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第35回議事要旨(平成28年1月25日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000136383

1 日時

平成28年1月25日(月曜日)13時50分-17時00分

2 場所

ホテルクラウンパレス小倉「アルタイル」

3 出席者

委員
 
穴井委員、門上委員、河野委員、川本委員、勢一委員、楠田会長、薛委員、
 竹松委員、野上委員、原口委員、森本委員

事業者
 
響灘火力発電所(仮称)建設事業:株式会社響灘火力発電所
 新門司沖土砂処分場(2期)公有水面埋立事業:国土交通省九州地方整備局

事務局
 
環境局環境監視部環境監視課(環境監視課長他1名)

4 議題

(1)「響灘火力発電所(仮称)建設事業環境影響評価準備書」の審査
(2)「新門司沖土砂処分場(2期)公有水面埋立事業環境影響評価準備書」の審査

議事要旨

(1)「響灘火力発電所(仮称)建設事業」準備書の審査

楠田会長
 それでは、審議に入らせていただきます。
 審議に入る前に、ご意見等を委員から頂戴していましたら、紹介をお願いいたします。

事務局
 本日欠席の弓削委員から質問が1点ございますので、申し上げます。
 「フライアッシュやボトムアッシュはなるべく有効利用するとのことですが、どの程度、何パーセントくらい有効利用を見込んでいるのでしょうか」という質問が出ております。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、ただ今の意見について事業者から回答を頂戴いたします。

事業者
 今のところ、フライアッシュ、ボトムアッシュとも、我々の発電所予定地の道路を挟んで対面にあります企業に全量を引き取ってもらうことで、お話させてもらっています。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、早速、審議に入らせていただきます。委員の皆様方、ご質問、ご意見がございましたら頂戴いたします。門上先生、お願いします。

門上委員
 ご説明いただいた資料の(準備書2-19ページ)、「冷却塔の管理」についてですけれども、防食剤、防スケール剤、防スライム剤を冷却塔の中に入れてお使いになると思います。この使った後の水は、排水処理をされて、一部は出て行きますので防食剤、防スケール剤、防スライム剤が有害なものだとまずいと思うのですが、どういうものをお使いになるのでしょうか。

事業者
 この防食剤、防スケール剤等については、当然、有害性等もチェックしながら、適切なものを考えていますけれども、具体的には、このメンテの会社、メーカーを選定いたしまして、そこと協議の上、使用の種類等、適切な対応を行ってまいりたいと思っております。

門上委員
 冷却塔から出てくる水は、1日3,000立方メートルくらい出るのですか。

事業者
 はい。排水口では最終的に1日当たり3,800トン出ます。

門上委員
 この防食剤等は、いろいろな化学物質が入っているのではないかと思いますが、それがそのまま洞海湾に出るのでしょうか。

事業者
 3,800トンの水自体は、排水槽の中で排水処理しますので、そういう有害物質はなるべく出ないようにと考えております。

門上委員
 処理方法というのは、凝集沈殿、ろ過だとかですね。
 その処理方法で、水に溶けているものが取れるのですか。

事業者
 大丈夫だと思うのですが、まだ具体的には。先ほど説明しましたように、水処理会社等も含めて、これから選定して、対応していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

門上委員
 従来の発電所というのは温排水が出ることが多いが、最近、他のアセスも含めて、冷却塔方式の施設が2つできますので、そういうものが入ってきたときにどうなるのかが心配なものですから、ぜひ調べてください。

事業者
 はい。ご意見、ありがとうございます。

楠田会長
 次の段階の時に反映していただけるということでよろしいですね。

事業者
 はい。次の段階で検討して、反映します。

楠田会長
 よろしくお願いします。それでは、野上委員お願いします。

野上委員
 大気質と温室効果ガスに関して、市長意見へのご対応をいろいろやっていただきまして、ありがとうございました。
 まず、大気質のほうですが、準備書の2-12ページの「ばい煙に関する諸元」で、窒素酸化物、硫黄酸化物等の計画排出量の記載があります。これは、最大でこれくらい出ることがあるという量だと理解していますが、実際に運転時にはどれくらいの量になるのでしょうか。窒素酸化物で言うと、例えばこれの半分くらいで収まるのかどうか。
 と申しますのは、準備書2-13ページに、「乾式アンモニア接触還元法」をご説明していただいていますが、この留意点のところで、「本施設では、自動検知器でNOxを測定し、過剰なアンモニアの発生を防ぐ」と書かれています。ということは、現場で常時測っていて、それに合わせてアンモニアの量を調整するので、当然管理基準があり、例えば、通常運転している時のNOxは、最大値は40ですから、20とか30とか、そういう値を設定して運転すると思うのです。トラブル時ではなくて、通常運転時にはどれくらいのレベルで管理されているでしょうか。

事業者
 実際に、NOxは石炭の中に入っているN分によって変わりますけれども、先生からご指摘のありましたように、通常運転中はNOxの量を見ながら、残留アンモニアの量を監視しています。したがって、NOxがある程度、規制が守れるようであれば、アンモニアの量はどんどん減らしていくということで、考えています。
 実際のNOxですけれども、石炭の中に入っているNOxの量が、まだ分からないので、何とも言えないのですけれども、多分、40ppmよりはかなり下の、30とか、そういう辺りで運転できるのではなかろうかと考えています。

野上委員
 もう1点、熱効率を高めるため、近隣企業への蒸気の供給を検討するということですが、これは実際にどれくらいの量を供給される予定なのでしょうか。確か数字は間違ってないと思うのですけれど、類似設備のアセスでは、蒸気発生量は1時間あたり355トンという数字が出ていて、今回、この響灘火力の場合が385トンという数字です。そうすると、30トンくらいを供給するというようなイメージなのでしょうか。

事業者
 今、最大30トン供給できるくらいの設備で考えています。実際に供給できるのは、引き取っていただける企業さんの受け取りによりますけれども、1時間あたり約10トンくらいの蒸気を引き取っていただこうと考えています。

野上委員
 他の資料を見て計算すれば、大体それくらいかなという数字が出てくるのですが、程度が全く分からないので、この報告の最後の段階では、ある程度の数字は書いていただきたい。

事業者
 はい、分かりました。記載いたします。

野上委員
 もう1点いいですか。
 今回、大気質で複合影響を評価されたというのは非常にいいことなのですが、ここで、数字のことで少し確認しておきたいのが、今日のスライドで言うと、28番のスライド(準備書 資料-5ページ)です。
 これは、他事業のコークス工場の施設を3カ所追加して計算されているので、今回の響灘火力発電所単独の場合よりは、寄与率が1.4から3.8まで上がっています。コークス工場は確かラインが3つなので、それを計算されたと思うのですけれど、実際としては、確か今2ラインくらい動いていて、既に排ガスを出していますよね。
 ということは、このバックグラウンドの中にコークス工場の稼働中の分は含まれていて、それは差し引いていないため、非常に大きい、最大の数字を出している。要するに、本当はバックグラウンドの中に含まれている寄与量も計算しているというふうに見てよろしいですか。

事業者
 今回の予測では、増設される分についてのみをコークス工場からの複合影響として予測しており、現在稼働しているものについては、既にそのバッググラウンドとして加えております。

野上委員
 そういうことですか。図に3カ所の煙突があったのですが、これは増設するラインがたまたま3カ所あり、そこからNOxが出ているということなのですか。

事業者
 コークス工場のアセスは、リプレースではなくて単純増設だったので、既存の稼働の分はバックグラウンドに入っています。それで、増設分をさらに負荷を上乗せしたというアセスになっています。

野上委員
 コークス工場は、古いラインは止めると理解していたのですけれど。NOxを抑える装置は古い装置には付いてなくて、新しいものができたら、古いものは一応止めると。
 ただ、今回は純粋に増設のアセスした時のデータ、仕様があるから、それをそのまま使って複合影響を評価したということですね。

事務局
 情報としては、コークス工場は、既設の分は既設で動かして、さらに増設をするという計画で聞いていまして、まだこの増設計画は、着工はしてないのですけれども、計画は消えてないということです。予測上は増設分のみを追加でシミュレーションをやってもらっています。

楠田会長
 河野先生、お願いします。

河野委員
 市民意見で、微粉炭を使用することによって施設外に飛散するというような懸念が寄せられておりました。その対策としては、屋内の貯炭場を使うということと、散水をするということを説明していただきましたけれども、散水というのは屋外にするということでしょうか。
 また、散水をする場合、近隣のコークス工場では、例えば水だけだと効果が薄いため、防じん用に界面活性剤を使った泡でコートするなどをやられていると伺っています。
 防じん対策として、散水などに関して、もう少し詳しく教えていただければと思います。

事業者
 近隣のコークス工場から石炭を受け入れますが、大体400mくらい離れている所からです。それで、コークス工場では、敷地から石炭を持ち出さないように、トラックが出る前にタイヤ等を綺麗にクリーニングします。それから、実際のダンプトラックの荷台にはカバーを付けるとか、今、先生がおっしゃられたようなコーティング剤を散布して、飛散しないようにするというような話を聞いております。それで、我々の所に入ってきた時は、そういう状態でトラックを受け入れて、建屋の中にそのまま受け入れまして、荷下ろしをするということを、考えていますので、道路上に飛散する可能性というのは非常に低いと考えております。

河野委員
 ということは、散水という作業というのは、コートする作業等は特に含まないということですか。

事業者
 はい。発電所の中では荷下ろしだけなので、含んでおりません。逆に、今度はトラックが荷下ろしした後、外に出て行く時も、タイヤの散水はして、タイヤに付いた石炭等は洗い流すということで、今、考えております。

河野委員
 ありがとうございます。もう1つ、いいですか。ご説明の中で、伐採樹木を100トン、産廃に出されるという話がありました。これは、例えばバイオマスとして混ぜ込むというようなことは難しいのでしょうか。できるだけ、ゼロ・エミッションではないですけれど、出ていかないような対策が可能かを検討いただければと思います。

事業者
 我々も、そういうお話があったものですから、いろいろ考えたのですけれども、なかなか、生木や草をバイオマスに混ぜるというのが、難しいのです。これは発電所の整地をする時に出てくる草木だけなので、その分については、どこか、この近隣で有効利用できる所があればと思うのですけれども、今のところ、まだそういう処理をしてくれる所、有効利用できる所が見つかっていないので、取りあえず産廃に回すということで、考えています。もし有効利用できるということがあれば、考えていきたいと思います。

河野委員
 ありがとうございます。

楠田会長
 原口先生、お願いします。

原口委員
 バイオマスを最大限、可能な限り高くするということなのですけれども、定期的に輸入できるような手はずはもう整っているのでしょうか。

事業者
 バイオマス自身は、取りあえず設備的には30%、連続で使用できるような設備にしております。ただ、まだ今から、検討を含めていろいろ探っているのですけれども、調達先が一番問題ではないかと、思っております。今のところは、北米産、それから、ベトナム辺り、東南アジア辺りのバイオマスにしようと思っているのですけれども、安定供給がなかなか難しくて、今、一生懸命その供給先を探しながらやっているところでございます。まだ少し時間があるので、その辺をしばらくやっていこうかと思っています。

原口委員
 最後に、「白煙防止装置を設置する」と書かれていますけれども、具体的に言いますと、どんな装置を考えられているのでしょうか。

事業者
 排ガスを使って蒸気を暖めて、それで白煙を消していくというようなことを考えています。
 ですから、白煙防止のために、熱を加えるためにエネルギーが必要です。だから、最終的には、夏場はいいと思うのですけれども、冬場のエネルギーを減らすために、白煙はほとんど水蒸気で環境上問題ないので、どうするのがいいのと、今、少し悩んでいるところではあります。設備的には、白煙防止装置は付けるようにしています。

原口委員
 もう1点。先ほど門上先生から言われた、スライム防止剤等なのですけれど、排水処理には最後に活性炭を付けるようにはなっているみたいですけれども、やはり、それだけでは処理できないものがあると思うので、そういう試薬といいますか、内容とかが分かりましたら、ぜひ、お願いいたします。

事業者
 勉強いたしまして、次の段階で反映できるようにしてまいります。

楠田会長
 それでは、竹松先生、お願いします。

竹松委員
 大気質とか水質の予測値に関して、例えば環境基準があるものに関しては、予測したときに、それに対して、超える・超えないというのでいいということは分かるのですけれど、例えば、水質に関するものとか、水温に関するものは、どれだけ増えたということに関しては、ここでは「現況値と比べて十分小さい」という形で言っています。何パーセントだったらとか、何度だったらという基準があるのでしょうか。でなければ、何か基準がないと、小さい・大きいというのは非常に勝手な判断ということになると思うのですけれど。

事業者
 特に水温につきましては、環境基準とか排水基準はございませんで、あえて申し上げますと、これは基準ではないですけれども、事業によって1度上昇すると、生態系に影響が及ぶ恐れがあるというようなことはよく言われまして、大きな発電所のアセス書などでは1度というのを1つの目安にしておられます。それに比べると、2けた低い基準になってございます。

竹松委員
 水温に関してもそうですが、排水は海水ではなくて真水が出てくるのですね。

事業者
 そうです。

竹松委員
 ここには、それによる濃度の違いとかいうのも出てきていないのですが、恐らく、水温の1度というのは、生物にとっては結構大きいのかなという事は、私も常々ここで言っているのですけれど。ですので、この案件だけではなくて、全体として、ある程度の基準をみんなで考えていって、リーズナブルな温度とか基準で、十分小さいとか、どうかと言ったほうがいいのではないかと思います。

楠田会長
 貴重なご意見、ありがとうございます。他にご発言はございませんか。
 それでは、勢一先生、お願いします。

勢一委員
 今回の準備書に関しまして、説明会は行われているのでしょうか。
 それともう1つ、近隣の住民の方への影響という点で、例えば騒音につきましては、スライドナンバー31番(準備書8-2-1ページ)で調査地点の位置を拝見しますと、準備書3-73ページに「配慮が必要な施設」の図があるのですが、確認しますと近くに社会福祉施設が複数あるようでして、また、その幹線沿いにも少なからず施設があります。
 住民からの市民意見としては1件しか出ていないのですが、この騒音の数値などを見ますと、もともと交通量が多い場所だとは思うのですが、環境基準を超えてはいないですけれども、ほぼ環境基準くらいの、比較的騒音被害にさらされやすいような環境であることは、データから分かるのかなと思っていまして、事業地が少し離れているものですから、もしかしたら、地域の住民の方は、こういう影響があるということをご存じないのではないかという懸念を少ししております。近くの施設や住民の方への影響という点はどのくらい考慮していただいているのでしょうかというのが2つ目です。お願いいたします。

事業者
 まず、住民説明会はやっておりまして、若松市民センターで行い、30名ほど、住民の方にご参加いただいております。
 調査地点につきましては、事業者の事業による交通量が一番多く通る所、全ての工事事業車両が通る路線上にしてございます。福祉施設につきましては、この道路に沿った所にはないのですけれども、できるだけその近くで、あと、騒音の機械とかを置けるスペースの関係もありますので、安全上支障がない所で調査を行っています。運搬車両につきましても、特に供用時につきましては、埋立地内で燃焼灰の搬出をとどめるようにしまして、一般道を通らないようにするなど、発生交通量を抑えるということで、影響を低減するように配慮しております。

楠田会長
 他に発言はございますか。
 それでは、ご発言がございませんので、この件につきましては、これで審議を終えさせていただきます。

(2)「新門司沖土砂処分場(2期)公有水面埋立事業」準備書の審査

楠田会長
 それでは、まず、欠席されています委員からご意見を頂いていましたら、事務局から紹介をお願いいたします。

事務局
 ご説明いたします。お手元の資料のとおり弓削委員から5点の質問をお預かりしています。
 1点目と4点目については、準備書P.7-4-217、218に関するSSの現況再現についてです。これは、モデルの現況再現をするにあたって、地点選定の考え方についての質問でございます。時間の関係で、事業者の回答も簡単に紹介しますと、「5年分の平均値が利用できる点を広域で選定した」という回答です。
 質問の2点目と3点目については、現況再現の際に、年平均ではなく夏季のデータを使用した理由についての質問です。これについては、事業者のほうから「水質が最も悪化する時期を対象とした」という回答です。
 最後の5点目ですが、COD、T-N、T-P、溶存酸素(DO)の現況再現結果が、項目によってばらつきがある理由について質問が出ております。この回答については、「このモデルは複数の生物・化学パラメータが連動、かつ、各水質項目が複雑にリンクした計算となっているため、地点間、水質項目間でばらつきが出る。予測対象海域全体での再現性や項目の再現性を図れるパラメータを調整して、現況再現を行っています。その結果として、全体的にリンが高めの再現となっています」という回答です。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、審議に入ります。はい、門上委員。

門上委員
 本事業における工事期間は20年間ということですが、それが終わったら、また他の場所に新たな処分場を建設することになるのでしょうか。

事業者
 今回の処分場につきましては、関門航路(-14m化)事業、北九州港の新門司航路(-10m化)事業、そして苅田港の航路(-13m化)事業、これらの事業のために必要な容量を設定しています。ですから、この3つの航路の事業が終われば、基本的には、その後はこれらの事業による土砂は発生しないということでございます。

門上委員
 航路を1回つくってしまえば、航路を維持するために毎年定期的に掘るのではないでしょうか。

事業者
 基本的に、埋没という現象はおこらないことはないですが、そういったところについては、埋没対策を別途検討して、対策を講じてまいりたいと考えております。

門上委員
 洞海湾の中では、毎年、航路を維持するために土砂を掘っていたような気がします。もし埋立地をまた新しく建設するとなると、埋め立てる場所も非常に難しくなると思いますし、環境影響も大きいですから、例えば、初めから埋立地の地盤高を高くして、あと100年くらいもつような埋立地にするというようなことはできないのでしょうか。地震があれば、苅田などでは10mくらいまで津波が来るということですから、そのようにした方が経済性もあるでしょうし、環境に及ぼす影響も少ないと思いますが、そのようなことは考えられないものでしょうか。

事業者
 基本的に、現事業にける必要最小限の土砂処分場の容量ということで、進めているところでございます。

楠田会長
 多分、お立場上、今現在でははっきりご回答できないのかもしれません。
 私のほうから解説いたしますと、1つ目は、航路がある限り、浚渫は未来永劫、山から土砂が流れてくる限り永遠に続きます。必ず浚渫して、土砂をどこかに上げなければいけませんし、必ず他の場所につくらないといけません。

2つ目は、年々船の大きさが大きくなっていますから、必要に応じて、一昔前は-14mとか言っていましたが、近年は港の中でも17mとか20mといった深さを平気でどんどん掘らないといけなくなってくるため、いわゆる船の型式が変わってくるとともに、必ず土砂は掘らないといけません。そうしなければ、日本に物資が入ってこなくなりますし、それが未来永劫続きます。事業者としてははっきりおっしゃられなくても、土木工学的には、原理的にはそうなっています。

事業者
 埋没につきましては、極力埋没しないような対策を講じていきたいと思っています。

門上委員
 といいますのも、北九州の周辺海域は、響灘も含めて、既に沢山埋め立てられています。
 ですから、海を大切にするのであれば、やはり、もう少し長く持つような埋立処分場にするように、初めから考えておかなければ、同じような埋立をまた20年後に繰り返すことになります。軽微な影響であると言っても、軽微なことが4回も5回も続けば軽微ではなくなりますから、そういう根本的なところを少し考えてもらいたいです。特にこの曽根干潟は非常に重要な環境ですから。今さら言ってもどうしようもないかもしれませんが、よろしくお願いします。

事業者
 施設整備につきましては、できるだけ限られた予算の中でやっております。また浚渫土砂につきましては、できるだけ減容化あるいは有効利用についても考えていきたいと思っております。

楠田会長
 お答えしづらいことだったと思いますが、地盤を上げるということは、もう既に必死に考えた後です。極力地盤高を上げて、極力コンパクトに詰めていくという方針であります。浚渫土砂の場合はそうですけれども、他にも陸上からの建物のがれきだとか沢山出てきますから、それをどう処理するかということは地域全体の、また別の問題も抱えていることになると思います。
 どうぞ、ご質問がございましたら、お願いいたします。竹松委員、お願いします。

竹松委員
 今の話に少し関係するかもしれませんが、水質についてご質問いたします。
 資料を見ると現況で既に環境基準超えのものが結構出ていますが、まず1つ目は、既に環境基準を超えている場所に何かを作って変化するかということを評価する際には、どのような判断基準をとるのかというのが1つです。
 それから2つ目は、いつの段階で環境基準を超えたのかということです。第1期事業の時のアセスのデータもあるでしょうし、空港ができる前のデータもあるでしょうから、そういう以前のデータを追っていくことによって、本当に影響が軽微といいましても、何かができるとどれだけ数値が変わっていくかということが分かるのではないかと思いますが、そういったデータが評価書等に出てくることはないのでしょうか。

楠田会長
 一般論として、環境基準は公害がひどかった頃に設定していますので、それをいかにクリアするかということが課題でした。ですから、環境基準については、汚染を減らすという観点で基準値が設定されており、理想値を設定しているケースがあります。そのため、途中で基準値を超えているということではなくて、設定当初から超えているケースがいっぱいあります。
 そして、この周防灘のこの場所には、いくら周辺で環境基準達成を頑張っても達成しないという場所が大昔からありまして、みんな頭を抱えています。結局は、環境基準を設定した時の基本的な考え方というものが、汚染がなくなったら数値が下がるというような場所であれば、高めの基準値に設定すればいいのですが、自然の作用でもってその場所に集中してくるようなケースについては、降参せざるを得ないということが実状です。

事業者
 会長、いろいろとご説明ありがとうございます。
 お手元の準備書の2冊の1のP7-4-27をご覧ください。
 こちらは、昭和56年くらいからのCODの経年変化を示してございます。赤い線は環境基準でございまして、空港島の工事を開始したのが平成6年です。周防灘海域は、先ほど会長にご説明していただいたように、空港島工事の開始以前から、このように環境基準値を超えているようなところでございます。
 それで、今回の予測につきましては、説明資料のP10にありますとおり、現況再現を行い、そのデータに基づいて、寄与率ということで工事による負荷分を示しております。準備書ではこのような記述をさせていただいているということでご理解していただければと思います。
 これらの経年変化を踏まえた傾向としましては、CODのほかT-N、T-Pなども含め、この周防灘の海域は、以前に比べるとデータ的にはやや良くなっていっています。それは、河川の改修等が進み、そこに流れ込む流入負荷が減少しているために、やや改善傾向になっているものと思われるところでございます。

竹松委員
 ありがとうございます。ただ、生物の生態などを見る立場から見ると、準備書P7-4-26の図に示す水質調査地点は、本事業の計画地の外側の海域の話ですから、曽根干潟が存在する空港島内側の海域を含めた詳細なデータや、こういった水質だけではなくて底質や流速などといったデータの変化についても、空港等ができる前、そして処分場1期できた時との比較があると、すごく分かりやすいかと思いました。

事業者
 今のご指摘の内容につきましては、今回の説明資料の中では簡単な説明しかしておりませんが、曽根干潟前面側の流速や底質の状態も踏まえて、動物、植物、生物への影響について評価しているところでございます。

楠田会長
 今のご説明の中で、空港島の工事着手は平成7年とおっしゃられましたか。

事業者
 空港島は、着手は平成6年でございます。

楠田会長
 空港島の着手、囲いが始まったのが平成6年ですね。そして、完成したのはいつですか。

事業者
 空港供用は平成18年です。

楠田会長
 平成7年以降のデータについては、空港島の存在が効いている可能性があるという理解でよろしいのですか。

事業者
 はい、そうです。

楠田会長
 その辺りから、今ご説明いただいたデータがあるということでよろしいですね。
 他にご意見がございましたら、どうぞ。穴井委員、お願いします。

穴井委員
 建設作業騒音についてお尋ねします。準備書2分冊の1のP.7-2-35に、関係する記載が載っておりますが、浚渫作業中の騒音の評価については、騒音に関わる環境基準を準用して評価されていらっしゃいます。それで、積極的にこの騒音について評価するために、より厳しい基準で評価されようとしているのかなと思っておりますが、今回の評価には、等価騒音レベル(LAeq)を使われていらっしゃいます。今回評価する騒音は、基本的には工事中の建設作業騒音ですから時間変動すると思いますが、等価騒音レベルとは、その変動する騒音のエネルギー平均をとったものです。その平均的な騒音レベルでもって、環境基準の値と比べて下回っているから、「良い」という評価をされていますが、これは、建設作業騒音が大きく変動すると考えれば、過小な評価になってしまっているのではないかと懸念しております。
 対象としている建設作業騒音が、時間変動の少ない定常的な騒音であれば、そのエネルギー平均値で評価することは妥当かと思いますが、時間変動が大きければ、その平均値が基準値を下回っているから良いと判断することは過小評価であって、もっと大きな音が発生することが頻繁にあるようであれば、大きめの指標、例えば騒音規制法で指標として使われているLA5でもって評価するなどして、安全側の評価をしていただかなくてはいけないのではと感じています。今準用している評価方法が、どこかに規定やルールがあるのであれば教えていただきたいですし、もし、その浚渫作業に伴って発生する騒音が定常騒音とみなせるような騒音であるということであれば、その旨、お聞かせいただければ安心いたします。

事業者
 騒音の予測評価については、今回、ASJ CN‐Model(日本音響学会提案の建設工事騒音の予測モデル)に従って、建設工事中の予測を行っており、ご指摘のとおり、要はLA5で評価するのか、LAeqで評価するのかというところが議論されるであろうかと思います。
 今回、民家とは離れた場所ではありますが、どうしても対岸に民家があるということで、今回の工事による、民家あるいは生活環境の上で影響があるかないかということを1つの評価指標として議論したいという考え方で、民家のところについて、LAeqということをターゲットに持ってきております。こういった場合に、通常、マニュアル等でもこういったやり方でというところがありますので、それに従ってやっているというところです。

穴井委員
 今おっしゃったマニュアルというのは、どのマニュアルですか。CN‐Modelのマニュアルですか。

事業者
 そうです。CN‐Modelのものです。確かに、変動騒音ΔLについてはどう取り扱うかというところもあろうかと思うのですが、ある程度通常の建設作業ですと、ΔLが5であるとか、3であるとか、いろいろあろうかと思います。LAeqは、エネルギー平均化されたもので環境基準と評価するという考え方ですので、あえてΔL的な考え方、要は高めには設定してないというところです。

穴井委員
 今のお話ですと、建設作業騒音を平均で評価していいとマニュアルに書いてあるとおっしゃっているわけでしょうか。

事業者
 そこまでは書いてはおりません。

穴井委員
 はい、マニュアルには、変動騒音の評価は、LA5やLmaxといったもので評価するように書いてあるように思います。
 それを、あえてLAeqを使われるというか、実効騒音レベルを使われており、この実効騒音レベルというのはもともと、最終的にLA5を出すために便宜的にといいますか、計算上まず平均値を出して、それに補正値を加えてLA5を算出するためのものであって、評価そのものに使うための指標ではありません。それをあえて、先ほど申し上げたとおり、数値としては小さくなる値を評価対象にして、環境基準と比べて下回っていると評価されていることは、どう考えても過小評価な気がいたします。ですから、LA5で再度評価し直すとか、あるいは、もともと変動の具合が十分小さいため平均で評価してもLA5で評価しても変わらないような騒音であるというようなことを示していただきたいと思います。
 要は、実効騒音レベルを環境基準と比べるという行為は、少なくとも、マニュアルに書いてないことをされているということです。

楠田会長
 また内部でご検討いただいてもよろしいかと思います。一般的に、普通に、マニュアルという書籍が出ているケースの場合には、絶対に守らないといけないというマニュアルと、ガイドラインとして使っていいという2通りがありまして、普通は「---マニュアル(案)」と書いているものは、それぞれのケースバイケースで適宜工夫できる余地があるものです。ですから、その辺りの規定を踏まえて、またご回答をいただければと思います。

事業者
 マニュアルが手元になくて申し訳ないですが、CN‐Modelの中に、確かにLA5を計算するやり方と、LAeqを予測するやり方というのが2種類示されております。それで、敷地境界で評価するときには、よくLA5を使うという方法をとり、民家の位置で、今回、環境基準と評価したいから、LAeqとして評価をしたいということで使い分けております。

楠田会長
 大きな数値が出るほうでも大丈夫とおっしゃっていただいたらいいのです。ですから、不都合な真実で、それで分かるからこちらは使いませんというふうに読み取れるような説明は、回避していただきたいということです。

事業者
 確認して適切に対応させていただきます。

楠田会長
 よろしいでしょうか。

穴井委員
 はい。ありがとうございます。

楠田会長
 どうぞ、次のご発言を頂戴します。
 すみません、私からですが、当初苅田港で埋め立てる予定だった分の土砂を持ってくるところの変更経緯をきちんと説明するように、前回の方法書における市長意見で記載していたかと思いますが、本準備書の冒頭に書かれている説明でよろしいのでしょうか。

事業者
 苅田港の土砂処分のお話でございますか。

楠田会長
 いや、可能性ではなくて、土砂を持ってくるというところに説明が欲しいということがどこかにありませんでしたか。

事業者
 準備書の2分冊の1のP.2-5、2-6です。

楠田会長
 準備書2分冊の1の、P.2-5、2-6ですね。私は、今、そこを見ながら申し上げていますが、P.2-5の下のほうに、進出企業からの依頼があるとか、強風で粉塵が出るからそれで港湾管理者と調整して空港島の土砂処分場に持ってくるという説明に、今、なっています。そうすると、土砂を新たに持ってきたときの影響度と、本来の苅田港に入れたときの影響度の比較でもって、定量的にこうだからという論理性が少ないような気がしますが、いかがでしょう。
 元の計画のままだと都合が悪いことはよく分かりました。しかし、こちらに持ち込んだときにどうなるかという論理とは別だと思います。

事業者
 準備書P.2-6の(3)の中段の、2)中の最後の2行ですが、「新門司沖土砂処分場(2期)は苅田港内での海面埋立処分に比べ、水深が深く海面消失面積を小さくでき、環境に与える影響も少ないことから、残り約500万m3を新門司沖土砂処分場(2期)に処分するということにいたしました」ということです。

楠田会長
 ええ。それで、そこの相対比較ができる説明資料はどこにあるのでしょうか。
 それは、処分場の埋立面積や、あるいは土砂処分量について、一覧表があって、例えば、それらの要因を全部合算して、こちらに持ってくるほうがトータルとして影響が少ないからこのような計画にしました、というような論理的というか、きちんと科学的に理解できる資料や説明文章が入っているほうがよろしいかと思います。

事業者
 はい。今後どのような形で対応するか、少し検討させていただければと思います。

楠田会長
 直感で考えるとそうだなと分かるのですが、その直感を支える科学的な説明が不足しているため、例えば土砂をこちら側に持ってくると、これだけ増え、こんなことが起こります・・というふうな、科学的に認識できる説明をしていただいたほうが、後々の問題が少ないと思います。基本的には、今の環境アセスは個別個別の事業で判断しますが、本来は、その地域全体の影響を考えたときには、こちらの影響が少し増えても、トータルとしてそちらがいいというケースもあるものですから、次の評価書の段階では、今のアセスのやり方を超えたところで、地域を考えるとこうしたほうがいいですよというところまで持ち込むリードを、やはり国交省はしていただいたほうがいいのではないかと思います。
 国交省が、これだけ、これだけ、と言われると、国民の信頼を得るのがだんだん難しくなるような気がします。国民を引っ張って、かくあるべきだというところで、「そこまでやります」とおっしゃっていただいたほうが、やはり、みんなが心から支援したくなると思いますので、よろしくお願いします。
 他に、ご意見はございますでしょうか。
 では、もう1件、私のほうからお願いです。今の環境アセスの本質論に近いところになりますが、民間事業などの実施に対しては、現況を悪くしない、現況非悪化という大原則が入っていると思います。しかし、今回の場合は国が実施する事業なので、現況非悪化ではなくて、少し工夫して現況がより良い方向に動くのであれば、現況改善のところまで持ち込むというスタンスを、国交省にまずお示しをしていただいてもいいのではないかと思います。現況非悪化で止めてしまうよりは、環境改善という意味からもう一歩踏み込むという、そういったコンセプトでこの文章全体を、最後の評価のところまで書いていただけると、非常に先進的で、ありがたいと思います。
 全部、「影響は軽微」で終わっていますね。国交省のアセス書ですから、軽微な範囲にとどまっているけれど、実はいい方向に向かっていますというふうな、「向けています」という文章が最後にあってもいいと思うのです。ですから、基本的には、コンセプトに関する問題ですので、進化型のアセスのほうに一歩踏み出していただくような表現をお取りいただけないかなと思います。

事業者
 浚渫土の有効活用を含めて、環境保全に係る技術検討は、取り組んでまいりたいと思っております。表現がどこまでどうできるかは、またそこは検討させていただければと思います。

楠田会長
 ありがとうございます。
 すみません、もう1つお願いなのですが、先ほどご説明いただいた、事後評価を実施しないというところについてですが、環境監視と事後調査の実効上、制度上ではなくて、実際実施される行為の内容についての差はどれだけあるのかをお教えいただけますか。

事業者
 環境監視については、環境保全に努めるという観点での調査項目を選定しております。

楠田会長
 調査項目に差がありますか。

事業者
 項目によっては、調査手法等が変わってくる可能性はあるかと思います

楠田会長
 それで、もし調査項目が大きく違うのでしたら、お教えいただくとありがたいのですが。
 要するに、国交省としての1つのルールの中で使われている用語と、いわゆる現地適応型で対応するときの行為との間に、同じ用語を使えないという制約もあるはずです。それは、私もいろいろと存じていますが、要するに、用語、単語の使い方だけの問題であって、中身は一緒だということが結構あると思います。

事業者
 事例も踏まえて、適切に対応させていただきます。

楠田会長
 はい、ありがとうございます。
 もう1件ありますが、先ほど、竹松委員からご質問があった、干潟の評価と関連しますが、潮流計算と大きな波浪の方向が、東の方から向いてくるというデータは出されていますが、大局的に見たときのデータは全くそのとおりだと思います。特にこの曽根干潟の保全に関しては、曽根干潟に入ってくる波浪のデータがはっきり示されていません。波浪の観測点が、空港島の南東側にありますが、そちら側のデータ、つまり災害防止用の波浪の観測塔を使っているデータになっていまして、いわゆる生物保全用の細かい土砂輸送を含めたところのデータと、いわゆる災害防止用のデータでは、観測塔の場所の種類が違うと思います。
 要するに、外海が大きく荒れているときに、どのくらい荒れているかという調査用のデータと、内側の内湾の奥(曽根干潟)に入ったときにどのくらいの波が来ていて、どのくらい底質を動かしてくれているかというものは、一致することもあれば一致しないこともあります。
 ですから、生態系保全用の観測データ、あるいは、シミュレーションで推算したときのデータについては、まだ十分というレベルには達していないのではないかと感じています。
 他にございませんでしょうか。それでは、第1部の審査はここで終了させていただきます。

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