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第48回北九州市環境影響評価審査会議事要旨(令和2年10月22日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000156802

1 日時

令和2年10月22日(木曜日)14時00分-16時00分

2 場所

西日本総合展示場 新館 302-304会議室

3 出席者

委員
 伊藤委員、岩松委員、上田委員、大石委員、岡本委員、河野委員、楠田会長、清野委員、武石委員、豊貞委員、中西委員、三笠委員、村瀬委員

事業者
 ひびきウインドエナジー株式会社

事務局
 
環境局環境監視部環境監視課(環境監視部長他5名)

4 議題

「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る環境影響評価準備書」の審査

5 議事要旨

(楠田会長)

どうもご説明ありがとうございました。それでは、審議に入らせていただきます。今回は準備書段階の審査になります。ご承知のように、環境アセスメントは事業者が4段階の図書を作成していくことになりまして、今日の分が第3段階目となります。これもご承知のとおりなのですが、方法書におきましては、予測の項目、手法が定められまして、その詳細な説明は今回のところとなっております。今回の部分のところにつきまして、ご審議をいただきたいと思います。

それでは、審議に入る前に、本日欠席の藍川委員からご意見を頂戴しておりますので、事務局から紹介いただけますでしょうか。

(事務局)

それでは、藍川委員からのご意見の概要をご紹介いたします。意見の詳細につきましては、お手元の資料1-3をご確認ください。藍川委員から、工事用資材等の輸送について、2点ご意見を頂いております。1点目として、使用する機材・資材をどのように基地港へ輸送・運搬するのか。2点目として、仮に陸上ルートで輸送する場合、ルート・車両・規模・交通量の想定、そのことによる環境への影響負荷についての考え方。以上、2点でございます。

(楠田会長)

それでは、事業者のほうから回答をお願いいたします。

(事業者)

ご説明いたします。藍川委員からの事前のご質問につきまして、風力発電機等の大部分の大型部品につきましては、中国・ヨーロッパからの海上輸送になります。一部はこちらの図でお示ししたとおり、陸上の輸送を計画しております。北九州方面からのルートと、福岡方面からのルートの2ルートがございます。仮に、北九州方面からのルートを使用した場合、交通量は、現在の交通量から最大0.6パーセント増加、福岡方面からのルートにつきましては、最大で0.7パーセント増加すると計算しております。その増加はわずかでありまして、大気質・騒音・振動の影響は極めて小さいと考えております。さらに両方のルートを使えば、交通量が分散されるため、大気質・騒音・振動の影響もさらに小さくなると考えております。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、審議に入らせていただきます。大石委員から、既にご意見が提出されておりますので、どうぞ、大石委員、お願いいたします。

(大石委員)

3点ございます。まずは、こういう被害といいますか、評価をするときに、やはり科学的見地と、人がどう感じるかという感覚の間には、必ずしも科学的見地が配慮されない場合、一致しない場合が多々あるかと思います。ここは、ローター径の大体10倍以上ということでいいと思うのですけれども、今度初めてこの配置が示されたわけです。かなり大型化になっていると。それで、シャドーフリッカーにしても低周波音にしても、値からするとほぼ影響はないだろうということですけれども、やはり、予防原則の立場に立って、今後評価されますけれども、その今後の評価のところで、数値的にはそれは評価される範囲だと思いますけれども、今後やはり住民と配慮しなければならない区域の方たちと、一番問題は予防原則ということが大事だろうと思いますので、今後、バードストライクだけではなく、そういう調査も最後に入れていただけないかということ。

それと、今回25基の配置というのが決まったのですけれども、海流を考えますと、流れの方向、下流というとおかしいのですけれども、そちらのほうに影響が出る可能性があると。濁度2ミリグラムパーリットルは超えていないというのと、風車の建設地と藻場の間に数十メートルの間隔が空けられていて、そこで一応軽減化する方策が立てられているのですけれども、やはり流速には負ける可能性がある。それで、同じ年平均の風速が得られる所は、A、B、C、Dのエリアの中でほかにもあると思うのです。なぜ、西から東へ流れる潮流があるのに、20-30メートルあえて藻場よりも西側に設置されたのかというのが第2番です。

3番目は、それに関連して潮流というのが、ここではいろいろな観点から、類似の洋上風力発電で影響がないとか、間隔を空けて、500メートル以上空けているのでOKということですけれども、ただでさえ狭いこの響灘沖の中で、複合的にどのように影響するかというのは検討されたのかどうかということをお聞きしたかった。以上、3点です。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、事業者のほうから回答をお願いいたします。

(事業者)

先生の最初のご質問について、お答えさせていただきます。今回、風車の配置を決めまして、風車の高さを踏まえて、まず影の計算でございますが、先ほどスライドの最後のほうでご説明させていただいたように、影については住宅地のほうに、今回の風車の高さでもかからないという結果が出ております。

あと低周波音につきましては、先生ご指摘のように、国のガイドライン等ではこういう数字はございますが、それぞれ住民の皆様、感じ方が違う。それから、ご不安に思われているというところもございますので、まず建設前に、これまで私どもも住民の方々に対するご説明会を開催してまいりましたが、やはり低周波音に対するご不安をお持ちの住民の方々がいらっしゃるので、そこはきちんと対話をしたうえで、ご説明していきたいと思います。やはり、100デシベルに対して、予測の数値としてはあまり大きくない数字が出ているのですが、やはり運転を開始したあと、住民の方からご意見が出れば、それに対して事業者としてきちんとご対応して、原因等も含めて、事業者の責任できちんと対応してまいりたいと。その際に、必要があれば、騒音調査等もしてご納得がいただけるように、対応してまいりたいと考えております。

(事業者)

ご意見を頂いた、2番目の点でございます。藻場の西側にどうして設置するのかというご質問でございます。繰り返しにはなってしまいますけれども、こちらのスライドが現地の流速、流況を考慮した予測結果となっております。

もともと今回の工法では、水の濁りが発生しにくいような工法となっておりまして、それを踏まえて予測を行ったところ、この2ミリグラムパーリットルという水産用水基準を大きく下回るような予測結果が得られていますので、藻場等で影響が及ぶ可能性は非常に小さいと考えております。さらに必要に応じまして、汚濁防止対策を行うことで、影響がさらに低減できるのではないかと考えております。繰り返しになってしまいますけれども、そのように考えてございます。

続きまして、3番の点についてですが、集合設置につきまして、ご意見を頂きました。集合設置が潮流に与える影響につきまして、国内外の先行事例を踏まえて検討いたしました。こちらに、事例1、事例2と書かせております。類似の洋上風力発電事業の潮流マップシミュレーション結果によりますと、流速の変化が最大で毎秒0.8センチメートルでありまして、その広がりというものが風力発電機から100メートル以内で収まっています。本事業の風車の配置では、風車間におきまして、800メートルの距離が確保されております。また、本事業に比べて改変面積の大きい響灘エリアの埋立工事におきましても、潮流への影響は小さいと評価されておりますので、複合的な影響が生じる可能性は小さいかなと考えています。

参考にしたものにつきましては、事業規模、基数、水深地形、地盤、基礎につきまして類似している所と、基礎につきましてはジャケット式と重力式で違う所はあるのですけれども、本事業におきましても潮流への影響は小さく、複合的な影響が生じる可能性は小さいと考えております。

(楠田会長)

ありがとうございます。大石委員、何かありますか。よろしいですか。

それでは、大石委員の追加の質問がございませんので・・・

(清野委員)

先ほどのスライドについてコメントよろしいですか。

(楠田会長)

清野委員、お願いします。

(清野委員)

今ご説明いただいたスライドで、お会いした時も話をしたと思うのですが、デンマークのバルト海や黒海でも、地形とか海底の条件と、今回、海峡に近いとか周辺に山があったりと、わりと複雑な地形でも比較されているのですけれども、今日のご説明の内容を伺って、やはり与条件というか、その比較の土台についてクリティーク(検討)が十分ではないのではないかと思うのです。

それで、全く同じ条件で比較することはできないのですけれども、他もそうですが、海外の洋上風力で、デンマークとかそういう所の先行事例は、もちろん、かなり技術的にはいろいろな分野でされているのですけれども、それを適用するときも、この海域の潮流とか地形とか、生態系の条件と比較の考え方というのをもう少し整理していただいたほうがいいのかなと思っております。

例えば、このシミュレーションを見せていただいたとき、福岡でいうと海の中道の沖にあるような、長い砂浜という所があったり、やはり条件が違うので、そこに対するご認識の説明を、少し付け加えていただきたいと思います。

(楠田会長)

事業者側から、何か回答ございますか。

(事業者)

ご指摘、ありがとうございます。今回の潮流のシミュレーションにつきましては、こちらに記載させていただいておりますとおり、水深は同程度で、海底の地形につきましても、いずれも概ね平たん地形と考えております。地盤につきましても、いずれも砂の地盤がメインになっておりまして、その辺りはよく似た条件と考えております。

基礎につきましても、ジャケット式と重力式ということで、異なるところがございますけれども、概ねよく似た条件で比較できていると判断しております。

(清野委員)

なぜ私がそこにこだわっているかというと、今後環境保全措置などを具体的に展開していくときに、そういった海底地形だとか、陸上の地形だとかについて細やかな目線というのがないと、類似といったときになかなか効果的にできないのではないかと思うのです。その入り口のところで、事業者さんがそういった地理的な認識とかシミュレーションに対する考え方というのを、この審査会である程度すり合わせておいたほうがいいかなと思っています。

もちろん、一つの言い方としてはありがちな説明だと思うのですけれども、そこのリアリティがきちんと認識されているかどうかというのが、ほかの調査は大丈夫かとか、対応していただけるのかとか、その辺は事業者さんの技術力の信頼性と関わるので、大変申し訳ないのですけれども、そこを、今(スライドで)表示されていますけれども、私が図面を見せていただいたときにコメントを差し上げたと思います。以上です。

(楠田会長)

事業者側から、追加はございませんね。

それでは、委員の皆様方からご意見をお願いいたします。

(河野委員)

今日、見せていただきましたデータの中で、藻類の生育関係に関する光の光量子計を使ったデータがあります。20メートルで6.5パーセントあって、そこから計算するとどのくらいの水位まで光が届くか、深さまで光が届くというようなデータですが、光量子計の波長特性が分かりましたら、教えていただきたいです。それで、波長特性で気になるのは、例えば今回、光量子計を使って水深別の光の到達度を見た理由の1つは、例えば、工事期間中における濁度の影響があるのか、ないのかというのを見る、もともとの基礎データがほしいということもあったと思います。ですので、まとめていただいた減衰度の消散係数が出ましたね。それが、今回シミュレーションで出していただいた濁度が、例えば0.003ミリグラムパーリットルくらいでしたら、工事を行った所の17メートルくらいまで広がるというデータでした。そういう時に、そのような濁度がある、上昇したときに、消散係数がかなり変わってきます。そうすると、1パーセントの光が確保できる水深は33メートルですよということにはなりませんよね。

ですから、そういう影響で、そういう期間がある程度長い時間続くと、33メートルにあった藻類というのは生息できなくなる可能性もあるということで、せっかく作っていただいたデータ、工事期間中の濁度に関しての影響を、今後計算に入れていくご予定があるかどうかの確認がしたいのが1つです。

あと、波長特性を聞きましたのは、浅い所にいる藻類は青い光も赤い光も使うのです。なので、濁度が上昇しても赤い光が使えるので強いのです。ですけれども、深い所にいる藻類は、主に青い光しか使っていません。青い光は、ちょっとの濁度の上昇で減衰が大きいのです。ですから、光量子総量は400-700ナノメートルの全部の中の歩留まり率を見ているのであれば、多分青をきちんと見ているかもしれませんけれども、どのくらい、例えば水深で濁度が上がったときにどのスペクトルがということも、今回底質の組成も分かりましたので、それでモデル実験みたいなことをやると、どの光がどのくらい減衰するということも、簡単な実験、または計算で出るのではないかという気がしますので、そこもやっていただきたい、今後見ていただきたいと思って確認しました。

あと、この光に関してもう1点だけ。1パーセントの光が確保できればというのは、水面と比較して相対的に1パーセントですけれども、今回、例えば区域で、A区域ですと、かなりの風車が密集します。そうすると、その地域の水面が日影になる時間というのが考えられます。そのときに、1日あたり光の総量が減るのか減らないのか。影になる時間が少なければ影響がないでしょうし、あるのでしたら、やはり光合成に必要な総量が現状よりも下がるのか下がらないのか。下がるとしたら、どの程度かという計算も、今回の評価の手法の範囲で、検討は可能かなと思いますので、その辺のご意見を頂ければと思います。

(事業者)

ご意見のほう、ありがとうございます。まず、今ご意見を頂いた中の波長特性のほうでございますけれども、こちらの詳細のほうは、もう少し時間を頂きたいと思います。その上で、今おっしゃられた、河野先生から頂いた予測というものは、実施は可能かなと思っております。準備書の段階では、あくまでもそこまで踏み込んだ予測をしていないのは、やはり藻場を基本的には回避したというところを、やはり今回重きを置いて計測させていただいたところでございます。当然、今、先生がおっしゃられたようなところを、さらに踏み込んで藻場に対する、あるいは藻類に対する影響が低減できているというところを、もう少しお示しができたらと思います。頂いたご意見につきましては、参考にさせていただいて、評価書に向けてそういう評価をしていきたいと思っております。

(河野委員)

よろしくお願いいたします。

(楠田会長)

ぜひ、評価書のほうへの記載をお願いいたします。

それでは、次のご発言を頂戴いたします。

(村瀬委員)

藻場の話が出ましたので、スライドの83ページに藻場の分布と風力発電機の位置が示されております。これは、新たに藻場の分布調査をされて藻場を避けながら風力発電機の位置を決めたと理解していますが、ここから海底ケーブルで送電するわけですよね。それの資料がないなと思っていろいろ探していましたら、今日、補足説明資料を見ましたら、補足説明資料の21ページに同じ図面で、水色でケーブルルートということで示されています。

このケーブルルートについて質問です。Aエリア、Bエリア、Cエリア、Dエリアのそれぞれの中が、詳細に藻場分布を調べられていて、例えばAとBの間とか、AとCの間では、ケーブルルートを示されていますが、藻場を回避しながらこういうルートを想定されたかどうかというのをお聞きしたいと思います。

(楠田会長)

それでは、事業者側、お願いいたします。

(事業者)

ご指摘ありがとうございます。補足説明資料の22ページの図で、ここの中でオレンジ色の線で囲んだ部分、AとBの間のケーブルルートの部分も含めて、オレンジ色の範囲で示させていただいた部分が、今回現地調査のほうで藻場の分布を確認させていただいたところでございます。

そういう意味で、CとDの間、AからCの間、航路を横断する部分、この範囲については藻場の調査をしておりません。調査範囲の藻場の分布の結果を踏まえて、ここについては藻場が存在しないものであろうという前提で、今回のケーブルのルートを引かせていただいております。

(村瀬委員)

そのCとDの間は調査されていないけれども、ケーブルルートを引いたという根拠としては、そこの底質が、例えば砂地であるとか、海藻が生育するには水深が深すぎるとか、どういった理由が考えられますか。

(事業者)

水深につきましては、この図面に等深線を入れております。水深的には、20メートル以下の部分がございますので、藻場が生育する可能性もある場所かと思います。今、先生がおっしゃられた底質の部分が主な理由でございます。

(事業者)

補足をさせていただきますと、Cエリアにつきましては、もともと環境省の既存資料の藻場の分布図でいくと、Cエリアの南のほうまで広がっているように、既存資料ではデータが得られていたのですけれども、今回、Cエリアをしっかり調査したところ、この南側に向けては、ほとんど藻場を含めた海藻類は見られなかった。加えて、Dエリアについては、もうほとんどそういうものはなかったというところも含めて、CとDの間には、海藻類を含めた藻場というものは存在している可能性は少ないだろうというふうに、予測をしていたところでございます。

(楠田会長)

村瀬委員、追加はございませんか。

それでは、次のご発言を頂戴いたします。武石委員、お願いいたします。

(武石委員)

オオミズナギドリについて、お聞きしたいのですけれども、ここは白島の男島にオオミズナギドリの集団繁殖地がありまして、福岡県の鳥獣保護区の特別保護地区になっているものですから、オオミズナギドリの繁殖地としての保全のことが非常に気になるわけです。

私が聞きたいのは、準備書の726ページには有名な図で、オオミズナギドリが繁殖地の男島に来る時に、北西方向から来て、北西方向に出発していくというのがあるのですが、今回の事業は、白島の南の海域にあるものですから、オオミズナギドリが繁殖地に夜間に出入りする時に、南方向への飛翔はどうなっているのかが気になるわけです。それで、729ページに、平成25年度のNEDOの実証研究の結果ですが、海岸線からの距離に応じて、オオミズナギドリがどれくらいの高さを飛んでいるか、夜間の飛来の時のデータですが、このうちの0メートルから陸側に270メートルと110メートルというポイントがあるのですが、この図だけから見ると、0メートルから陸のほう、すなわち男島の内部の繁殖地のある方向へ110メートル入った点とか、270メートル入った点と考えてしまうのですが、NEDOの実証研究の報告書を見ますと、このポイントの2点は男島の東側の、白島石油備蓄基地の埋立地の中のポイントであって、110メートルと270メートルというのは、埋立地の南端の岩壁から北北東に延びた岩壁に沿って110メートル、270メートル行った地点で調査したという意味合いなのです。

それで、何が言いたいかというと、この110メートルと270メートルの地点で、延べ数ですが、110メートルポイントでは512羽、270メートル地点では359羽というオオミズナギドリが飛んでいましたということを示しているわけです。ということは、男島の南端から東側のポイントでの調査ですので、男島の南方向もしくは東側方向で、オオミズナギドリが夜間の飛来の際に飛んでいることを示しているのだろうなと思うわけです。

それともう1つ、その前の728ページにオオミズナギドリの帰島・離島状況の日周変化というグラフがありますが、これは先ほどの図の1年前の、平成24年度の調査でして、その調査を行ったポイントは、やはり白島石油備蓄基地の埋立地の中の地点で調査したというのが、NEDOの報告書に書いてありますが、それも南端から東側に入ったポイントですので、ここでも日没後と日の出前に出入りがあるのですが、その時にオオミズナギドリの個体数は数えていますから、そこのデータは全部出入りがあるわけですから、東もしくは南方向へオオミズナギドリが出たり入ったりしているのだろうなということの表れなのだろうと思うわけです。

この2つのグラフがあるので、先ほど言いました726ページの北西方向の出入りだけではなくて、726ページの図では男島の南端から東側の白島石油備蓄基地の埋立地の周辺での飛翔軌跡は全く書かれていないのですが、先ほどのグラフのことを考えますと、そこでも飛んでいておかしくないのだろうなと思うのです。この辺は、レーダー調査もやられていたように思うのですが、この辺の飛翔、軌跡というのはどういう状態なのですか。

(事業者)

ご質問のほう、ありがとうございます。まず、この平成24年度・25年度の調査はNEDOの調査でございますので、その調査の詳細なところまではなかなか追い掛けていくのが難しいところはございますが、先ほど武石委員のほうからございました準備書の729ページの、海岸線からの距離と示している中の110メートル、270メートルは、確かに先生がおっしゃられるように、南の岩壁からの距離の調査地点となっております。そこで、目視の調査を行っておりまして、具体的にはそこからオオミズナギドリの巣があって帰巣してくる。そちらの西側の方向を見上げながら、スポット的に調査を行って数をカウントしているものでございます。

さらに、この東側というのは備蓄基地がございまして、実は、ここは明かりがこうこうと照らされてというか、明かりがありまして、そういうところも含めて、非常に視野が取れる所で調査を行っております。その結果、この東側ないし南側からオオミズナギドリが入ってくるというような軌跡は、この時には特に取られていない。むしろ、やはり西側や北側から入っているという状況であったと報告を受けております。

(武石委員)

レーダーなのかは分かりませんけれども、軌跡は取れなかったのかもしれませんが、繰り返しになりますが、先ほどのグラフからいうと、そこを飛んでいるオオミズナギドリがいるのは確かなので、わざわざ北西方向から来たのが、男島の南端をぐるっと迂回して、南をぐるっと回って、観察者がいるような所から繁殖地に入るのはちょっと考えにくいし、ちょうど110メートル地点、270メートル地点のポイントというのは、男島の最高峰の128メートルの所、ちょうどその近くにあるのです。男島は一番南側のほうがピークになっていますから。なので観測ポイントから見られるオオミズナギドリというのは、常識的には東とか南など、その辺りの範囲から飛んできて、そちら方向へ飛んでいくのではないかなと思うわけです。

ですから、今後の調査でやっていただければありがたいのですが、その726ページの北西方向だけの飛翔軌跡があるわけではないだろうと十分に思われますので、ここのオオミズナギドリの繁殖地の全体像を、保存していくうえで知りたいのです。特に、風車の影響があるかどうかも一番に考えなければならない面もありますので、特に夜間の出入りの際には、準備書にも書かれてありますように、高い高度を飛んでいくわけですので、そちらの方面にどのくらい飛んでいくのかどうか、そういう調査をやることが必要なのではないかと思います。

それと、ついでに関連なのですが、では、仮に南とか東方向でオオミズナギドリが出入りした時に、何メートルの高さで飛ぶのだろうかというのが気になるわけです。それで、今回の高度Mというのは、大型化したせいもあって、上が210メートルくらいですか。Mの範囲は20メートル-210メートルで調査されていたと思うのですが、そういう高度に引っ掛かるかどうかというのが気になるのです。特に夜間の出入りですので、暗い時期に飛びますから。

それで、オオミズナギドリの繁殖地の出入りの飛翔高度のデータというのは、北西方向のデータしかないようですが、この準備書の中では、729ページの文章の中に「沖合400メートル程度の距離から高度を上げて島に飛来すると考えられる」と書いてあったり、「レーダーで、群れ状になってオオミズナギドリが映る範囲が岸から500メートルほどの範囲であった」。これはエコーに出るからですね。500メートルほどの範囲の距離から高度を上げるという形で729ページには書かれてあるのです。これは平成25年度のレーダー結果と、先ほどのグラフでの図を基に書かれてあるのです。平成24年度のところの部分のNEDOの報告書を読みますと、そこよりはもう少し遠い所というのですか、実際に書いてある文章としては、平成24年度のレーダー調査に関しては、「水平回しの調査結果から、島の500メートルから1キロメートル程度沖の位置に多くのエコーが現れた。島から1キロメートル程度の範囲はバードストライクの可能性が示唆され、また、数キロメートル離れれば、バードストライクの可能性は低いと考えられる」と記しているわけです。

この平成24年度の調査からは、当時の報告書では、オオミズナギドリの飛来に伴う高度の上昇があるのは、「島の500メートル-1キロメートル程度沖の位置」で生じていると書かれてあるので、準備書ではそれよりも岸に近い400メートルレベルと500メートルレベルと書いてありますけれども、ぜひNEDOの実証研究を引用する際に、平成24年度の同じような表現をされているところの引用もしていただきたい。保全をするためには、安全率を見込んで考えなければいけませんので、高度を上げる地点は島からより遠方になるデータが取れているようであれば、そのことを引用しておいていただきたいと思うわけです。

そのついでに、少し追加で言いますと、平成24年度のレーダー調査の結果が727ページに書かれてあるのですが、実際にレーダーのエコーが非常に鮮明に見えますのは、オオミズナギドリが海上から何メートルの所を飛んでいるのか、もし分かれば教えていただきたいのです。727ページの、平成24年度の調査でのエコーが明確に見えだす、集まり始めたなというのは、727ページに図が5枚ありますけれども、その左上の1番のところです。周りの地形から考えますと、同心円が描かれた、その間隔は500メートルだと思うのです。そうしますと、島からといいますか、レーダーのポイントから2-4キロメートルの範囲でエコーがポツポツ出て、オオミズナギドリが高度を上げているなという形なのだと思うのです。代わりに、その一番下の5番目は朝の飛び立ちで、海面すれすれに飛んでいくという指摘があります。その場合でいくとエコーはレーダーのポイントから2-2.5キロメートル、3キロメートルまでいかないくらいの範囲で、1番の図よりは近い所でエコーがついているようです。

そういうことを考えますと、これは南方向や東方向からやって来る、もしくは飛んでいく、主にやって来る時ですが、大体高度がどれくらいの距離でどれくらい上がるのか。高度Mに引っ掛かるのはどれくらいかというのを、はっきり分かりたいのですが、今のデータではちょっと分からないので、安全率を見て、島から3キロメートルくらいは、オオミズナギドリが風車にぶつかる危険性があるというところを考えて、風車の配置を考えていただければと思います。

それから、高度に関してはGPSロガーを使って、グラフを書かれたものがありますが、それが734ページとか735ページに、それを使ってどれくらいの高さを飛ぶかを示されてありますが、GPSロガーを付けた個体、特に夕方男島にやって来る個体のデータが取れたのは、わりと少なくて、報告書を見る限りで確実なのは3羽の4回分、4回の日没後のデータしかなくて、それを基にしますと、とてもデータ数が少ないものですから、特に夕方集まってくるときに、島からどのくらいの距離で高度Mに入ってしまうのかというのは、現時点では分からないと思うのです。そういう調査をしていただいて、風車へのバードストライクが起きないような位置に、風車を配置していただければと思いました。以上です。

長くなりましたけれども、そういう意見です。

(事業者)

ご意見のほう、ありがとうございました。先生がおっしゃられるように、NEDOのこの調査というものは、平成24年度から順々に進んできているものでございます。やはり、当初白島の繁殖しているオオミズナギドリというのが、どのような生態であるか、飛翔しているかというのが、全く分からない状況から調査を進めていっている中で、平成24年度ではどのような傾向が見られる、その結果を踏まえて、平成25年度でどういう調査を行っていくか、そういうステップを踏みながら、最終的には、平成27年度でGPSを特別に装着させていただいて、具体的な個体の行動調査を行ってきているところでございます。そういう意味合いでは、平成24年度は、あくまでも広いエリアで高度を上げてきているかもしれないという推論から、平成25年度、27年度と調査を進めている結果と考えております。

確かに、先生がおっしゃられるように、GPSを付けている個体はどうしてもサンプル数を多く付けるのが難しい状況でございますので、その中でも可能な限り装着させていただいて、調査を行ったデータでございます。そのGPSの高度の得られている結果では、大体400メートルくらいのところから上がってきているというような調査結果が、735ページにお示ししているところでございます。ただ、先生がおっしゃられているように、それだけが全てではないということは承知しておりますので、評価書に向けて、その辺りの記載ぶりを検討させていただければと思います。

(武石委員)

今、触れたNEDOの調査は、とても一生懸命行われたいいデータだと私は思いますし、その調査は非常に有効な結果を得ていると思うわけですけれども、今回は、現実に風車が25基、白島の南に配置されるわけですので、具体的にその場合、オオミズナギドリの夜間の出入りにおけるバードストライクの危険性はどの程度になるのかというのも、分からないと良くないと思うわけです。それに向けた補足の調査といいましょうか、特に南方向への飛翔、夜間の出入りがどうなるのかというのが分かれば、保全に非常に役に立つと思うわけです。

(楠田会長)

ありがとうございました。

それでは、次のご発言を頂戴いたします。伊藤委員、お願いします。

(伊藤委員)

1つは、今度の本州連絡橋に比べたら、極めて小さいといったらおかしいですけれども、そういうスケール感からすると、皆さんきちんとやっておられるように、環境影響評価というのは微々たるものというと少し語弊があるかもしれませんけれども、それほど問題にはならないのではないかという、感覚的にはそう思います。ただ、先ほど低周波音のときに、データ上は問題ないということですけれども、人間の感覚で気にならないという人もいるし、体調が悪いという人もいるのですけれども、そのときに説明して説得するというのは、何か対策があるのかというのが1つあります。

それから、これはこの環境影響評価に関係ないかもしれないですけれども、私は一番影響があるとしたら、例えば、ここの航路を通る船がありますよね。それが、天候が悪いなどいろいろ条件があって、前にもどこかの島で座礁したとか、携帯見ていたとかありますけども、何が起こるか分からないですけれども、そういったものがここに衝突して、例えば原油が漏れ出るとか、LNGタンカーもここを通ると思うのですが、数は少ないと思いますけれども、そういった航路を通る船はどういう種類があって、それが万が一風車に衝突したときに、どういうリスクをはらんでいて、それが環境にどういう影響を与えるかといった、環境省の環境影響評価の項目にそのようなものはないかもしれませんけれども、もしそういうことがあるとすれば、そういう調査をされておいたほうがいいかと思います。

例えば、原子力発電所とか、恒常的に動いているから何の影響も響かないのですけれども、あの原発事故のように何かあったらとんでもない影響を及ぼすと。ただ、そういう大きなリスクをはらんでいるところに焦点を当てて、補足資料でも結構ですけれども、航路の影響などもあったほうがいいかなと。コメントですけれども、先ほどの低周波音について、何かお考えだけ、お聞かせ願えればいいと思います。

(事業者)

ありがとうございます。低周波音については、先生がおっしゃるようにやはり個人差があると、実際の体に及ぼす影響と、あと心理的な部分も大きいと思います。そういう意味で、地元の住民の方々等から、風車が動いたあと、例えば、低周波で体の調子が悪いというお話が来ましたら、まず我々としてきちんとデータを取ってどのくらいの影響があるのかと、数字できちんと把握した上で、ご不安を覚えていらっしゃる方と十分に話をさせていただければと思います。

具体的に、低周波を低減するために何ができるかと。例えば、住宅の改修をすれば低周波が低減できるかというところは、正直なかなか難しいところかと思っております。やはり、非常に低いレベルでも、個人差があって体が反応されるような方がいらっしゃれば、まずは誠意を持ってお話をさせていただいて、もしできる対策があれば、きちんと事業者として対応していきたいと。例えば窓を変えるとか、そういう対策だけでは、通常の騒音と違って、低周波音は対策が難しいところかと思いますので、何か対策があるかというところも含めて、事業者としてきちんと勉強して、対応してまいりたいと思います。

2つ目にご指摘いただきました航路の件。これは先生がおっしゃるように、環境アセスとは別に、事業者としてきちんとリスク対策として考えていかなければいけないというところは、我々としても十分認識しております。具体的には、今、今回風車を設置するにあたって、海上保安庁さんのほうで航行安全委員会を設置していただいて、今回の風車の設置がこの海域を航行される船舶に対する影響について、大丈夫なのかというところをご審議いただいているところでございます。具体的には航行シミュレーションを行って、大きな船、小さな船から見たときにどういう影響が出るか。また、風車のどの位置に標識灯を付ければ、航行安全上問題がないかということをご検討いただいておりまして、それを踏まえた安全対策を実施してまいります。

ただ、実際には災害というものはそういう対策をした上でも、船がぶつかるということは起きてまいるかと思っております。1つは、そもそもの今回の風車の配置、設置していいというエリアを北九州市様がお決めいただいたときに、エリア選定委員会ということで、航路を避けて、かつ航路に影響がないエリアで、今のエリアを設置していただいております。ただ、その上でも風車にぶつかる事故がゼロになるとは思っておりませんので、十分対策を行った上で、万が一事故が起きたときに、きちんと大きな事故にならないように対応できるような体制を、私どもの会社としても、緊急連絡を含めて対応してまいりたいと思います。

具体的には今回、先生がおっしゃるようにケーソンというものではなくて、ジャケット式で大体2メートルくらいの鉄管を、トラスを組んだ足になってまいりますので、直接ぶつかって大きな船が沈没するような、船側に損害が出ることはあまりないと思っております。ただ、風車に全速力でぶつかれば、今度は風車側にも損害が出るかと思いますので、その場合には、まずリスクを減らした上で、事故が起きた際に、関係の行政様を含めてきちんと対応できるような体制を組んでまいりたいと考えております。

すみません、きちんとお答えになっていないご回答で恐縮ですが、以上でございます。

(楠田会長)

よろしいですか。それでは、岩松委員。

(岩松委員)

2点お尋ねですが、1つは住民説明について、夏場に住民説明会をされていることはいいと思うのですけれども、今年は台風で中止になったために1カ所まだやっていない所もあるようなのですが、住民説明をどのように周知して集めていらっしゃるのかということです。また、市の広報、市政だよりを見ると、やはり洋上ウインドファームというか、市民にとって難しい言葉がたくさん並んでいて、これで自分の身近な所に風車ができると思う人はあまりいないと思うので、いつごろから具体的なものが明らかにされていくのでしょうか。どこに何を何基造ろうとしているのかというところを、そのオープンにする時期があとになればなるほど、突然来た話になってしまうので、住民説明の方法と、あとは説明会で説明されている内容についてお尋ねしたいということが1点です。

あともう1つは、これは基本的な質問すぎるので恐縮なのですが、例えば、最近台風が多くて、大型の台風で想定外のものが来て、暴風雨があったときに、あるいは津波に対しても、住民の方がそれで壊れて被害を受けるのではないかと思われるようなことに対して、例えば、数字的にどのくらいの台風が来ても大丈夫であるように考えているとか、そのあたりを教えていただければと思います。

(事業者)

ご指摘ありがとうございます。1つ目にご指摘いただきました住民の方々への説明でございますが、私どもは2つの方法で住民の方々にご説明をしてきております。

1つは、今回、8月の住民の方への説明もそうですが、いわゆるアセス法に基づきまして、環境アセスの内容について、住民の方々のご意見を頂戴するために、アセスの我々の今回の準備書の内容をご説明するという、アセス法に基づく説明会。これは今回の準備書でもございますし、方法書のときにもご説明してまいっております。その中で、8月の時に島郷と若松の2カ所で計画をさせていただきまして、北九州市様の市報でも周知をさせていただきました。ただ、島郷が台風の日にぶつかってしまいまして、島郷のほうで私どもも待機をして、もし当日中止を知らずにいらっしゃる方がいらっしゃれば、翌日に若松市民会館でやりますとご案内させていただこうと思って、島郷で私ども待っておりましたが、当日はお天気もお天気だったので、島郷のほうにはいらっしゃらずに、翌日の若松のほうに住民の方々に来ていただきました。

アセス法に基づく説明会につきましては、市報、官報等に公示をして、事前に周知をさせていただくとともに、地元の方々につきましては、私どもの会社の者が自治会様のほうに伺って、自治会の中でも周知をしていただくという対応をしてまいりました。

2つ目でございますが、アセスの説明会だけですと、どうしても住民の方々にきちんと事業全体の計画が十分に伝わらないところもございますので、併せて、住民説明会なり、低周波音のセミナーを、事業者として開かせていただきました。これについても若松市民会館をお借りして、そちらで低周波音のセミナーでは専門家の先生方に講師として来ていただいて、住民の方々に今回の計画、低周波音のこと等につきまして、ご説明をさせていただいてきております。これにつきましては、私ども建設まで少し時間がございます。今回の準備書の結果も含めて、住民の方々のいろいろなお気持ちなり、ご不安なりがあると思いますので、私どもとしては、機会を捉えて、アセスの説明会以外にも、きちんと住民の方にご説明をして、ご意見を頂戴する機会を設けていきたいと考えております。

2つ目で、想定外のことでございます。風車の設計につきましては、先生がおっしゃるように、いわゆるハザードに対して大丈夫なのかというところは、住民の方も含めて一番不安に思われているところかと思います。風車の設計自体は、台風については想定される期間で、最大の台風を想定した荷重で設計をいたしますし、地震についても、ごくまれ、レベル2と呼ばれている地震に対して、構造物が崩壊、倒壊しないという条件で設計をしております。これは、どちらも国が決めた基準に基づいて、設計として想定しなければいけない、ハザードに対して構造物が問題ないという設計をいたします。これにつきましては、国交省様、経済産業省様のほうで設計の審査をいただいて、問題ないという審査を経て構造物が造られるものでございます。

ただこれは、やはり想定を超えるものが起きることは、これまでの経験で我々も痛感しているものでございますので、想定を超えた場合にも大きな被害を及ぼさない対策については、さらに事業者としてきちんと対応してまいりたいと考えております。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、ほかにご発言ございませんでしょうか。次は中西委員、お願いします。

(中西委員)

コウモリについて、1つ意見とお尋ねがあります。繁殖場が近くにないので影響は少ないということで、事前に評価もされないという判断でしたが、結果がいろいろ混ざっていまして、私も頭の中の整理がまだできていない部分もあるのですけれども、夏場と秋にかなり多くのコウモリが確認されていて、秋は渡りの可能性があるというので、どこから来ているかという情報はつかめておられるのでしょうかというのが1点と、もしそれが分かっていなければ、数は少ないけれども毎年蓄積していくと、寿命の長いコウモリだと元の個体群に影響が出る可能性があるので、全く影響がありませんとしてしまうのは、予防原則から考えると危険なような感触もあります。

それで、8月と10月に飛来数が増えているということと、風速5メートル以上だと、急に出現数が下がっているという結果があるのですが、質問なのですが、多数出現する時期だけ、カットインする風速を5メートル以上に変更するとかいうプログラミングは可能なのでしょうかというのが1つ質問です。もし、そういうことが可能であれば、コウモリ群がたくさん来る時期だけ、若干カットイン速度を上げていただくことで、その密の個体群への影響を低減できる可能性があるのではないかという感じがします。

(事業者)

ご質問ありがとうございます。まず、1点目のコウモリがどこから飛来しているかという点でございますが、恐らくここで対象となっていますのは、15-30キロヘルツくらいのコウモリです。これについては、国内全体を含めても、なかなかこれがどこで繁殖しているかといった知見が非常に少ないと認識しております。その一方で、最近は新幹線や高速道路の高架下、コンクリートのスリットと呼ばれる部分で、新たにコロニーをつくっているという事例も多々見られてきていると報告を受けております。そういった意味合いでいけば、そういう環境があれば、そういう所にコロニーがあって飛来している可能性もあるのではないかと思っております。

ただ、いずれにしても先生がおっしゃられるように、どこから来ているかというところについては、今現在、この調査範囲の外では特定できていない状況でございます。

先ほど先生方からご意見を頂いている予防の原則という意味合いでは、評価書に向けてその記載を検討しなければいけないと思います。一方で、先ほどデータ的にコウモリのところを詳細にお示しができなかったのですが、夏場から秋にコウモリが確認されているというものの、非常に通常、陸とかで確認される個体数と比べると、1日当たりに確認されている数が圧倒的に少ないと思っております。先ほどの鳥類と、こちらのグラフでございますけれども、1日当たりのコウモリの確認数としては、このように少ない頻度になってまいりますので、ここで風速別に解析をしても、非常に少ないのではないかと判断をさせていただいているところでございます。

そういう意味で、先ほどの風速5メートルというものがあったのですけれども、特に風車の回転域に想定してくる80メートルの部分については、風速2メートルから3メートルのところにピークが見られてまいりますので、3メートルのところでのカットインという意味合いで考えますと、コウモリに、非常に少ない確認の中でも、さらに低減ができているのではないかと考えているところでございます。

(中西委員)

1つ感想ですけれども、今回の調査が海上1点だけで、25基造るとなったときに、その周辺のどのルートを飛んでいるかという状況が分からないままだと、これが蓄積されるとどのくらいの数になるのだろうかというのが、少し疑問に思いました。可能であれば、そういう数での設置をされるとバットディテクターの設置箇所も増やせるのであれば、事後の調査もされて、どのくらい確認されるかを一応確認したほうがいいのではないかという感想を得ました。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、事業者さんですか。感想ですが。

(事業者)

ご意見ありがとうございます。今のバットディテクターにつきましては、先ほどご説明させていただいたように、そもそもの、1カ所で確認した場合の確認数が非常に少なかったということ、かつ、鳥の場合には予測の不確実性というところがございますので、鳥については事後調査を計画しておりますが、コウモリについてはそもそも数が少なくて、かつ予測の不確実性という意味でも大きくないと、私ども考えておりますので、今のご意見をご参考にさせていただきながら、検討してまいりたいと思います。

(楠田会長)

武石委員、お願いします。

(武石委員)

ハチクマの渡りに関してですが、今回の調査では、この関門海峡の調査地点で調査した際の9パーセントが響灘の海域を渡っているというお話で、その渡っている中の60パーセントくらいが、高度Mに入っているということだったと思います。

それで、今回の意見書で、野鳥の会北九州支部からの過去の3年間の調査データで、毎日のように関門海峡で渡りの、特にハチクマの個体数を数えていた秋についてですが、3,000羽台や8,000羽台、6,000羽台という数値が、高塔山1カ所でのカウント数として示されているようです。ご承知のように関門海峡というのは、秋の鷹の渡りで、特にハチクマに関しては日本のハチクマが南方に行くときの非常に重要なルートになっていますので、今回の調査ですと、結構低い所を響灘海域でハチクマが渡っているということが示されているように、私は思いました。総数がかなり多く、その中の9パーセントが響灘の海上を渡るということですので、結構多くのハチクマが秋に、この風車のファームがある所を渡るように思うのです。その意味では、非常に重要な場所ですので、その保全策をどうするのかということを検討していただきたいのです。

先ほどもカットイン風速の話もありましたけれども、野鳥の会北九州支部はかなり頻繁に毎日のように何年間もデータを取っていますから、秋に限ったにしても、ピークの時期はどこに何月何日頃、また気象状況に応じて、いつ大量に、全部がどうこうというよりは、かなりの数が集中して渡る時期がある程度予測できれば、その時期は風車を止めるとか、経済的にどうかというのは、また別の話であるでしょうが、何らかの保全策はあると思うので、その点の検討をしていただきたいです。それを、環境影響評価の保全策の中で示していただきたい。事業者側の都合もあるでしょうけれども、その点を入れて環境影響評価の中に書いていただきたいです。そのためのデータといいますか、海外の事例などを入れれば、なかなかいろいろな保全策があり得るとか思うので、ぜひ検討していただきたい。この準備書では、以前に野鳥の会北九州支部で出した、関門海峡を渡る渡り鳥の模式的なルート図を参照しているようですが、最近のデータに関しては、熱心な方は毎日のようにデータを取っておられるので、そういう方と連絡を取って、現実的に可能な保全策を検討していただきたいです。

それで、当然、事後調査でバードストライクに関する調査というのがありますが、メンテナンスのときに目視等により墜落個体の発見・回収に努めるとなっておりますが、洋上風車ですので無理だろうと。いつ落ちるか分からないし、落ちたとしても海の中に入りますから流されていってしまいます。そこで、バードストライクに関する調査に関しましても、もう少しいろいろと考えていただきたい。メンテナンス時の墜落個体の発見・回収に努めることだけではなく、それ以外のこともいろいろと検討していただきたいのです。そういうものも、十分に書き込んでいただければと思います。

(楠田会長)

ありがとうございます。何か事業者側からございますか。

(事業者)

ご意見ありがとうございます。まず、今回ハチクマの調査をしたのは、先ほど調査結果のご説明をさせていただいたように、最新のハチクマの渡りを把握するために現地調査を行ったとご説明をさせていただきました。こちらにつきましては、今武石委員がおっしゃられたように、最近のハチクマの渡りの状況は、響灘の海側に、天候条件によって飛翔している可能性があるというところを踏まえて行ってきたものでございます。そういった気象条件を考えながら調査期間を設定して、今、こういう調査結果をお示しさせていただいたところでございます。したがいまして、そういった今回の調査結果は、例えば野鳥の会さんがおっしゃられているご指摘に対して、調査結果としては合致しているものなのかと思っております。

先ほどの高度Mのお話でございますけれども、こちらにつきましても、現在、対象事業実施区域を通過したもののうちの6割くらいが、高度Mを通過しているというご指摘かと思います。これにつきましては、データ上はそのとおりでございますが、これはあくまでも、今回のエリア別で設定されております対象事業実施区域の中で、少しでも風車回転域を通過した場合には、安全側を見越して高度Mとさせていただいておりますので、この中を、ずっと風車回転域の高度で飛翔したというわけではございません。そういう意味合いで、仮に今の風車を設置している部分でどのくらいの頻度で高度Mを通過しているのかという重ね合わせを行うと、さらにこの値が低くなってしまうと思います。ただ、そういう結果よりは、あくまでも安全側で、このくらいはMの所を通過する可能性も含めてあるという示し方で、今は示しているところでございます。

そういったところも含めまして、保全策の検討につきましては、今後検討をして、さらに評価書の中で記載について考えていかないといけないと思う一方で、やはり先生からもご指摘されましたように、洋上の風力での事後調査が、なかなか国内外を通じても確立したものはまだございません。そういう意味合いでは、準備書の中にも記載させていただいておりますように、このあと、まだそういった最新の知見、情報は、風車の建設をしていくまでの間で研究が進んで出てくる可能性もございますので、そういったものも含めて、検討の余地はあると思います。武石委員のご意見を踏まえて、今後も検討させていただきたいと考えております。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。ほかにご発言はございますか。よろしゅうございますか。

そうしたら、最後に私のほうから3点、お願いをさせていただきます。

1点目は、今、最後にご質問がありましたバードストライクをいかに減らすかという点ですが、ご承知のようにヨーロッパでは、きちんと鳥を認識したらカットインを調整して変えるというシステムが考えられておりますので、例えばAIを導入しながら、鳥を検出できたらすぐ、種類に応じてカットインを調整するというシステムは、もう手が届いているのではないかという感じがいたします。ぜひ、バードストライクを減らす手法の導入をお考えいただけたらありがたいです。

2点目は、水中音によっては、そこに魚が集まってくる可能性があるという知見があります。風力発電のときに、海洋で感じているときに、どのようなスペクトルを持った音が出ているのかということと、どのような魚が集まってくる可能性があるかというのはまだないので、事後調査でしか測ることはできないのです。可能でしたら、事後調査のところで魚の集まり具合をどこかで調査していただけないかなというお願いであります。

3点目は、事業者側だけではないですけれども、たくさんのデータを全部集められて、多分、風力発電というのはまだ増えるはずなので、得られたデータを共有できるような制度、システムというか、方法を、役所あるいは環境省になるかもしれませんが、少し一工夫していただいて、希少な得られたデータをみんなで共有しながら、ほかの所でも環境保全あるいは鳥類の保全、魚の保全に使えるような、そういうシステムが出来上がって、ひびきウインドエナジー株式会社がその第一号だというと、プレゼンスがきっと高まるに違いないと確信しておりますので、ご配慮のほう、よろしくお願いいたします。以上3点です。

(事業者)

ご指摘ありがとうございます。我々が今後事業を進めていく上で、非常にご示唆に富んだご指摘をありがとうございます。

今ご指摘いただいた3点についてでございますが、まずバードストライクをいかに減らすのか。これは、事業者としても重要な課題だと認識しております。NEDOの実証機での監視システムのような技術開発を、NEDOさんの事業の下でやってきたのですが、なかなか難しいところがあるというところも実感しております。ただ先生がおっしゃるように、ヨーロッパの先行事例等もございますので、先ほど申し上げさせていただきましたが、私どもが風車を設置するまでまだ時間がございますので、最新の知見を取り入れて、よりいいものをつくっていきたいと考えております。

2つ目、水中音でございます。NEDOの実証機の経験におきましても、風車ができると魚が寄ってくる蝟集効果があるというのを、実際に我々も実感しているところでございます。そのときに、音で寄ってくるのか、逆に水流や藻場ができるので寄ってくるのかと、蝟集効果の理由については、正直NEDOの研究の中では解明まではできていないところです。この点については、漁業関係者、地元の漁協の方を含めて非常に関心が高いものでございますので、魚の蝟集効果について、我々も事業をやっていく中で、ぜひ定量的に評価できるようにいろいろデータを取っていきたいと考えています。

3つ目、非常に重い課題を頂戴しまして、洋上風力につきましては、まさに我々先行事業者の1つだと考えております。その意味で、今回のアセス、地質調査等も含めて、洋上風力を進めるための貴重なデータが、私どものこれまでの調査の中で得られてきているのかなというところは、事業者としても感じているところでございます。ほかの事業者さんも含めて、私企業のデータというところもあるので、今の世の中でデータを共有するという形にはなかなかなっていないのですが、できればお国の主導の下、もしくは北九州市様のご指導の下で、私どものデータがお役に立てるようなことがあれば、事業者としてもきちんと対応してまいりたいと考えております。ありがとうございます。

(楠田会長)

ぜひ、よろしくお願いいたします。それでは、全体を通しまして、何かご発言はございますか。よろしゅうございますか。

それでは、ご発言もございませんので、これをもちまして「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る環境影響評価準備書」の審査を終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

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環境局環境監視部環境監視課
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
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