ＮＴＴ西日本の拠点として、地域の情報通信事業を担う北九州支店。多様な人材の活躍、多様な働き方の実現、組織風土づくり、という3本柱を掲げる「ＮＴＴ西日本ダイバーシティ推進ビジョン」に基づき、支店独自の取り組みを進めてきました。イクボスが率先してリモートワークや休暇取得をしながら、働きやすい環境を育んでいます。

リモートワークで働き方を改革

　ＮＴＴ西日本では、2008年に「いきいき共生推進室」を発足して以降、全社的にダイバーシティを推進してきました。当初は女性活躍の推進や障がい者雇用、ワーク・ライフ・バランスを中心にスタート。2015年には「ダイバーシティ推進室」に名称を変更し、対象を全社員に広げて多様性を活かす組織風土づくりをしてきました。2017年からはさらに体制を強化して働き方改革を行い、場所や時間に捉われない働き方や、社員の能力などを活かせる組織づくりに努めてきました。
　このような中、北九州支店においても多様な人材を活かす職場の実現をめざしてきました。私が支店長として着任した1年半ほど前は、ちょうどコロナ禍で働き方の変革を迫られた時期。当社は情報通信事業であることから、リモートワークをより推進していく必要があります。いろいろな社員から意見を集め、状況に応じてやり方を改善しながらリモートワークの定着を図っていきました。

管理職が率先して実行し、利用しやすい環境に

　リモートワークは部門ごとの状況に合わせて導入を進めました。営業部門では実際の訪問での提案に加え、オンラインでもお客さまに提案や商品説明をするなど、場合に応じて切り替えられるようにしていきました。また、設備部門は、現場に出向く仕事が多いためリモートワークは難しいですが、業務的に可能な範囲で活用しています。総務・企画部門では、7割以上の社員が利用している状況です。
　導入にあたって心掛けているのは、私も含め各組織の長が率先して利用すること。私も週3回ほどリモートワークをしています。同じフロアに4名の管理者がいますが、全員が出社することはほとんどありません。また、個人の業務都合に応じて午前はリモートワークをし、午後出社するなど組み合わせられるようにもなっています。さらに勤務状況を"視える化"し、職場のボードに社員の名前を掲示。リモートワーク中の人、出社をしている人がひと目でわかるようにしています。
　リモートワークで得られる一番のメリットは、時間を有効に使えることですね。通勤時間が浮いた分をスキルアップに使えるようになり、実際にWEB研修の受講率も上がりました。また、一人で集中できる時間が取れるため、調べものや勉強がしやすく、情報共有や商品知識の向上にも役立っています。

ふれあう機会を増やして女性活躍を促進

　当社では女性管理者の登用を積極的に行っていますが、管理者の女性比率は5.8％（2020年）と、まだ少ない状況です。そのために女性社員が参加する研修などを開催しながら、女性管理者の体験談などを伝えてキャリア形成の支援をしています。
　 北九州支店としては、女性が特別に目立つような形ではなく、自然なコミュニケーションの機会を大事にしてきました。月一度のあいさつ運動もその一つ。北九州支店がある８カ所のビルの前に管理者が立ち、「おはようございます」と社員に声をかける活動です。当日はオリジナルデザインのジャンバーを着用し、仕事中もその恰好で過ごします。女性も含めて管理者の存在を社員に知ってもらい、会話をするきっかけになっています。
　 管理者と社員のコミュニケーションツールとして、「スマイルポスター」も支店独自で作成しました。管理者の笑顔の写真とプロフィールを載せたポスターで、各職場に貼っています。プロフィールの出身地や趣味を見て、話がはずむことも多いです。こうした取り組みを通して管理者を身近に感じてもらい、目標にする女性たちが増えればと思っています。

個を活かし組織力も高める環境づくり

　当社では、仕事とプライベートを含めたライフキャリアの個別面談を定期的に行いながら、一人ひとりのなりたい姿を実現できる支援をしています。そういったことを通じ、一人ひとりの思いと擦り合わせをしながら、多様な人材が伸び伸びと力を発揮できる環境を育てていきたいと思っています。
　個を活かすためには、いろいろな人と情報や知恵を分かち合う機会が大切だと考え、現在、古船場ビル１階の一角を改装し、新しい場所づくり（共創スペース）を進めているところです。お客さまとの意見交換、社員のリモートワークやミーティング、社員自身が様々なことを学べるフロアにしたいと考えています。仕事の用途に限らず、コミュニケーションスペースとして自由に活用し、多くの人々からの様々な発想でここから新たなものを生みだし、人生を豊かにする場にしていきたいですね。