北九州イクボス同盟

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IKUBOSS PRESS 2023

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パネルディスカッション
「人を大切にする組織づくりの具体策」を開催しました!

「人を大切にする組織づくりの具体策」をキーワードに、イクボス推進や働き方改革の取り組み実績のある先進企業のキーマン2名をパネリストにお迎えしました。

テーマ:人を大切にする組織の具体策
登壇者:有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子さん
    株式会社山本工作所 常務取締役 管理本部長 三木信之さん
ファシリテーター:株式会社サイズラーニング 高見真智子

写真右から、株式会社山本工作所・三木信之さん、有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子さん、ファシリテーター高見真智子さん。

男性の多い建築業界で女性の強みを活かす

高見:まずは会社やご自身について教えてください。
籠田:95%が男性の建設業界ですが、我が社は8割以上が女性です。わたしは、建設業界で初めてワークシェアリングを導入しました。この業界では女性は結婚するまで、子どもを産むまでと言われてきましたが、結婚・子育てを経験したからこそ生まれた暮らしに関する気づきや課題感、アイデアは暮らしを作る建設産業にはとても重要です。
三木:山本工作所は昨年創業75周年を迎えました。創業当初は製鉄所の構内作業が中心でしたが、現在では、ドラム缶製造、集じん機の設計・制作、セメント工場のメンテナンスなどを行っています。

有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子さん
一級建築士。ダイバーシティ経営を推進するイクボスで、女性技術者・多能工育成のための暗黙のノウハウを明文化した「Zm’ken赤本」「Zm’kenツール」を開発。近年では、すべてデジタルマニュアル化し、AI・ARの開発にも力を注いでいる。

ハード、ソフト面から気持ちをリニューアル

高見:働き方改革に関してどんな取り組みをされていますか。
三木:工場が老朽化する一方で、働き方改革関連法が迫っており、古い設備や仕組みを見直すブランディングプロジェクトを立ち上げました。まずは短期的に取り組めることとして、ハード面、ソフト面共に、主に働く環境から着手しました。続いて、福利厚生など社員の要望が出やすい部分です。具体的には、まず、ブランドスローガンを決めてロゴデザインと名刺デザインを変更。次に、エントランスをモダンな雰囲気にリニューアルし、社員にインパクトを与えました。さらに、女性社員からの声を受けて、プライバシーを確保できるようなリフレッシュルームとセミナールームを新設しました。その後、現在、工場の設備更新を含めて、3カ年計画に落とし込み取り組んでいます。

高見:中長期計画に入られてからの具体的な取り組みと課題を教えてください。
三木:労働時間管理を見直しました。これまで、工場が稼働している時間は労働時間としてきちんと管理されていましたが、それ以外の自主改善活動はグレーゾーンで対応していたため、線引きを明確に行いました。
高見:取り組みの効果は感じられましたか。
三木:1年くらいで、社員に時間管理の意識が出てきたのを実感しています。また、今年からノー残業デーを設定したところ、大きく改善が見られ、7〜8割の社員が定時後の30分以内に退社するようになりました。
高見:短期で新しいことを次々行うと反論もあったのではないでしょうか。
三木:確かに、当初は改革を「過去の否定」だと受けとめられることが多々ありました。この改革をなぜ行うのか、ていねいにビジョンを示し続けることで、最終的には理解を得ることができたのではないかと感じています。

株式会社山本工作所 常務取締役 管理本部長 三木信之さん
昭和62年より福岡銀行に勤めた後、2018年に山本工作所に入社。管理本部長に就任し、管理部門全体を統括する責任者として、経営企画・経理・システム・総務・人事など幅広い業務を担当。

ワークシェアリングは働くすべての人のためのもの

高見:ゼムケンサービスでは、ママたちがプロフェッショナルとして活躍されていますが、業界はハードなイメージがあります。生産的に仕事を回しつつ、ワークライフバランスを取るためにどんな工夫をされていますか。
籠田:昼休みを90分確保し、みんなで昼食を作って食べています。仕事中になかなかできないプライベートの話をすることで、既婚・未婚、子どもの有無など同じ女性でも多様なのだとお互いを知ることができます。ワークシェアリングはある特定の人のためだけの特典ではありません。子育て中の女性に限らず、独身でも男性でも家の用事はあり、お互い様です。また、ワークライフバランスやダイバーシティは、企業にとって付加価値があると考えているので、経営戦略という位置付けで取り組んできました。
高見:「ママだから」等のイメージだけで、その人の能力や環境を決めつけてしまいがちですが、仕事ではない共通体験をすることで、同じ女性でも違いが見えてくるのですね。また、ダイバーシティとは、社員の個性を大切にするためだけではなく、会社の成長のためにこそ、必要な考え方ですよね。

高見:最後に皆さまへメッセージをお願いします。
三木:社員がよりよく働き、生産性も高めていくためには、何よりも経営者、トップが強い信条を持って取り組むことが重要だと思います。皆様と一緒に北九州を盛り上げていきたいです。
籠田:人は誰でも欠けている部分があって、お互い様だと思います。お互いを思いやれる社会であって欲しいです。経営とは、適所をどれだけデザインして、適材を最大限活かせるかだと考えています。今まさにそのチャンスが来ているのではないでしょうか。
高見:強みを伸ばすことは多様性を活かす上で欠かせない視点ですね。北九州市で幸せに働ける人材を増やすことは、地域の力にもなると実感することができました。本日はありがとうございました。