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第27回議事要旨(平成26年5月22日開催)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000029072

1 日時

平成26年5月22日(木曜日)13時30分-16時00分

2 場所

ホテルクラウンパレス小倉9階 ヴェガ

3 出席者

委員

 小野会長、穴井委員、伊藤委員、上田委員、大石委員、門上委員、楠田委員、
 近藤委員、勢一委員、清野委員、野上委員、樋口委員、森本委員、山田委員

事業者

 ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画:西部ガス株式会社
 響灘工場建設事業:タテホ化学工業株式会社  
 響灘東地区処分場整備事業:北九州市

事務局

 環境局環境監視部環境保全課(環境監視部長他2名)

4 議題

(1) 「ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書」の審査
(2) 「タテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業に係る環境影響評価準備書」の審査
(3) 「響灘東地区処分場整備事業に係る環境影響評価準備書」の審査

5 議事要旨

(1)「ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書」の審査

小野会長
 それでは、今の説明につきまして質問を頂きたいと思います。
 どうぞ、野上委員。

野上委員
 2点あります。
 1つは大気質ですが、「二酸化窒素の発電所寄与濃度の予測結果」について(配慮書p5.1-10から12)の図についてです。計算方法や最大着地濃度の数値はこれでいいと思いますが、この濃度線の示し方が非常に粗いメッシュで計算されていて、煙突の周囲を風向分布と風速にしたがって計算しているのですが、間が切れたような形の絵になってきています。
 これはもっと細かいメッシュで、きちんと内挿・補完して表示すると、きれいに全部つながる絵になるはずなので、そういうふうに示してほしいということです。予測結果の図は、本来、排出源を中心として、つながった形で分布が出るはずなので、これは誤解が生まれやすい図となっています。今後出し方を極力注意してほしいということです。
 もう1点、「コンバインドサイクル」ということで、これが最も発電効率が高いということは、私自身は承知しているのですが、実際に発電効率が何パーセントで、それは恐らく50%を超えていると思うのですけれども、実際の数字に基づいて、今考え得る一番効率のいい方法だということを説明していただけたらと思います。

小野会長
 質問につきましては、西部ガスがお答えいただけますか。

事業者
 最初の大気質の計算方法について、ご説明させて頂きます。
 今回示した内容については、野上委員の言われたように、計算方位は16方位の風方向に分けてそれぞれ拡散を計算しており、500mメッシュを使用しています。今回、配慮書ということで計算結果をそのまま出させていただいたといったところでありますので、今後、準備書の作成につきましては、改めて考慮したいと思っております。以上でございます。
 引き続き、2点目のご質問にお答えします。
 発電効率につきましては、経済産業省・環境省より提示されたBAT参考表の(B)に該当する設備を、現時点では想定しています。発電効率は参考値ですが、低位発熱量基準で約60%の効率を考えています。以上でございます。

小野会長
 ありがとうございました。はい、門上委員。

門上委員
 2つ質問があります。
 これは計画段階の案ということなので、煙突の高さを80mや120mを計画としているということなのですけれど、まず質問です。
 80mと120mがなぜ出てきたのかという事がよく分かりません。同規模だと、九州電力の新小倉発電所は、恐らく200m近くあるはずです。発電規模としては、単独では恐らくこれよりも大きいですね。それがなぜ80m、120mなのかが分からないということが1点あります。
 もう1つ、冷却方法ですけれども、日本では、少なくとも北九州にはあまり事例のない冷却塔を立てて、内陸で、よくアメリカであるような、空冷式をつくってやるということなのですけれども、なぜこの方法を採用するのでしょうか。普通の新小倉発電所でやられているような海水を用いて冷却するという方法ではなくて、なぜこの方法を採用されたのかがよく分からない。
 日本でよくやられている方法と違う方法をなぜ採用されたのか、その辺の根拠というか、比較というか、計画の段階でこの方法を選んで、こちらが良かったというようなことを説明するのが、今回の計画段階環境配慮書なのでしょうから。
 また、これと同じ規模の冷却塔を、日本で使っている所があって、それが、どのくらい蒸気が出ていて、有害なものではないとは言いながらも、水蒸気が大量に出てくるというようなことが、周辺にどういう影響があるのか、近くにビオトープもありますから、そのご説明を頂きたいと思います。

事業者
 煙突の高さを80mと120mに設定した理由は、短期の高濃度が発生するダウンウォッシュという現象を考慮したことによるものです。
 経済産業省が発電所アセス省令を制定しており、これを解説した「発電所に係る環境影響評価の手引き」に建物ダウンウォッシュの予測についての記載があります。近年の事例によると、コンバインドサイクルの発電所の建物の高さが、タービン建屋で約32mあり、手引きに基づいて煙突の近くにある建物の高さからの距離と建物の高さを考慮した場合、32mの2.5倍で80mとなります。
 またもうひとつ、竪型の排熱回収ボイラーの高さが47mという事例があり、その2.5倍は120mとなります。これが、80mと120mを設定した根拠です。 
 もう1点の冷却方式ですが、従来は海水により復水器を冷却する方式が多く採用されており、この方式では放水の大量の熱による環境への影響が懸念されます。近年、発電所において、冷却塔で冷やした水にて復水器を冷却する方式を用いた事例があることを踏まえ、冷却塔方式を採用しました。
 冷却塔からは水蒸気が発生し、特に害はないものの、冬期の白煙による視界への影響が想定されます。
 それについては、現在、白煙を防止するような対策もあり、それらの採用を検討し解決していきたいと考えています。

門上委員
 そういうことを、計画段階配慮書の中に書くのではないですか。

小野会長
 A案、B案という、たった2つだけを出すというのではなくて。

門上委員
 はい。こういう理由で、冷却方法を検討した結果、こちらの方がより良いので、こちらで将来進めていきたい。というふうなストーリーを書くのかと私は思ったのですけれども。特に冷却方法では、この案が出てきて、温排水の影響が心配だから、こちらをやりましたと。温排水の影響があるのなら、どのくらいあるかのシミュレーションをして、このくらいあるので、影響が非常に大きくなりそうだから、冷却塔のほうに変えますと。冷却塔については、細かいシミュレーションまでは大変でしょうから、これくらいの予想が出るので、こちらのほうが判断的にはいいと思われるので、冷却塔を採用するというストーリーが示されると非常に分かりやすいと思うのです。
 もう1点、ここにオリックスが発電所をつくるという話はもう公になっているけれど、それとの関係。現況というのは、オリックスができたあとの現況について、併せてやってもらうほうが良いのではないかなと思いました。

小野会長
 発電設備としてですね。

門上委員
 はい。オリックスもNO2が出ますし、SO2も出す。今回の事業はNO2だけですけれども。
 オリックスもできることが分かっていますから、それも併せて環境影響評価をしていただきたいと思っています。

小野会長
 その点は、配慮書には触れていないと思います。

門上委員
 はい、そうですね。

小野会長
 最初の高さの問題については、今、門上委員のご発言は、私どもとしても、計画段階環境配慮書というのは、法律ができて、実は初めてなのです。計画的配慮というのは、どうやってやるのかということは、実は環境省の中でも相当いろいろな意見があったのですけれども、今のも一つの意見だと思います。
 なぜ、高さを決めたのかと。今、西部ガスのほうから説明を頂いたように、高さを決める基準というのを一応考えてはおられるわけですから、その基準に基づいて高さを決めたのだと書いておけば、それはそれで配慮書にも十分なるなと思っております。
 この次は配慮書ではなくて、方法書ですけれども、そのときに書いてもいいとは思います。ありがとうございました。他にございますか。はい、どうぞ。大石委員。

大石委員
 今の煙突の高さの話ですけれども、確かに発電所としての高さを決める基準というのは分かりました。ただ、ここはいろいろな設備がこの響灘の所にあって、一つにはビオトープもありますし、鳥類の関係もある。そうすると、配慮というのは、そういう自然環境への配慮というものは、ここでは入らないのでしょうか。
 周りに島のように何も無い所での発電とは違って、何キロメートルか離れていますけれども、ビオトープがあって、そこでチュウヒなどの鳥類がどのくらいの高さを飛ぶのか。 煙突の高さというのは、そういうものに対しての配慮というのは、ここではなされる必要はないのでしょうか。次の段階なのでしょうか。

事業者
 配慮書段階では、環境の様々な要素の中から、重大なものは何かを捉える作業となります。
 従来の環境影響評価は方法書以降に行うことになっており、大石委員が述べられた、煙突の鳥類への影響などにつきましては、方法書以降で、動物の中に哺乳類や鳥類の調査項目がございますので、必要か否かも含めてになりますが、その中でやっていくことを検討することになると思います。

大石委員
 ありがとうございます。

小野会長
 はい、どうぞ。

山田委員
 配慮書の要約書の29、30ページに「計画段階配慮事項として選定しない理由」という箇所があります。ここで例えば、30ページの植物のところを見てみますと、2つの書き方があります。1つは、「方法書以降において、環境保全措置を検討することにより、対応可能と考えられることから、配慮事項として選定しない」。もう1つは、やはり「選定しない」と書いてあるのですが、その理由として、「方法書で検討するから」とは書かれていないのです。
 ということは、書かれていないものについては、方法書以降も検討しないということなのでしょうか。

事業者
 質問の趣旨を確認させていただきますが、30ページの植物のところで、重要な種、重要な群落の右側に地形改変があり、そこには「方法書以降において」という記載があるが、その下の海域に生育する植物のところでは記載がない、ということでよろしいでしょうか。
 ここは、項目を選定しない理由を書くところになりますが、私どもが計画段階の環境配慮書を作る際、環境省がこの制度を制定するに当たって作成した配慮書の技術ガイドを参考にさせていただきました。本技術ガイドでは、項目選定の要否について記載されており、方法書以降で環境保全措置を取ることによって大丈夫と事業者が考えるものについては、入れなくて良いとされています。これは、今まで実施されてきた電力アセスにより知見があるものと捉えて良いかと思います。
 また、方法書以降では、環境影響の評価項目を選定するに当たり別の視点があり、その際事業特性だけで外せるものがあります。それらの書き分けをここではしています。
 これらを踏まえ、先ほどの30ページの例でいえば、植物の上の段では「保全措置を検討することによって」と書いており、その次の段に書いていないのは、「事業計画に港湾施設の設置や埋め立てによる地形改変がないため、海域に生育する植物について方法書以降についても選定をしない」という整理を前もって行ったものです。

山田委員
 分かりました。そうすると、ここに書かれている「施設の存在」ですけれど、復水器から排水が出ないから考慮しないということだと思うのです。ここに一般排水の水質が書いてあるのですが、ここには一般的な排水基準しか書かれていません。本当に施設が稼動したときに、どういうふうな排水が排出されるのか、それがやはり、私たちの一番知りたいところです。恐らく、排水処理施設は存在すると思うので、ここにはその水質を書いていただきたいと思っております。
 もう1つですが、配慮書の中の、例えば3.1-72から73になりますけれども、ここで潮間帯生物(植物)とあるのですが、これは海藻ではないでしょうか? 
 岸壁の潮間帯のコドラートについて、その中に生えている海藻について書かれたのだと思いますが、ここはきちんと海藻という言葉も含めて書いてほしいと思いました。
 それと、その下に植物プランクトンというのがありますが、その隣に、植物プランクトンの調査地点が書いてございます。これを見ますと、植物プランクトンの調査地点として2つしか書かれていないのですが、北九州市環境局の環境水質測定地点として、近隣の海域に測定地点がございます。ここにはもう少し調査地点を増やして書いていただけたらと思います。
 それと、先ほど水質のことを申し上げましたけれども、例えば一般排水の放流口はどこなのかというのも、私のもう1つ知りたいことです。なぜ知りたいかというと、今度施設が計画される所から、南西方向に行くと奥まった所がございます。ここは、漁業協同組合が設置されています。水産にとっては非常に重要な箇所なので、そこでやはり排水口の位置、それから排水の水質についても、この配慮書に書いていただきたいと思っております。

小野会長
 ありがとうございます。

事業者
 一般排水の水質については、現段階では詳細設計がそこまで進んでいないという状況であり、配慮書では、一般の排出基準を遵守するという意味で記載しています。
 水質基準を、今後いくらに設定するかについては、方法書以降になりますが、北九州市等と協議をさせていただきたいと考えています。
 放水口につきましても、配慮書では公共用水域としか記載しておりませんが、これも詳細な計画を進め、具体的な場所について方法書以降で記載させていただきたいと考えています。
 また、漁協に関するご指摘をいただいていますが、私どもの文献調査でも漁業権の設定について配慮書にも記載しており、方法書以降で一般排水によりどのような影響が生じるのかということを検討していきたいと考えています。
 植物プランクトンについては、ご指摘ありがとうございます。
 今回は、北九州市の港湾計画資料よりデータを引用させていただきましたが、山田委員ご指摘のとおり、まだ補足調査結果が有るということですので、改めて方法書以降にはそれも参照する形で、調査資料を増やして対応してまいりたいと思います。

小野会長
 ありがとうございました。いずれにしても、アセスメントの手続は4つ段階があるわけです。今、第1の段階のところで、2、3、4と続きますので、その2番目のところで、今のようなことも少し考慮しながらお書きいただければいいのではないかと思います。

清野委員
 資料(計画段階配慮書P5.1-10、P5.1-11)に、大気の拡散の予測がございます。それから、計画段階環境配慮書の(P3.2-58)160ページに、鳥獣保護区も含めた、そういった自然保護関係の分類の地図もございます。
 質問といたしましては、大気の環境影響というのは、主に人類に対して考えているとは思うのですけれども、ここのエリアというのは、工業地帯であると同時に、やはり鳥類にとっても重要な場所でございます。それ故に、工業地帯に隣接して鳥獣保護区が設定されているわけです。現在の段階で北九州市全体にいろいろな鳥がいるという知見を持たれていると思うのですが、この土地がどういうふうな意味で、特に鳥類にとって重要かというような情報なり、お考えがございますでしょうか。

事業者
 配慮書の3章のところに載せた文献だけを整理していますが、清野委員の述べられる、大気が鳥類と動物を含めどのような影響を及ぼすかというような知見については、現在、ここでお話しできるような情報を持ち合わせていません。

清野委員
 それでしたら、やはり鳥獣保護区への影響といったときに、今までだと衝突するとか、埋め立てで生息地が消滅するということもあったかと思うのですけれども、大気環境ということに関しても、今後、やはり注意していただけたらなと思いますので、ぜひ、大気に限らず、この施設の周辺に、具体的にどういった生態系があるとか、なぜ自然保護上、重要な場所になっているかということも、今後認識していただけたらと思います。

小野会長
 ありがとうございます。これも、考えようですけれど、方法書段階の話が相当入っているなと思っておりますので、その点は十分注意してお作りください。はい、どうぞ。

森本委員
 配慮書の手続きは、我々初めてなのでお尋ねなのですが、この(環境省発行パンフレット:環境アセスメント制度のあらまし)7ページの上のほうに、「配慮書の作成の際には」と書いているので、その中に「地域の環境をよく知っている住民をはじめとする、一般の方々、専門家、地方公共団体の意見(を聴く)」とあるのですが、この案件についてはホームページのアクセス件数を何らかの形で扱うのでしょうか。

小野会長
 これは、環境局のほうでお答えください。

事務局
 最初に申し上げた縦覧者数4名と、アクセス件数も参考に説明しましたが、これは図書を作ったあとの手続きでの、縦覧者数、アクセス件数なので、配慮書そのものには反映できないのですが、基本的には住民の感心が高いか低いかというところは、当然、今後のアセスメントの図書をつくるにあたっての注意点になろうかと思っております。

小野会長
 はい、方法書に反映していくと。

事務局
 はい。

小野会長
 この辺で意見を閉めさせていただきたいと思います。

(2)「タテホ化学工業(株)響灘工場建設整備事業に係る環境影響評価準備書」の審査

小野会長
 それでは、タテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業に関する質問に入りたいと思います。ご質問やご意見等がありましたらどうぞ。
 はい、清野委員。

清野委員
 水質の中で、特に水温の対策について伺いたいと思います。
 資料2-2の19頁の「(1)水質の予測結果」についてですが、泊地は水の流れが停滞しやすい環境であるため、本事業では水温差が問題になると思います。水温差につきましては、発生源から5m程度の地点である程度軽減されるという結果ですが、その辺りのご説明がこの準備書を見ても少し分かりにくかったため、お尋ねします。
 1つ目は、5mということが水質に関して閾値になっていますが、その根拠や考え方を教えていただきたいです。
 2つ目は、熱はやはり蓄積性がありますので、このような静穏水域は、他の拡散しやすい水域とは異なる形状になっているため、その辺りの対応について伺いたいと思います。以上です。

事業者
 今回のモデルとしては、瀬戸内海特別措置法での予測式を使っておりまして、水温については準備書の6-31頁に記載しています。
 水温の予測結果としては、水温差が1℃を超える範囲は、排水口(発生源)から5m程度の範囲に限られるものと予測しておりますが、これは、温度差が最大になる時期の状態で1℃上がる範囲が5mくらいになるということです。
 本事業による排水(温差2.1℃、9,900立方メートル)は、排水口から排出され拡散する瞬間に、排水口から5mの地点で1℃程度上がった状態になります。そこからまた、水温はどんどん冷えていくと予測しており、当然、潮の満ち引きがありますから、拡散はさらに進むと予測しています。

清野委員
 もともと瀬戸内法の方法論的なところになるので、今回の事業に関してという訳ではありませんが、今後は、このような水温の上昇が水生生物へ与える影響に関する注目が高くなります。この海域全体でも懸念されるところなので、コストの問題もあると思いますが、できる限り排水と海水の温度差が小さい形になるように、何らかの熱利用をしながらでも軽減するよう、より一層の配慮をお願いします。

小野会長
 ありがとうございました。はい、楠田委員。

楠田委員
 関連の質問で、幾つか伺います。
 1つ目は、排水口の位置はどの辺になっているのでしょうか。

事業者
 お答えします。準備書2-19頁の「図2.7-6 取排水口(管)の形状」をご覧ください。この図では、取水管を青色、排水管を赤色で示しており、排水口は赤色の最も海域に出たところで、護岸から約18m東側の地点になります。また、排水口は岸壁に沿って斜めに突き出しているという形になります。よろしいでしょうか。

楠田委員
 ありがとうございます。それで、全体を大局的に見たときには、あまり影響はないとは思うのですが、実際の事業では岸壁から18m離れた所に排水されるのに対し、予測計算では18m離さずに、角から排水していることになっていますね。

事業者
 いえ、一応18m離した地点からです。

楠田委員
 いえ、例えば準備書6-24頁の「図6.1-26 濃度計算場の概略図」見ると、排水口の位置はθが90度になっており、角から出ていることになっているのですね。

事業者
 すみません、この図6.1-26は、式を説明するための図でありまして、今回の方位といたしましては、準備書6-24頁の下から3行目に記載しておりますとおり、全方位に360度広がるような形で、工事中の予測計算を行っているということになります。

楠田委員
 そうすると、この6.1-1の計算式は使えないですよね。この計算式を用いる条件は、海域の真ん中に点がある場合で、全周にずっと広がるわけです。今回の事業のように、横に岸壁がある場合は、岸壁を通り抜けて懸濁物質や水は流れませんから、必ず反射して戻ってくるはずなので、この計算式を使われるときには、鏡像の原理というもので反射させることが必要になります。

事業者
 はい、反対側の位置に発生源を仮定して、一応、反射したということは加味しています。

楠田委員
 ええ、その説明がどこにも書かれていないような。
 それで、この説明図が、この方法で予測したかのような誤解を生みます。

事業者
 分かりました。少しその辺りについて分かりやすい図を評価書に入れたいと考えております。

楠田委員
 はい、それで岸壁から18m離して、どのように点源を置いて重ねたかという計算の詳細なところが分かるように表示していただければと思います。

事業者
 はい、評価書で対応いたします。

楠田委員
 それと、2番目の質問ですが、準備書6‐32頁の6.1-3の計算式について、拡散速度の864という数字が出てきた根拠を教えてください。これが拡散係数になりますから、この根拠が出てこなければ、拡散の度合いが妥当かどうかというのが分かりかねるのですが。

事業者
 今回、この数値は、いわゆる瀬戸内法の拡散予測式で使われている数字を使わせていただきました。

楠田委員
 それで、その瀬戸内法の式で使われている値が、本事業の場合でも使うことができるというお話をしていただかないと、少し論理としては一部足りないような気がいたします。水の流れや水流の穏やかさなどの条件によっては、拡散係数が違うかもしれません。

事業者
 少し検討して、評価書に反映させていきたいと思います。

小野会長
 その部分については、専門家の楠田委員の意見を聞いて書くようにしてください。

事業者
 はい、分かりました。

楠田委員
 それと、これは要望ですが、準備書6‐5頁の「図6.1-3 水温の鉛直分布の季節変化(地点1)」と「図6.1‐4 水温の鉛直分布の季節変化(地点1)」について、“潮止まり”と書かれているところに、干潮の潮止まりなのか、満潮の潮止まりなのかを記載していただきたいと思います。

事業者
 分かりました。「図6.1-2 水温の季節変化」では、“潮止まり:干渉”と記載しているのですが、それが図6.1-3、4では抜けています。これらは同じタイミングで採水していますので、記載したいと思います。

楠田委員
 それで、「図6.1‐3 水温の鉛直分布の季節変化(地点1)」の平成25年5月分についてですが、図中の潮止まりを干潮の潮止まりとして考えるのであれば、上げ潮のときに水温が高いというのは、どこからか暖かい水が来ているということですね。なぜこのようなことが起こるのか、お分かりでしたら教えていただきたいのですが。

事業者
 このデータについては、我々も正直はっきり何が原因かというのは分かりかねています。実際調査したら、今回はこのようなデータがとれてしまったということ以外、今の段階では分かりません。先生のおっしゃることはよく分かり、我々も少し気にはなったのです。

小野会長
 暖流によって、ということしか理由はないですか。

楠田委員
 いいえ、上潮で水温が上がるというのは、海から海水が入ってくるときに水温が高くて、下がっている最中は冷たいのです。上がってくるときに暖かい。だから、どこかに何らかの熱源が想定されますが、何かあるのですか。

事業者
 これはどこかにあるのかもしれませんが、これに関しては、はっきりとした理由はよく分かっておりません。

楠田委員
 はい、ありがとうございます。

小野会長
 それは分からないという答えでいいと思います。事業による影響としてはあまり関係がないということですから、それはよろしいと思います。
 はい、勢一委員。

勢一委員
 ご説明いただいた環境影響評価項目で、今回新たに追加された部分があったかと思います。資料2-2の14頁で、赤丸で評価項目が示されており、ここに「工事内容の変更に伴い」というご説明がありますが、特に工事内容のどこが変わったかという点については、とりたてて言及がなかったように思われます。
 方法書の段階では、そのような変更を想定しないで、我々は評価項目についてコメントしておりますので、もし工事内容が変わったのであれば、その部分はもう1回確認をした上で、評価項目について考えなければいけないと思います。そういう意味で、工事内容の変更部分をご説明いただきたいのですが、お願いできますでしょうか。

事業者
 先程の説明では、少し言葉足らずで申し訳ございませんでした。先程、事業の実施のところで、取水管を設置するということに当たって、方法書の段階では陸側を通って取水管を上から降ろすため埋設工事はしないというご説明を差し上げております。
 ただ、今回、工事計画を見直した結果、取水管を海中に埋設することになり、それに伴ってどうしても水の濁りが発生するということで、それに関する項目を今回評価項目として追加した次第でございます。

小野会長
 そういうことです。海底を少しいじるということです。よろしいでしょうか。
 以上で、タテホ化学工業株式会社の「響灘工場建設事業に係る環境影響評価準備書」については、審査を終わります。

(3)響灘東地区処分場整備事業に係る環境影響評価準備書の審査

小野会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様、今の説明につきまして、ご意見、ご質問をお願いいたします。野上委員

野上委員
 大気質の予測に関しての質問です。準備書6.1-61でNOx、NO2、SPMのバックグラウンド濃度の推計値を現地調査結果からの推計で出されています。その推計の基にしているのは近隣の若松観測局で、現地調査は春夏秋冬に1回ずつしかやっていないので、若松観測局の測定データとの関係式を準備書6.1-60で求めて、補正係数、NO2が0.77、NOxが0.91、SPMが0.58という値を算出して、この比で現地調査地点の推定値を出されています。現地調査結果の測定値は、準備書6.1-18にNOxとNO2が、準備書6.1-20にSPMが記載されていますが、準備書6.1-18でNOxとNO2の全季節の期間平均値が出ていて、例えばNOxで見ると0.013と、若松局の年平均値よりも小さな値になっています。NOxの若松観測局の年平均値0.019に先ほどの係数0.91を掛けて推定した値が、0.017となっていて妥当だろうと思います。一方、SPMに関しては準備書6.1-20に現地調査の結果、全期間の平均値が0.026mg/立方メートルと、若松局の年平均値0.023よりも高い値が出ています。これを先ほどの準備書6.1-60の方法で補正すると、相関係数が0.58ということなので、バックグラウンドの推定値は0.014mg/立方メートルになります。現地で測った期間が限られていますけれど、実測の平均値が0.026mg/立方メートルに対して、その地点の年平均値推定値が0.014mg/立方メートルという、非常に小さな値が出てしまっています。どうしてそんなことがこのSPMだけ起こってしまったのでしょうか。

事業者
 すみません。率直なところ、どうしてという、その辺はまだ把握できてはおりません。もちろん考えられる要因としては、現地調査はそれぞれ4期で1週間ずつしかやっていませんので、全体平均に比べるとその期間が高かったということは、原因となり得るとは思うのですけれども、正直なところ、純粋に現地と測定局とで相関をとるとこうなったというところでございます。ただ、散布図のほうを見る限りでは、SPMについては、むしろNOx、NO2のほうがばらつきが大きくて、それに比べますと比較的相関は良いという結果になっておりますので、実際に数字は小さくなっておりますけれども、その処理として不適切ということにはならないと考えております。

野上委員
 私も、相関は非常にいいので、変な値にならないというのが普通だと思うのです。にもかかわらず、実際の測定値よりもこんなに低い値になるというのは、説明しようと思っても、なかなか難しいところがあって、むしろ相関がいいのにこのような値になったことが変な気がするのです。何かどこかに問題はないのかと思うのですが。

事業者
 そうですね。いま一度、実際のデータを見て確認いたします。

野上委員
 よろしくお願いします。先ほど水質は、過大評価側に見直しをしますと説明があったのですけれど、逆にこれはバックグラウンドがすごく過小評価になっていることになるので、再検討をよろしくお願いします。

小野会長
 では、再検討をよろしくお願いいたします。では、樋口委員、どうぞ。

樋口委員
 余水処理の件ですが、準備書2-22のところの処理水の放流基準がCOD90mg/Lとあります。準備書6.5-97では独自の基準のCOD20mg/Lに設定されています。対象事業が、もし廃棄物処理法に基づく排水基準でやるのであれば、水質予測もそれでやらないといけないと思いますので、そういう意味では過小な評価になるのではないかと思います。
 2点目ですが、概要版の31ページに、水質の監視調査の事後調査があるのですけれど、こちらの廃棄物処分場周辺海域での事後調査につきましては、護岸埋立て中と、埋立て工事中だけになっているのです。余水処理というのは、埋立てが終了した後もずっと継続されるわけですので、埋立て終了後というのも付け加えるべきではないかと思います。その辺についてはいかがでしょうか。
 この2点について教えてください。

事業者
 1点目のところで、CODの予測評価20mg/L という数字を使っていることについて、問題はないのかというお話ですが、廃棄物処理法に基づく排水基準は90mg/L までとなっているのですが、現在廃棄物の埋立を行っております響灘西地区廃棄物処分場からの処理水の放流に当たっては、今回提示しております20mg/L、この数字を超えないように管理をしております。この新しい東地区処分場におきましても、この20mg/Lが最大値になりますので、予測評価でもこの20mg/L をCODの排水の諸元値として使用しております。
 次に2点目にありました、埋立てが終わった後の事後調査をするかについては、今回、ここで提示させていただいているのは、西地区処分場に準ずるような形で、測定頻度、測定項目を設定させていただいております。 
 また、埋立終了後の事後調査の内容についても、内部で検討するとともに、先生方の意見を賜りながら、検討させていただきたいと思います。

樋口委員
 私の質問は2つとも関連があるのですけれども、そうしますとCOD20mg/Lというのは、水質の基準はCOD20mg/Lで、水質予測を出されるということですね。

事業者
 そうです。

樋口委員
 そうしますと、それが排出基準になってくると思いますので、この施設が廃止されるまでは、余水をずっと処理し続けなければいけないわけです。そうするとCOD20mg/Lはかなり厳しい基準になりますので、埋立て工事の終了が平成50年くらいになりますけれども、それからさらに10年、それくらいはこの余水処理施設の稼働はずっと続くことになりますので、やはりその分、事後の調査の部分については是非やっていただきたいと思います。

事業者
 もちろん、モニタリングを続けることにしております。

清野委員
 本件の環境保全措置につきまして、この準備書の6.9-58ページのところにございます。あまり影響がないのではないかというが、準備書6.9.3でそういった方向性が書かれていますが、今回38haの砂地が失われるわけです。それに対して、外周護岸を緩傾斜護岸にして海藻が生えやすくするということで、藻場をある程度造成するということかと思います。
 考え方としては、これだけさまざまな砂地の生き物がいる所を消失させるわけです。さらに、その中には重要な希少種もいますし、護岸のマスコットのスナメリの生息する場、砂地の生き物たちの生息場所を埋めるわけです。北九州市にとって、砂地の海底というのは重要な生息地だと思いますので、それに対して検討不足ではないかなと思います。
 希望としては埋立地の砂地に対してもう少し対策ができることを考えていただく。それは、既存のあまり生き物が多くないような所を砂地の海底として修復するとか、いろいろなやり方があると思いますので、ぜひ、必要ないからやらないという記述ではなく、消失した真下の所に対しての考察も少し増やしていただけたらと希望しています。

小野会長
 1つの希望として申し上げたわけですが、評価書のときにはその部分もやはり触れていただくということは必要かもしれないです。

山田委員
 今、清野先生がおっしゃったことに関連してなのですけれど、ここでは38haの海面が埋め立てられます。海藻がその護岸に生えていくと思います。護岸が緩傾斜護岸として、それが藻場として今後どうなっていくのかという、その予測をしていただけたらと思います。やはり今、清野先生がおっしゃったように、重要な砂地を埋めるのですから、新たな藻場生態系を形成するというのが、今までの埋立事業で確かにうずもれていたと思います。それについて、予測がないのかということを確認したいのが1つです。
 もう1つ、その藻場ですけれど、「北九州市の藻場」と資料に示されています。北九州市の水産課では投石などによる藻場造成を行っているということを聞いています。どこかといいますと、例えば、安瀬泊地で、安瀬泊地はむしろ資料に記されている藻場よりも近い所です。またもう少し造成地があるとも聞いております。それら水産課の造成されている近隣の藻場との関連について、どういうふうに今後対処していくのかについて考慮していただきたいと思っています。今度の新たな環境影響評価書にそれも取り込んで、どのようにして生態系を豊かにしていくかというのも考察していただきたいと思います。

小野会長
 質問として承ってよろしいですか。

山田委員
 はい、質問と、それとあとは要望です。

小野会長
 意見ですね。それでは、事業者側から。

事業者
 藻場についてですが、今、実施設計を行う中で、環境配慮型護岸については検討しております。その藻場のモニタリングにつきましても、それを視野に入れながら、今、検討を行っているところではあります。

山田委員
 新たにつくられる所が、被覆ブロックで固められるとここに書かれていますけれど、これはどういうふうな藻場が形成され、実際どのような効果を発揮できるのか。その事例などがあれば詳細を示していただければと思います。もし、この方法がまずければ、別のいい方法、もっと海藻が生える藻場造成法を模索するのに利用できます。ここの工事の工程を見ますと、護岸の工事が平成30年代前半で終わり、そのあと、護岸は平成50年まで約20年間利用されるということですから。
 準備書の2-52に100haの埋立地が書かれています。今回のこの埋立てというのは、この全体100haの埋立ては当初計画で、それの前的な計画と思って受け止めてよろしいのでしょうか。

事業者
 はい。100haのうちの38haを市のほうで整備するようになっておりますので、その第1段階ということになります。

山田委員
 そうすると、西側と北側の護岸が残るようになるわけですね。

事業者
 そうです。

山田委員
 そうすると、それも見込んで、項目として藻場を掲げどういうふうに今後整備されていくのかをお示しいただけるように、よろしくお願いしたいと思います。

事業者
 西側と北側につきましては、前回、最初のところで「環境に配慮するように」というご意見を頂いておりますので、そういう意味においては緩傾斜型の護岸にして、環境に配慮したような護岸を今考えております。

山田委員
 次回のときには見えるような形で、イメージが描けるような形で報告をお願いしたいと思います。

事業者
 はい。

小野会長
 今の議論は、大変に戦略的な話なのです。実際に、北九州市としてどこまで護岸を広げるのか、どういうふうな形にして底質を保全していくのか、そこのところはもっと戦略的なお話だろうと思っています。人間が生活すると、どうしても廃棄物が出る。それをどう処理するかというのは、やはりもっと広い、長い目で見ないといけないわけで、場合によっては地球のほうが勝手に解決するかもしれないような問題であるのです。その辺まで見通した上で、やはり事業というのはこれから考えないといけないのかなと、勝手に、座長としては想像しているのですけれども。
 先ほどのスナメリの話もありましたが、ナメクジウオというのがここに出てきて、私もびっくりしているのですけれども、北九州はまだ海にナメクジウオがいるのだと。生物学者としては驚きなのです。ナメクジウオというのは脊索動物と言いまして、小さいけれど脊索を持っているのです。それは今、ほとんど絶滅しているのです。それがいるのだなと。だから、そういう場合には、どういう視点でそういうものを扱うのかというところが非常に大事になってくる。その辺は、評価書を作っていく上で、頭をひねるのかなと思っています。私の感想として、申し上げておきます。

清野委員
 それに関連しまして、今回出てきている砂地の生き物は、会長がおっしゃったナメクジウオであるとか、それも瀬戸内海では天然記念物になっている海域があったほどですが、それが消えます。ただ、そういうものが、本当に港の近郊にまだ生きているということは非常に重要なことです。それから、イイダコとか、漁業者の方が生計を立てていくための生物もいます。
 私が先ほど申し上げたのは、北九州市は維持のためにものすごく航路浚渫をしており、その土砂を処分するということも今回の埋立ての目的だと思います。しかし、これは生き物の生息地の材料としても、ものすごく重要なものなので、市として事業をやるときに、埋立処分地に入れてしまって、陸に揚げてしまうというだけではなくて、もっと砂地の回復に使っていただけたらと思うのです。
 北九州市のこの海域は、トラフグの産卵地です。水産庁の広域漁業調整委員会の議論を見ていただくと、この関門海峡の砂地をどういうふうに保全するかというのは、トラフグも絶滅危惧になりつつあるので、砂地の所にきちんと定着するような形で産卵させないといけないので、北九州市の埋立て事業ではありますけれども、砂のマネジメントをトータルに技術開発をしてくださることのきっかけにしていただければと思っています。ぜひ埋立てに、砂地の保全や創造ということをしていただけたらと思います。

小野会長
 ありがとうございました。ご意見として承ります。門上委員。

門上委員
 2点質問があります。それから、1つの要望があります。
 1つは、ここはH7がある閉鎖性海域の、入口の右側にできるわけです。水の閉鎖性の湾ですけれども、水の出入りがどうなるのでしょうか。出入りが悪くなれば、恐らく中の水質が悪化する。ですから、直接的なCODの影響ではなくて、水の入れ替わりによってH7の、少し環境基準を超えたりするような地点ですけれども、その奥には業者の生けすなどがあるような所だと思うのです。そういう影響というのは評価されているのかなと、直接的なCODの影響だけではなくて、水の入れ替わりが悪くなって、内部生産でどんどんCODが高くなるという可能性があるのではないかというのが1点です。
 もう1点は、CODを20mg/Lにずっと管理するということは、埋立末期にはCODが随分悪くなり、対策は難しいという話を聞くのですけれど、問題なく対応できるような技術的な手法は確立されているのでしょうか。
 3点目は、臭気は何も問題ないということなのですけれど、以前、響灘埋立地で結構臭気の問題が生じていたことがあるのです。そういう過去に起こった事例をしっかり調べられていて、対応することを、今から検討していってもらいたいという、これは要望です。この3点です。

小野会長
 3番目は要望ですね。では、1、2についてはお答えください。

事業者
 1点目の、水の交換が悪くなる分を考慮しているかというお話についてですけれども、直接的海水交換量が幾つから幾つになるという数字は出しておりませんけれども、モデルとして、そういうのを考慮した上で内部生産、すなわち植物プランクトンの増殖を考慮したモデルを用いております。水質の結果としては、一応反映していると判断しているところでございます。
 2点目、CODを20mg/Lに管理することについてです。現在、響灘西地区処分場も20mg/Lで管理しております。過去の処分場での反省点としてございましたのが、片押し工法で埋立てを行っていくと埋立の末期には場内水が非常に狭い部分にたまってしまい、水質がかなり悪化したという事例がございました。その反省を踏まえまして、今回、桟橋を設けまして均等に埋めていこうと、そういったことを心掛けるようにしております。

楠田委員
 今の門上委員の1番目のご質問のところなのですけれども、全部考えているからとおっしゃられたのですけれども、環境アセスで使うときのシミュレーションは、穏やかなときの状態で物質輸送が起こるということになっていて、海がしけているときの条件は入らないことになっています。というか、ここでは計算されていないです。
 ところが、微細な粒子がたまると、海がどれだけしけるかによって、それが外に運ばれることで、その中の水質、底質が決まることになっていて、このアセスで評価されているものについては、今、大丈夫だとおっしゃられたのですけれど、実はそれが考慮対象外となっていると思います。ですから、微細粒子がどれだけたまっていて、台風とかしけが来たときに洗い流されるのが常なのですけれども、その洗い流されるほうは入っていないので、そのところの見解は少し違うような感じがいたします。

 幾つか水質のところでお願いがあります。計算式をずっと書いているのですけれども、各パラメーターの設定値というのが全部上がっていないのです。私の見方が悪いのかもしれませんけれども、設定内容、例えば準備書6.5-99に水質系のパラメーターを、次のページまでわたってずっと書いてくださっているのですけれども、見つからないのがあったりしますので、全部それをピックアップしていただきたい。
 また「文献値により設定」と右側に書いていて、6.5-100ページのところに文献が(1)から(5)というふうに書かれているのですけれど、この文献は孫引きで、本文がやっている分を言い換えているので、大元のもの、なぜこの数字に設定されているかというのが分かる文献にしていただけるとありがたいです。
 それと、例えば6.5-99のページの中ほどに「a4」という記号があるのです。これは動物プランクトンの摂餌の速度ですけれど、基準値が0℃というのは、そういう基準値は0℃で本当にやられたものがあるのでしょうか。全部0℃が基準になっていて、そういう文献について今まで見かけたことがないものですから、もう少し15℃とかで、温度係数を入れるのが普通のような感じがします。
 それと、大元の水質の基本式ですけれども、例えば6.5-86と87ですけれど、86のほうには、例えば動物プランクトンの式があって、中ほどに線の下に書いてくださっていますけれども、ここでは動物プランクトンは沈まないで、日周垂直ではなくて、多分これは鉛直移動だと思いますが、日周鉛直移動ということで、濃度差で水の交換が考えられています。ところが、右側の一番上のほうの線の上、懸濁態有機物のところで「沈降」と書かれているのですけれども、そこの沈降のBの13の式が混合の式になっているのですよね。沈降になっていないのです。だからこれは、今2層のモデルになっていますから上下混合だけの式が入っています。上層に対してはこれでもいいかもしれませんけれど、下層の所の、下の層の沈降速度がこの式の中に入っていない。底面に沈み込む分の値が入っていないので、この式は少しおかしいのではないかという感じがします。それから、この沈降速度の値のところで、沈降速度の単位が元のパラメーター表に入っていないので、追っかけ切れないというところがあります。
 それからもう1つは、非常に基本的なところで申し訳ないのですけれども、数式を書かれるときには、変数はイタリックで書いて、演算子は大抵ローマンで書くことになっている。この本の中で混在しています。 一部正しく書かれているところもあるし、書かれていないところもあります。数式が全部ローマンで書かれているところもあったりします。この書き方は統一されたほうがよろしいかと思います。以上です。

小野会長
 むしろ今の指摘は、この準備書の書き方の問題ですので、本当は編集の段階でこういうものは全部直っていないといけないので、編集されていないということです。編集が不十分だというご指摘です。式についても、書いている人が納得して書いているのか、それとも単なるカットアンドペーストでやっているのかと。やはりきちんと書いておいてくれという要望であります。
 これは、この準備書自体の問題でもあるのです。こういうのは、そういうものを一遍に読めればいいのですけれども、とても読めません。これは要約書のほうにも書いていないみたいですから、やはりきちんと編集して書いてくださいということを、要望として申し上げておきます。
 これは恐らく、責任者の方が最終的に全部チェックしていないと思います。それをきちんと、分かるように整理してください。
 あと、次の手続きである評価書のときには、分からないところは専門家の意見もきちんと聞いて、書いていくようにご努力をお願いいたします。ストラテジックなところは、今回はやはり、書くべきだというところは議論しなければいけないと思います。ご努力をお願いします。
 それでは、今後の手続きについて、事務局から説明をお願いします。

事務局
 事務局のほうから説明をさせていただきます。今後の手続きにつきましては、本審査会からの答申を受けて作成した、北九州市長意見を、それぞれの事業者に提出することになっております。1件目の発電所の配慮書につきましては、事業者は  今後、市長意見を踏まえて、事業計画を具体化し、「方法書」以降の手続きに反映させることとなります。
 2件目、3件目の「タテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業」及び、「響灘東地区処分場整備事業」の準備書につきましては、事業者が市長意見を受けて準備書の内容に修正を行いまして、最終版の「評価書」の作成、手続きが終了いたします。

小野会長
 それでは、答申については、本日の皆様のご意見を踏まえて、事務局に案を作成させ、私のほうで内容を確認した後に、最終的な答申として市長に提出いたしたいと思います。
 それでよろしいでしょうか。

(委員一同「異議なし」)

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環境局環境監視部環境監視課
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