平成25年1月24日(木曜日) 13時30分~16時
第24回議事要旨(平成25年1月24日開催)
1 日時
2 場所
ホテルクラウンパレス小倉 3階「ダイヤモンドホール1」
3 出席者
委員
小野会長、穴井委員、伊藤委員、上田委員、大石委員、河野委員、川本委員、楠田委員、近藤委員、勢一委員、薛委員、原口委員、樋口委員、森本委員、山田委員、弓削委員
事業者
タテホ化学工業株式会社
事務局
環境局環境監視部環境保全課(環境監視部長他2名)
4 議題
(1)タテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業に係る環境影響評価方法書の審査
(2)その他協議事項
5 議事要旨
(1)タテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業に係る環境影響評価方法書の審査
小野会長
それでは、今から委員の皆様からのご質問等をお伺いしたいと思います。今説明の途中でありましたように、影響が及ぶであろうと思われる項目を事業者が抽出しています。排水が海水に与える影響と、排水によるかく乱の影響とが、主として想定されます。陸上については色々な項目が挙げられていますが、殆ど問題にならないので、そういう事を踏まえた上で、質問等をお願い致します。どこからでも結構ですので、ご意見があったらどうぞ。
大石委員
排水からマグネシウムを採取し、水酸化マグネシウムを作るという事ですが、最終的に反応液の中のpH はどの程度となるのでしょうか。
事業者
反応時のpHは、10弱くらいになります。先ほどご説明したシックナーの上澄み液がそれ位のpHで出てきますが、最後は中和槽で塩酸を加え、中和して、海域に流す事を考えております。
大石委員
pHが10位と言いますと、金属酸化物の水和物の中で、マグネシウムとアルミニウムの水酸化物は一番溶解度が低いので、マグネシウムは採取できると思いますが、上澄みの方はコロイド状態になっていないでしょうか。白く濁り、水酸化物を作って、浮遊している様な状態です。
事業者
沈降剤を加えて極力沈降させますので、そこまで白濁するという事は考えておりません。また、先ほどのpH調整もありますので、そこも含めまして、清澄にして流そうと思っています。
大石委員
ろ液の分析はなさらないのでしょうか。というのは、pH10ぐらいでは、マグネシウムやアルミニウムは沈殿すると思いますが、他の金属水酸化物はなかなか沈降しないと思います。そうすると、消石灰から入った物がそのまま浮遊している、もしくは溶解した状態で存在する可能性が高いです。ですから、反応液から水酸化マグネシウムを採取した後の排水について、やはり分析していただきたいと思っています。
事業者
実際に私どもは、赤穂の本社で同様の事業を実施しています。当然原料は違います。今のご質問に対する回答としては、海水に消石灰を混ぜてpH10程度で沈降させた場合、反応液中にある殆どの金属は、水酸化マグネシウムと共沈するものと考えており、石灰も含めて、排水中に特に濃縮されるような金属はないと考えております。
大石委員
といいますと、酸化物を作る以外に共沈があるわけですね。
事業者
水酸化物ですね、その時点で水酸化マグネシウムと共に水酸化物形態で微量金属も一緒に沈降します。
大石委員
しかし、カルシウムはかなり残っているのではないでしょうか。
事業者
確かに、カルシウムはマグネシウムと置換されますので、多少カルシウムの塩化物系がマグネシウム濃度の同程度、排水中に存在します。
大石委員
かなり高濃度のカルシウムが海域に出ていくわけですね。
事業者
高濃度と言いましても、もともと海水中のマグネシウム濃度というのは、モルで言いますと0.05モル(/リットル)程度でかなり少ないです。それに対してほぼ等量に近いものがカルシウムに変わるだけです。
大石委員
それからもう一つ。アセスを実施する際に、色々な植物について調査するとおっしゃいましたが、プランクトンについても種類と量を測られるという意味でしょうか。
事業者
可能な限りそうしたいと思っております。
大石委員
それでは、種の編成についても影響があると評価されているのでしょうか。
事業者
いえ、影響があるかどうかは今の段階では分かりませんので、調査後の結果を踏まえて解析していくことになると思います。
大石委員
ありがとうございました。
小野会長
他にございませんか。
山田委員
海水からマグネシウムを採取した後の排水の水質は、マグネシウムを採取する前の海水と比べてどのように変化するのか教えてください。要は、マグネシウムがカルシウムに置換することにより、ケイ素がどう変化するのかということです。
事業者
ケイ素については、水酸化マグネシウムと一緒に共沈しますので、海水中のケイ素は多少薄くなると思います。ただ、排水には工業用水を流入させるため、工業用水中のケイ素も含まれてきますが、現在のところ、トータルで最終的にどのぐらい変化するかというデータは持ち合わせておりません。
山田委員
ここ数年ですが、シリカ欠損論というものがあります。この説は、中国の三峡ダムの件が有名で、ダムで赤潮が発生して、特に珪藻が発生した際、その川のケイ素がなくなり、ケイ素がない状態のまま海域に放流されると、放流先の海域では植物プランクトン等の組成が変わってくるという説です。この特殊な例として、エチゼンクラゲの発生説などが挙げられます。
また、ケイ素が不足すると、悪玉プランクトンの鞭毛藻類が発生するなど、赤潮発生の原因になるという説があります。このような影響も考えられるため、現況調査として、ケイ素の濃度を測定されていた方が良いと思います。
次に、3の31ページに記載がある、植物プランクトンの調査データの入手先についてですが、平成21年から22年にかけて北九州市港湾空港局が実施したとありますが、この調査地点が良く分かりません。ここに記載されている植物プランクトンの細胞数232万細胞/Lという値は赤潮発生時の濃度に相当しますし、代表的な出現種である珪藻などは赤潮生物になります。つまりこれは、タテホ化学工業株式会社の工場が稼働される前に、実際に赤潮が発生しているということで、その後どのように赤潮が発生しているかを調べるため、先ほど大石委員が言われたように植物プランクトンの編成を調べていく必要があると思います。
安瀬泊地内は、排水量がさほどなく、しかも海水の交換が良いため、今後拡散等であまり影響ないかもしれませんが、何かあった時の為に、きちんと調査されておく方が良いと思います。
事業者
山田委員有難うございます。
ご指摘がありましたように、3の31ページの植物プランクトンの調査地点でございますが、その下の図の3の1の24の中に、ひし形と三角を付けている地点。ひし形がちょうど安瀬泊地の外側ですね。あと三角が今日最後に見て頂いた調査地点での調査結果となってございます。赤潮の濃度232万細胞/Lについては、これが港湾空港局の資料なので、何処まで調査をされているかは、報告書を見た限りでは分からず、今の段階でそこまで回答出来るかどうか分からないです。今回の調査でその植物プランクトンについては年4回測って、どの様な編成になっているかについては、調査していきたいと考えています。
小野会長
宜しいですか。ご了解頂いたとみなしてよろしいですか。
それでは、他の点でご質問ございますか。
楠田委員
今のご意見と関連していますが、今回は方法書の審査なので、項目を選定していく必要があります。現在、水質の評価項目は、水の濁りと水温のみですが、これには水質分析等は含まれないと思います。今回は、排水の水質が海域の動物・植物・生態系に関連があることから、水質分析等の項目を生物項目側に入れていただくことはできないでしょうか。
事業者
楠田先生のご意見を確認いたします。今回は、水の濁り(SS)などを評価し、その結果も踏まえて、動植物の予測評価をしてほしいということでよいでしょうか。
楠田委員
いえ、それらの評価項目については、それぞれ水環境の項目としての水の濁り、生物系の項目としての動物・植物として、通常のルールに従って評価をすればよいわけです。
今、議論している項目は、要するに、動物・植物・生態系への影響が懸念される水質項目のことで、この水質分析を生物系の項目の中で拾っていただきたいと思っています。
事業者
今おっしゃられている項目とは、例えば水の汚れ、富栄養化、有害物質等々という事でよいのでしょうか。
楠田委員
いえ、マグネシウムを採取した後、カルシウムと置換することにより水質がどのように変化するかということを、生物系の項目の中で調査していただきたいということです。通常、アセスで定められている水質項目は、環境基準の適合の有無を確認するとされており、生物への影響までを考えた内容になっていないと理解しています。間違っていたら指摘していただいて結構です。
事業者
今すぐに対応策が浮かばないのですが、先生のご意見を参考にそのような方法、いわゆる水質の変化が生物等に及ぼす影響についてどこまで評価できるかというのも含めて検討させていただければと思います。
楠田委員
水質分析をやっていただいた方が良いという思いはあります。ただ、水環境の項目の中には水質分析の項目は入らないと思います。そこで、もし実際に生物に影響があった時に、排水との関連性を説明する為に、生物項目側に水質分析を入れていただきたいということです。
事業者
動植物の評価の一つとして、例えばカルシウムとかマグネシウムの現況の濃度をまず測って、それに対してどう影響するかを評価するということよろしいでしょうか。
楠田委員
ええ、結構です。
事業者
検討させていただきたいと思います。
小野会長
少なくとも準備書、評価書にはそれが反映してないといけませんから、よろしくお願いします。
近藤委員
大石委員へのご回答についてです。ろ液中に色々な物質が残る事は考えていないとのことですが、実証的なデータがあるのか等を教えていただきたいと思います。というのは、今、楠田委員が言われた水質の話がありますが、水の濁り・水温の他に、今回評価項目となっていない水の汚れ・富栄養化・有害物質等の項目がありますが、これらは本当に入れなくてよいかということも一回確認していただきたいです。
小野会長
只今の発言は、ご意見として承ってよろしいのですか。
近藤委員
はい。
小野会長
それではご意見として承っておきます。
先ほどの植物プランクトン問題で、調査方法がちょっと分からない所があるのですが、垂直引きですか。水平引きですか。
事業者
水平引きを考えています。
小野会長
何本ぐらい。
事業者
本数は今まだ検討中です。
小野会長
海の生物は、本来物凄いレベルの運動をしていますから、岸からの距離などを考えてサンプル数を出来るだけ増やしていただく方がよろしいかと思います。
山田委員
本日の説明資料の現況調査(資料1-2の8ページ上段)で、海藻・海草と植物プランクトンの調査項目があります。その下に調査方法が書いてあるのですが、逆転しています。植物プランクトンが採水法で海藻・海草が枠取り法ではないかと。
事業者
申し訳ありません。山田委員のおっしゃる通り逆になっております。植物プランクトンが採水法です。
山田委員
はい、それから一つお願いがあります。鞭毛藻が繁殖してくるかもしれないと言うことですが、鞭毛藻の場合は普通のホルマリン固定では、細胞が破裂して組成の観察が出来ない場合がかなりあります。それで、なるべく生海水で植物プランクトンの組成を観察して頂きたいと思います。
事業者
一応両方でやる事を考えております。
山田委員
はい、ありがとうございます。
小野会長
よろしいでしょうか。
石灰岩から消石灰を作る工程はどこで行うのですか。
事業者
消石灰を他社から購入します。
小野会長
分かりました。その他、何か気になる点があればご遠慮なくご発言してください。
原口委員
水の濁りの調査ですが、どういうことを想定して、どのように調査されるのか教えてください。それから、調査地点ですが、影響がないであろうと言う場所にマルを付けていますけれども、何かこれは根拠があって、この場所になったのですか。
事業者
水の濁りについては、プラントからの排水のSSが、採取した海水よりも高めになるという予測データがありますので、海水中のSSがどのような形で広がり影響するかを予測しようと考えています。
原口委員
それは実験データあって、どこか他の同じようなプラントでの実績があるということではないのですね。
事業者
あくまでも小規模の実験データです。実際に海域に流したというデータはありません。
それから、影響がないとした地点について説明します。今回は排水量をもとに新田式を用いて影響の範囲を計算しております。その範囲の外側という事であれば影響が少ないであろうという理由で中央付近を選んでございます。
小野会長
はい、他にご質問はございませんか。
大石委員
付着性の植物や動物を評価する際に、コントロール地区を紹介していただきましたが、ここを選ばれた理由を教えてください。コントロール地区は、選定する難しさがあると思っています。
出来れば、稼動の前後で同じ地区で測ることが一番良いと思われますが、それでも季節変化以上に地形などの影響を受けるものと思われます。それで、本日視察したあの地区だけをコントロール地区として選定して良いものだろうかという不安があります。この地区というのは、妥当な地区なのでしょうか。
事業者
一応、妥当な地区と考えております。施設の稼動前後で何を事後調査項目とするかどうかはまたこの先ご意見を伺いながら決めていきたいと考えています。
大石委員
一般論でも構わないのですが、コントロール地区として妥当だという基準はあるのでしょうか。分かっていたら教えていただきたいです。コントロール地区をどう設定するかということは、一本の川の場合でも、非常に難しい問題ですから。
何故あそこを設定されたかという、理由がありましたら、それを教えて頂きたいです。
事業者
一つは、影響のない場所であればコントロールになるだろうということで選んでいます。後は、文献等で、そこが採餌場であったり、休息場であったりということが分かっている場所であれば良いだろうと考えております。
大石委員
はい、分かりました。ありがとうございました。
小野会長
他にご質問はありませんでしょうか。
それでは、特にないようですから、これでタテホ化学工業株式会社響灘工場建設事業の審査を終了したいと思います。
(2)その他協議事項
小野委員
何か、質問等ございましたらどうぞ。
樋口委員
処分場の規模要件については、それなりの幅を持たせていることは良いと思うのですが、処分場は典型的な迷惑施設ですので、通常の風力発電とかその他の事業所とは異なり、規模がいくら小さくても住民に強く反発される施設だと思います。ですから、規模だけではなく、地域性を考えて規模を設定することも良いと思います。例えば、立地する地域の土地利用規制に応じて、自然環境保全法令を優先する地域は規模要件を小さく設定するなどです。その辺りを踏まえた上で、処分場に対する考え方や姿勢をもう少し全面に出された方が良いと思います。
それから、あまり規模要件を小さくすると市外など周辺地域に施設を誘導しかねないということですが、例えば生活環境影響調査は規模に関係なく実施されますが、この目的は、規模要件をなくす事によって、事業者に対し事業採算が成り立たないような調査など様々な制約を設け、政策的にミニ開発を防ぐことだと思います。ですから、本来ならもう少し小さくしても良いという気がします。個人的には、全ての施設を対象にしたらいいと思いますが、やはり難しい部分があり、そういうわけにもいかないと思います。
小野会長
ご意見有難うございます。
楠田委員
関連のご質問ですが、北九州市周辺で、遮断型処分場を設置されている所の規模を教えてください。
事務局
今手元の資料に規模までは持っていませんが、県内にはございません。九州内では唯一熊本県、産廃処理業者が遮断型処分場を有しておると聞いております。
楠田委員
そうすると、15ヘクタールという規模要件は、殆ど実効性はないという事になりますが、どのようにお考えでしょうか。
事務局
特に近々に遮断型処分場を作りたいといった事業者があるわけではございません。ただ、遮断型処分場は本市に設けられた経験もございませんので、やはり今後将来に備えまして、制度としては整備しておくことが必要ではなかろうかということで、今回このようにお諮りしているところでございます。
楠田委員
ありがとうございました。
小野会長
よろしいでしょうか。
樋口委員
15ヘクタール以上の管理型最終処分場というのは、日本全国でどれ位あるのでしょうか。
事務局
今手元に資料を持っておりませんが、公共関与で作られた処分場というのは大きなものがあります。例えばフェニックス処分場などは、大阪湾等に整備されているのですが、そういった所は大きいものがございます。それから民間事業におきましても、関東近辺や関東からの廃棄物を受け入れられる処分場は、やはり規模の大きいものがあるというふうに聞いております。
樋口委員
私も細かい情報は分かりませんが、フェニックスにしても、それらはほとんど海面処分場です。
事務局
まさに、そのとおりでございます。
樋口委員
公共関与でも内陸の処分場はあると思いますが。
事務局
ございますね。はい。
樋口委員
それでも15ヘクタールを越えるものは内陸にはあまりないと思います。日本の処分場の平均が、確か1.9ヘクタール~2ヘクタール、埋め立て容量でも20万立方メートルぐらいなので、先ほどの15ヘクタールという規模要件を設定しても、実際は申請がないと思います。
小野会長
廃棄物は、人間が活動するだけで必ず出てきますので、これは何らかのルールが必要だと思います。先ほど樋口委員が言われたように、スケールが大きな処分場は出来ようがないと思いますが、小さな処分場があちこちで問題になっているように、これがご意見の大事なポイントになります。
特にご意見はございませんでしょうか。それでは、その他の協議を終わりたいと思います。
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