北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

西部ガス株式会社 (北九州地区)

■業種:都市ガス事業
■従業員数:270名(うち女性51名)(社員、非正規社員含む)

■イクボス推進の取組

  • イクボス行動宣言の公開
    管理職全員が毎年イクボス行動宣言を公開し、職場メンバーのワークライフバランスをサポートする。
  • WEキャリアプログラムの導入
    女性社員だけではなく、男性社員の配偶者の妊娠情報を取得することにより、男性社員の育児休業の取得を積極的に支援する。

管理職全員がイクボスになり、一人ひとりが力を発揮できる組織に

 ガス事業を中心に、暮らしを支える幅広いサービスを展開している西部ガス株式会社。イクボスの取り組みを始めて8年目となり、研修や行動宣言を継続することにより、管理職にメンバーの成長を支える意識と行動が定着してきました。また、育児期にも充実したキャリアサポートを行い、多様な従業員が自らの力を発揮できる組織づくりに取り組んでいます。

北九州総務部マネジャー 林 良三さん

人材育成ができる管理職を育てるために

 イクボス企業同盟に2017年から加盟し、西部ガスグループ全体としてイクボスの取り組みを進めてきました。多様な人材が最大限の力を発揮できる職場環境をつくるために、イクボス人材の育成が必要であると考え、全管理職を対象に外部講師を招いてイクボスマネジメント研修を続けてきました。研修後には、西部ガスグループ全管理職を対象に「イクボス行動宣言」を発表。「メンバーの成長をサポートします」「メンバーの声に耳を傾け、仕事もプライベートも応援します」など、西部ガスグループ全管理職の宣言を、本人の写真と一緒に事務所に掲示しています。
 こうした取組を通して、管理職がメンバーに対してどう関わっていくのか真剣に考える風土ができてきたと感じています。自分たちの宣言を公表してメンバーと共有することで、お互いの意識も変わってきました。

表彰を含む一連の流れで組織に浸透

 イクボスの取り組みとして、イクボスアワードも実施しています。年度末には社員を対象にアンケート調査が行われ、メンバーからの評価点をもとに当年度のイクボスが選ばれます。社長室で表彰が行われ、受賞者のインタビュー記事も社内ネットワークで見られるようになっています。
  アンケートでは、「意見や要望をきちんと聞いてくれて、他部門の上司にも伝えてくれたことがうれしかった」「的確なタイミングでアドバイスをもらい、やりがいにつながった」「子どもの体調不良で休むときに、非常に理解があった」など職場メンバーからのコメントが寄せられ、管理職の励みにもなっています。
  単に研修を受けるだけではなく、具体的な宣言をして日々の行動につなげ、結果までフィードバックする。こうした一連の流れを積み重ねることで、メンバーの成長を支えるイクボス行動が定着してきたと思います。

WEキャリアプログラムで男性育休の取得率が向上

 女性社員の育児休業に関しては100%取得している状況で、現在、育児を理由に退職するケースはありません。復帰後は短時間勤務のフレックス制度を利用しながら、子どもの成長に伴い、徐々にフルタイム勤務に戻るケースが多いです。
 当社の育児休業職制度は、3年前から「WEキャリアプログラム」という男性社員も取得しやすい制度に変わりました。女性社員だけでなく、男性社員の配偶者が妊娠した際にも上司に報告し、面談を設けて育児休業職の取得を積極的に支援する仕組みです。休職を希望する時期や、仕事の引継ぎなどについて話し合っています。制度導入後、男性の育児休業取得率は大幅に向上しました。
 私自身も、管理職になる前に育児休職を1カ月取得しました。2人目の出産だったので、1人目の子どもの世話や家事をしたのですが、これほど家の中にやることが多いとは思いませんでした。働いている妻の大変さを実感しましたね。また、仕事の面では、休職に備えて自分が抱えている業務を可視化して伝える必要があり、仕事内容を見直すきっかけにもなりました。今は管理職として支援する立場になり、育休は社員の成長や業務改善の観点からもメリットがあることを実感しています。

北九州地区の連携や、ダイバーシティ活動をさらに推進していく

 北九州地区独自の取り組みとして、グループ会社の連携強化を目的に「コネクト北九州」と銘打ち、各階層に応じた様々な活動を共同で実施しています。年2回代表者会議を開き、情報交換をしたり、同じ課題意識があるテーマで研修会を開いたり。例えば、Z世代とのコミュニケーションについて学ぶ研修会や、高校の進路指導の先生から高校生のリアルな声を聞く講座などを開催しました。他にもグループ会社の中で、先輩社員が新人をサポートするメンター制度を導入して定着率が上がったケースがあり、成功事例としてお互いに参考にしています。こうした活動は、今後も力を入れていきます。
  また、西部ガスグループでは、2023年度にダイバーシティ宣言を行い、社員一人ひとりが個性を発揮して活躍できる職場風土の醸成を目指しています。「多様性」がもたらす可能性について考え、体感する1週間としてダイバーシティウィークを設け、多様性に関するセミナーを開催するなど啓発活動に取り組んでいます。環境や価値観が大きく変化する時代において、重要な経営課題の一つとして、さらに浸透させていきたいと思っています。

社員からのコメント

北九州総務部 西 秀仁さん

 入社7年目で、総務部で研修関係や車両関係を担当しています。育児休業を1カ月取得し、先月復帰しました。マネジャーの林からは、育休を取る前からフォローしてもらい、非常にありがたかったです。妻の妊娠が分かった時点で報告し、計画的に業務の引継ぎを進めてきました。今後のキャリアを考えた具体的な助言があり、働きやすさだけでなくやりがいも感じました。育児についても、経験に基づくアドバイスが聞けて助かりました。
 育休の間は周囲の人に支えてもらったので、まずは還元できるように頑張っていきたいです。また、私のように育児や介護をしているメンバーもいますので、サポートできるように自分のスキルを高めていきたいです。将来的に部下を持った際には、林のようにしっかりフォローできる上司になりたいと思っています。

【企業プロフィール】

企業名:西部ガス株式会社(北九州地区)
代表者:常務執行役員北九州代表 内藤 篤
所在地:北九州市小倉北区愛宕1-5-10
創業:令和2年4月1日(HD体制移行後の新会社設立日)
企業HP:https://www.saibugas.co.jp/