アスベスト(石綿)は天然にできた極めて細い繊維状の鉱物で、安価な上、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など様々な機能があることから、多くが建築材料(建材)として使われてきました。
しかし、アスベストを吸入することで、肺がん、悪性中皮腫、石綿肺といった健康被害を引き起こすため、現在、日本ではアスベストの製造、使用等が禁止されていますが、過去に使用されたものの多くは建築物等に残存しています。
DIYで住宅等の改造・補修等を行う際はアスベストに注意してください
アスベスト(石綿)とは
身近な建物にあるアスベスト
アスベストは、その性能から一般の住宅にも使われている場合があります。例えば、屋根や外装材のスレート、内装材の石こうボード、床材のビニル床タイル等です。
番号 | 用途 | 建材 |
---|---|---|
1 | 外装材(外壁、軒天) | サイディング |
2 | 煙突材 | セメント円筒 |
3 | 屋根材、外装材(外壁) | 住宅屋根用化粧スレート ルーフィング |
4 |
内装材(壁、天井) |
けい酸カルシウム板第1種 |
5 | 内装材(壁、天井) 床材 | 石こうボード |
6 | 内装材(壁紙) | 壁紙 |
7 | 床材 | ビニル床タイル ビニル床シート |
参考 目で見るアスベスト建材第2版(国土交通省 平成20年3月)
事前調査
(1)事前調査の必要性
アスベストを飛散させないためには、適切な事前調査を実施し、アスベスト含有建材の使用箇所を確実に把握することが重要です。なお、以下のような場合は、事前調査が不要です。
【事前調査が不要な場合】
- あきらかにアスベストが含まれていない材料(木材、金属、石、ガラス等のみでできたもの)、アスベストを含まないことがあきらかなもの(畳、電球等)の除去、取り外し等で、周囲の材料を損傷させるおそれのない作業
- 極めて軽微な損傷しかおよぼさない作業(釘を打って固定する、釘を抜く等)
- 既存の材料は除去せずに新たな材料を追加(既存の塗装の上から新たな塗装を施す等)
(2)事前調査の方法
事前調査は、原則として書面調査及び現地での目視調査を実施します。なお、アスベストの含有が不明な建材が見つかった場合は、分析業者に分析を依頼するか、アスベストが含有されているとみなして取り扱います。
(ア)設計図書等の資料による確認
対象となる建物の構造や施工日、使用されている建材の種類を設計図面等から確認します。建材の製品名、年代が判明すれば、建材メーカーのホームページや次のデータベース等でアスベスト含有の有無を調べることができます。
なお、アスベスト含有建材は、平成18年9月1日以降、使用禁止となったため、これ以降に建設された建物については、原則としてアスベストが使用されていることはありません。
(イ)目視による確認
現地にて、施工範囲にある建材を直接目視で確認します。設計図書と異なる点がないか、吹付材や保温材、成形板の有無や使用されている建材の種類、製品名等を調べます。
【参考 aマーク】
建材メーカーでは、アスベスト含有建材であることを示すアルファベットの「a」の字をアスベスト成形板の見やすい箇所に表示し、識別を容易にしています。ただし、「a」マークは、企業が注意喚起のために自主的に付けたものであり、「a」マークが表示されていなくてもアスベストを含有している場合があります。
(3)アスベスト含有の有無がわからない場合
施工範囲にアスベストの含有が不明な建材が見つかった場合は、分析業者にアスベスト分析を依頼するか、アスベストが含まれているもの(みなし)として取り扱う必要があります。
また、建材の種類により対処方法が異なるので、吹付材等、飛散性が高いアスベスト含有建材が見つかった場合や建材の種類がよくわからない場合は、「建築物石綿含有調査者(注)」等、専門知識をもった調査者にご相談ください。
(注)建築物に使用されている石綿含有建材の調査に関する専門家.建築物石綿含有建材調査者講習を修了した者.
作業基準
- 原則として、建材の切断、破砕等をすることなく、原形のまま取り外す。
- 建材を原形のまま扱うことが困難な場合は、対象の建材を水や薬液で湿潤化し、必要に応じてビニールシートで養生する等の飛散防止対策を講じる。
- 防じんマスク等の保護具を着用し、粉じんを吸引しないようにする。
大気汚染防止法による規制
解体等工事に伴うアスベストの飛散防止を徹底するため、大気汚染防止法(以下、法)、同法施行規則(以下、規則)の一部が改正され、令和3年4月1日より施行されました。
【DIY作業に関係する項目】
- 事前調査の実施[法第18条の15第1項 規則第16条の5]
設計図書等の書面による調査及び現地での目視調査により、アスベスト含有建材の使用箇所、アスベスト含有の有無を確認する。
- 事前調査結果の記録の作成、保存[法第18条の15第4項 規則第16条の8]
事前調査を行った場合は、事前調査結果の記録を作成し、記録の写しを作業現場に備え付け、作業終了後も3年間保存しなければならない。個人が行う軽微な作業の場合、簡易な方法で事前調査結果の作成、保存ができます(工事着手前の施工箇所、作業の状況を撮影した写真を設計図書等の書面とともに保存)。
- 作業計画の作成[法第18条の14 規則第16条の4第1項]
事前調査の結果を踏まえ、作業の方法や作業工程等について記した作業計画を作成すること。
- 事前調査結果の掲示[法第18条の15第5項 規則第16条の9、10]
事前調査結果及び作業内容等について、近隣住民や作業者が見やすい場所に掲示しなければならない。
- 作業基準の遵守[法第18条の20 規則第16条の4]
作業にあたっては、環境省令で定められた作業基準(特定粉じん排出等作業に係る規制基準)を遵守しなければならない。
- 作業記録の作成、保存[法第18条の23第2項 規則第16条の17]
作業完了後、特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、工事が終了してから3年間保存するものとする。個人が行う軽微な作業では、簡易な方法で作業記録の作成、保存ができます(作業状況を撮影した写真を設計図書等の書面とともに保存)。
大気汚染防止法による規制の詳細については、下記のホームページをご確認ください。
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