平成29年9月22日(金曜日)13時30分~16時00分
第39回議事要旨(平成29年9月22日)
1 日時
2 場所
北九州市役所3階 特別会議室B
3 出席者
委員
穴井委員、荒井委員、上田委員、大石委員、岡田委員、門上委員、河野委員、川本委員、楠田会長、薛委員、武石委員、豊貞委員、野上委員、原口委員、樋口委員、山田委員(合計16名)
事業者
黒崎バイオマス発電施設整備事業:三菱商事パワー株式会社
(仮称)新・日明工場建設事業:北九州市(環境局施設課)
事務局
環境局環境監視部環境監視課(環境監視部長他4名)
4 議題
- 「黒崎バイオマス発電施設整備事業に係る環境影響評価方法書」の審査
- 「(仮称)新・日明工場建設事業計画段階環境配慮書」の審査
5 議事要旨
「黒崎バイオマス発電施設整備事業に係る環境影響評価方法書」の審査
楠田会長
どうも、ご説明ありがとうございます。それでは、ただ今のご説明につきまして、ご質問がございましたら、まず頂戴しまして、あとご意見を頂きたいと思います。
河野委員
生態系の評価についてお伺いします。236ページでも、調査すべき、注目すべき種の選定に関することも把握してということなのでしょうけれども、今の時点で、生態系の注目種に関して、どういう対象で想定されているのか教えてください。
事業者
今のところ想定しているのは、上位種としては、ミサゴを予定しております。回帰性生態系の提供ということで、ミサゴ。それと、典型種としては海草、それによって生息している魚類ですね。そういったものを典型種として取り上げたいと考えております。
楠田会長
他に、ご質問ございませんでしょうか。はい、どうぞ。
樋口委員
灰のことについてお尋ねします。灰貯蔵設備がフライアッシュとボトムアッシュに分かれていて、一緒に排出されているようですけれども、廃掃法上の扱いとして、こういうバイオマスのフライアッシュというのは、特管物扱いにはならないのでしょうか。それが1点目です。
あと1点は、灰については極力、再利用すると書いてありますけれども、こちらの本編のほうには、一部埋立処分をすると書いてあります。その際の安定化処理は、どのような形を取られるのか、教えていただきたいと思います。
事業者
まず、輸送方法についてですけれども、一緒とか別途の詳細につきましては、これから検討する段階でございまして、まだ詳細については未定の段階でございますが、方針として、しっかりとした対策を行った上で輸送するということでございます。
それから、安定化処理に件につきましても、同じくこれから検討を進めさせていただきますので、その辺りも含めてこれからスタディーさせていただくという状況でございます。
樋口委員
質問は、廃掃法上の取り扱いとして、フライアッシュが、他の産廃だと別個に排出しないといけないようになっているのですけれども、バイオマスの場合は一緒にやってもいいのかどうかということです。廃掃法上の取り扱いをお聞きしたのです。それもまた後ほどで。
事業者
その辺り、これからスタディーさせていただきたいと思います。
楠田会長
他に、ご質問ございませんでしょうか。
門上委員
3点ほど、質問させてください。最初は、直接この環境影響評価には関係ないのですけれども、こういうバイオマスだとか、天然ガスを使った発電所というのは、最近、北九州にものすごく立地しているのですけれども、売電先として、民間一般的に売られるのか、それとも三菱ケミカルの真ん中にある三菱さんのほうに売られるのか。電気が本当に足りなくなるのかなというのが第1点の質問です。
第2点は、煙突の高さは何メートルなのか。この周りに200m煙突はいっぱいありますけれども、新たに建てるのか。この図で見ると、バグフィルタの上にあるので、50m、60mの煙突なのかなと思います。それが2点目です。
もう1点は、日当たりの配水量は3,510立方メートルあるのですよね。このときは、ボイラ水を浄化したときに出てくるような、イオン交換樹脂を洗ったときの水とか、そういうのが出てくると思うのですけれども、その組成を教えていただきたいなと。どういうものが含まれているのか。CODだとかSSとかそういう一般項目ではなく、具体的にどういう化学物質が入っているのかということを教えていただきたいと思います。
事業者
まず1点目の売電先についてですけれども、本件につきましては、FIT制度を使った事業となっておりまして、全量、九州電力様に売電する予定でございます。ですので、電気を三菱ケミカルさんに売電することはございません。
それから2点目、煙突につきましては、現時点の計画では、ボイラのすぐ横については59mの煙突からの排出を予定しております。今おっしゃられましたように、三菱ケミカルの事業所内には、190mと170mの高層煙突がございますが、そちらに合流したらどうだろうかという意見も、前回、配慮書の審査会で頂いております。それを参考にさせていただいている状況でございます。ただ、そちらの集合煙突のほうに配置するとなりますと、煙をそちらまで送るブロワー等が多数必要になってまいりまして、そこでかなりの消費電力が発生することによって、せっかくの効率のいい発電設備が、結構落ちてしまうというところがございます。
もう1点、三菱ケミカルさんの集合煙突のほうから出ている排煙というのは、今、三菱ケミカルさんで使われている焼却炉からの排煙を出しているのですけれども、それと比べると、排煙の濃度が桁違いにクリーンなものを排出することになりますので、それも含めて、集合煙突から排煙しなくてもいいのかなと考えておりますが、参考にはさせていただいておりまして、検討自体はさせていただこうかなと思っております。
3点目、排水についてですけれども、組成につきましては、ボイラ内で濃縮されますので、もともと、工業用水内に含まれていたものが、濃縮されてしまうものがあるかとは思います。
事業者
一応、水の処理としては、中和、凝集、砂ろ過ということをかけます。もともと、燃料として使うのがバイオマスのみということなので、例えば石炭を燃焼するのと比べると、重金属の濃度とか有機化合物の濃度は低いだろうと考えています。今のところ既存の施設でどの程度の排水、組成というところは調べてありません。
門上委員
ボイラ水にするとき、塩が出ないように純水作らないといけないですよね。そこで、イオン交換樹脂を結構きれいにしたりするので、たくさん塩が出るのではないかと思っているのです。そこら辺がどうなのかなと思ってお聞きしたのです。そういうのは問題ないですか。問題ないというか、どれくらい出るのか。これは、閉鎖性のああいう一番奥に出るので、下水道の排水のマンホールから出ていますから、そこに比べてほとんど軽微だったら、それはそれで何も問題ないのですけれども、そこで少し具体的な、どれくらいの量が出るのかというのをお聞きしたかったのです。
事業者
その辺りも、これから少し検討調査させていただきたいと思います。ただ、純水につきましては、三菱ケミカルさんのほうで既に作られている純水、清水がありますので、そちらから供給いただくようなことを今検討しております。
楠田会長
よろしゅうございますか。それでは、荒井委員、お願いします。
荒井委員
動物の件で、水生生物とそれから鳥類の調査が入っていますけれども、工場地帯に、例えば哺乳類の中ではタヌキだとかアナグマだとか、あるいはイタチ、場合によってはアライグマあたりが入ってくる可能性がある。私も直接調査をしたことがないので分からないのですけれども、爬虫類でも、アオダイショウなどが、工場地帯であってもうまく住みかを見つけて入ってきているという可能性があるので、何かチェックできる方法はありますか。
方法書の中では、水生生物と鳥類でいいのですけれども、そういう調査をやっている途中で目撃したときに、記録を残していただけないかなというのがあるのです。それが積み重なっていけば、工場地帯での様子というのが少しずつでも分かってくるのではないかと思うので、アセスとは直接関係ないかもしれませんけれども、そういうところをチェックできる方法が何かあれば、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。
事業者
当社の計画の中では、海域の生態系というのをメインで考えてはいるのですが、先ほど申し上げたとおり、現場に入るタイミングとして、鳥の4期調査がございます。工場地帯の中にも調査地点を設けておりますので、1日の間、ずっと張り付くわけですから、その間で確認できたものに関しては記録を付けていきたいと思います。
荒井委員
よろしくお願いします。
楠田会長
他に、ご質問ございましたら。岡田委員、どうぞ。
岡田委員
工事中の残土についてです。通常、工事中に残土が発生するということで、調査をされるということですけれども、事前に地中の土壌の状況とか、そういう事前調査はなさらないのですか。
事業者
調査に関しましては、事前調査をする予定でございます。
楠田会長
では、よろしゅうございますか。山田委員、よろしくお願いします。
山田委員
まず最初に確認をさせてください。調査年度ですけれども、予測及び評価のための調査年度は何年と思っていらっしゃるのでしょうか。2018年度と思ってよろしいですか。
事業者
そうですね。現地調査を今から1年しますので、それに合わせた年度で揃える予定です。
山田委員
工事が始まる前に調査をなさるということでよろしいですね。
事業者
そうです。
山田委員
それと、水質のところで、モデルを作られると書いておられますけれども、調査水深を教えてください。
事業者
シミュレーション上は、表層から1m、あと2m、2mといったピッチで下げていく予定です。水深が恐らく10mくらいありますので、4層、5層といったところで水域を切って、シミュレーションする予定です。
山田委員
5層に切られて、そこの5層の、例えば排水口の前面のDOであるとか、塩分、水温なども測定される。2m間隔というのは少し水深からみて粗い間隔だと思います。
事業者
現地調査自体は、そこまで切って、データを取るのは水温を予定しています。水質に関しては、市で測定されているデータを引用して、その採水の水深で、現況を再現してシミュレーションするということで考えております。
山田委員
では、市のほうがうまく再現できているかどうかの検証に使うということですね。
事業者
そうです。
山田委員
分かりました。それから、水温なのですけれども、排水水温が平均で30℃ということになりますと、夏はもっと高くなる。最大と最小を教えてください。
事業者
方法書のページで申し上げますと、24ページになります。図の2の11です。グラフが2つありますが、左側が水温になっております。これを見ますと8月が一番高くて、水温にして35℃くらいになると想定しています。
山田委員
実は、なぜ聞いたかと言うと、洞海湾の場合は、1980年から約30年の間に、これは自然の影響だと思うのですけれども、2℃ほど上がっています。これは洞海湾に限ったことではなくて、響灘の北九州市の環境測定点、H5でも約2℃上がっています。平均水温でそのように上がったわけですけれども、そんなふうに上がったことによって姿を消したケンミジンコを1種確認しております。ユウリテモラ(Eurytemora americana)という種類ですけれども、それが湾奥から水温が上がったために姿を消してしまった。よみがえることはないだろうと考えております。そういうふうに、生態系にかなり影響を及ぼしますので、水温の変化については、これから丹念にモデルを作っていただきたいと思っております。
それと、排水は淡水ですよね。淡水は、排水口は上層に、海の上にありましたよね。それが流れると表面を覆ってしまう。そうすると、成層の強化につながると思います。洞海湾は、1990年代の初めですけれども、かなり強固な貧酸素が出ておりました。そのような貧酸素の促進をするような温度であるかどうかを、調査で確かめてモデルを作ってほしいということです。
それと、生物調査の範囲なのですけれども、排水口を中心に600mを5地点と報告されていますが。
事業者
半径で300m程度を、今のところ想定しています。現地入りをあらためて確認して、それでまた調整をする予定です。
山田委員
ぜひ、調整をお願いいたします。モデルをいち早く作られて、大体予測して、どのくらいまで影響範囲があるのかによって、そして、それで生物調査をしてもらいたいのですけれども、無理でしょうね。計算してやらないといけない。
事業者
ある程度、めどを立てて現地に入ることになると思います。
山田委員
その600mですけれども、600mの中に5地点ですか。
事業者
はい。中心点の部分が放流口です。そこから見て。
山田委員
300mですね。300mだと向こうに達すると思うのですけれども、それはやはり排水量が少ないから、600mの下流に影響が少ないと考えられたのでしょうか。
事業者
そうですね。排水量、日当たり3,000立方メートルというところで……
山田委員
3,500立方メートルですね。
事業者
はい。その数字を使って、簡易ですけれども計算いたしまして、おおよそ影響範囲はそこに収まるであろうと判断いたしました。
山田委員
それで、影響範囲は大丈夫なわけですね。
事業者
精査は今からになっていきますけれども。
山田委員
では、モデルをしっかり作ってください。お願いいたします。
事業者
はい。
楠田会長
他に、ご質問ございますでしょうか。ご質問ないようですから、次はコメントとかご意見がありましたら、頂戴いたします。
野上委員
大気汚染に関してです。方法書の81ページに、短期で窒素酸化物の基本濃度が出ています。大気汚染に関して今回の案件の最大の問題は、ここに示されているように、工場敷地内に施設は建つのですけれども、59mの煙突を使うことによって、汚染物質が住宅街のほうに流れていくということですね。特に、今、ここの中心点に何があるかご存じだと思うのですが、熊西中学校だとか小学校とか、全部ここにあります。少し風向きが変わると、隣に筒井小学校もあります。だから、そこにわざわざ落としてしまうということなのです。それで前回の審査会で言っていたのは、すぐ隣、50mくらい離れたところに200mの煙突がある。今日、このあとの案件もありますけれども、市街地に作る場合は、東京でも横浜でも、全て200m近くの煙突を立てて遠くまで飛ばすというのは基本的な考え方だと思うのですね。その点で、だから200mの煙突を使った場合、もちろん現状は、先ほどご説明ありましたように、同じ敷地内に2本高い煙突があるので、その2つの現況がどうなっているのか、それに59mを作ったときにどうなるかということを、きちんと計算してほしいということですね。
それともう1つ、方法書180、181ページの、この結果の計算点は、大体1.5mですよね。
事業者
はい。
野上委員
これはもちろん、小学校等々の影響をやるときには計算は1.5mでいいのですが、ご存じだと思うのですけれども、この周りにも大体十数階建てのマンションが建っています。その高さは大体50~60m。要するに、この周りに建っているマンションは、煙突と同じ高さなのですね。そのマンションの上の住民からしてみれば、ほとんど煙突の効果はない。もろそこから煙が出てくるという形になっている。さらに、これもご存じだと思うのですけれども、工場が建っているところは、そんなに海抜が高くないところに建っていると思うのですけれども、ここはずっと丘になって上がっていくのですね。だから、もう少し後ろのほうだと、同じ50mの建物でも、実際は60m、70mになるのです。多少、59mの煙突から上昇効果で、温度が170℃なので上がると思うのですけれども、その効果もあまりなくなるような形もあるのです。したがって、計算で50m、60m、70mと高さもいろいろ変えてもらって、影響はどのくらいあるのかということを、しっかり評価してください。
特に、ここで生活する小学生や中学生やマンションを買った人にとっては、汚染物質が来るだけで何のメリットもない事業だと思うので、そういう人たちに対してどれだけ環境影響をなくすのかというのは一番大事な観点だと思います。ぜひ、そこのところはしっかり、いろいろなケースを計算してください。よろしくお願いします。
事業者
ご教授いただきまして、ありがとうございます。頂きましたご意見をしっかりと参考に、今後計画を進めてまいりたいと思っております。
楠田会長
野上委員のご質問に関連してですけれども、拡散の計算方式は電中研のモデルでやられるということなのですか。
事業者
いえ、窒素酸化物の排出モデルというのがあるのですが、そちらのほうを使います。
楠田会長
それの基本形は何になるのですか。メッシュを切って流体力学でシミュレーションですか。
事業者
そうです。
楠田会長
プルームではないのですね。
事業者
プルーム・パフです。
楠田会長
それなら、メッシュではないではないですか。プルーム・パフの場合に、今、野上委員がおっしゃられたのは、いわゆる着地の濃度を計算するような式になっているのですね。それは地表面を想定しているのではないですか。
事業者
そうです。地表面です。
楠田会長
高いマンションがあって直撃するという計算は、パフモデルで入るのですか。
事業者
プルームモデルもパフモデルも、もちろん、今お示ししておりますこの結果は、地上1.5mというところですけれども、少なくとも数式上は、任意の高さは計算できますので、先ほど野上委員がおっしゃられました、高さを変えたときの濃度分布の計算というのは、対応可能と考えています。
楠田会長
そのとき、風向はどうされるのですか。
事業者
長期平均濃度を計算するときには、過去の風向を計算した上での、出現頻度で加重平均というような形です。
楠田会長
それで、いわゆる加重平均でいくときに、平均を取ってしまいますから、最高濃度はなくなるわけですよね。必ず最大のものより下がってしまうというところも、野上委員の懸念されているところの1つに入っているのではないかと想定するのです。そういう意味で、メッシュで切って、実際の風向と風速を使われて、実際の構造物の高さまで入れて、想定の計算をされるというのはいかがでしょう。それは、無理ですか。
事業者
今のところの技術的には……
楠田会長
大気の乱れをシミュレーションするのは技術的に不可能ではないですよね。他にされている例がありますからね。
事業者
そうですけれども、どうしてもやはり環境中では乱れが強くて、特に市街地内での、風当たりのところまでは一定程度、精度というのは出てくると思うのですけれども、それに乗っての汚染物質の流れというところまでいくと、少なくともまだ、今の段階では厳しいかなというふうに考えています。
楠田会長
汚染物質の何が厳しいのですか。
事業者
汚染物質の濃度の分布まで、それで再現するというところです。
楠田会長
だけど、そこが影響のかかるところではないですか。汚染物質の濃度でもって、大気の場合は影響してくるので、それは影響の算定は難しいと言われているように聞こえるのですけれども、そういうことではないですか。
事業者
実際のところで言いますと、市街地内をメッシュを切って流体力学の計算をするというときに、メッシュの切り方とか使う乱流モデルとか、その境界条件、抵抗の表れ方、これでかなり結果が変わってしまうというところがありまして、現実問題、やはり一般的に使われておりますプルームやパフモデルに従ったほうがいいというのが、今のところの判断です。
楠田会長
計算される方は、そちらのほうが出しやすいというのは十分よく分かるのですよね。今度、影響を受ける側からいったときに、それが高めに出てくるのだったら、安心しておれるのですけれども、低いほうに出るのだったら、懸念すべき影響のところが飛んでしまうことになるという意見に対しては、というのもあるかと思うのですけれども。
事業者
長期平均濃度を計算することで、低めに評価されるということであれば、もちろん予測上は長期だけではなくて、短期濃度という予測も平行して行います。
楠田会長
短期瞬間が出るのですか。
事業者
1時間値というような時間スケールではありますけれども、それが通常の気象条件時に加えて、例えばダウンウォッシュが起きるとか、フュミゲ-ションが起きるとかいう特殊気象時も含めて、予測は進めていく予定としております。
楠田会長
野上委員、どうぞ。
野上委員
私の考えは、今、楠田会長からご質問があったとおりです。もちろん、短期の場合は、今一番濃度が高くなりそうだという形で、今回のこの181ページもそういう絵を選んで出されていると思うのですけれども、今度の場合、マンションが、例えば50m、60mありますよといったときには、当然、一番厳しい条件が変わってきますよね。したがって、それを一生懸命探してくださいというのが1つのお願いです。
ちなみに、この181ページはどちらかというと下にくるので、むしろこれは安定度が悪いというか、下に広がる場合を計算したことになるかと思うのですけれども、マンションなんかで同じくらいの高さだったら、冬場にあるようにほとんど拡散しなくて直撃するといったほうが、今度は濃度が高くなる可能性もあります。そういったのもまめに、一生懸命、いろいろなケース、パターンに立って、一番シビアになれそうなケースを探して計算してくださいということです。
もう1つ、これも楠田会長がおっしゃったように、流体計算までするかどうかというのは、微妙なところだと私も思っているのですが、先ほど言った高いマンションの場合は、恐らくあまり拡散しないでそのまま直撃するようなことになるのですが、そのときに、ここは丘沿いにずっと上がっていっているのです。そうすると拡散しないでいくから、この地図で言うと、もっと南のほうまでいくと、そこはかなり標高が高いので、ある程度、地形の影響も考慮したような計算。だから、難しいというか、本格的な流体計算までしなくてもいい気もしますけれども、やはり風の強さとか変わってくるので、場合によってはずっと遠くのほうまでいく。地表からは60mくらいのマンションでも、この工場から見ると80mくらいあるようなところまでいく場合には、適切なモデルを選んでいただいて、そういう地形の影響がきちんと入るような評価、一番シビアな場合をやっていただければと思います。
特にその59mの煙突というのは、正直言って低すぎて話にならないと私は個人的に思っていますので、その辺りをしっかり検討してください。
事業者
はい、分かりました。
楠田会長
それでは、今の野上委員のご意見を踏まえて、計算の方法を幾つか、勾配が付いているというのと、高いマンション、建物が建っているというのと、あと風向きが、卓越する一本ではなさそうだということで、よろしくお願いいたします。
野上委員
それに関連して、1点。私は建築の専門ではないので、これは市のほうにお聞きしたいのですけれども、ここの辺りに建つマンションというのは、何メートルくらいまでのものを建てていいことになっているのですか。今は大体、私がグーグルマップ等で見たら、14~15階建てで、恐らく、これは今日たまたま、次の案件ではは、煙突の高さが59mだと航空法に引っかからないということなので、あれくらいの高さのマンションが多いと思うのですね。申請すれば、例えば二十数階建てのマンションとかいうのも建ったりはすると思うのですけれども、その場合は、今度は100mくらいの建物になったりする。だから、この煙突がずっと存在することによって、将来ここに建つであろうマンションが、いつも50m、60mの高さなのか、80mとかそれくらいのマンションも建つような場所なのかどうか、教えていただければと思います。
楠田会長
航空法はいろいろありますよね。
野上委員
はい、先ほど見学に行った日明は、85mだと航空法に引っかかるから、59mにすると引っかからないでいいと。なので、私も60mかなと思ったのです。
楠田会長
あれは、国交省の大臣の許可があれば、上げていいのですよね。
野上委員
計算する条件にも関わるのですけれども、この場所に60m以下のものしか建たないというのであれば、計算する高さは、大体そこで切ってもいいと思うのです。ただ、場合によっては、100mくらいのものになる。ついこの前も二十数階建てというマンションを見たのですが、そうすると100mになるので、計算上は100mでも計算しておいてくださいという話になると思うのです。もし分かれば、そこを教えていただければお願いします。
事務局
今、現時点では、詳しいことをご説明差し上げることができませんので、担当部局に確認した上で、またあらためてお知らせしたいと思います。
野上委員
したがって、それは、事業者さんが計算するときに、計算の高さというのは関係部局に聞いて、場合によっては100mとかの計算も含めていただければと思います。
事務局
承知いたしました。
楠田会長
そこら辺、最高100mだと、3.5mですから、30階で105mくらいですね。
野上委員
時々、二十数階建てというのがありますからね。
楠田会長
ですから、もし法的な制約がなくて、航空法の上を上げるようなケースの場合に、100mくらいの建物が建つと、どんな風が、気流が流れてくるかという、その高さの上を100mまでお願いしてよろしいでしょうか。
野上委員
すみません。正確に言うと、上の高さは100mでなければいけないというわけではなくて、これは今の59mの煙突があって、確か排出温度が百数十℃以上あったと思うのですが、浮力の効果が出ていますよね。だから多少、59mからもともと上がって出るのですよね。だからそういう意味から言うと、そこの高さと考えてもらって、もしそれが100mよりも低いところが一番濃度が高いようであれば、80mでもいいと思います。逆に100m以上ずっと上がってしまうということであれば、100mで切ってもらってもそれはいいと思います。それは、一番シビアになる条件で計算してくださいと。要するに、直接流れ込む可能性が高いからということですね。
楠田会長
よろしいでしょうか。温度差で、始めにぽんと上がる高さが違いますので、水平に流れていったときに当たるという、周辺の条件を入れていただいて、それを含めて一番厳しくなるときの条件で、いわゆる着地ではなく、着建物の濃度がいくらくらいになるかというところまで、計算をお願いしたいというご意向ですけれども、よろしゅうございますか。
事業者
野上委員、いろいろご教授いただきましてありがとうございます。しっかりと参考にさせていただきまして、検討は進めさせていただきたいと思います。事業者サイドとしても、せっかくのいい事業だと思ってやっておりますので、そこら辺はしっかりと対策を取ってやっていきたいと思っております。
それから、この排ガスの届くエリアの住民の方々とは、コミュニケーションを密に取っておりまして、自治会の方ともお話をしているのですけれども、そもそもバイオマス発電事業ということで、環境に優しい事業で、非常にいい事業だからぜひ進めてほしいというところです。北九州経済という面におきましては、三菱ケミカルさんのプラントも結構撤退しているというか、どんどん縮小しているという状況もありまして、そこで本事業が進んでいくことは非常に応援したいというお話を頂いておりますので、そういった面からもしっかり頑張っていきたいなと。併せて、環境についても、精一杯、最大限の努力をしていきたいなと思っております。
178ページの図を見ていただければ分かると思うのですけれども、本件、精一杯きれいな水準の排ガスにしていきたいと思っておりまして、環境基準は当然大きく下回りますし、基本濃度としても非常に少ないものにはなっておりますが、これをさらに同等以上のものにすべく、しっかりとやっていきたいと思っております。シミュレーションで見ると、最大着地地点が確かに住宅地にあるような形になっておりますので、シミュレーションで見るとこういう形になるのですが、実測で見ると、計測限界だったりするようなところではあるかと思うのですが、ただし、そこもいくら濃度が低いとはいえ、事業者はそこで妥協せずにしっかりと進めてまいりたいと思います。野上委員のご意見はしっかりと参考にさせていただいて、事業を進めさせていただきたいと思います。
楠田会長
ぜひ、法的な基準とか、条例の基準を満足しているから、ぎりぎりまで上げていいとおっしゃられないで、一番、環境の影響の少ないところを選んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
事業者
ありがとうございます。しっかりと進めてまいりたいと思います。
楠田会長
それでは、次のご意見を頂戴いたします。上田委員。
上田委員
このパワーポイントの26ページ目になると思います。人と自然のふれあいの場として、洞海湾の奥の海岸というのが出ています。その付近に、名前は忘れたのですけれども、塩生植物の保護をしているグループで、共立大学の先生がされる、シバナがあるのです。バードウォッチングをターゲットにしていますけれども、バードウォッチングだけではなくて、塩生植物を保護したり増やしたり、清掃活動をしたりしているグループとか、そういう活動もありますので、それも少し入れておいていただけたらと思います。
事業者
了解いたしました。
楠田会長
他にございませんでしょうか。それでは、ご意見ございませんので、これで「黒崎バイオマス発電施設整備事業に係る環境影響評価」の方針の審査を終了いたします。どうもありがとうございました。
「(仮称)新・日明工場建設事業計画段階環境配慮書」の審査
楠田会長
どうも、ご説明ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に関しまして、まずご質問を頂戴したいと思います。そのあとで、ご意見を頂戴いたします。どうぞ、ご質問からお願いいたします。それでは、河野委員。
河野委員
ただ今のご説明の中で、大気のお話がございました。大気の中で、この地域が、光化学オキシダント及びPM2.5の環境基準に適合できていない地域だというお話がございました。そのグラフがパワポで1枚付いていまして、3-11のページに、平成18年度から推移のグラフがございます。
それで、考え方なのですけれども、光化学オキシダントのグラフを見てみますと、現在に近づく平成27年度くらいまでのデータは、22年くらいから安定ですよね。ただ、突出しているのが19年度くらいです。通常、同じような運用している地域であればここに差がないはずなのですけれども、ここに山がある。一方、二酸化窒素(NOx)のほうを見てみますと、大きな変動というのはありません。平成19年といったら多分、北九州市で光化学スモッグ注意報が10年ぶりに観察された年で、2007~2009年の3年間発令されましたが、その時期に一致しているのではないですか。そうすると、その時の光化学オキシダントは、地域で発生するNOx由来ではなくて、越境汚染、つまり海外、大陸で発生したものが、海上で日中紫外線によってオゾン等に変化したものが、北九州に到達したものをカウントしている上振れなので、この地域でいくら削減しても、削減効果がない部分として見積もらなければいけないものかなと思います。こういう地域ですよというふうに特徴として表す場合、もう少しそういう背景も書かないと、努力しても到達できないものというのがあります。よそから来るものはこの地域ではどうしようもないです。努力しても仕方がないものに対して、無駄な努力をするのではなくて、この地域でできることに限定できるような議論にするために、何かそういう書き方の配慮ができないかなと思いました。その辺をどう考えるか教えてください。
事業者
今、ご質問があったように、平成19年は、久しぶりに光化学スモッグの注意報が出た年だと思っています。これも、私は越境由来によるものが多いのだろうと考えております。越境由来が原因だとしたら、我々ができることは限られてくると思います。
河野委員
できる範囲のことを、できるだけ具体論があって、峻別する必要があるのではないかと思うのです。
事業者
今のご指摘を含めて、これは配慮書の段階ですから、これから詳細な設備の設計とか行っていく段階で、ご指摘の内容を踏まえた形で、より検討してまいりたいと思います。
河野委員
これが地域の特徴ですということよりも、多分、他の地域でこういうデータを出しても、この都市が突出なのですね。別の地域でやっても出るものを、この地域の特徴ですよという書き方は違和感があったのです。西日本のほとんどの地域でこういう年度の変化はしているはずなので、地域の特性と区別していただきたいと思いました。
事業者
データは、どのデータを採用するか等も含めて、考えたいと思います。
河野委員
お願いします。
楠田会長
ぜひ、今のご質問に対しまして、方法書の段階でお示しいただければと思っております。
それでは、次のご質問を頂戴いたします。樋口委員。
樋口委員
事業計画の概要で、竣工から26年を超えるということなのですけれども、施設規模を見ますと、現在が600tで、新工場が最大600tというふうに書いております。おそらく3炉ということですので、200t炉を3炉だと思いますけれども、同じ規模の工場を作られる理由ですね。26年前に比べると北九州市の人口は減っておりますし、ごみ量もごみ減量化傾向でかなり減ってきているはずですけれども、そういったことを踏まえた600tにされた理由があれば教えていただきたいというのが1点目です。
もう1点が、廃ガスの濃度ですけれども、現行の日明工場の排出基準値に対して、4分の1くらい低い値になっているのです。低いほうがいいのでしょうが、このようにされた理由を教えていただきたいと思います。2点、お願いいたします。
事業者
まず1点目の処理能力の件でございますけれども、委員ご指摘のように、人口減少傾向もございます。また、北九州市としてもごみ処理に積極的に取り組んでいるところでございます。これからごみの量は減っていく方向にあるというのは、十分認識しております。では、何tの施設がいいのかというのは、今検討中でございます。まだ正式に決まったわけではございませんが、恐らく減ってくる傾向にあるのではないかということは考えております。では、具体的に何tかというのはまだ答えが出ていないところでございます。現在のところでは、最大600tという書き方になっていますけれども、これを超えることはないだろうということで、この配慮書を出させていただいております。繰り返しになりますけれども、コストの面からもそうですし、ごみ量の面からも、その点に関しては適切な能力にしたいと考えております。
それと、廃ガスの規準値の考え方でございますけれども、確かに基準よりかなり低い値になっております。ただし、平成19年から稼動しています、市内の中で最も新しい新門司工場がございますけれども、その基準をベースにしたものでございます。やはり、新しい工場が既設の工場より高い基準値になるのは、なかなか方向性として見出しにくいところでございますので、現在のところ、本市の最新の工場の基準値をベースに考えて、NOx、SOx、HCを含めてですけれども、こういう基準値で考えているところでございます。
樋口委員
ありがとうございます。そうしますと、処理能力が、もしかしたら最終的には500tとかになる可能性もあるということですよね。そうしますと、例えば湿り排ガス量なども、最近の性能のいい炉の値を使われていると思うのですけれども、これも当然減ってくるということになりますよね。そうすると、今回、排ガスのほうで、一部、煙突の高さを想定したシミュレーションもやられているようなのですが、それも変わってくるということでよろしいのでしょうか。
事業者
ご指摘のとおり、能力が変われば排ガス量も変わってきます。ですから、能力が決まった段階で、また今回の検討については、再度予測し直すということになろうかと思います。最大600tということで考えていますので、これ以上の値になることはないのかなと思っております。
樋口委員
それに関連するのですけれども、配慮書というのは計画段階の配慮事項ということですので、位置、規模、構造について、この段階でやるということです。位置の話は先ほど少しご説明がありましたけれども、規模も、例えば最大600tということではなくて、500tにした場合とか600tにした場合とか、それが配慮書の手続きで重要なところではないかと思います。構造については、煙突の高さということでよく分かるのですけれども、特に大気環境への影響があるところだと思います。配慮書の段階である程度、規模というのは決めておかないといけないのではないかと思っていますが、その辺はいかがなのでしょうか。
事業者
先ほど言いましたように,現在のところ、どのくらいの能力にするかというのは決まっていない段階でございます。幾つか案を考えて、何tで考えたらいいのか、想定していなかったというのは事実でございます。
樋口委員
分かりました。その辺、できれば早めに検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。
事業者
ご指摘、ありがとうございます。
楠田会長
私のほうから1点お教えいただきたいのですが、処理能力と書かれているときに、現在の日明が600tというのは、設計上の能力が600tなのですか。それとも最大焼却で600tなのですか。
事業者
設計時の設備の能力として、600tになります。
楠田会長
最大、いくら燃やせるのですか。
事業者
現在、600tを超えることはございませんけれども、3炉あって1炉200tでございますが、180~200tくらいで今現在処理していると思います。
楠田会長
ありがとうございます。他に、ご質問ございましたらお願いいたします。岡田委員。
岡田委員
環境影響評価とは直接関係ないことですけれども、2-7の施設の概要というところで、「性能発注による民間製造業者の技術提案」と書いてあるのですけれども、これから複数の民間業者に提案させるということですか。
事業者
委員のご指摘のとおりでございます。国内で実績のあるメーカーにお声掛けして、いろいろな処理方法、お金も含めてご提案いただいて、中身について検討するということでございます。
岡田委員
物理的な性能評価はいいですけれども、先ほど見学させていただいて、説明にもありますように、ここは工業専用地域でもあって、周辺は工業地帯で、自然環境であるとか歴史的・文化的景観は存在しないので、今回はこういった大気質のみ考慮したというご説明だったと思います。10年後に完成するということなのですけれども、これからの新しいごみ処理のあり方といったことも、民間業者、製造業者の発注の項目に入れていただければと思っております。世界に目をやれば、ご存じかと思うのですけれども、コペンハーゲンでは屋根をスキー場にしたりとか、いろいろな試みがなされています。スキー場にしろとは言いませんけれども、ただ、あの周辺は非常に殺伐とした環境でもありますし、何か新しい試みがあってもいいのではないかということと、市民にごみに対する啓発をするという意味でも、何かシンボルになるような提案があってもいいのかなと思いました。そこら辺、考慮していただければと思います。
事業者
今のご指摘ですけれども、我々はこの新しい工場をつくるにあたって、一応3つのコンセプトを考えております。1つは、当然ですけれども、市内に発生するごみを適切に確実に処理するということ。それから、災害対応力の強化ということで、何か災害があったときも稼動できるということで対応したいなと考えています。あと、他の都市のごみも受け入れていますけれども、それも安定して受け入れたいなと思っていますので、それを踏まえた形で行いたいと思います。当然、今ご指摘のあった環境に配慮というか、そこら辺も含めた形でご提案をいただくつもりで考えておりますので、そういうことも考慮してつくりたいと思っています。
楠田会長
それでは、門上委員。
門上委員
1点質問、1点お願いです。質問ですけれども、廃棄物の焼却灰とか飛灰は燃やした量によって決まってくるのでしょうけれども、性能がよくなれば完全に燃えてしまうので、量が減るのかどうなのかというのが1点。
あと、排ガスの処理の時にいろいろ、脱硫装置とか付けると思うのですけれども、そこら辺で廃棄物の量がどういうふうになるのかということを教えていただきたいのが1点。
それともう1点が、排ガスですけれども、現在の工場の水銀の排出濃度が書いていないのです。将来については、基準値を守ると。基準値は30mg/立方メートルなので、メーカーのほうは、これはギャランティにしましょうということなのでしょうけれども、日本の場合、水俣条約が出ていて、水銀の発生量をなるべく抑えようという形になっています。水銀の発生量というのは、ごみに含まれているもので決まってしまうので、なかなか自分たちでコントロールできないというところもあると思うのですけれども、水銀の発生量をできるだけ少なくするような形にしてもらえれば、よりいいのかなという気がします。
事業者
まず、最初のご質問で、主灰・飛灰の量はどうなるのかというお尋ねですけれども、今、想定している量としては、現在の工場から発生する量とあまり変わらないのではないかと考えております。これも、ごみ処理能力、処理方法などが確定すれば、また値が変わってきますけれども、今現在より増えることはないと考えております。
次に水銀についてですけれども、委員ご指摘のとおり、当然低く抑えるべきだと考えております。確か、来年の4月から法が改正されて、それ以降の新しく造られた施設は30 mg/立方メートル、それ以前のものは確か50 mg/立方メートルだったと思うのですけれども、50 mg/立方メートルでいいという考えではなくて、あるいは新しい施設は30 mg/立方メートルでいいという考えではなくて、少しでも下がるように当然、設備面・運用面で対応は進めたいと考えております。
門上委員
現工場で測っていないので、私は分かりませんけれども、新工場の場合は恐らくこういう設計値なのでしょうか。同じような施設がもう既に動いていて、ごみの組成が日本各地でずいぶん違うわけでもない、一般廃棄物だから変わらないと思うので、何かそこら辺で下げられる工夫ができるのではないかという気もするのです。ものすごくお金がかかるのであるならあれなのでしょうけれども、他の有害大気汚染物質については、10分の1とか何分の1とか随分少ないですよね。基準値は守らなければいけないですから、それ以下にするのは当たり前のことなので、水俣条約という名前も付いていますから、ぜひそこら辺はお願いします。水銀の発生量がどんどん増えていくと、今でもマグロなんかはあまり食べないほうがいいよというふうに、厚生労働省から、妊婦さんや若い女性についてはサジェッションが出ているので、可能であれば、できるだけそういうふうに努力をしてもらえるように、メーカー側にお願いしていただきたいと思います。
事業者
当然ながら、下げるように努力したいと思っています。ありがとうございます。
楠田会長
他に、どうぞ。豊貞委員。
豊貞委員
質問ですけれども、環境配慮書の5-5に、ダイオキシン類の経年変化がありまして、直近の平成27年は少ないのですけれども、例えば平成26年のところで黒崎の観測局で上がっているとか、すごくばらつきが大きいのです。この辺は何らかの紐付けというか、例えば生ごみの量が多かったとか、焼却炉の温度の問題とか、そういったところの知見などはお持ちでしょうか。
事業者
5-5の一番下の表に、ダイオキシン類の経年変化というグラフがあって、このことだと思うのですが、確かに26年は黒崎でどんどん跳ね上がっています。これは工場での値ではなくて、市内にある、若松、松ヶ江、企救丘、黒崎の4地点の値になっています。ですから、工場と関係あるかの紐付けは一概には難しいのかなと思っております。工場におきましても、ダイオキシンを測っておりますけれども、当然、26年が突出して上がったということはございません。
豊貞委員
基本的に、どの年度においてもばらつきが大きいということなのですか。
事業者
先ほど言いましたように、直接、工場の操業に関係しているものとは考えておりません。工場以外にも、黒崎地区でございましたら民間企業もございまして、いろいろ要因があるものと考えております。必ずしも、工場によるものではないと思っております。
原口委員
同じくダイオキシンです。事業計画の概要のところで、法令基準は0.1で、現日明工場は1となっているのですけれども、守られないようなことがあるのですか。
事業者
手元に資料がないのですけれども、日明工場ができた当時の基準では1だったと考えております。ですから、新しく造るときは、当然、0.1という基準で対応すべきものだと考えております。
原口委員
ありがとうございます。
楠田会長
他に、全体を通しまして、ご発言ありましたら頂戴いたします。はい、どうぞ。
野上委員
このあと、もちろん方法書に進まれることになると思うのですけれども、例えば大気汚染に関しても、恐らく59mの煙突でも、非常に濃度は低いとなってそれを選んだときに……要するに報告書の中で配慮書の結果も書いたりするのですけれども、先ほどいろいろな委員の方からの質問とか、私が現地で質問したこととか、そこの段階でより丁寧に説明を書いていただきたいのです。
例えば、先ほどの59mの煙突でもいいといったときに、A案・B案と比べた値も、ここに書いていただけると思うのですけれども、1個はリプレースなので、現行の煙突から出ている値と、今度リプレースする、例えば59mになったとしても、もともと出る量は少ないので、恐らくは数分の1に下がるはずです。だから、リプレースを行うと、十分今よりは下がりますよということになります。今、原口委員からご質問があったように、法令と書いているけれども、何年の法令のことを言っているのか。例えば、私も現地で質問させていただいたのですけれども、水銀の値が片方ないと。例えば、普通の市民が見たときに、今出ていないのに今度は出るのかと思うこともあると思うのです。そういうのは丁寧に説明していただければと思います。
それと、最初のほうに、河野委員のほうから将来を見越してとありました。私、十数年前まで横浜に住んでいたのですが、横浜ではこの手のある意味迷惑施設の周りには、必ず、ものすごく大きな流れるプールとか、市民が憩う場が必ず作られています。もちろん、普通の焼却場を住宅地の中に造ることも、横浜でもあるのですが、それもさることながら、最後にできたのは埋立地なのです。鶴見の埋立地の突端で、翼橋とかベイブリッジがよく見える所に、焼却施設だと思うのですけれども、ばかみたいに大きなプールとか、温泉みたいな設備を作ったのです。わざわざ、みんな30~40分かけて車で行くのです。だから、政令指定都市くらいの規模であれば、結構そういった所があります。特に関東は、もともとごみ戦争が起こった場所だったので、そういった施設がいっぱいできたと思うのですけれども、そういったのも参考にしていただきたいと思います。
逆に私は、16年前にここに来たときに、焼却工場がいっぱいあって、いろいろ最新施設を自慢している割には全然プールもないではないかと思って、なぜここはないのだろうと思ったこともあったので、ぜひご検討いただければと思います。これは単なる要望ですけれども、よろしくお願いします。
事業者
要望、ご意見、ありがとうございます。まず1点目の、次に向けてのより分かりやすい資料ということで、当然、用意して対応したいと思います。
2点目のプールのお話でございますが、お金がどこまでかかるということにもつながってきます。その中で、極力いいものを造りたいという思いは当然ございますので、プールができるかどうかは分かりませんけれども、いろいろ対外的にアピールできるようなものをぜひ作っていきたいと考えております。
貴重なご意見、どうもありがとうございます。
楠田会長
他にご発言ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ご質問ございませんので、これで「(仮称)新・日明工場建設事業に係る計画段階環境配慮書」の審査を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
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