北九州市におけるESD(持続可能な開発のための教育)の推進は、未来パレットの愛称のもとに「北九州ESD協議会」が中心となって展開しています。平成18(2006)年には国内で4番目のRCE(ESDの推進拠点)に認定されました。
持続可能な開発のための教育(ESD)
ESD(イーエスディー)について
ESDとは、「Education for Sustainable Development」の略称で、「持続可能な開発のための教育」と訳され、「持続可能な未来や社会づくりのために行動できる人の育成を目的とした教育」のことを言います。
ESDでは、環境の問題・地域の課題など多様な問題が絡み合い解決が困難な現代の課題に対して、次のような視点で取り組みます。
(1)一人ひとりが自らの問題として捉え、自分にできることを考える
(2)地球レベルの広い視野で考える
(3)多くの人たちが目的を共有し、つながり、一緒に取り組む
ESDの対象は、学校教育をはじめ社会教育や企業の人材育成など、持続可能な社会を担う全ての活動が含まれます。
また、活動分野は環境問題をはじめ、人権、福祉、男女共同参画、多文化共生など多岐にわたります。
世界の動き
ESDの重要性については、1980年代から世界全体で認識されてきました。
・1987年
「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書の中で、「将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満足させるような開発」という「持続可能な開発(SD)」という概念が取り上げられました。
・1992年
「国連環境開発会議」で、持続可能な開発についての国際的な取組に関する行動計画である「アジェンダ21」が採択され、この中に「持続可能な開発のための教育(ESD)」の重要性とその取組の指針が盛り込まれ、世界的にESDの概念が深められました。
・2002年
「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」で「国連持続可能な開発のための教育の10年(ESDの10年)」をNGOと政府が共同して日本が提案しました。これを受けて、2005年から2014年までの期間を「国連持続可能な開発のための教育の10年」(「国連ESDの10年」)とし、世界規模でESD普及への取組が始まりました。
・2013年
第37回ユネスコ総会において、教育者・ユース・地域コミュニティなど5つの優先行動分野を定めた「ESDの10年」の後継プログラム「グローバル・アクション・プログラム(GAP)」が採択されました。
・2014年
「ESDの10年」最終年には、10年の成果を取りまとめる「持続発展教育に関するユネスコ世界会議」が、名古屋市と岡山市で開催されました。この会議では、10年間の成果を振り返り、2015年以降も積極的にESDを推進していくことが世界各国で共有されました。
また、第69回国連総会においてGAPが採択され、世界規模でESD推進が加速されることになりました。
・2015年
「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が、2015年9月25日に、ニューヨーク・国連本部で開催された国連サミットで採択されました。SDGsにおいても、「教育」の目標が挙げられており、ESDの重要性が一層高まりました。
また、日本においてはGAPの採択を受け、文部科学省と環境省が中心となった「ESDに関する関係省庁連絡会議」が設置され、「日本における『ESDに関するグローバル・アクション・プログラム』実施計画(ESD国内実施計画)」が策定されました。
・2019年
GAPの後継として、第74回国連総会「持続可能な開発のための教育:SDGsの達成に向けて(ESD for 2030)」が採択されました。
そこには、ESDが質の高い教育に関するSDGsに必要不可欠な要素であり、その他の全てのSDGsの成功への鍵として、ESDにSDGsの達成の不可欠な実施手段であることが明記されています。
北九州市の動き
「世界の環境首都」の実現を目指す北九州市では、「SDGs未来都市」の推進に向けて、その基盤となる「持続可能な社会」の構築を図るためにESDの視点は不可欠です。
本市では、基本構想「元気発進!北九州」プランや環境基本計画、生涯学習推進計画などにESDの推進を位置付け、「北九州ESD協議会」等と連携して、様々な取組を進めています。
また、北九州地域は平成18(2006)年12月に「RCE(国連大学が認定するESDに関する地域拠点)」に「RCE北九州」として国内で4番目に認定されており、国内外のRCEとの交流・情報共有等に取り組み、さらなるESD活動の発展に努めています。
(注)RCEとは、Regional Centre of Expertise on Education for Sustainable Developmentの略で、ESDを推進するしくみとして国連大学が認定する「地域拠点」です。世界181地域、国内では8地域(北海道道央圏、仙台広域圏、横浜、中部、兵庫・神戸、岡山、北九州、大牟田)が認定されています(2021年9月現在)。
北九州市のESD
北九州市では、平成18(2006)年に市民、NPO、企業、大学、行政など産学官民からなる「北九州ESD協議会」が発足し、多くの分野の団体・個人が集まり、市民を中心とした様々なESD活動を積極的に推進しています。
【令和6(2024)年4月現在、団体会員95団体、個人会員44名】
具体的には、参加体験型の実践学習を重視し、
- ESD活動を行う団体への支援
- 市民センター館長や職員等を対象としたESDコーディネーターの育成
- 会員にる出前講座や有識者による講演会、イベント等の開催
- 大学生を中心とした自然や環境を活かした体験学習の実践
- 子ども向けESD教材の作成と啓発活動
- 国内外のRCE地域との連携
- ESDの認知度調査と分析、広報活動
などを積極的に展開しています。
北九州地域の目指すESD
藍島プロジェクトで大学生の話を熱心に聞く小学生
ハンバーガーを通して、フードマイレージや地産地消を考えるプログラム
(布絵作成・北九州インタープリテーション研究会)
各刻RCEトンヨンとの交流会
北九州ESD協議会事務局
令和6年7月2日(火曜日)に、下記の場所に移転しました。
【北九州ESD協議会事務局】
〒802-0081
北九州市小倉北区紺屋町13番1号
毎日西部会館7階
電話 093-531-5011
火曜日から土曜日までの10時から18時まで
(日曜日、月曜日、祝日、年末年始は休業)
ESDの普及動画
ESDを分かりやすく、より身近に感じていただくために啓発動画を制作しました。
市内で活躍するESD活動者からのメッセージ等も収録していますので、ぜひご覧ください。
このページの作成者
環境局総務政策部環境学習課
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
電話:093-582-2784 FAX:093-582-2196