北九州市政だより

NO.1465

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令和6年9月1日号 特集

特集
認知症とともに生きる
~認知症にやさしいまちづくり~

市の担当課
保健福祉局認知症支援・介護予防課 電話093-582-2063

 認知症となっても、自分らしく、前向きに暮らしていけるまちへ。ご本人も支える人も独りぼっちにしない
ー「モヤモヤ」したとき、「なんとなく不安」なとき、いつでもご相談ください。共に学び、共に解決していきましょう。

沼田 賢一郎さん(左) 沼田 眞由美さん(右)

沼田 賢一郎さん

 7年前に70歳で認知症と診断された時「自分の人生は終わった」と思いました。認知症と気付かれはしないか…と思うと外出もできず、人にも会えない。そんな生活が3年近くも続きました。転機になったのは、当事者同士の交流会。その会で、認知症になっても前を向いて暮らす姿を発信する方々の存在を知り、「自分もやってみたい」と久しぶりに希望が湧いてきたのを覚えています。今は、自分の経験をお話しする講演活動を妻と一緒に行っています。
 認知症になって、いや認知症になったからこそ人の優しさや温かさにたくさん触れることができました。そのことを、一足先に認知症になった者としてお伝えしたいです。

沼田 眞由美さん

 よかれと思って、当初は夫のすること全てに手を出していました。きっとその時は私もつらい顔をしていたのでしょう。かえって本人の負担になっていたようです。
 夫は今、週4回のデイサービスに通いお友達もできています。1日の予定表をこなすことも楽しみのようですね。慣れ親しんだこの小倉の街での生活が一日でも長く続いてくれればうれしいです。

市政だよりで定期的にお知らせしています

同じ立場の人たちと交流する場があります

認知症・若年性認知症 介護家族交流会
 認知症の人を介護している家族が集まり、ともに励まし合い、認知症や介護について学び合います。ご本人も参加できます。
認知症ご本人の交流会
 認知症の当事者同士が集まって交流を行う場です。家族や支援者も参加できます。


▲家族の会のメンバーやスタッフと

 各回、専門のアドバイザーによるミニ講話もあります。ぜひご参加ください。

問い合わせ
NPO法人 老いを支える北九州家族の会 電話093-882-5599

※9月の交流会については「お知らせ」ページでもご案内しています。

認知症カフェ
 認知症の人や家族が、地域住民や専門職を交えておしゃべりを楽しんだり、情報を共有し合ったりする場です。現在、市内に33カ所あります。
 各地域の認知症カフェについては認知症支援・介護予防センター(電話093-522-8765)へ問い合わせを。市のホームページでもご覧になれます。

市長からのメッセージ

 私自身、22年間の厚生労働省勤務で介護・福祉政策に携わりましたが、認知症対応の在り方は飛躍的に変化してきました。
 脳の認知症的変化は老化現象の一つでもあります。年を重ねると顔にシワのない人がいないのと同じで、誰にでも起き得るのです。80代では約3人に1人に認知症の症状が出ると言われています。
北九州市長の画像  だから、予防には努めながらも、仮に発症しても前向きに暮らせる地域や社会づくりをしていきたいと考えます。
 年を重ねる喜びを真に分かち合える北九州市へ、認知症の方、支える方、全ての方がつながり合い、支え合えるまちづくりを一緒に進めていきましょう。

北九州市長 武内 和久

気になることがありませんか?

早い段階で相談・受診することで、ゆとりをもって対応することができるとともに、症状の進行を緩やかにできる可能性も高まります。

認知症チェックリスト

<採点法>
ほとんどない=0点、時々ある=1点、頻繁にある=2点

  • □同じ話を無意識に繰り返す
  • □知っている人の名前が思い出せない
  • □物のしまい場所を忘れる
  • □漢字を忘れる
  • □今しようとしていることを忘れる
  • □器具の説明書を読むのを面倒がる
  • □理由もないのに気がふさぐ
  • □身だしなみに無関心である
  • □外出をおっくうがる
  • □物(財布など)が見当たらないことを他人のせいにする
⇒0~8点「正常」 9~13点「要注意」
14~20点は専門医などで診断を

出典:大友式認知症予測テスト
(公財)認知症予防財団ホームページより抜粋し引用

認知症かも? と思ったら

かかりつけ医に相談しましょう
 まずは日ごろの健康状態をよく知っているかかりつけの医療機関に相談してみましょう。専門医を受診する場合も、かかりつけ医に紹介状を書いてもらうと、スムーズに受診できます。
認知症サポート医のいる「ものわすれ外来」
 認知症について不安や心配のある人が身近なところで受診し、相談できる医療機関です。さまざまな診療科があり、本人が受診しやすいところを選ぶことができます。

このほか、認知症の専門医療相談や鑑別診断などを行う専門医療機関(認知症疾患医療センター)もあります。

 ものわすれ外来の詳細は問い合わせを。市のホームページでもご覧になれます。

本人が受診したがらないときは?

 本人が病院に行きたがらないのは、認知症について不安になっているからかもしれません。そのような気持ちを受け止めた上で受診を勧めましょう。

  • かかりつけ医に相談し、働きかけてもらいましょう。
  • 「健康診断」として、受診を勧めてみましょう。
  • 信頼している友人や、同居していない子どもや孫が勧めることで、受診につながることもあります。
一人で悩まずこちらにご相談ください!

高齢者のための総合相談窓口「地域包括支援センター」

 保健・医療・福祉・介護の専門職が相談に応じます(相談無料)。

各区役所・出張所にあります ※東谷出張所を除く

開所時間
月~金曜日の8時30分~17時(祝・休日は除く)
市の担当課
保健福祉局地域福祉推進課 電話093-582-2060

認知症に“やさしい”まちになるために

9月は「認知症月間」です
~9月21日は「認知症の日」~

 “誰もが認知症に関わる時代”に向かう今だからこそ、ご本人や支える人だけでなく、「まちぐるみ」で学び、つながり、支え合うための温かで優しい「輪」を一緒に広げていきましょう。

地域につながりをつくる

捜索模擬訓練・声かけ訓練

 道に迷った認知症の人を想定して温かい声かけを行い、安全に保護する体験を地域全体で行います。
 実施方法や事前研修の開催などご相談に応じます。


▲八幡西区塔野地区で行われた訓練の様子

身近な場所を活用

認知症にやさしい図書館

 図書館が持つ、さまざまな人が利用できる身近な交流の場という利点を生かし、市内数カ所の図書館で、認知症に関する本を集めた特設コーナーの設置や認知症に関する講座、お薦めの本の紹介、朗読などを行う「認知症にやさしい図書館」を実施しています。
 昨年、八幡図書館では高校生ボランティアが作成した手作りのポップが当事者や家族から大変好評でした。今年も同館で引き続き開催されます。

高校生ボランティアへの事前研修の様子


▲認知症についての知識を学ぶ

▲昨年好評を得た手作りポップ(一例)

▲読み聞かせしやすい本について

▲受講後、
常設の特設コーナーを見学する生徒
小さなヒントが大きな改善に

認知症にやさしいデザイン

 認知症の人にも「分かりやすく」「利用しやすく」「居心地が良く」「安全な」環境を整えることです。認知症の人のニーズを尊重するだけでなく、さまざまな状態の人にやさしい生活環境を提供することになります。

デザインの一例

便座はどこ?
▲全てが同じような色合いだと見つけにくく、
便座の場所が分からない

下矢印

便座や手すりの位置が分かる。使ってみよう!
▲明確なコントラストをつけることで
探さなくても目に入ります

他にも

  • ・食べ物が見えやすいようにコントラストがある食器を選ぶ
  • ・トイレなどの場所が分かるサインを、見つけやすい高さに付ける など
今すぐできることがありますか?

市政だよりで定期的に
お知らせしています

認知症サポーター養成講座を受講しませんか

 個人向けの講座を開催しているほか、地域・団体・職場(10人以上)などに講師を派遣しています。

サポーターに期待すること
  • ●認知症について正しく理解し、偏見を持たない
  • ●認知症の人や家族と思いを共有し学ぶ姿勢を心がける
  • ●当事者が必要とする支援を確認し、できることを実践する
講座の内容
  • ●認知症について
  • ●認知症の人との接し方
  • ●サポーターとしてできること など

 詳細は問い合わせを。市のホームページでもご覧になれます。

多くの企業・団体の皆さんが受講しています

問い合わせ
北九州市認知症サポーターキャラバン事務局 電話093-873-1296
この特集に関するお問い合わせ
保健福祉局認知症支援・介護予防課 電話093-582-2063

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