生物学的水質調査について
河川や海域の水質汚濁の調査方法として、BODやCODなどの理化学的調査のほかに生物学的調査があります。生物学的調査とは、水域の汚濁状況によって生息する水生生物の種類が異なることを利用してその汚濁状況を知る方法です。北九州市では、昭和49年度から市内の中心部を流れる紫川において、底生生物を指標とした生物学的水質調査を行っています。
生物学的水質判定は生物指数(BI)α法および汚濁指数(PI)法により行っています。
生物指数(BI)α法
Beck(1955)により提案された方法であり、津田(1961)、福島(1968)により採集のための注意点などを補足したものです。理化学検査のみでは把握できない長期間にわたる平均的な水質を川にすむ底生生物相から判定しようとするもので、環境条件が良好な場所では生物の種類が多く、条件が悪くなると減少するという生態学の原則に基づいています。出現した全種の耐忍性より、A(非耐忍汚濁性種数)とB(耐忍汚濁性種数)の2グループに分け、生物指数を2A+Bにより算出します。
汚濁指数(PI)法
Pantle u. Buck(1955)により提案された方法であり、汚濁階級指数既知種の個体数(h)と汚濁階級指数(s)を用い、汚濁指数を∑(s×h)/∑hにより算出します。
生物指数(BI)および汚濁指数(PI)による水質階級を表1に示します。
階級 | 略語 | 水質 | 生物指数(BI) | 汚濁指数(PI) |
---|---|---|---|---|
貧腐水性 | os | きれい | 20以上 | 1.0~1.5 |
β-中腐水性 | βm | 少し汚れた | 11~19 | 1.6~2.5 |
α-中腐水性 | αm | きたない | 6~10 | 2.6~3.5 |
強腐水性 | ps | 大変きたない | 0~5 | 3.6~4.0 |