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第47回議事要旨(令和2年7月2日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000155372

1 日時

令和2年7月2日(木曜日)14時00分-17時00分

2 場所

北九州市立男女共同参画センター・ムーブ5階「大セミナールーム」

3 出席者

委員
 
藍川委員、岩松委員、上田委員、河野委員、楠田会長、清野委員、武石委員、豊貞委員、村瀬委員

事業者
 豊田通商株式会社
 株式会社グローカル

事務局
 
環境局環境監視部環境監視課(環境監視部長他5名)

4 議題

次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)環境影響評価方法書

(仮称)白島沖着床式洋上風力発電事業環境影響評価方法書

5 議事要旨

1 「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)環境影響評価方法書」の審査

(楠田会長)

それでは、審議に入らせていただきます。先ほど申し上げましたように、今回は方法書の段階での審査をお願いいたします。方法書と申しますのは、事業の実施が環境に与える影響について、どのような方法で調査・予測・評価を行うかを記載した図書でございます。今日、ご審議いただきますのは、方法書に記載された調査手法などが適切なものであるかどうかという観点で、ご審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、審議に入る前に、本日欠席の弓削委員のご意見を頂いておりますので、事務局から紹介させていただきます。

(事務局)

それでは、弓削委員からのご意見の回答をご紹介させていただきます。詳細につきましては、お手元の資料1-2をご覧ください。意見につきましては、図書のページ3-83から3-84、4-2及び6-5についてのご意見となっております。
事業実施想定区域が住居や学校から離れていることを根拠に、「景観」を計画的配慮事項の対象としていないことにつきまして、配慮の必要性を検討すべきということが1点。
2点目としては、自然環境資源の景観を損なわないように配慮する必要があるという前提の下、海岸景観への影響は限定的であるという根拠についてのご指摘でございます。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、弓削委員からのご意見につきまして、事業者から回答を頂戴いたします。

(事業者)

では、弓削委員からのご意見に対する回答を、ご説明させていただきます。

まず、景観についてでございます。可視範囲を明記するようにということで、ここにお示しします右側の図をご覧ください。この紫色になっておりますのが、可視範囲でございます。円の中心が風車でございます。その風車を見ることができる範囲を、この紫色で染めております。陸側の白は、風車を見ることができない範囲と考えていただければよろしいかと思います。あと、蓋井島、藍島、白島の影になる部分からも、風車は見えないような状況でございます。これと、主要眺望点との兼ね合いですけれども、北に主要眺望点としまして、脇田の海釣り桟橋、遠見ヶ鼻と藍島の3点あります。なお、岩屋海水浴場につきましては、ちょうど見えないような点になっておりますので、ここでは配慮しておりませんけれども、その3カ所から風車を視認される可能性があります。

あと、その見え方についてでございますけれども、これは景観でよく使われています垂直視野角を用いて評価しました。主要眺望点から最も近いのは東側の藍島でございます。藍島から風車までが、約11.1キロメートルでございます。この風車の見え方は、約0.9度でございます。この0.9度とございますのは、この右側の図を見ていただければ分かりやすいかと思うのですけれども、この高さというのが風車の高さと考えていただければよろしいかと思います。人が、ここでは藍島の場合は11.1キロメートル離れた所から風車側を眺めたときに見える角度、垂直視角を計算しております。この垂直視角の評価ですけれども、左側に表があります。この角度が1度ですと、十分見えるけれども景観的にはほとんど気にならない。ガスがかかっていれば見えにくい。あと1.5度から2度というのは、シルエットになっている場合にはよく見えますけれども、場合によっては景観的に気になり出すという角度でございます。あと、シルエットにならない場合、環境融和色が塗色されている場合には、ほとんど気にならないということで、通常、この1度から2度での影響は大きくはない、ある程度小さいという評価をされます。

戻りまして、各主要眺望点からの角度を計算しますと、脇田海釣り桟橋ですと0.7、遠見ヶ鼻0.7、藍島0.9でいずれも1度以下ですので、景観への影響は少ないと考えております。

あともう1つ、景観資源と船舶交通量についてですけれども、右側にお示ししましたのは船舶交通量、定期フェリーが3社、ルートを持っています。それを重ね合わせたものでございます。あと景観資源です。少し見づらいですけれども、一番最寄りのもので白島の海岸景観資源がございます。このルートと景観資源の関係ですけれども、景観資源の北側が船のルートになっております。フェリーの便数でございますが、各定期運行会社に確認したところ、概ね週1便から毎日1便程度で、この白島の周辺を通過するということでございます。通過する時間帯でございますけれども、概ね早朝あるいは夜ということでございます。例えば、神戸大阪上海フェリーは週1便でございます。この船が風車周辺を通過する時間帯としましては、大阪から上海に行くときには夜中の1時から2時、上海から大阪に行くときには、夕方18時半から夜の19時半というような時間帯でございます。そのほかの大阪区間のフェリー、下関区間のフェリーにつきましても、早朝あるいは夜になっております。そういうことでありますので、白島を眺める時間帯というのは限定的であり、景観への影響が少ないと考えております。以上でございます。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、続きまして、今日ご出席されておられます各委員さん方から、ご意見、ご質問を頂戴いたします。どうぞ。

(清野委員)

追加資料4で、風車周辺の風についてということで計算結果をご提示いただいております。風速分布ということで、前回いろいろとお話をしたかもしれないのですけれども、これはある瞬間の風速分布だと思うのですけれども、風速が遅くなったところに対して、周辺からどのように空気が移動していくのかというか、ずっとこのままの形でいるわけではないと思うので、もう少し3次元的に、あるいは時間変化的に、どういう現象になるかというのを説明いただけたらと思います。つまり、鳥が飛んでいるときに乱気流ができないかとか、そういう、風速が落ちているところに引き込まれたりしないかとか。そういうことが課題になっておりますので、そのあたりを教えてください。

(事業者)

その辺につきましては、今、既存資料で見る限り、探しているのですが、その途中の段階で、風が弱まったり強くなったりしたときに、風車の回り具合との絡みといったデータが見当たらなかったので、こういった定常的な風が吹いたときに、どう影響するかということしかお見せできなかったのです。今後調べさせていただきます。

(清野委員)

こういう形で、可視化した情報を頂いたのはよかったと思うのですけれども、先ほど楠田会長がお話になったように、今、環境アセスに関しても、従来日本の中で言われてきた知見と、世界の研究者・技術者からの意見とか情報を紹介するということで、この数カ月すごくレベルが上がっている感じです。そういう意味で、いろいろと国際的にもどういう検討がなされているのかとか、あるいは、こういう風力学的なものが、これだと割とシンプルなモデルで、もっと3次元的なところにわたっていてこの断面だけではないと思いますので、そういうところも含めて広く情報を集めていただけたらと思っております。

だから、これは逆に板の場合とか棒の場合とかでいろいろ違うと思うのです。そういう情報を含めてもう少しお示しいただいたほうが、具体的にどういう現象が起きるかとか、その並べ方とか対策とか、そういうことにまでいけると思いますので、もう一歩進めていただけるといいと思います。

(事業者)

承知しました。

(楠田会長)

今、清野委員は固定座標系から見たときの風速分布でおっしゃられたのですけれども、鳥の側になってみると、鳥は動いている座標系の中で、風に流されて一緒に動いているわけで、鳥が感じる風速分布と固定座標で見たものとは違います。浮遊座標系のほうで、鳥にとってどれだけ迷惑かというのを考えないといけないですね。

(事業者)

おっしゃられるとおりだと思います。その辺、文献がどこまで集められるかというのもあるのですけれども、今後、引き続き調べていきたいと思います。

(楠田会長)

いえ、文献ではなくて流体力学の世界は、何でもナビエ・ストークスの式で書けるようになっていて、それを使った計算があるかないかではなくて、それを使えば計算できる。だから、文献の有無、そういうレベル、最先端の話ではなくて、やればできる世界の話です。論文の世界ではなく、もう日常の世界です。流れに乗って鳥は飛んでいるわけだから、鳥にとって妙な乱れがあったら困るわけです。私は専門ではないですけれども、鳥の気持ちになって中を飛んだらどうなるかなという、そんな感じかなと思っています。

それでは、次のご発言を頂戴いたします。河野委員。

(河野委員)

確認ですけれども、今日の追加資料で、魚介類とか音の関係と実際の調査の関係がクリアでなかった気がします。実際、このデータと今回の調査はどういう関係があるのかという意味で、このスライドの中では、水中音を周波数と音圧レベルで計測するというのがあります。冊子のほうでは、音響学的調査のところに周波数別ということまでの記載はなかったかと思います。水中でのこういう周波数別の調査をやったときに、生き物ごとに聞こえる水中音に対する閾値が違いますよというデータをどう使うのかということと、背景の音と今回の工事、または設置後の差について、どういう評価をされるのか。生き物の専門として、今の段階でそこが気になったので教えてください。

(事業者)

まず、魚介類の調査と評価までの流れをご説明させていただきたいと思います。魚介類調査につきましては、ここの調査で採れる主な魚種をまず選定してまいります。それと併せて、その海域での音、周波数ごとの音圧レベルを測っていきます。バックグラウンドに対して、風車が出す音は、風車の大きさにもよるのですけれども、そこから出る音を重ね合わせて、実際の水中音に対して風車の音を重ね合わせて予測を行います。その予測した所で捕れた魚について、例えばこの海域ではブリとかマアジが多いのですけれども、そういったブリとかマアジなどの魚にとって、その風車の音がどうかというのを追加資料3の閾値と比べて、聞こえているか聞こえていないかというのを判断しています。

(河野委員)

背景音は実測で、出ているという音は、ほかの設置されている実測データを足し合わせるということですか。

(事業者)

はい。風車の水中音を重ね合わせて、実際の音場の予測をやりたいと思います。

(河野委員)

分かりました。もう1つ、濁りについても質問させてください。今回は藻場からだいぶ遠いということで、濁りもそういう藻場への影響はほぼ限定的か、またはないと思いますけれども、海流との関係で、どういうふうに濁りが流れていくかという、何かシミュレーションみたいなことをされる予定があるかどうかということ。

あと、濁りは濁度の指標で出されると思いますけれども、藻場の水深×濁度は光路の、光の通る距離の厚みで光の減衰が変わり、濁度だけでは一様に言えないので、例えば深い所のほうが、同じ一様の濁度が水の中にあると、光合成ができない程度の光になるかならないかに影響があるかどうかも、海流のところで知りたいし、それで海流の関係上、もしかしたら濁りが工事の関係でいくかもしれないところは、濁度×減衰率みたいな求め方をしたほうが、より生き物に対する影響が分かると思いますので、そういう評価が加えられると、という一意見です。

(事業者)

ありがとうございます。予測に関しましては、濁りに関する拡散予測ということで、これは国交省が出されています手引きに従いまして、ケーブルルートを開削したときに、どの程度の濁りが出てくるかという、これを簡易式、簡易な解析解を想定しますけれども、定量的にある程度広がりを出していきたいと考えております。その算定につきましては、濁度と、実際はSS(浮遊物質)濃度を分析してまいりたいと思います。

(河野委員)

そういう広がりと、濁度の関係をピンポイントで見てほしいなら、藻場の辺りでの底質までの光の減衰域がどれくらい変わるか。もともとそこに届いている光が、今は光が届くから藻場が成立するけれども、届かなくなる可能性がある。そうすると、藻場が消失する可能性もあり、SSも含めた濁度×水深になってしまいます。だから、どれくらい光が減衰するか。減衰した光で、光合成効率が影響ないレベルだったら影響ないと思いますので、安心できるレベルかどうかという評価をする指標があればと思います。

(事業者)

分かりました。光の中に、光の散乱なども含めて、一方では藻場が、光が失われたら影響するかということも含めて、その辺の調査をしていきたいと思います。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、上田委員。

(上田委員)

底生生物についてお伺いしたいのですけれども、パワーポイントでは35、36の辺りです。

この中で、「ケーブル等の施工による一時的な影響」ということで、底生生物の調査をするようになっています。現地の調査については、「分布及び生息環境の改変の程度を把握する」と書いていますけれども、行う項目は底生生物を採取して個体数と湿重量と種の同定なのです。これだけで、生息環境の改変などをどうやって予測できるのか、私にはよく分かりません。普通こういうふうにする場合は、生息環境である底質の調査も一緒に行う。また、時期も工事時期と同様の時期に1回実施になっていますけれども、工事の前にして、工事中にやって比較するなど、そういう手法を取らないと予測とか、影響を把握できないと思うのです。その辺はいかがでしょうか。

(事業者)

改変の程度というのは、実際、海底ケーブルをどの程度掘り返すのかですので、それほど大規模ではないですけれども、深さ1メートル、幅もほぼ1メートルから2メートルくらいを想定しています。そこにつながる所には、この海底ケーブルを埋めていきまして、またその上から砂をかけるという形で元に戻す工事を想定しています。なので、そういった工事工法との絡みで、生物が現状回復するといいますか、砂をまた戻すという作業を行いますので、そういうものを含めて底生生物にどう影響するかを評価していきたいと思っております。

(上田委員)

それでいいですけれども、そうするときに、スミス・マッキンタイヤで採って個体数と湿重量と種の同定をするだけで、影響が分かりますか。

(事業者)

現状、どの程度の密度で生物がいるのか・いないのかを把握していくということを、基礎調査としてやっていきたいと思っております。それで、ある程度、砂が戻れば、またそこに底生生物も回復する、生息する場が戻れば、それほど影響はないと考えております。

(上田委員)

それがそうかどうかというのを調べるのは、方法書で出しますね。そのときに、予測手法として、現地調査の中に生息環境としての底質が、例えば本当に砂なのかどうかを調査するというのを加える。もしくは、事前と工事中、そして事後をやるということが必要なのではないでしょうか。

(事業者)

承知しました。ケーブルルートの周辺、ケーブルルート上の底質も調べてまいります。あと、こういった工事をした場合、底生生物に影響するかどうかについては、専門家にお伺いしていきたいと思っています。

(上田委員)

多分この付近は、文献のデータはあまりないと思うのです。それと、この4つの地点を設けていて、対照地として(4)を設定していますが、(4)は対照地点といっても深さも違うし、実際ものすごく離れています。そうすると、本当に対照地点になるかどうかというのは分かりません。普通、調査をするときは、そういうやり方はしないで、その地点の生物を採ると同時に底質も採り分析をする。もしくは、工事の前と後を見るとか、工事中を見るとか、そういう比較をするのが一般的な方法だと思います。その辺の再検討をお願いします。

(事業者)

承知いたしました。工事後においても、モニタリング調査等を計画しますので、底質、底生生物についても、そういうものを含める形で計画していきたいと思います。

(楠田会長)

それでは、ほかにご発言はございますか。村瀬委員。

(村瀬委員)

スライドの12ページの風力発電の係留の図で、係留チェーンがありますけれども、これは実際に事業が始まったときは風力発電が浮いているので、このチェーンは動き回ることになるのでしょうか。

(事業者)

風車自体は、主に風の影響だと思うのですけれども、若干動いたり、台風時とかそういうところでは多少動くかと思います。チェーンについては、ある程度風車からカテナリー係留で下がっていきまして、ある地点から下に置かれた状態がずっと数百メートル続くような状況なので、主に動くのは浮いた部分がある程度動き、途中のチェーンもある程度は動くかと思います。

(村瀬委員)

チェーンがある程度動くとすると、36ページに底生生物調査の地点がありますが、この事業実施区域の中に、まだ事業が始まる前ですので、測点位置を設けてもらって、チェーンが動き回る前と後で比較できるのではないかと考えるので、それを検討していただきたいと思います。

(事業者)

承知いたしました。測点位置を、風車の係留系が動くような所に設けるということでよろしいでしょうか。承知いたしました。

(村瀬委員)

それからもう1点。スライド22番目の左側の藻場の分布状況ですけれども、これは環境省の第4回の基礎調査で、今から30年近く前の1994年に公表された資料で、聞き取りが主体の海域があるようです。水深20メートルよりも浅い所の藻場を限定して、マッピングをしています。何年前か忘れましたけれども、第5回に関しましても、それに基づいて同じ場所で確認したということになります。したがって,この海底ケーブルが引っ張ってある線のところに海藻が分布していないのではなくて、海藻の調査をしていないと考えることができます。先ほどの底生生物調査の折に、もし採泥器で砂が採れないような岩場であったとすると、海藻が生えている可能性もあるので、海底ケーブルのエリア内に、新たに調査項目を加えてもらう、あるいは底生生物調査に合わせて海藻生育の確認もしていただければと考えています。

(事業者)

承知いたしました。海藻、藻場が生息する水深のエリアにおいて、底生生物調査と合わせて、海藻が生えているかどうか、確認できる手法を考えますけれども、こういったところを行っていきたいと思います。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、清野委員。

(清野委員)

スライド36あたりですけれども、海底ケーブルの敷設に伴う影響評価ということで伺います。

先ほど上田委員からご質問があったと思うのですけれども、それについて確認したいのは、底質の表面を掘削して、1メートル下に敷設するときに、幅は1メートルから2メートルということだったのですけれども、そうすると、その角度というのはものすごく粒径が粗くないと1から2メートルでは済まないと思うのです。こういうケーブルを敷くときに、地元には情報があるはずです。それでいうと、砂地であるとか、ナメクジウオがいるようなエリアが付近にあるということからすると、砂地だという部分があるはずなのです。そうすると、先ほどおっしゃった1メートルの所に埋めるのに、水平方向に2メートルで済むとは、私は思えないのです。その工事の仕方とか、粒径に関する基本的な認識について伺いたいというのが1つです。

それから、敷設したあとに、どうやって埋め戻していくのかというのは、自然と埋め戻っていくのか、それとも工事の工法で、敷設しながらどんどん横からすぐに埋め戻していくのかとか、どういった技術を想定されているのでしょうか。なぜそこにこだわるかというと、海底の攪乱の範囲と持続時間というのが違ってくるので、そこを教えてください。

(事業者)

まず2つ目のご質問で、実際どういう工法かですけれども、NEDOのほうで既存の風車の海底ケーブルを敷設した方法ですが、砂地の場所で、水中ジェットでジェットをふかしましてある程度砂を攪乱した所に、海底ケーブルをそのまま引きずり下ろしていって前に進むという形で自然に落とす。水中ジェットで砂の密度を下げて、それで海底ケーブルを落として、そこに砂を埋めていくという方法です。これはダイバー作業でございます。そういったことが実際やられていますので、そういった方法になるかと考えております。

あと実際、ケーブルの深さと砂の粒径等の関係については、今後また工法を含めて、事業工程を決めていきます。もちろん、そういった情報が分かり次第、先生方には公表していきたいと思っていますけれども、今のところまだ具体的な方法は決まっていない状況で、現地のデータを集めていく方向ではあります。

(清野委員)

現地のデータを集めていただきつつも、今の工法であれば、本当に影響範囲はそんなに狭くないと思うのです。だから、航路を掘るときなども時々あるのは、その深さ方向に砂を掘っていったときに、数値の安定角のことを考えると、粒径によっては予想以上に広い範囲が崩れてきたりとか影響したりするので、底質と掘削深と、それから掘削手法と埋め戻しというのは、影響の範囲と持続時間に関係してくるのです。長期的には埋め戻るとは思いますけれども、ただ瞬間的な敷設の時に水中ジェットとかでやったら、相当局所的に巻き上げが発生したりするので、それをいつどういうふうにやるかだとか、どういう生物が繁殖する時期とか、あるいは海藻が生える時期にどうするのかとか、工事をやるとしたら、結構細かいプログラミングが必要になってくるのです。そこら辺をきちんと想定していないと、工事をするときに思わぬ影響が出たり、苦情が出たり、それによって事業が遅れたりするのです。だから、環境アセスの今の段階で、基本的に生物の生息場の物理条件と工法との関係の認識を、お互いきちんと深めておかないと、アセスに通って終わりではなくて、その先がまだあるので、それに対して事前の対策とか工事の計画などができなくなるのです。ですから多分、こういう発電関係の方は物理系のプロだと思いますので、生物の話はしていますけれども、生息場の話は本当に物理的な話なので、もう1回認識を改めていただくというか、持っていただくといいかと思います。

(事業者)

承知いたしました。

(楠田会長)

では、岩松委員、お願いします。

(岩松委員)

今の清野委員のご意見に関連して、スライド24、25の社会的状況の「漁業権の設定状況」に、「事業実施区域はいずれの漁業権区域にも該当していない」とあるのですけれども、工事の期間・場所、ケーブルを設置している所の、沿岸の所での漁業権があります。工事期間が結構長い間かかってしまいますので、その期間の海底の変化と、その各季節において採れるものとか、それぞれの対応策といいますか、そういったところも事前に分析しておかなくてはならないかなと考えています。

(事業者)

工事期間については、これは浮体式ですので、北九州港で組み立てて現地まで曳航して、係留を付けましても、それほど多くの日数を要しないということですので、おっしゃるような期間中の漁業への影響につきましては、そういう時期に対応して、その周辺でどういったものが採れるかというのは、基本資料等で把握していきたいと思っています。

(岩松委員)

可能でしたら、当事者の方々がきめ細かな情報をお持ちだと思うので、それを踏まえた上で、了解を得ながらされたほうが良いのではないかと考えます。

(事業者)

漁業関係者の方たちと協議をした上で、進めてまいりたいと考えています。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。では、藍川委員。

(藍川委員)

資料14ページの「工事計画の概要」というスライドで、据付工事が30日くらいで、岸壁で行うということだと思いますが、具体的にどのような環境の所で行われるのか分かりませんし、どの程度の重機を使われる予定か分かりませんが、30日くらいあると、重機の種類によっては、例えば排ガスが出るとか、あるいは騒音がどの程度かといったことや、30日間すべてか、そのうちの何日かなのかも考慮して、大気質あるいは騒音への組み立て時の影響というのを考える必要はないのでしょうか。

(事業者)

工事の日数につきましては、少し多めに取っておりますので、実際はこれよりも短くなる予定でございます。ここは、港内の工場等で行いますので、法律にのっとった範囲の中で作業を進めてまいりたいと考えています。

(藍川委員)

据え付けた現場からの影響というのは、関連する記載があると思います。例えば21ページ、「沖合の洋上であるため、海域における大気質測定」、これは測定ですけれども、そういう情報が現地にはないということかと思います。ただ、組み立てる所の岸壁での期間にコメントが一切ないので、考慮されているなら、考慮した上で判断しているということを記載されたらいかがでしょうか。

(事業者)

その辺も記載してまいりたいと思います。

(藍川委員)

よろしくお願いします。

(楠田会長)

予定の時間を15分超えてしまっているのですけれども、武石委員お願いします。

(武石委員)

鳥類調査でセンサス本数が、前のNEDOの浮体式事業では7本で、今度3本になっているのですけれども、この調査回数を増やしたほうが、特に海域の状況はどういうのがいるのかというのは、調査回数を増やすほど分かってくると思うのです。毎月1回とか、調査の回数をもっと増やすことはできないのですか。

(事業者)

調査の回数につきましては、過去において環境省とNEDOでかなり調査されております。それを累積的に並べていきますと、四季調査で、ほぼ毎月のレベルでデータがそろっています。今回は、我々はそういったものを補足するような形で、年間のデータをそろえる形で調査していきたいと考えています。最終的には、年間のデータになると考えています。

(武石委員)

ただ、一般的には海の上のことですから、いろいろ海況が変化するでしょうから、何年かの分を全部集めたからといって、年間のパターンが分かるのかどうかというと、異論があるのです。予算の関係もあるでしょうけれども、それだったら、ある年について、例えば毎月1回でも、一気に1年間でやるとかいうふうにしたほうが、その海域での状況をある程度詳しく見ることができるのではないかと思うのです。過去のいろいろな事業の調査結果はありますが、それを重ねれば、数字的には出ることになるのですけれども、実態として、何かつかむことができるのかなと少し疑問に思っています。

(楠田会長)

ありがとうございます。村瀬委員、よろしいですか。

(村瀬委員)

スライドの40ページ「海生動物(魚等の遊泳動物)関する調査位置」に、底曳網でと書かれていますが、図書の3-91を見ていただくと、近隣の漁協の漁業形態別が載っていますが、ここには底曳網漁業での水揚げがないのです。今回の方法書で底曳網を使う理由は何ですか。

(事業者)

ヒアリングを行いまして、現地の漁業者さんの実態を把握したところ、実際は底曳きをやられていて、底曳きのほうが定量的な評価をしやすいので、なるべくということで、底曳きを選んでいます。

(村瀬委員)

漁業者さんの要望ということですか。調査のしやすさですか。

(事業者)

調査手法の、定量的な評価をしやすいということで、底曳き調査を選定しています。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、ご発言がございませんので、これで「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)環境影響評価方法書」の審査を終了いたします。

2 「(仮称)白島沖着床式洋上風力発電事業環境影響評価方法書」の審査

(楠田会長)

それでは、審議に入らせていただきます。審議に入る前に、本日欠席されております弓削委員より、ご意見を頂戴しておりますので、事務局から紹介をお願いいたします。

(事務局)

ご意見の内容をご紹介します。詳細につきましては、お手元の資料2-2をご確認ください。

ご意見の概要でございますが、景観に関しまして、可視範囲を明らかにした上で景観への配慮を検討すべき。また、海岸景観への影響は限定的であるとした根拠。以上2点のお尋ねでございます。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、事業者のほうから回答を頂戴いたします。簡潔にお願いいたします。

(事業者)

こちらの図をご覧ください。これは可視範囲でございます。先ほどと同じような形ですけれども、事業実施区域に風車を並べたときに、それが見えるかどうかというものを示したものでございます。これにつきましても、ほぼこの点から風車が視認されるということであります。これにつきましても、岩屋海岸からは見えない状況でございます。見えの大きさについて、垂直視野角を計算したところ、下の表がその結果でございます。風車の見えの大きさは、脇田海釣り桟橋が1.2度、遠見ケ鼻が1.2度、藍島も1.2度ということで、ほぼ1.2度程度であり、景観への影響は少ないものと考えられます。

あと景観資源と船舶通航量につきましても、繰り返しになりますけれども、ほぼ関門海峡から響灘にかけての通航量が多くなっているような状況ではありますが、ここを走っております定期フェリーの便数が週1便から毎日1便程度であること、あと風車周辺を通過する時間帯が早朝あるいは夜ということですから、景観への影響は少ないと考えております。

(楠田会長)

ありがとうございます。それでは、ご出席の委員の皆様方からご意見・ご質問を頂戴いたします。司会の不手際で時間が押していまして、16時40分までご質問を頂戴することにさせてください。よろしくお願いします。それでは、ご発言をお願いします。

(河野委員)

この対象事業区域は藻場を避けた地域に設定されているかと思いますが、隣接しています。隣接している地域で調査をしていただくということなので、大体水深20メートルくらいまでなので、1メートルの水深を大体20カ所くらい、1メートル四方の調査域を設置して、年に4回、つまり計4回調査するということです。その場合、そこに藻類、海藻があった場合には湿重量を全部計算するということですが、刈り取りを行って面積当たりの数字を出されるのだと思います。これは年4回ということは、同じ水深域に4回、別地域に重ならないようにということをされる予定ですね。そうでないと、一度刈り取ったあとの影響を区別するような、そうするとマーカーか何かを置いておく必要があるかと思います。そういうような配慮があるかどうかで、データの信用性が少し変わってくるので、そこが1点です。

あと、この藻場のマップは、大体20メートルくらいまで藻場があるということですけれども、このエッジ辺りが、境目が本当にそうなのかどうかが気になるところです。もし可能であれば、さらに水深1メートル、2メートル、つまり直線上1ポイント、2ポイント増やすとその境目もはっきりするのかなという気がします。この2点が生息調査に関する点です。

もう1つ、藻場に対するにごりの影響評価も、実際に藻場が近いので影響があるかどうかの調査に関しまして、水深別の濁りのデータが取れるかどうか。つまり、水深が変わると同じ濁度でも、光の減衰率が大きく変わりますので、実際に生き物がいる真上にどのくらい光が来ていて、どのくらい濁りが減衰するかというシミュレーションも出るとありがたいです。

(事業者)

まず1メートルごとの方形枠を設定してまいりますけれども、先生がおっしゃられるように、一度刈り取った所は不毛になってしまうので場所を少しずつ変えます。どの程度変えられるかは現地の状況にもよるのですけれども、重ならない形で進められればと思っております。

回答の順番が逆ですけれども、併せて、AAQという多項目水質計を用いて、濁度の鉛直方向の分布を採っていきたいと思います。それで、濁りの鉛直分布が計測できると考えております。

(河野委員)

この藻場は、ちょうどこの地図の境目まで、大体20メートルくらいです。それよりさらに水深が1メートル、2メートル先に進むということがあると、非常にデータの信憑性が。

(事業者)

そうですね。1つの目安として、計測の限界、1つ20メートルとしてあるのですけれども、実際、それよりも深い所に藻場が入っているかどうかという状況も確認したいと思います。

(楠田会長)

それでは、村瀬委員、お願いします。

(村瀬委員)

今、委員が言われたことに重複しますけれども、41、42の藻場のところです。事業実施区域の所に藻場がないとなっていますけれども、これは調査されていないということなので、できれば、20から30メートルの間で調査地点を設けて、春夏秋冬を通じて観察あるいは採取をしていただきたいと考えています。

それから、隣接する藻場への影響ということで、1メートルごとに方形枠をということですけれども、この枠の中に、例えば、春の調査ですとワカメとか、あるいは最近話題になっているアカモクみたいなのが生えていたりします。それから、藻場をつくるような、アラメとかホンダワラ類というのが出現すると思うので、それらの現存量とか、種の組成といったところはしっかり把握しておいていただきたいと思っています。

それから、先ほど委員が言われた部分では、私のアイデアとしては水深別に光の強さを測る。そうすると、消散係数を求めることができるので、実際に例えば水深20メートルの所では光が海面に対して何パーセント届くのかとか、あるいは25メートルだとどれくらい届くのかということが計算できます。濁度測定に加えて水深別に光量を測ってもらうというのが1つのアイデアかなと考えています。

(事業者)

光量につきましては、光量子計等を使ってできると思うので、そういう方向で考えていきたいと思います。あと水深30メートル以深の採取につきましては、ダイバー作業になりますので、長時間の水深作業はできないので、その辺は安全管理と照らし合わせながら、可能な限り深い所で考えていけたらいいと思います。

(村瀬委員)

深所ではROVでもいいと思います。

(事業者)

ROVで観察することは可能かと思います。

(楠田会長)

村瀬委員、よろしゅうございますか。それでは、ご発言を頂戴いたします。

豊貞委員、お願いします。

(豊貞委員)

専門外からの軽い質問という形で申し訳ないのですけれども、スライド37で、動物、海生哺乳類とか魚類の調査頻度が年間4回ということで、4回調査はすごくいいことだと思うのですが、1つ前の、同じくグローカルさんなのでご質問させていただいているのですけれども、先ほどの浮体式のほうでは、海生哺乳類が2回で、魚類は夏季の1回だけです。今回4回で、こちらはもちろんいいのですけれども、ここの差というのは着床式なのか浮体式なのかということで頻度を変えられているのか、あるいは先ほど鳥類でご指摘があって、調査頻度を上げているからという理由で頻度を下げているのかという質問です。いかがでしょうか。

(事務局)

特にここの海域につきましては、先ほどの浮体式にありましても、着床式でありましても、鳥類にとって重要な海域でありますので、同様に常に4回四季調査を行うという考えでございます。あと、底質とか底生生物につきましては、こちらは着床式ですので海底地形の改変が浮体式に比べて大きいと考えられますので、回数を増やしている次第です。大きくはそのような考え方です。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、武石委員、手が挙がっていましたが。

(武石委員)

白島は、県の鳥獣保護区で特別保護地区になっているのはご承知のとおりで、その中の構成要件として、オオミズナギドリが集団繁殖地として、非常に重要な地位を占めています。私の意見と質問を兼ねてですが、過去のNEDOの着床式事業報告書を見ますと、7月とか10月に夜間のレーダー調査をされていて、オオミズナギドリは男島へ、生息地に出入りするわけですけれども、そのときに北西方向から飛来して再び北西方向へ飛去するということが明解に示されているわけです。それは、方法書の4-14ページにも書かれています。その飛翔経路というのは、この事業実施区域と重ね合わせると、ちょうど北西から南東方向に向けて、対角線を引いた所の上を通過する形になるわけです。NEDOの着床式事業報告書には、オオミズナギドリが夕方に男島に飛来する際には、周辺海域で高度を上げて、その高度は50から100メートルが最も多いということで、その高度は風力発電機のブレード回転域と重なるので、男島から1キロメートル程度の範囲はバードストライクの可能性が考えられると書かれています。

それで、この台形状の事業実施区域というのは、南北方向に1.3キロメートルくらいで、東西方向が1.8から2キロメートルくらいで2基を設置するということで、2キロメートル離すということが方法書に書かれていますけれども、1基を男島から一番離れた所に置いたとしても、もう1基は図を簡単に書くと、男島から700から1,000メートルくらいまでの所にもう1基置かなくてはならなくなるようです。そうすると、先ほどのNEDOの報告書を見ると、バードストライクの危険性が高まるということが懸念されるわけです。

それで、調査計画の中では、大体は薄明薄暮の時も行なうかもしれませんけれども、日中の調査が書かれているということですが、夜間のオオミズナギドリの行動について、特に本事業実施区域の中でのオオミズナギドリの飛翔経路、飛翔高度をレーダー調査で行ってほしいのです。それは、NEDOの調査報告書に書いてありますけれども限られた期間だけですから、今回は事業実施区域が明解に設定されたわけですので、その中でオオミズナギドリは夜間にどのように動くのか。薄明薄暮の時にどのように動くのか。そのことを調査してほしいわけです。場合によっては、風車の位置をこちらに置いたら、全然オオミズナギドリに当たりませんとか、もしかしたら出てくるかもしれませんので、ぜひレーダー調査をやっていただきたいのです。方法書には、レーダー調査は書いてないのですけれども、その点はいかがでしょうか。

(事業者)

まず、オオミズナギドリが一番活発な時間帯としまして、繰り返しになりますけれども、日の出時と日没時で、日没後はねぐらに帰って、夜は外に出ないという状況でございますので、夜は海には出てこないだろうと考えております。

(武石委員)

どの報告書だったか、環境省のモデル事業だったか、NEDOの浮体式か着床式か分かりませんが、オオミズナギドリの出入りをグラフにしたのが書いてあります。それは、入ってくるのが時間ごとに何羽、何羽とレーダーでやったのだと思います。それから、真夜中を過ぎたあとにだんだん出てきますから、もちろん日の出の時は、西海岸はまだ暗い中ですけれども、飛び立つのです。それは、報告書を見られれば分かると思います。別に日没直後にピーンと飛来して、日の出直前にピーンと出て行くわけではないです。ダラダラということではなく、2つの山型にはなっていますが、別に極端に日没直後、日の出前に出入りするわけではないのです。当然、もっと幅があります。そうしますと、ここにお示しの調査方法では真っ暗な中では、見られないわけです。NEDOの調査報告書では、夜中に強力なライトを上に向けて、そこを通過するオオミズナギドリをカウントしていますけれども、それでも確認の限界がありますので、やはりレーダー調査で夜中じゅう、どこのルート、どこの高さを、とりわけ事業実施区域の中を通過するのかを調べてほしいわけです。とりわけ、ここは特別鳥獣保護地区になっていますし、非常に重要な構成要素がオオミズナギドリですので、そういう調査の配慮をしていただきたいのです。

(事業者)

夜の鳥の飛翔高度については、レーダーが有効だということは認識しております。もう1つ、制約条件としましては、ここにレーダーを設置する場合、白島基地があるのですけれども、この白島基地の北側はもう入れないような状況で、我々が見たい所をレーダーで全部カバーできればいいのですけれども、今の状況では、過去のNEDOさんがやられたレーダー調査と同じようなポイントで、同じようなことはできるかと思いますけれども、それも一部欠けている、全部カバーしきれてない状況でございます。なので、できる範囲のことであれば、そういうレーダー調査も検討していきたいと思います。

(武石委員)

全部見られなければ、見られる範囲の中から類推するとか、何か別の方法を付け加えて調査していただければと思います。

オオミズナギドリについてもう1点、いいですか。実際に風車を建てて、オオミズナギドリが通って、どのくらい引っ掛かって死ぬかは、海の中へ落ちてしまったら分からないわけです。そうすると、長期的なことですけれども、やはり男島の中でのオオミズナギドリの繁殖個体の数を、全域でなくていいのですが、ある特定の永久調査区を設定して、そこでモニタリングをして、変化がなければ、オオミズナギドリについて風車の影響はないということができるわけですから、そういう調査も考えていただきたいです。オオミズナギドリに影響があると思うので、モニタリング調査を男島でやってもらいたい。全域やると大変で、誤差も大きくなるから、ある特定の固定された範囲内でいいのですけれども、風車をつくる前に、今の現状の男島でのオオミズナギドリの調査をやる。風車をつくったあとも、モニタリングを継続する。それで繁殖数の変化がなければ、影響はないと自慢されればいいのであって、そのための調査選定も考えていただきたい。

(事務局)

承知しました。今回、ご説明したのは事前調査というところの手法だけなので、モニタリング調査は書いてはないのですけれども、今後、調査を行いまして、同時に建てたあとの事後調査もモニタリング計画の中に、委員がおっしゃられたオオミズナギドリの飛翔高度などを見ていく形にしていきたいと考えております。我々が一番懸念しているのは、時間帯もそうですけれども、オオミズナギドリがどういう高度、高さで帰ってくるかを配慮する必要があるということで、今はレーダーを洋上に浮かべることは難しいので、今回、人間の目による洋上定点で、オオミズナギドリが出ていく時と帰ってくる時の飛翔高度など、どの辺の距離から下がり始めているのか、どうやって飛び立っていくのかを観察していきたいと考えております。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、次は清野委員、お願いします。

(清野委員)

49の「島周辺の風況について」ですけれども、お示しになっている風況は、計算上の設定がある1方向からなっているわけです。先ほどの武石委員の議論もありましたけれども、いつもこの位置から吹いているわけではないので、別方向の計算もしていただくといいというのが1つ。

それから、ここに書いてある文章で私が不安に思うのは、どういうふうにオオミズナギドリが、普段海面の、本当にわずかな風を捉えて、さらに鉛直風を捉えて離着陸するかということの全体像が見えているとは思えない感じです。鉛直風がここにある・なしみたいに書いてあるので、その文章のニュアンスを考えていただけたらと思います。

時間もないのでコメントになりますが、これは事業者さんが来ていただいた時もお話ししましたけれども、なぜわざわざ、この特別に重要な場所の直近に建設するのかという理由がいまだに分かりません。再生エネルギーを進めるというのは大事だと思いますけれども、なぜわざわざ生態学的な意味でのトラブルになりそうな所に固執するのかが私は分かりません。ですから、この事業の中で、いろいろ考える中で、もっと再生エネルギーを進めるという最終的な目標にたどり着くとしたら、こういう鳥に関していろいろ調査している間に、このアセスの委員会だけではなくて、いろいろな所の意見が出てくると思うのです。それは多分、国内だけではないと思います。そういうものに対応するコストとか時間とか調整を考えると、事業全体として成立しているのかというのは、また別の観点からあると思います。

むしろ、再生エネルギーの目標をと考えるのだったら、このエリアの中でもう一回場所の選定だとか、トータルな事業計画を見直してみるということも含めて検討いただきたいと思います。いろいろ細かいところの意見はありますけれども、そもそも大前提が、あまりにここに建てるということの話から始まってしまうと、多分もうエンドレスにこれは影響評価ということになります。時間もありますので、コメントで失礼しますけれどもご検討ください。はいともいいえとも言えないと思いますけれども、よろしくお願いします。

(楠田会長)

事業者としてのコメントは、パスさせていただいてよろしいですか。

(事業者)

繰り返しになりますけれども、委員のお答えになってないかと思うのですけれども、やはりここの事業場所選定としましては、細かい話ですが、航路域の安全確保と、港湾域からも距離を置くということと、あと共同漁業権の中でやるという、そういった社会的な条件がありまして、こういう場所になったという状況でございます。

(清野委員)

社会的な条件ということで、自然的な条件とオーバーレイしてもう一回考えたらと。すみません、事情は分かりますけれども、自然はまた独立していますので。

(楠田会長)

一番根幹の難しい問題です。結局は折り合いをどう付けるかということになっていくと思います。いろいろお考えいただいて、名案が出てきましたらお伝えいただければと思います。

(藍川委員)

先ほどの白島と似ていますが、資料14ページに基礎工事というのがあって、それなりの期間があると思います。実際の風車は海の上にあり、そこで組み立てるということだと思うのですけれども、風車の本体、あるいは組み立てるための機材を、どこからそこへ持っていこうとしているのかというのが、少し分かりにくいのが1つです。

言いたいことは何かというと、その機材を運びだす港なりまでを、どうやって機材を持ってくるのかということによって、どれくらいの量の機材を運ぶかという交通量なり、大型の車で載せて運ぶのでしたら、その車からの騒音なり振動なり大気質への影響というのが、この図書の中に何も出てきていません。陸上での機材本体の運搬にかかる影響評価という部分を、入れていただきたいということです。

(事業者)

現段階では、まだ想定範囲で書いてないのですけれども、そういった工事計画、資材の運搬ルートといったものは、決まり次第、この準備書等で記載させていただきたいと思います。

(楠田会長)

それでは、岩松委員、お願いします。

(岩松委員)

スライドの27枚目の「水環境(底質:有害物質)」のところで、造成工事のときに、有害物質に関して定性的に予測するとされていますが、これの基本的なものというのはどのように考えていらっしゃるのかと思いました。

それから、廃棄物に関しては特に評価項目にないのですけれども、廃棄物などをそこに残存させないのかどうかということをお尋ねしたいです。

(事業者)

底質につきましては、重金属とかそういったものを規制しているのですが、あるいは管理基準があるものについてはそういうものと比べてまいりますが、現地の状況で、そういうものが出た場合、ここの流れにおいてどの程度拡散するかといったものを、流れとの拡散状況を踏まえながら定性的に予測するということを考えてございます。定量的にはっきり、この程度の濃度がここにたまるというのはなかなか難しいので、そういった定性的な案になってしまいます。

あと、この程度の濃度のものが下流地点の開削によって、どの程度周りに広がるのかという事例等があるかと思いますので、そういうものと比較しながら影響予測していきたいと思っております。

廃棄物については、今回は2基で合理的に準備をしながら工事を進めてまいりますので、大きな廃棄物は、基本的には出さないような方針で工事を進めていくことを考えています。

(岩松委員)

廃棄物は出さない方向ですね。分かりました。

(楠田会長)

それでは、上田委員。

(上田委員)

先ほどと同じですけれども、パワーポイントの35です。底生動物を「造成等の施工による一時的な影響」を見るために、年に4回調査するようにしています。その地点が(1)と(2)の比較とか、ケーブルだったら(3)と(4)の比較とかいう見方をするために、そういう4地点を設けていると思うのですけれども、その2つの地点が果たして同じような環境かどうかというのは、まだ調査したことがないのだったら分かりません。なので、同じ地点で工事前と工事中と工事後を比べるべきで、何のためにこういう地点を選んでいるのかというのが、根拠がはっきりしないと思います。ですから、ここは考え直してほしいと思います。

それから、底質の調査はパワーポイントの27によりますと工事時期の1回だけです。この底質調査と底生動物の調査というのがどう関連しているのか。別々にするとしたら、両方つなぎ合わせることができませんので、きちんとつなぎ合わせられるような時期を選んで考えてほしいと思います。これはコメントです。

それからもう1つ、海底ケーブルのことですけれども、このケーブルと、1件目のNEDOの海底ケーブルの検討位置と、これはどういう関係性ですか。ほとんど同じですか。出発点は違うかもしれないけれども、残りは同じように2本合わせて埋めていくとか、合わせて工事をするとか、埋めた所は全然違うのかというのも説明していただきたいと思います。

(事業者)

ケーブルルートにつきましては、出発点はほぼ近い所で、別々にルートを並行して沖合まで出して、途中から分かれるような感じになります。

(上田委員)

つまり、2つは深く関連していて、できたら分かれるまでは同じようにやりたいということですか。

(事業者)

補足で説明させていただきます。今のエリアが書いてありますが、陸からそこまでは、ケーブルにつきましてはほぼ並行して走らせて、そのエリア内から各風車の設置ポイントまでは当然分かれた形の中での海底ケーブルになると、ご理解をいただければと思います。

(上田委員)

工事時期なども合わせてやるのですか。

(事業者)

私どもとしては、事業者の勝手な思いでございますが、できれば同時施工をやらせていただければと思っております。

(楠田会長)

委員の皆様方全員のご発言を頂戴し終わったのですが、ご協力ありがとうございます。あと5分ございますので、もう一方、おられますか。それでは、武石委員。

(武石委員)

カンムリウミスズメについてですが、やはりここも特別保護地区での構成要件として、カンムリウミスズメが採餌するために海上を利用していると、県の文書にも書いてあります。カンムリウミスズメは、国際自然保護連合のレッドリストで危急種にランクされていて、世界的に絶滅の恐れのある種ですけれども、NEDOの着床式の事業と浮体式の事業と、環境省のモデル事業の報告書を全部まとめて整理すると、2012年2月から2016年1月までの4年間に合計14回響灘で観察されているのです。その14回のうちの12回は、4から5月にかけて響灘で観察されています。4から5月というのはカンムリウミスズメの繁殖期の卵を抱いている時期と、ひなが孵化した直後に親がひなと一緒に繁殖地の陸から海に移動していく時期なのです。NEDOの報告書には、ひなと親2羽が連れ添っている家族群が写真で撮られています。そういう状況からすると、カンムリウミスズメがどこかの島で繁殖しているのではないかと思いたくなるわけです。繁殖地があるかもしれないという前提で、一番近くが白島なので、白島周辺にカンムリウミスズメが4から5月に見られるので、白島でカンムリウミスズメの繁殖地探しをしていただきたいということです。

カンムリウミスズメは、繁殖期間中はオオミズナギドリと同じで、親は夜に繁殖地の島に出入りするわけです。その時、出入りするために、夕方や夜に繁殖地の島の周りの海上、沖合1から3キロメートルとかに、集団を作って集結するわけです。そのため、繁殖地のすぐ近くの海上を利用するわけです。もし、白島でカンムリウミスズメが繁殖しているようでしたら、当然、そこから1から3キロくらいの範囲の中で風車をセットしたときに、そういう海上利用が阻害されるのではないかという懸念が出てくるのです。

それともう1つ、繁殖を行っている成鳥に対しても、震動なのか光なのか分かりませんが、風車の稼動の影響があるのではないかということも懸念されるわけです。カンムリウミスズメについては白島で繁殖していなければ、そういう懸念は当たらないかもしれないですけれども、まだ誰も調べていないので、ぜひカンムリウミスズメが白島とか、その周辺の島で繁殖しているかどうかを調査していただきたいのです。

調査は3月中旬、下旬に、夜間にスポットライトを使って、島の近くの海上に集まりますから、その集団を探せば、大体どの島でカンムリウミスズメが繁殖しているか分かるわけです。それが分かれば、その島に上陸して卵を探すとか、抱卵個体を探すとか、場合によってはカラスに食われた死骸を探すとか、そういうことをして繁殖地を見つけていくわけですが、そういうことも調査の中に考慮して入れていただければありがたい。これはお願いです。

(事業者)

承知いたしました。

(楠田会長)

よろしゅうございますか。それでは、ご意見、ご質問はないということを確認させていただきまして、これで「(仮称)白島沖着床式洋上風力発電事業環境影響評価方法書」の審査を終えさせていただきます。

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