、厚さが0.7ミリメートルの鋼板を想定しております。スチールです。それは出入り口も含めて、敷地境界付近を取り囲むような形で設置する予定です。ちなみに透過損失については、オクターブバンド500ヘルツで20デシベルの透過損失を使用しています。
もう一点補足しますと、最近の建設会社の工事においては、環境配慮の規格であるISO14000を取得している会社が多く、最近の傾向からすると仮囲いの設置に関しては、特に建設会社がISO14000の中で対応しているという流れが生じております。今回の建設会社も当然ISO14000を取得している会社が予定されておりますので、当然のことながらそのような対策を計画、実施していくということになると思います。
渡辺委員
もう一点質問します。3メートルという高い遮音壁によって、地上1.2メートルあたりは十分騒音が小さくなるということは解るのですが、この周辺は商業地域なので杞憂かもしれませんが、問題は、工事が160メートルというもっと高いところまでいきますよね。高さが3メートルを超えて160メートルまで行く間にクレーン等で床を打っていくと思うのですが、この高さの騒音は、遮音壁による透過損失がなく、距離減衰だけになります。機械の音が小さくても、距離減衰だけになるので、遮音壁がない高さでは騒音が周囲に伝わっていく、そのような問題は基本的にないと考えてよいのでしょうか。
事業者
お答えします。現在建設工事の内容について詳細を検討している最中で、申し上げられる範囲で申し上げますと、現在検討している建物の構造はコンクリートで、PC工法を用いるように検討しています。床のコンクリートの一部を、現場で打設する部分があるかもしれませんが、基本的には工場で製作したコンクリート部材を現場に持ち込み、それを組み立てていく工法を検討しております。従って、仮囲いの上に出た部分の工事に関しては、建物の効率的な建設ということを考えた上でも、PC工法を用い、出来る限り音が外に出ない、でにくいやり方をさせていただこうというのが今の基本的な考え方になっております。
小野会長
はい、ありがとうございました。騒音に関するご質問をいただきました。その他の点をどうぞ。
野上委員
準備書に「ヒートアイランド現象の緩和のための対策」が記載されていますが、国土交通省が示している方法に従って試算を試みた結果2.0でランクA「大変良い」となったということが図書の最初の「事業の内容」の部分に書かれているだけです。
1点目として、この結果がどのような条件、計算によって算出されたのかを具体的に環境影響評価の結果として書いて頂きたいという点です。
2点目として、Aランク2.0と、これは専門家が見ればわかるのかもしれませんが、普通の人が見ればこれはいったいどのようなレベルなのか分かりません。実際の対策としては、緑化計画やヒートアイランド対策なので、例えばこのような対策をしなかった時に比べてどれくらい温度が下がるか等、きちんとその対策の効果を示していただきたいです。
事業者
お答えします。1点目のCASBEE(キャスビー)による評価ですが、これは、計画の段階から建物の環境性能評価をできるようなシステムとして、国土交通省が産学協同で開発したものです。従って、今ご指摘のあったような特に温度に着目して定量的に予測、評価をした結果ではございません。この点に関しては、実は市とも相当議論をさせていただいたのですが、本建築物が建設されることによって、ヒートアイランドとして周辺の気温がどのくらい上昇するか、定量的な予測を行う手法が確立されていないのが現状です。CASBEEの中でも、住宅施設がヒートアイランドを起こすか起こさないかという点については、非常に評価が難しいことが記載されております。
結果的には、CASBEEの手法を用いた評価結果が、いわゆる環境影響評価に相当するかという判断が難しかったため、準備書の「事業内容」の部分に記載させていただいた次第です。この点については、委員のご意見を伺わせていただければと思います。
野上委員
純粋にヒートアイランド現象の緩和に対してどこまで効果があるのか定量的な予測を行うことはおっしゃるとおり難しいと思います。一方で、事業計画に記載されているとおり、今回の計画は歩道部分を広くし、更に樹木も植えて日陰を作る、また、透水性の舗装をして保水効果も得るという計画になっていますから、ヒートアイランドに対して建物全体の効果ではなくて、例えば少なくとも歩行者空間に対してどの程度の緩和効果があるのかといった予測をある程度書いた方がよいと思います。環境影響評価の結果としてどのように書くかという問題があるとしても、簡易的なモデルになるかもしれませんが、これくらいのことが見込まれそうだということは記載すべきと思います。歩行者に配慮した環境配慮の設計をしているので、これぐらいの効果が見込まれるという点をアピールする、良い点もきちんと評価書の中に書くことが大事だと思いますので、ぜひお願いします。
小野会長
それは最終的な評価書に対する要望のようにも受取れますので、そのように書いてください。
事業者
検討させていただきます。
野上委員
もう一点、先ほどの意見に関連して最後の評価書への要望ですが、今回は背の高い木をたくさん植えることになっていて、雨水の排水先も下水道に放流するというのがもちろん基本だと思うのですが、一方でそれだけたくさん樹木が植えられるので、樹木への散水をどうするのか。透水性の舗装だけでいいのか、あるいはある程度雨水の一部を溜めてきちんと染み込ませるようにするのか、結構ドイツ等々ではある割合は染み込ませなさいということがやられていますので、実際に建築物が出来上がった後に樹木をどう維持していくのかということも最後に盛り込んでもらえたらと思うのですが。
事業者
計画の中で実はそういう検討もしておりますが、正直に申し上げると、敷地面積が約3,000平方メートルを切るような非常に小さい敷地ですから、ここに降ってくる雨水量をある程度予想はしているのですが、溜めて使える程になるか非常に微妙なところで、実は計画のなかに入れられないかもしれないというのが正直なところでございます。
今の点に関しては、今後の計画の中でもう少し検討をさせていただきたいと思っておりますので、現状では評価書の中に記載するのは少し難しいかなというふうに考えております。
小野会長
はい、ちなみに質問しますが、どれくらいの高さの木を、どんな樹種を植えるんですか。
事業者
樹種に関しては現在選定中です。これが一番管理上難しいところがございまして、落葉の処理等の点も配慮しながら考えなければいけないというところで、現在その検討を進めている状態です。
小野会長
常緑ですか。
事業者
出来れば常緑と考えておりますが、ただ常緑の場合は、虫や肥料等の管理面で全く違った部分で問題もあります。この点に関しても、専門の技術者とともに樹種も含めてこれから検討していこうと考えています。ただし、今回の環境影響評価の中で、風害、日影の問題がありますので、こういった点からも出来るだけ小木を植えていくことを計画に盛り込んでいき、これを逆に使命として、事業者が対応していく考えです。
また、高さの質問がございましたので申し上げておきますと、だいたい4メートルから6メートルくらいのなかの高さで何か植えられるものがないかというのをまず一つ最善として考えています。あとは当然育っていく過程も考えながら3メートル程度、あとは低いところで1メートル程度くらいの低木、このあたりのものを織り交ぜながら植栽計画を進めている最中でございます。
小野会長
はい、わかりました。あまり日当たりの良いところではありませんから、樹種は相当注意して選定する必要があると思います。それから常緑樹は落葉しないと思っているでしょうが、そうではなく、時期になると一斉に落葉します。そういうことは全部管理者が責任を持つわけですから。その辺りを考えておくように。他にございますか。
嵐谷委員
大気中の浮遊粒子状物質濃度の1時間値の予測結果が0.0075ミリグラム(1立方メートル当たり)と示されているが、これはどういう計算でなされたのか。なお、1時間値が一桁ちがい、0.075ではないでしょうか。もし正しければいいのですが、数値が誤っていれば、その他の数値の信憑性も疑われるので、慎重にして欲しい。
事業者
準備書に窒素酸化物及び浮遊粒子状物質の短期濃度と長期濃度の予測に係る排出量を記載しております。長期の場合は年あたり何キログラム、短期の場合は月あたり何キログラム排出されるかを、工事の施行計画時点で整理しております。これは建設機械の稼働台数から算出しておりまして、短期濃度の予測に係る排出量は稼働台数が最大となる3ヶ月目を参照して計算しております。
短期濃度に係る窒素酸化物については923キログラム(1ヶ月あたり)、粒子状物質については38キログラム(1ヶ月あたり)と計算しております。窒素酸化物につきましては二酸化窒素への変換過程がございますので、この923キログラムという量がでたとしても変換過程において数分の1になり、このオーダーで比べて、浮遊粒子状物質の予測結果の方が二酸化窒素に比べて10分の1くらいに計算されていると思います。
嵐谷委員
建設機械が稼動した時に1時間の大気中濃度に対する負荷を考えると、粉塵に関しては0.0075ミリグラム(1立方メートルあたり)、NO2に関しては0.07ppmと理解してよろしいのですね。
事業者
あくまでも浮遊粒子状物質としては建設機械の排気管から排出される分だけで、地面からの巻上げ等は入っておりません。
嵐谷委員
わかりました。NO2濃度は比較的高く、粉塵濃度は小さいので、ちょっとどうかという気はしないでもないのですけど。シミュレーションの専門家が計算しているので信用するのですが、ちょっといいのかなという気がします。
小野会長
数値ミスが起きると相当影響しますから、十分慎重に計算し直すなり、条件を変えてみるなりして適切に検証しておいてください。
事業者
はい。わかりました。
古賀委員
給排水の設備計画の中で、生活廃水の処理、排水先は下水道で結構ですが、各戸に最近の住宅はディスポーザー、生ごみの粉砕機を使って生ごみを出さないようし、そして設備の中に沈殿槽をつけるようなところが結構多いと思うのですが、ここではそういうことは考えられてないですか。
事業者
お答えします。現在、事業主も決まって計画の精査に入っておりますが、ディスポーザー設置の方向です。これは理由がございまして、高層建築物に住んでいる方が、ごみを出す際には、そのごみを持って1階まで降りることになります。当然のことながら大勢の人がごみを持って降りますのでエレベーターの中の衛生の問題、またそのごみの排出量の問題があります。これを極力抑えたいというふうに考えています。事業者側としてはディスポーザー設置を前提として今計画を進めています。
加藤委員
景観のことでお伺いしたいのですが、JR西小倉駅で降りてアクセスするというのは結構多いケースではないかと思うのですが、そういうことを考えると、西小倉駅からの景観予測も必要ではないかという気がします。それからもう一つは、先程のヒートアイランドの件と景観の件からですけれども、外壁の材料も色々と抽象的には書いてあるのですけども、実際にはやはりPC板か何かでしょうか。どういうものを想定されているのかお伺いしたいと思います。
事業者
まず、西小倉駅前からの景観予測については検討させていただきます。
もう一点、ヒートアイランド対策のための外壁材ですが、実は現時点で検討しております材料が2種類ございます。1つはタイルでございます。これは特に地元企業が出されておりますいわゆる表面に親水性を持ったタイルというのがございまして、このタイルを用いることによって多少の入熱量を抑えることができるということを考えています。この点に関しては私共のほうで企業に依頼をして、そういう検討ができないかお願いをさせてもらっている最中でございます。もう一点が塗装材でございます。これもいわゆる建物に入る熱量を落とす為の高反射材料というものの一部で、最近、特に断熱塗料と呼ばれている塗料がございまして、特に日射熱を高反射させることによって建物に入る熱を落とすような塗料が開発されております。先ほど野上委員からもお話ありましたCASBEEの計算上は、これを約30%程度使う条件で計算しております。ただし、これら両方の材料は基本的にはコストが高い材料でございますので、出来る限り使っていく方向で検討はしておりますが、事業コストの面で上手くバランスのとれるところで検討を進めております。
小野会長
はい、有難うございました。他にございますか。
割合に気を使って、準備書を書いていただいているのでご満足いただける部分が多いかと思うのですが、私が気にするのは車両の出入時間の分散化です。具体的に何時から何時までこれぐらいの車が入ってくるということを明らかにする必要があります。実際に行ってみると車両が大量に来ていたということがありますので、その点は実施上重々注意してほしいと思います。
次は評価書が出来てきますので、その時には今まで注意した点を十分考慮に入れて作成していただくことをお願いします。
他にご質問ございませんでしょうか。
それでは、これで「西小倉駅前第一地区高層建築物建設事業に係る環境影響評価準備書」の審査を終了いたします。
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