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第26回議事要旨(平成25年11月20日開催)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000027066

1 日時

平成25年11月20日(水曜日)13時30分~15時30分

2 場所

ホテルクラウンパレス小倉 9階「ヴェガ」

3 出席者

委員
 小野会長、穴井委員、伊藤委員、上田委員、大石委員、門上委員、河野委員、
 薛委員、野上委員、原口委員、樋口委員、森本委員、山田委員

事業者
 オリックス株式会社

事務局
 環境局環境監視部環境保全課(環境監視部長他2名)

4 議題

バイオマス混焼発電施設整備事業に係る環境影響評価方法書の審査

5 議事要旨

小野会長
 
それでは審議に入ります。
 審議に入る前に、本日ご欠席されている楠田委員からの意見を紹介してください。 

事務局
 楠田委員からのご意見を紹介いたします。
 まず、アセスの方向については依存ありません。細かい点で気になるのは次の4点です。
・方法書p20「図2-10 用水・排水の流れ」について、水収支が一致していないようです。
・また、プラント雑排水の処理に凝集沈殿後曝気をかけることの意味が 不明なので、根拠を示していただきたいです。
・方法書p21の「表2-13 排水の水質」について、ノルマルヘキサン抽出物質等を記載していただきたいです。
・方法書のp22(5行目以降~)について、排水は海域に至るまでに、共通の排水溝を通ることになりますが他の排水と合算された影響が、海域に許容以上の影響を及ぼさないことを確認していただきたいです。
 以上です。 

小野会長
 
これに対する回答をお願いします。

 事業者
 
はい、1つずつお答えします。まず、ノルマルヘキサン抽出物質については、ご指摘のとおり、今後協議して準備書段階までに検討していきます。次に、排水の水収支が一致していないという点については、水収支については、方法書p20「図2-10 用水・排水の流れ」では、灰加湿器から排出される水量等が記載されていないことと、他の箇所で足し引きした際の端数のずれにより、収支が合っていないため、今後修正していきます。また、プラント雑排水処理に凝集沈殿の後、曝気をかけることの意味が分かりにくいというご質問については、事業者としても、今後の検討課題と思っているので、本日のご意見を踏まえメーカーと協議しながら、準備書段階でお答えしたいと思います。 

小野会長
 ありがとうございました。それでは、これから本題に入りまして、皆様方のご意見を伺いたいと思います。ご質問をよろしくお願いします。 

河野委員
 
生物に関する現地調査について、植物に関する調査区域の大部分が響灘ビオトープになっていますが、確認の意味でお伺いしたいと思います。今回の調査では、新たな調査を行うのではなくて、響灘ビオトープで実施された調査の既存データを利用するというお考えでしょうか。それに付随して、他の動物(哺乳類、爬虫類、両生類等)についても、調査区域は響灘ビオトープだけとなっていますが、これらも新たな調査を行うのではなく、響灘ビオトープで実施された調査の既存データを利用するということでしょうか。

事業者
 
はい、お答えします。基本的には、事業実施区域の中では、全て現地調査は行います。また、ビオトープに関しては、既に非常に密な情報があるため、改めて私どもの方で調査することは考えておりません。

河野委員
 では、動物類の調査は施設ができる敷地内では実施するということですね。 

事業者
 はい、実施いたします。 

河野委員
 
分かりました。

小野会長
 よろしいですね。では樋口委員。 

樋口委員
 方法書p110(資料3p19)の「表4-2 選定した環境影響評価の項目」について、造成等の施工による一時的な影響における水の濁りが選定されていませんが、この理由を教えていただきたいと思います。というのも、今回の事業では地下構造物がいくつか出てくると思われ、地下埋設の深さによっては当然濁水が出ると思います。 

事業者
 はい、お答えします。工事中には確かに湧水も出ますし、雨水等の濁り水も出ます。これに関しては、特別レベルの高い処理をするつもりはありませんが、通常の自然沈殿などの濁りを落とす配慮はいたします。このため、改めて、環境影響評価の中で取り上げる必要はないと判断しました。発生する濁りの量はこういった処理を講じることで、特別問題のないレベルまで落とすつもりです。

樋口委員
 
造成の範囲や土を動かす量によって、濁水量や濁質も変わってくると思いますので、定性的な意見よりも、定量的な説明がほしいところです。

小野会長
 はい、準備書にその事を書いて欲しいということでしょうか。 

樋口委員
 それでも結構です。 

事業者
 
それでは、なるべく具体的に定量的に近い形で情報整理し記載するようにします。

小野会長
 樋口委員、それでよろしいですね。 

樋口委員
 はい、結構です。 

小野会長
 では、大石委員。 

大石委員
 2点お尋ねします。1点目は、楠田委員からも水質調査にノルマルヘキサンを追加して欲しいとの意見がありましたが、水質調査に関することです。方法書p21「表2-13 排水の水質」にて、監視項目としてpH、COD、SSを選び、常時監視するとのことですが、なぜこの3つだけなのか根拠を教えていただきたいと思います。本事業の場合、排水は反応水ではなく、ほとんどが冷却水なので、どういった物質が出でくるのか分からないのですが、例えば、排出基準として求められているものを一度全部測定して問題になりそうな物質を監視項目とする、というような選定の根拠を明らかにすべきだと思います。このため、まず、冷却水中に含まれる可能性のある物質と濃度を調べることが根拠となるのではないでしょうか。本事業のような施設の排水中には、石炭灰由来の色々な物質が含まれると思います。特に、石炭灰にはホウ素がかなり入っていますが、方法書では全く検討されていませんので、よろしくお願いします。
 2点目は、煙突の高さ、位置と大型鳥類(特にチュウヒ)の飛来の関係を調査して欲しいと思います。市民からの意見でもチュウヒへの配慮を求める意見がかなり出ていましたので。

小野会長
 では、事業者から答えていただきます。

事業者
 はい、お答えいたします。まず1点目のpH、COD、SSを選定した理由としては、本事業からの排水は海域へ放流しますが、中でも、ここ北九州市では瀬戸内海水域における上乗せ排水基準が適用され、一般海域よりも上乗せした基準が設定されているのが、COD、SSであるということで、方法書に明記しております。当然、その他の水質汚濁物質については、操業中は測定しますが、特にCOD、SSについては、遠隔で24時間監視をするオンライン分析機器を設置し、管理するように努めたいと考えています。

大石委員
 
SSは、凝集剤を用いてスラッジを落とすのでしょうか。それとも、pHの調整によって落とすのでしょうか。海域のpHは8程度であり、ほとんど中性なので、それほど問題はないと思いますが。

事業者
 はい、前提としては凝集剤を入れることは考えておりません。

 大石委員
 
それで、そのスラッジは埋め立てをするのですか。

事業者
 はい、スラッジはどうしても再利用することが難しいので、廃棄処分を考えております。 

大石委員
 分かりました。ノルマルヘキサンは今後検討するとのことですが、それ以外の物質については検討しないということでしょうか。 

事業者
 その他の物質については、今後、審査会委員の方々のご意見を聴きながら検討していきたいと考えています。 

大石委員
 
排水先の海域は非常に閉鎖的な所であり、沖合ではなく水際に排水されますので、拡散シミュレーションをしていただきたいです。温度が35℃、排出量が3,400m3/日程度なので問題はないと思いますが、藻類などへの影響を考える上で、拡散を追っていかなければならないと思います。これは、排水中の物質によっても変わりますので。

事業者
 
今おっしゃられたシミュレーションは、予定しています。

大石委員
 それから、煙突の高さ・位置と大型鳥類(特にチュウヒ)の飛来の関係については。 

事業者
 
鳥類の現地調査では、飛翔に関するデータもとります。構造物について忌避の行動をとるのかどうかということも、調査したいと思います。

大石委員
 ありがとうございました。 

小野会長
 チュウヒについてはご存じない方も多いので、この鳥について森本委員、簡単に説明をしていただけませんか。 

森本委員
 チュウヒは、非常に鳶(とび)に似た仲間で、日本には100羽程しか生息していません。もともと冬鳥で、響灘には2組が営巣し、子育てしています。通常は、チュウヒの子どもは育つと追い出されてどこかへ行き、翌年また戻ってくるのですが、響灘地区のチュウヒに関してはその辺りのつながりが確認されておりません。もう一つは餌の問題があります。夏はカエル等を食べますが、冬は何を食べているのか調査が必要です。それによって、採餌場所が必要になってくるため、今後の論議を必要としたいところです。

小野会長
 薛委員、どうぞ。 

委員
 はい、チュウヒを中心とする鳥類とその環境の問題は、今回の事業者だけの問題でなく、むしろ市に見解をお聞きした方が良いかと思うのですが。今後、響灘埋立地の自然としては、もうビオトープしか残さないつもりなのでしょうか。それで、チュウヒが繁殖を含め生き延びることができるのでしょうか。将来の響灘埋立地の土地利用はどうしていくのか見解を伺いたいと思います。あるいは、このようなことを今回の事業とは別立てて、鳥の営巣地について専門家による調査や検討を行って考えないと、従来のアセスのやり方で1件毎に事業実施区域にいるかいないか、ここが変わったらどんな影響があるか、早い者勝ちでまだ土地が残っているからと開発事業を進めていくうちに、最終的にここは開発してはいけませんという場所が出るかもしれません。皆さんがチュウヒは大事だと考えているのであれば、将来、響灘埋立地全体をどのような環境にすべきなのかということを考えることはできないものでしょうか。お願いします。 

小野会長
 
埋立地に関する基本的な質問になりますが、響灘は、工場用地として埋め立てた訳であります。そこに草が生え、その草に様々な動物が住みつき、その中にたまたまチュウヒが含まれていました。現状としてはそういうことです。一方、ここは工場用地なので工場を建てなければいけないということで工場が建設されるのですが、そこで、どうやらチュウヒが生息しているらしいということが分かってきたわけです。チュウヒは北方系の鳥なので、響灘はチュウヒの南限に近いですが、南限だから数が少ないということはありません。また、営巣地は、1組は分かっていますが、もう1組ははっきり突き止められていません。今分かっている1組の営巣地が工場敷地ではないということは明確です。いずれにしても、営巣地は調査する必要がありますから、私はこの調査はやらざるを得ないと考えています。そういった調査は調査計画の中に含まれているのでしょうか。

事業者
 はい、入れます。

小野会長
 また、餌をどういう形で獲っているのかがわからないので、飛行の経路や高さ等を調査しなければいけません。円を描いて餌を探す鳥ではなく、餌を見つけて飛んでいく鳥であるため、その際に、煙突(高さ80m)との対応関係を見なければならないと思います。それからもう一つは、工事中の影響です。営巣期に騒音・振動を伴う工事をすれば、営巣を放棄する可能性があります。工事と営巣期のスケジュールを上手く合わせなければいけません。夜間工事は行うのですか。

事業者
 原則として、夜間工事は考えておりません。

小野会長
 それは鳥にとっても幸せなことです。やはり何よりもチュウヒのデータが出てこないことには、それ以上は進めませんので、まずは調査を行うことです。今回は方法書ですから。以上でチュウヒについてはよろしいですね。

薛委員
 現在の草地環境だけでチュウヒは生き延びられるのかということ、あるいはあの埋立地その物の土地利用に関することを特にお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。 

小野会長
 それは方向性であって、この案件とは直接関係がないですが。

薛委員
 
しかし、この質問に対する回答を聞かないと、1件ずつの案件を考える際に、やはり差し障るような気がするのでお願いします。

事務局
 
ご心配はごもっともだと思います。先の人が得をして、後の人が損をするということは行政としても好ましくありません。とは言え、響灘埋立地は、人工的に作られた地盤であり、埋め立て地を作る際に土地利用についても予め決めています。そういったところから、現行のビオトープについても港湾緑地という位置づけになっております。このため、今の計画以上に緑地を増やしていくことは社会的な合意が作りにくいと思われます。ただ、実際に、必要な緑地面積を確保できるかどうかというのは、最終的には実際にチュウヒがどのような生態行動をとっているのか等のデータがないと議論ができません。このため、なかなか今以上の緑地面積を増やすのは難しいかもしれませんが、チュウヒの生態が明らかになった際に、必要な緑地面積について改めて計算等を行い、社会的合意が得られるものなのかということを、議会や市民に諮って決めていくことになるだろうと考えています。計画は絶対に変わらないという話ではありませんが、変えるのも難しいのではないかと思います。以上です。

薛委員
 大変、ごもっともだと思います。適した環境に貴重な生物が来た際に、それ以上環境を変えられないということはよくあって、私も環境を変えることは本来の姿ではないと思っております。しかし、市民がそれだけチュウヒを大事に思っているとすれば、今のビオトープの環境でチュウヒが生き延びてくれることを祈るしかないと言いますか、その辺りに対する森本委員の見通しはいかがでしょうか。 

小野会長
 ビオトープは、埋立ての際にたまたまスラッジを埋めていた場所で、いずれ地盤が沈むだろうと思われる場所をビオトープにしようとしたら、葦が生え、水が溜まったという経緯があります。今後、エコシステムをどう完成していくのかということは、市にとっても課題の一つではあります。しかし、今回の事業計画地については、営巣地もありませんし、草原だけなので、特に問題はなることはありません。一番問題となるのは、事業計画地を通過するかということで、やはり、チュウヒの飛行ルートがポイントとなると思います。本来、バッタやカエルはチュウヒの餌なので、多分(このまま事業が行われても)チュウヒはビオトープに食べに来るのだろうとは思いますが。森本委員は、採餌の写真は撮られているのですか。

森本委員
 
情報収集をしていますが、今回の事業地内では、採餌の実際例は今のところまだ出ておりません。

小野会長
 今回のアセスにおいて、そのようなチュウヒに関する調査計画はありますか。

事業者
 はい、あります。年4回の調査で、写真も撮りますので、調査中にチュウヒが餌をくわえて飛んだ場合は、どのような餌を食しているのか等のデータも得られます。 

小野会長
 はい、それでは、調査を実施してください。 

事業者
 今回、チュウヒに関しては1年間の調査を実施すると説明しましたが、市民意見も多く出ており市民の関心も高いですから、文献調査についても過去に遡り既存データを収集する予定です。チュウヒの営巣地に関しては、響灘ビオトープにて、ここ10年間程度のデータを持っていると聞いておりますので、このような情報も収集して解析したいと思います。 

小野会長
 はい、ありがとうございました。そこから先、あの一帯をどう利用するかということは、市の問題なので、今回の事業に対する質問としては終わりにします。チュウヒ以外でご質問があればお願いします。

門上委員
 大気について2点お尋ねします。1つ目に、排ガスの大気拡散シミュレーションについてです。本事業におけるボイラーからの排ガス量は、最近の北九州市内の事業所の中では結構多い方だと思います。80mの煙突から、60℃程度と非常に低い温度で排出されるため、本日のような寒い日は始めから水蒸気が出ると思われます。なおかつ本日のように風速6m程の北西風が吹いた場合、排ガスが直接ビオトープの方向に向くことが懸念されます。排ガスについては、方法書p116(資料3p21)に記載がある「窒素酸化物総量規制マニュアル」等に示される大気拡散式を用いてシミュレーションするということですが、これは年平均値を出すのですか。

事業者
 
はい、長期予測では年平均値を、短期予測では日平均値も出します。

門上委員
 短期予測も出してくれるのですか。 

事業者
 はい。 

門上委員
 それから、北九州市独特の典型的な風の影響も予測できるのですか。 

事業者
 はい。特定の風速、特定の風向からの影響についても計算します。 

門上委員
 この辺りのシミュレーションをしっかりやってほしいです。ずいぶん昔の話ですが、北九州市では風洞実験を実施したことがあり、この地域では北西の風が多いようです。そのため、排ガスが直接ビオトープの方に向くのではないかと心配しています。
 2つ目に、「最高品質の石炭」のような定性的な表現が多いため、定量的な表現に改めてほしいです。
 3つ目に、工事中の粉じん対策としては、車輪の水洗いだけでは不十分ですから、道路スイーパーの利用等も検討し、可能な限り低減をお願いしたいです。

小野会長
 
要望と質問を兼ねたご意見です。事業者は答えることはありますか。

事業者
 
高品質の石炭について補足します。石炭の品質は何を持って高品質とするかということのはご指摘のとおりでして、我々としては、環境負荷が小さく、エネルギー(熱量)効率が高いものを総合的に判断して高品位としています。先ほど、定性的な表現にするようにというご指摘を受けましたが、環境負荷と熱量を総合的に見た上で、高品位の石炭という表現をしていることを補足させていただきます。以上です。

小野会長
 
昔は無煙炭と呼んでいたものですね。関連質問なのですが、木材バイオマスの供給先は地元企業とありますが、供給状態はどうなっていますか。

事業者
 
はい、供給状態と申しますと、現状のお話でしょうか。

小野会長
 予想で結構です。 

事業者
 
木材バイオマスの大元となる林地残材や建築廃棄物は、現在、単純に焼却したり投棄されたりしているものが多いです。そこで、FITというバイオマス発電を優先する買取制度が整備され、九州各地でバイオマス発電所が計画されています。今後は、こういったものがそういった施設の燃料として供給されていくようになると考えています。

小野会長
 燃料ですから、供給が途絶えると困ります。木材バイオマスの供給が途絶えると石炭発電になるわけですよね。ですから、バイオマス発電所と銘打った以上、供給源をしっかり押さえておかなければ、事業として持たないと思いますのでよろしくお願いします。日田市にもバイオマス発電所ができるようですが、日田市は間伐材が山ほどありますので大丈夫と思いますが、北九州市の場合は状況が違うと思いますので、よろしく頼みます。

事業者
 はい、承知しました。 

小野会長
 はい、野上委員。 

野上委員
 
大気汚染に関することです。方法書p17(資料3p13)の「表2-9 ばい煙の排出諸元」について、今後はここに記載されているSOx(硫黄酸化物)とNOx(窒素酸化物)の計画値(最大時)を使って、長期予測、短期予測をしていくことと思います。この結果だと最低限のことはクリアしているのでそれは良いのですが、今後、可能な限り排出を低減するよう努力目標は当然考えられていることと思います。ご存知の委員もいらっしゃると思いますが、北九州市では、3、4年程前、八幡製鉄所内に石炭専焼の火力発電所ができる際に、アセスの審査を行いました。その際の排ガス中におけるSOx及びNOxの濃度は、本方法書に記載されている数値より小さい値であり、SOx排出濃度は本事業(50ppm)の約半分、NOx排出濃度は本事業(160ppm)の約3分の1以下となっています。この施設はもう既に稼動しています。3、4年前の石炭専焼(かつ高品質でない石炭を使用した場合)であっても、ここまで数値を下げられるのですから、もちろん環境基準を満たすことは当たり前ですが、このような石炭火力発電所と比較して最大限努力していただき、どこまで数値を下げられるのかということはしっかり調査していただきたいです。

小野会長
 はい、要望としてお伺いしておきます。他に質問は。 

山田委員
 水質について3点程ご質問します。1つ目は、方法書p110(資料3p19)の環境影響評価項目についてです。排水に伴う富栄養化を調査することとなっていますが、富栄養化の原因物質であるT-N(全窒素)、T-P(全燐)が入っておりませんが、これはどういうことでしょうか。

事業者
 はい、T-N、T-Pについては、工業用水に若干含まれている部分があるかと思います。本事業では、約10,000m3/日の工業用水を使用するので、その数値を見極める必要があります。原水中のT-N、T-Pの見極めによって、最終的な排水の水質調査の内容を確定させたいと思っているところであり、このため、現在はまだこのT-N、T-Pのデータを収集できていないので、あえて書いていませんが、今後準備書に記載したいと思います。

山田委員
 では、今後記載していただけるということですね。 

事業者
 はい。 

山田委員
 では、よろしくお願いします。それから2つ目に、植物への影響についてです。海の中の植物は海藻だけしか書かれていませんが、もう一つ大切なものとして、海水中の植物プランクトンがあります。ただ、この植物プランクトンは、市が年4回測定しており、そのデータを活用できると思われますが、方法書の調査項目の中に入れていただき、調査してほしいと思います。理由は、このH-4地点は、私の調査では北九州市内で最も有毒プランクトンが発生しやすい場所とされているので、漁業生産にも影響があるのではないかと考えているためです。植物プランクトン調査は毎月行って欲しいと思っています。とくに高水温期にお願いします。
 3つ目は、排水口の位置についてです。この排水口はもともと共通排水口として市が設置したものですが、排水の流入するこの水域を保全するという観点から申し上げます。この排水流入地点は大変入り組んだ形になっており、この地点からさらに奥まった所には脇之浦漁港があります。ぜひ、脇之浦の方まで含めて環境影響調査をしてほしいと思います。

小野会長
 要望でよろしいですね。 

山田委員
 はい。 

事業者
 植物プランクトンのデータに関しては、既存データとして現在市が調査しているデータがあるので、それを準備書に記載します。それから、シミュレーションに関しては湾奥の方まで範囲を広げて実施し、結果を準備書に記載するようにします。

山田委員
 植物プランクトンについては市が調査しているので、これは市に対する要望になりますが、有毒プランクトンというのは、通常のホルマリン固定では、細胞が破壊されて顕微鏡では検出することができませんので、固定する前に顕微鏡観察をしてほしいと思います。よろしくお願いします。 

小野会長
 はい。では、上田委員。 

上田委員
 
準備書を作成する際の要望として、2点あります。1つ目は、準備書に実際に調査した日付を記載していただきたいと思います。2つ目は、夏や秋の調査の際に、ライトトラップ等を使う際は、月が煌々と照っているときなどはどうしようもありませんので、新月の時に実施する等、気をつけていただきたいと思います。

小野会長
 はい。では、河野委員。 

河野委員
 
先程の野上委員の質問でもありましたが、本事業の排ガス中のNOx、SOxについては、既存の石炭を使った施設と比較した場合、燃料のバイオマス自体がN分とS分を多く含んでいるため、排ガス中のNOx、SOxの量が多いということは多分にあると思います。植物由来の燃料を使うということになると、カーボンニュートラルという面で非常に良いのですが、生きた植物そのものがN(窒素)成分とS(硫黄分)成分の塊なので、どうしてもNOx、SOxが出てしまう。混焼率は1対1なので、バイオマス燃料の選定段階においてNOx、SOxの量を減らすことができるのか、あるいは燃焼条件は石炭専焼の際と同じで良いのか等の検討を、実施するかは別として、可能な範囲で検討していただきたいと思います。

事業者
 
はい、承知しました。バイオマスの原料の調達についても、事業者としての経済性は当然ありますが、環境負荷を軽減できる形を目標としていきたいと考えております。

小野会長
 そのような点も、準備書の中に書き込んでください。 

事業者
 はい。 

小野会長
 他にありますか。はい、薛委員。 

薛委員
 この敷地の緑地率についてですが、工業用地として緑地を何%作らなければならないという基準があって開発されるのでしょうか。 

事業者
 はい、当初、北九州市からご紹介された響灘工業用地については、事実を申し上げますと、響灘ビオトープがこの当該地域の緑地相当になるので、ここに進出する企業においては、工場の中で特に工場立地法等で規定する緑地面積を考慮する必要はないと言われた経緯があります。しかし、発電所としての景観も必要かと思っていますので、具体的に準備書の段階で、どう緑地計画を進めるかということも盛り込みながら進めたいと思います。 

薛委員
 ありがとうございました。埋立地全体の緑地としてはビオトープ等で十分とされるかもしれませんが、一つ一つの工場の敷地が大きいので、道路に面した場所や隅の方は、各事業所においても、景観としての緑地について配慮をお願いできればと思います。 

小野会長
 もうそろそろ時間ですが。はい、門上委員。 

門上委員
 北九州市にお尋ねしますが、どうしてもバイオマス発電所のボイラーの排ガス量の多さにびっくりするのですが、SOxについては23.4、これはK値だと1.75ですか。 

事業者
 1.75です。

門上委員
 はい、では非常に基準いっぱいですね。NOxについても、石炭専焼の場合、160ppmなので、基準いっぱいということになります。そういう指導をするのかというところなのですが。

事業者
 
はい、SOx、NOx、ばいじん等の発生については、今後、事業計画が詳細になった後、市の公害防止条例に基づく公害防止協定を締結することになります。協定の中で、可能な限り値を下げていく予定です。また、野上委員から3年前の石炭火力の値と比較してみてほしいというご指摘もあったので、そちらも見ながら、どこまで値を下げられるのかということを、今後、事業者と詰めていきたいと考えております。

小野会長
 はい、ありがとうございました。それは事業者としてはどうしてもやらなくてはいけないことですのでよろしくお願いします。他にご質問は。 

野上委員
 
温室効果ガスに関することです。方法書p162(資料3p32)に記載されている温室効果ガス等における予測及び評価の手法は、発電工程に関する当たり前のことをさらっと書いているだけです。方法書p24(資料3p18)に記載されている温室効果ガスの排出量削減に向けた操業時の環境保全対策を見ると、世界最高水準のボイラー、タービン発電設備を採用し発電効率を高めることで削減を図るとありますが、燃料については触れていません。今回は、燃料にバイオマスを使うということで、それ自体が二酸化炭素を減らす低炭素化に向けた大きな事業になります。このため、先程河野委員の意見にもありましたが、どこまでバイオマスの混焼率を上げられるのかといった点が一番大きい部分になると思いますので、そこに向けてどこまで努力できるかを検討し、是非準備書に記載していただきたいと思います。

小野会長
 はい、とにかく努力するそうです。おそらく、準備書の中では、もっと具体的に記載されると思います。他に意見はありませんか。それでは、本日の審議を終わります。

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