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第33回議事要旨(平成27年7月7日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000133757

1 日時

平成27年7月7日(火曜日)13時30分-15時00分

2 場所

北九州市役所本庁舎 15階 特別会議室B

3 出席者

委員
  
穴井委員、上田委員、大石委員、岡田委員、門上委員、河野委員、川本委員、
  近藤委員、薛議長、野上委員、原口委員、森本委員、山田委員、弓削委員

事業者
  
エコ・パワー株式会社

事務局
  
環境局環境監視部環境監視課(環境監視課長他1名)

4 議題

「NEDO次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究計画段階環境配慮書」の審査

「NEDO次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究計画段階環境配慮書」の審査

薛議長
 それでは、ただ今の説明について、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いします。

野上委員
 本事業の事業特性としては、工事に係る環境影響は小さく、供用後の環境影響が、主に動物、騒音、景観ということですが、工事の実施に関することで、少し確認をさせてください。
 まず、資材の運搬方法についてですが、堺港から瀬戸内海を通って北九州港まで運搬の際は、浮体の部分と風車の部分は分けて運び、北九州港で組み立ててから、15kmくらい沖まで持っていくということでよろしいですか。

事業者
 そのとおりです。まず浮体の部分だけを工場で作りまして、浮体を北九州に運んだ後、他の部分を搭載しまして、現地で組み立てます。

野上委員
 分かりました。おそらくこれは高さが100m以上あるので、組み立てたまま、橋の下を通すことは大変と思いましたので、それが1点です。
 2番目は、アンカーとケーブルのことについてですが、まずアンカーの設置についてです。資料には、アンカーが海底に食い込んでいるような絵がありますが、これは、基本的にはいかりみたいなもので、上から落として少し動かせば食い込むというものでしょうか。海底を掘って、そこにがちっと止めるということはないのでしょうか。

事業者
 おっしゃるとおり海底に設置して、横に引くことによって、いかりが海底に食い込むといった形で補助するものと考えています。

野上委員
 最後になりますが、工事段階の影響としては、海底ケーブルを引くことがおそらく一番影響が大きいのではないかと思っております。この際、ケーブル敷設のための作業船を想定しているとのことで、またケーブルは海底面から1m下くらいの場所に埋設すると書いてありますが、どれくらいの泥を掘るのでしょうか。

ケーブルの長さについてですが、地図中にケーブルルートの範囲は示されていますが、長さが未定というのは少し乱暴だと思います。これは逆に言うと、この範囲でケーブルを引くということは最低でも15km程度の長さになり、場合によっては20kmくらいの長さになるということでいいのでしょうか。

事業者
 おっしゃるとおり、15km-20kmくらいの長さになると思います。

野上委員
 その工事の際、海面下1mの場所に埋設するということですが、工事のイメージ図がないため、実際のイメージが分かりません。どのくらいの泥を掘るのか、また、海底ケーブルは既によく敷かれているため、その範囲内でということかもしれませんが、その辺りの説明がないので、説明をお願いします。

事業者
 海底ケーブルにつきましても、全ての区間を埋設するということは考えておりません。例えばアンカーを落とす海域では、ケーブル自体が損傷する可能性がありますので、そういった海域については埋設を考えています。通常は、海底に置いていく形での設置になります。その他に、現在、ルートも含めていろいろと検討しているということがあって、埋設につきましては、ケーブルのルートで、クラブのようなもので穴を掘りながら順次ケーブルを設置して、そこを埋め戻していくという方法を考えています。

野上委員
 配慮書の段階では、まだルートがはっきりしていないため、海底ケーブル設置に伴う予測評価はしていませんが、次の段階では当然ルートは決まってくるため、そこで工事に関わる環境影響評価を行っていくという理解でよろしいですか。

事業者
 はい。ケーブル等については、これからきちんとルートを決めてまいります。また、方法書等では、工事中の影響も環境影響評価に含まれておりますので、それも併せてこれからお示ししていきたいと思っております。

薛議長
 ありがとうございました。
 他に、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。森本委員、どうぞ。

森本委員
 鳥類に関することで、2、3点お尋ねします。
 赤線で示された事業実施想定区域の手前には白島がありますが、白島には、オオミズナギドリが3,000羽、半年間生活しています。実は、オオミズナギドリは、この海域の真ん中を通って、朝晩の通勤をします。早朝は短い時間、集中的に通り、夕刻はばらばらに通るのですが、まず1点は、この海域エリアを選定するにあたって、何らかの考慮があったかどうかということです。
 もう1点は、接触率についてです。本配慮書の予測評価では、ハチクマを挙げていますが、環境省が出している資料には、確かにこの海域がエリアとして入っていますが、ハチクマはここをほとんど通りません。この風車の高さの200-300mくらいの高い所を通ります。また、先ほどのオオミズナギドリは事業実施想定区域を通りますが、10mとか15mの低い所を通ります。そういったバードストライクに対する考え方を考慮された上で、種を選定しているのでしょうか。それとも、まだ今からということでしょうか。

事業者
 まず、オオミズナギドリについては、森本委員がおっしゃったとおり、この白島が生息地であることを、我々も文献調査において確認しております。オオミズナギドリがこのエリアを通過するということで、その辺りについては十分配慮して、移動障害になるかどうかということも検討している状態です。この辺りついては、今後の事業計画に反映させていきたいと思います。ただ、オオミズナギドリにつきましては、飛翔高度が非常に低いということも併せて確認しておりまして、風車のブレードの下を通りますので、バードストライク等の影響はないかと考えております。
 それから、ハチクマにつきましては、森本委員がおっしゃるとおり、おおよそ風車の上空200mから大体500、600mの高度を飛翔することを確認していますので、その辺りについても今回現地調査を進めながら、このエリアに絞って、ハチクマではない他の既存種をベースに評価してまいりたいと考えています。現在は環境省のデータを使っておりますが、今後、現地調査の結果を踏まえて、併せて予測の方も進めていきたいと考えております。

森本委員
 今後アセスを進めていく中で、おそらくバードストライクについての課題はずっとあるかと思います。実は、バードストライクが実際に起こることが分かってきたのはつい最近のことです。それまでは、事業者は当たらないと言い、地元の環境保護団体等は当たったと言い、確かなことは明らかになっておりませんでした。ところが最近、バードストライク対策についても色々な指針等が出てきており、それを無視してよいかとなるといろいろ問題があるかと思います。そこで、これは要望ですが、実証実験ということですので、やはりこのように集中した場所で計画する以上、バードストライクを低減化するためのシステムにも取り組めたら、今後の他の事業や北九州市にとっても、かなり有益なものになるかと思いますので、何らかの形で取り組んでいけないかということです。
 もう1点は、今後の進捗についてですが、他の事例では、ミサゴが衝突している事例もあります。ですから、これはもう無視できない状態になっています。また後で、話させてもらいます。

薛議長
 後半の部分について、事業者から何かコメントはありますか。

事業者
 バードストライクについては、先程ご説明申し上げましたとおり、現在、現地調査を進めているところです。具体的な設置場所についても、これから決めていきますので、環境影響評価の現地調査の結果も踏まえまして、十分バードストライクのことも考慮に入れながら、考えていきたいと思っております。

薛議長
 他によろしいですか。川本委員、よろしいですか。

川本委員
 教えていただきたいのですがこの浮体やチェーンは鉄ですから、錆止めを使われると思うのですが、最近はどのような錆止めを使われるのでしょうか。

事業者
 まず、チェーンにつきましては、錆止めという加工は施しておらず、基本的には腐食をするという前提で、その腐食度を考慮して設計しています。
 それから、原料につきましては、いろいろなタイプの塗料が出ているのですけれど、最近では、耐候性のあるものや高いフッ素系の塗料を一番上面に塗ることが出ています。

川本委員
 今回もそれを使うのですか。

事業者
 はい、そうです。今回もそういった形になります。

川本委員
 この実証実験は期間がわからないですが、途中でまた塗装されるという予定はありますか。

事業者
 今回、実証期間中は再来年度までで、長くて2年間ということですが、その間に塗り替え等が発生することはございません。

薛議長
 よろしいですか。他にご質問は。はい、穴井委員、お願いします。

穴井委員
 水中音について、我々には馴染みのない言葉が出てきていますので、確認しておきたいことがあります。水中音の発生源は、先程のご説明にもありましたが、空気と水では音の伝わり方が随分違うため、空気中で鳴っているブレードの音やナセルの音は水の中に入っていかずに、音源としては、それらの振動が海水に浸かっている構造物に伝わって、そして構造物の揺れが水に伝わって音として伝播していくということになるかと思います。したがって、水中音の発生源の大きさは、海に浸かっている構造物のつくりに大きく影響を受けるのだろうと思います。
 本事業は浮体式ですが、浮体式か着床式かによって音の大きさは随分違うと思いますし、浮体式でも海に浸かっている部分の形状や大きさによっても、変わるのではないかと思います。今回の予測では、音源音圧を162-165㏈という設定をされていますが、今回は浮体式風車の構造も新しい形を考案されていることもあり、この音源音圧を設定された根拠や妥当性を少々心配しています。この辺りを補足していただきたいと思います。

事業者
 おっしゃるとおりでございまして、音の伝わり方は、我々もそのような考え方を持っております。音源の根拠についてですが、確かに浮体式ですので、形状によって随分伝わり方が変わるということは分かります。ただ、世の中に浮体式の音を算出したという事例がないものですから、本数値は、現在福島県で稼働しています浮体式のアセス事例を根拠に音源を求めております。本来は、例えばスパー型(注)1 、セミサブ型(注)2、TLP型(注)3等の浮体構造物の型式によって、音の出方は違うのかもしれませんが、現在の段階ではこういった既存のものを利用して算出しています

(注)1 スパー型(=Spar型;円筒型)
    :円筒型のブイを海面に浮かせた構造。

(注)2 セミサブマーシブル型(=Semi-Submersible型;半潜水浮体型)
   :構造物の下部が半分海面下に沈み込んでいる半潜水式の浮体構造。

(注)3 TLP型(=Tension Leg Platform型;緊張係留式プラットフォーム型)
   :海底につないだラインによって、強制的に半潜水させた浮体構造物が浮き上がることを抑える構造。

穴井委員

既存のものを使うということですが、それしかやりようがないと私も思いますので、現段階での予測としては結構です。ちなみに福島県の風車は、大きさ等は本事業のものと近いのですか。

事業者
 福島の浮体も、本事業の浮体も、セミサブ型という半分海水に浸かったものですが、福島の場合は5字型、本事業の場合は、ロの字型になります。
 また、長崎県五島で進められている風車は、スパー型と言って、円筒形の浮体構造物になっています。
 本事業の風車は、スパー型のような円筒形とは違う形ですので、どちらかといえば福島に近く、形は類似しているかと思います。ただし、本事業の浮体構造物は四角型で、福島県の場合は三角型、V字型となっています。

穴井委員
 もう1つ、今の質問に関連して、今回、風車を2基並べるということですが、音源、発生源も当然大きくなると思います。これは、エネルギーで考えて最大でも2倍になる、デシベルでいえばプラス3㏈くらいというふうに考えてよろしいですか。

事業者
 そうですね。配置計画が決まりましたら、風車2基を並べた状態で予測をいたします。その場合、穴井委員がおっしゃったような形で分布ができるかと思います。

薛議長
 よろしいですか。

穴井委員
 細かいところはまだありますが、後からにします。

薛議長
 はい。では、他の委員から。近藤委員、お願いします。

近藤委員
 先ほど少し意見が出ていましたが、事業計画がはっきり分かりません。再来年というような言い方で2年間と言われていますが、実際に実証研究終了後は撤収されるのか、供用されるのかということもはっきり示されていません。設置された施設は、最低何年間そこで供用されるのかということが見えませんので、その辺りのことをしっかり記載していただきたいと思います。
 それからもう1点は、リスクの話です。ここは、台風の通り道ですから、どのくらいの台風であれば、どのくらいの倒壊するリスクがあるのかというようなことも含めて、やはり考えるべきではないかなと考えております。やはり実証実験とはいえ、そうしたリスクについても情報提供していただきたいと思います。お願いします。

薛議長
 事業者、いかがでしょうか。
 まず供用期間、それからリスクについて、それぞれお答えください。

事業者
 供用期間については、まずは実証事業ということで、現計画では平成29年度いっぱいを予定しております。その後につきましては、基本的にこの発電設備そのものは20年間供用できるように設計はしております。しかし、実際にその期間ずっと供用するかどうかは、委託元のNEDOや、関係者の皆様と協議しながらこれから決めてまいりたいと考えております。

薛議長
 後半の台風その他雷等のリスクについては、どうですか。

事業者
 台風等につきましては、現在、細かい設計条件等を東京大学が設定しておりますが、そちらに堪え得る構造ということで、台風等で倒壊するということはないという形でもちろん設計は進めてまいります。

薛議長
 近藤委員、よろしいですか。

近藤委員
 倒壊することはないように設計されるということで、それは期待しています。ただ、実際には風力発電はいろいろな所でやはり倒壊しているのを見ていますし、1年以内に倒壊したとか、あるいは故障したとか、さまざまな情報が寄せられています。これらの施設も、設置する当初は「倒壊はない」ということで設置しているわけです。倒壊することはないということで設置されることに対しては信頼しますけれども、やはりリスクについても把握する、情報提供するということは必要ではないかと私は思います。

事業者
 今のご意見を受けまして、台風の通り道ということもございますので、今後、環境影響評価の内容に入れ込んでいけるかどうか、リスクも含めて検討してまいりたいと思っております。

近藤委員
 それともう1つ要望がありまして、NEDOのこうした実証実験について、私は風力発電についてはあまり見たことがないのですが、バイオマス系でいろいろ見ておりますと、非常に先端的事業ですので、実証期間はいいとして、先程20年間と言われましたが、実証終了後、事業が終了する事例というのが、やはり実証実験だとよくあります。しかし、地元では、やはりそれが地元の活性化なり何なりにつながるという期待を持って協力していると思いますので、実証期間が終わってもここできちんと供用されるような形でやっていただきたいと希望しておりますので、ぜひお願いします。

薛議長
 ありがとうございました。他の委員から、何か。では、河野委員からお願いします。

河野委員
 先程、穴井委員からあった騒音の話の続きなのですが、水中音に関してはあまり事例がないため、例えばデシベルだけではなくてスペクトルを取っていただくようなことが可能でしょうか。または福島の事例でも他の事例でもいいですが、そうすると、音の大きさではなくて聞こえる音の範囲なら生き物によって違いますので、そこの判断材料があるといいかなと思います。また、水中音は減衰しませんので、遠くにいる生き物にもあるスペクトルだったらもしかしたら影響があるのかもしれないと、そういう判断材料になるような情報がこれから出てくるとありがたいです。

事業者
 ありがとうございます。そういった形で、スペクトルを含めて音をとっていきたいと思います。またご指導よろしくお願いします。

薛議長
 ありがとうございました。それでは、門上委員。

門上委員
 3点程あります。
 まず1点目は台風の通り道であり、また冬には強い北西の風が吹きます。白島ができた際も堤防が壊れました。ですから、台風等では壊れないのでしょうが、常時、非常に強い風が吹いたときにどうなるのかということを、折角の実証実験ですので、この辺りを少し踏まえてみてやっていただきたいです。
 2点目は、フッ素系の塗料を塗るということですが、元々は塗料中に入っていなくても、使っている間に分解してフッ素系のPFOSやPFOA等ができてくるということもあり、今、特にPFOS等はPOPs条約で規制されているような物質ですので、そういうものができないような塗料をぜひ使っていただきたいです。
 3点目は、水中音についてですが、スナメリに関するデータというのはないわけです。この地域はスナメリが重要な生物で、特に日本近海に住んでいる海棲哺乳類といえばスナメリですので、ぜひスナメリのデータというのを取っていただければ、他の事業でも役に立つのではないかという気がいたします。よろしくお願いします。

薛議長
 今、3件ほどご意見を頂きました。事業者から何かございますか。

事業者
 スナメリにつきましては、引き続き、今後も続きますので、既存種を含めて調査してまいりたいと思いますのでよろしくお願いします。その他に関しましても、頂きましたご意見を受け止めて、これからの検討事項に含めてよく検討してまいりたいと思います。

薛議長
 他には何かございますか。岡田委員、お願いします。

岡田委員
 水深50-100mの場所に設置されるということで、本日お配りいただいた断面と平面の資料を拝見していますが、アンカーの端から端までの距離が約1kmということは、実際はもう少し浅くなっていて、断面図の高さがかなりデフォルメされてかなり深い絵になっていますけれども、本当は海底チェーンがなだらかな線形を描くと思います。この海域は非常に船舶数が多く、関門海峡は1日500-600隻通っているということですので、船が引っ掛かるという可能性がありますから、何か、下にこのような物がありますよということが分かるような印か何か付けられるのかをお聞きしたいです。例えば立ち入ってはいけないエリアが分かるような工夫か何かされるのでしょうか。

事業者
 そうですね。そういった航行安全対策につきましては、工事の概要ですとか、供用を開始された後の安全管理、ここは専門家も交えながら委員会を構成しまして、そこでそういった専門家からの意見も聞きながら、安全対策を講じていきたいと考えております。

岡田委員
 ぜひ、安全対策をしっかりしてください。かなりこの絵では大まかすぎるかと思いますから、きちんと検討するのであれば正確な絵を出していただきたいと思います。

薛議長
 ありがとうございます。他の観点からのご意見、山田委員、どうぞ。

山田委員
 質問と要望ですが、この海域は瀬戸内海環境保全基本計画の中の一部になっていますね。それで、これに関して、新しく最近改定されたばかりなのですが、「持続的な水産業」という項目が新しく立てられました。海は、船舶の海でもあるかもしれませんが、やはり漁業者の海なのです。そこに何か構造物を建てるということで、何か水産業に対してお考えはあるのでしょうか。確かに、ここの構成メンバーを拝見させてもらうと、水産業についてはあまり考慮されていないような感じはしますが、ここは瀬戸内海環境基本計画の一部でもあることですし、新しく海に構造物を設置されるのであれば、実証実験として水産業にどのように貢献できるのか、北九州市も少し水産業で悩んでおりますから、そのような状態でどのように貢献できるのかというところも、もし今の段階で何かご意見、ご説明ありましたら伺いたいと思います。

薛議長
 いかがでしょうか。事務局から、ではお願いいたします。

事務局
 先ほどのご質問は、瀬戸内海保全計画の対象地域かどうかですね。
 白島辺りが境界になるため、ぎりぎり外れる可能性がありますが、具体的に場所が決まった後に、そこは考慮していきたいと思います。

山田委員
 外れるにしても、このように海の中に構造物を何か設置するのであれば、それはやはり漁業に配慮された構造物であってほしいと思います。チェーンが比較的なだらかに設置されるとかあるのでしたら、それは海藻が入ってくるチャンスですから、それをどういうふうに今度、藻場に活用していくとか、そういうふうな観点からも、研究を進めていただきたいと思っております。

薛議長
 ご意見ですが、何か事業者からコメントあったらお願いします。

事業者
 おっしゃるとおりでございます。他の事業を見ても、洋上風車と漁業との共存というのが言われております。これは漁業者にとっても活用できるような場を、風車を基点に広げていこうという動きでございます。今、そういうものも含めて検討されているかと思いますけれども、そういった漁業との共存というのを一つの念頭に置きまして検討していきたいと考えております。

山田委員
 ぜひお願いしたいと思います。
 漁礁としての価値もありますし、いろいろな漁業との共存があると思いますので、よろしくお願いいたします。

薛議長
 ありがとうございました。他に、何かございませんでしょうか。
 大石委員、お願いします。

大石委員
 今、福島県でこれが1基動いているということですが、その設置の際や他の実証研究等あるいは計画されているもの等について、これまでも様々な問題が起きたと思いますが、そういったことはこの配慮書に反映されているのでしょうか。

事業者
 安全対策等といったものについては、この配慮書には入っておりません。そのカテゴリーではありませんので。別途、別枠で安全対策とかそういう委員会を設けるなど、そういったことはしていますが。

大石委員
 では、今までの実証例で何かあったときに、本事業でも問題点として配慮するような例はなかったということですか。

事業者
 本日ご説明したものは、あくまで自然環境、生活環境という環境のお話でしたので、他の事例での安全対策などについては別途、別の題目で検討会なり、例えば海上保安庁や警察、消防等その辺りを含めて安全対策を施すような組織をつくっていくという流れかと思います。

薛議長
 よろしいですか。他に何かご意見、ご質問ございましたら。弓削委員。

弓削委員
 2点ご質問します。
 まず1点目ですが、海底ケーブルについては、部分的に少し掘削を行うとのことでしたが、この計画段階環境配慮事項を見ますと、主に供用後をイメージされていて、水環境や大気環境に関しては項目を外されています。こういった掘削については一部大型の機械を使われるということですので、場合によっては水環境などを追加して考慮する必要があるのではないかと感じましたので、その点について教えていただきたいと思います。
 2点目は、景観についてです。本配慮書では、いくつかの眺望点を選定されて、これらの眺望点からはあまり見えないというような評価結果になっていますが、本海域は船舶の航行が多い地域ですので、例えば船舶からの眺望は考えなくていいのかということ、景観上、動きながら眺めるといった見方もありますので、そういったものを含める必要はないのか教えていただけないでしょうか。

事業者
 まず、海底ケーブルについては、埋設にあたって土砂の巻き上げなどによる水の濁りが懸念される可能性がありますので、方法書以降、その辺を含めた調査を含めて考慮していきたいと思います。
 それから、船舶からの景観については、他の事業で、そのような事例もあります。長崎県の浮体式洋上風車も船舶からの景観を考えておりますので、方法書以降で検討したいと考えております。

薛議長
 他に何かご意見、ご質問がございましたらお願いします。

上田委員
 これは修正していただければいいのですが、福岡県から2014年度版のレッドデータブックが出ておりますので、文献資料はそれを引用してください。古いものを使われていますので。

事業者
 承知しました。修正してまいります。どうもありがとうございます。

薛議長
 他にございませんでしょうか。穴井委員。

穴井委員
 先ほど河野委員からありました音の周波数特性についてもきちんと見てほしいというご意見には私も同感で、風車の回転数あるいは出力と関係して、水中音の周波数も変わってくるのだろうと思いますし、音によっては特定の生物に強い影響があることも考えられますので、ぜひ調査していただきたいと思います。
 そこで1点質問ですが、伝播の計算式のところで、地形損失Nに20を使われているところが少しだけ気になっていまして、この値の1/10が距離にべき乗でかかってくるので、予測値に大きな影響を及ぼす数字だと思います。ここを20にするのか17にするのかで減衰の曲線は変わってくると思うのです。できるだけ安全な予測をしていただきたいという思いがありますので、20でいいという法則があれば教えていただきたいですし、今後変える可能性もあるということであれば補足いただければと思います。

事業者
 今回、まだ場所が選定されておらず、地形の条件が確定していないものですから、一般に使われている平均的な値である20を使って予測してまいりました。今後、再度数値を精査しまして、また別の予測式も使う可能性もあるかと思いますので、その辺もご指導いただきながら予測を考えていきたいと思います。よろしくお願いします。

薛議長
 よろしいですか。他にいかがでしょうか。では、野上委員、どうぞ。

野上委員
 福島は昨年頃に設置されたということは、洋上浮体式風車についてはあまり実績がないと思います。先ほどの説明では、水中音については福島のデータを使ったとのことですが、そのような前提条件等は、いちいち細かなことをこちらが質問して、初めてそこでお答えになるのではなくて、初めから全て図書に盛り込んでください。我々も図書はじっくり読みますので、方法書ではもっとたくさんの情報を書かなければいけないと思います。現段階で分かっていることは、しっかり記載するようにお願いします。

事業者
 ご意見を踏まえまして、使用しているデータの出所ですとか、そういった情報をはっきり明示するようにして、方法書以降は作成したいと思います。

薛議長
 次、お願いします。原口委員、どうぞ。

原口委員
 鳥については全然分からないのですが、風車が実際に稼働すると、音や振動などはかなりあると思います。先ほど、大量のオオミズナギドリが白島から移動すると言われていましたが、これがどこか他の場所に行ってしまうといったことはないのでしょうか。

薛議長
 森本委員から何かありましたらお願いします。

森本委員
 白島には子育てや繁殖に来ていますので、生息条件、繁殖場所が壊れない限りは6カ月間あるいは翌年も来ると思いますが、先ほどのルート上の話では、鳥が風車を回避するかどうするかという課題が残ると思います。

薛議長
 難しい問題ですが、事業者から何かあればどうぞ。

事業者
 ご指摘の予測は行うことになりますが、その際にはご意見もいただきたいと思います。その後、事後調査も含めて、実際にルートが変わるかどうかについても観察していきたいと思っております。

薛議長
 森本委員、何かありますか。

森本委員
 実は、実験の中で、運用のこともいろいろ検討されると思いますが、鳥に回避させるために、習熟期間というものが話題になっています。要するに、鳥から見て危険なものがあった場合、鳥の方が早く気が付き、回避するなり飛行ルートを少し変更するなりということを鳥に覚えさせるために、習熟期間が必要だという論説です。ですから、例えば停止した場合、一気に運転するときが衝突する危険性が高いのですが、そういったことを踏まえ、今後の運用面についても検討をお願いしたいと思います。

事業者
 はい、ご意見ありがとうございます。習熟期間というお話もありましたので、こちらも十分に検討事項に入れて考えていきたいと思います。

薛議長
 ありがとうございます。他にご意見ご質問ございませんでしょうか。
 山田委員、どうぞ。

山田委員
 少し教えていただきたいのですが、今回、計画段階配慮事項として、動物として陸域と海域、それから景観を選定されています。その中で、海域に生息する動物とは、海棲哺乳類と海鳥などと書かれており、魚類は書かれておりません。しかし、水中音の影響のところで魚類は出てきています。

事業者
 そのとおりです。申し訳ありません。この「海棲哺乳類と海鳥など」の中に魚類を含めております。

山田委員
 そうすると、漁業上、重要な魚類についても、今後、この選定項目の中に入るということでしょうか。

事業者
 そうですね。魚介類も環境影響調査の対象にしていきたいと思います。

山田委員
 それから、海藻は入らないのでしょうか。風車を設置して、どのような種が入っているかということや、その利用状況についてなど。先ほどの漁業に貢献するという話の続きになりますが。

事業者
 そうですね。基本的には、藻場は、白島周辺の一部と島嶼部の沿岸にしかありません。海底ケーブルのルートは、なるべく藻場を外すように考えていますが、ケーブルがどこを通るかによって調査が必要かどうかを検討していきたいと思います。

山田委員
 海底ケーブルではなくて、この構造物自体が漁礁となり藻場となる可能性があるわけです。ですから、その事後調査について。

事業者
 漁礁効果的なものですね。

山田委員
 はい、そうです。

事業者
 そういったものも含めて、先ほど委員がおっしゃったような漁業との共存という形で、魚類が集まってくるのかどうかということも、可能であればやっていきたいと考えています。

山田委員
 実証実験なので、ぜひやっていただき、それがもし良ければずっと設置していただきたいという要望です。ありがとうございます。

薛議長
 事務局にお尋ねいたします。このような生物への影響、魚類への影響を見て、希少生物については当然影響を見ると思いますが、漁業としての重要な魚類といったことは、この制度の中ではどのように扱われるのでしょうか。

事務局
 生態系という項目が方法書以降で選定されるだろうと思いますが、この生態系において、上位性や典型性、特殊性といった分類が出てきますが、この典型性において、水産資源となるような魚類も入ってくるのではないかと思います。

薛議長
 分かりました。山田委員、よろしいでしょうか。そのような扱いになるそうです。
 ついでに事務局に、お隣の山口県の島と近いようですから、そのことについて少しお話しいただけますか。

事務局
 今回の事業は、北九州市の環境影響評価条例の対象事業として手続を進めております。一方で、山口県の蓋井島という島が10kmほど離れた北東辺りにありまして、これは山口県下関市の島になります。事前に山口県の環境部あるいは水産部と調整して、場所をできる限り山口県から離すことで、今回の事業実施想定区域になっており、この区域であれば北九州市の環境影響評価条例で手続を進めて構わないという見解を頂いております。

薛議長
 では、この北九州市の審査会だけで扱っていいということですね。

事務局
 はい。山口県側の審査は行われないということになります。

薛議長
 分かりました。森本委員、風車の浮体構造物が海上に浮かぶということで、そこが鳥の止まり場になるとか、あるいは航行安全上の照明なり装置なりが今後設置されると考えられますが、そのようなことについての鳥類に関するご意見がありましたらお願いします。

森本委員
 大量の鳥が長期間風車に止まって塗装を痛め、塗装の修復期間を早めるということはよくあるのですが、その辺りも含めて検討してほしいと思います。また、鳥の餌との関係ですが、近くに漁礁があった場合、その漁礁に寄ってきた魚を食べるために鳥が寄ってくるなど、いろいろ複雑なこともありますので、その辺りを含めて、ぜひいろいろなことを検討してほしいと思います。

事業者
 ありがとうございます。鳥類に関しては、これからさまざまな検討をしていかなければいけないと思いますので、ご意見を頂戴しながら、これから検討を進めてまいりたいと思っております。

薛議長
 どうぞよろしくお願いしておきます。
 他に、ご意見はございませんでしょうか。ないようですので、これで審査を終了いたします。

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