北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

株式会社ゆめマート北九州

■業種:小売業
■従業員数:1,676名(うち女性1,167名)

■イクボス推進の取組

  • 「ゆめCanプロジェクト」の活動
    月1回ミーティングを行い、現場の意見を働きやすい職場づくりに反映する。
  • 社内新聞「ゆめCan News」の発行
    プロジェクトの活動報告やロールモデル紹介など、情報を発信する。

プロジェクト活動を通して、社員の意見を職場づくりに活かす

北九州地区を中心に、福岡県、山口県で31店舗のスーパーマーケットを展開する株式会社ゆめマート北九州。3年前にプロジェクトを立ち上げ、働きやすくやりがいのある職場づくりに向けて活動しています。第18回北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰では、市長賞を受賞。社員の声を反映し、新しい取組を次々と形にしてきました。

  • 管理部 部長 林 益生さん
  • 管理部 能力開発課 担当マネージャー 小山 有理恵さん

個々の能力を発揮できる環境を目指し、プロジェクトを発足

 「ゆめCanプロジェクト」は2014年に親会社のイズミグループで発足したプロジェクトで、当社では2022年に活動をスタートしました。親会社が目標として掲げる女性活躍推進も参考にしながら、当社ならではの働きやすい職場づくりに取り組んでいます。
  プロジェクトはどこの部署にも属さない社長直下型の組織で、経営管理部長の林がサポート役、能力開発課の小山がリーダーを務めています。まずは、いろいろな店舗や部門からメンバーを集め、8人で活動をスタート。社員一人ひとりが個々の能力を発揮し、活躍できる職場環境にしたいという思いはあるものの、当初はプロジェクトをどのように進めていけばいいのか迷いもありました。働きにくいと感じていることや、会社に改善してほしいことをざっくばらんに話してもらう中で、だんだん方向性が見えてきました。
  メンバーは月1回、オンラインまたは対面でミーティングを開き、3カ月に1回は社長も参加して意見交換をしています。2年目は交代や追加もあり、14名になりました。現場で働く女性を中心に20代から50代まで幅広く、子育て中の人もいます。最近は対面が中心なのでお茶とお菓子を用意し、何でも話せる楽しい雰囲気づくりを心がけています。

社員の声をもとに、身だしなみ基準を変更

 プロジェクトの意見をもとに、いろいろな取組が生まれました。その中の1つが「身だしなみ基準」の変更です。以前は、髪の毛や靴、インナーの色なども細かい指定があり、ネイルも禁止でした。今の時代に合った基準に改めて見直し、男性と女性で分けていた内容も統一しました。髪の色は自分で判断することになり、指定は撤廃。髪色を理由に面接で辞退されることがなくなり、新しい従業員の採用にもつながっています。
 また、福利厚生の制度が従業員に知られていないという声を踏まえ、「出産・育児両立支援制度ハンドブック」を作成して配布しました。プロジェクトメンバーの意見をもとに人事総務課が作成し、妊娠期から育児期まで、従業員がどんな制度を利用できるのか、イラストを交えてわかりやすくまとめています。Q&Aでは、仕事と子育てを両立するための悩みや疑問に答えています。ゆくゆくは、介護支援制度に関するハンドブックも作成できればと考えています。

「ゆめCan News」で全職場に活動を伝える

 プロジェクトの活動を報告するために、年4回社内新聞「ゆめCan News」を発行し、各職場の掲示板に貼っています。創刊号ではプロジェクトの説明やメンバー紹介などをしました。「ゆめCan活動を盛り上げます!」「楽しく働ける環境を次世代につなげていきたい」など、メンバーのコメントも入れています。また、社内アンケートで職場環境について広く意見を募り、結果を掲載しました。5号まで発行し、だんだんデザインも親しみやすくポップな感じになってきています。
 さまざまな職場で活躍している人をロールモデルとして紹介する企画もあり、メンバーが人物の選定から取材、記事づくりまで担当しています。1日のスケジュール、仕事内容や考え方などを紹介し、「仕事への向き合い方が素敵だった」「職種は違っても見習うべき点がたくさんあった」など取材した人の感想も添えています。当社は店舗が多くて職場が違うとなかなか会えないため、魅力のある人材を知ってもらう機会になっています。

誰もが働き続けたいと思える会社に

 現在、当社の女性管理職比率は70名中11名で15.7%です。プロジェクトをスタートした2022年は7名だったので、徐々に増えてきています。来年度の目標20.8%は達成の見込みで、人数は15名になる予定。3年で倍以上という成果が見える一方で、業種によってはハードルが高いのが現状です。女性店長は現在いないため、皆さんの声を聞いて課題を解決しながら増やしていければと思っています。
 育児休業に関しては、女性の取得は100%に近い状況ですが、男性はまだ多くはないので、推進していきたいです。店長会議では、奥さんが妊娠した時点で育休の話をするように周知しています。
 プロジェクトは今後も継続していくので、もっと多くの人に参加してもらい、みんなで盛り上げていきたいですね。皆さんが働き続けたいと思える会社を目指して、活動していきたいと思っています。

社員からのコメント

田代 哲也さん

 現在は本社勤務で、店舗の売上管理などを担当しています。3年前と1年ほど前に2回育休を取得しました。ちょうど2週間のパパ育休制度ができた時期で、妻の希望もあって利用させてもらいました。当時は店舗で主任をしており、パートのリーダーに業務を引き継ぎましたが、特に問題なくスムーズにいったと思います。
  実際に育休を取ってみて、子育てと家事は予想以上に大変だと思いました。取得していなければ、妻に任せっぱなしになっていたかもしれません。今は保育園のお迎えがあるので、仕事の効率が上がって残業が減りましたね。
 「ゆめCanプロジェクト」には直接参加はしていませんが、活動を耳にすることが多く、会社の雰囲気も変わってきたように感じています。

【企業プロフィール】

企業名:株式会社ゆめマート北九州
代表者:代表取締役社長 阿部 睦夫
所在地:北九州市八幡西区中須1-1-7
創業:昭和46年2月15日
企業HP:https://www.youme-kitakyushu.co.jp/