北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

株式会社サンリブ

■業種:小売業
■従業員数:5566名(うち女性4223名)

■イクボス推進の取組

  • 再雇用制度「おかえりなさい制度」の導入
    ライフスタイルの変化により一度退職した社員を再雇用する。
  • 管理職を目指すキャリアデザイン研修の実施
    年3回のプログラムにより、管理職になることへの不安をなくす。

キャリアアップできる体制を整え、長く働き続けたくなる職場を目指す

 九州を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社サンリブ。育児等により退職した社員の再雇用制度や管理職に挑戦しやすい風土づくりを行い、第17回北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰では、市長賞を受賞しました。社員の声を反映した経営を行い、風通しが良く長く働き続けられる会社にするために取り組んでいます。

  • 店舗運営部 別府エリア部長 市原 浩孝さん
  • 人事総務部 人事部 次長 稲田 いづみさん

ライフスタイルに合わせて働き続けられる制度を導入

 2021年、男女問わず従業員が個々のワーク・ライフ・バランスの充実を図り、生き生きと楽しく働ける職場を作ることを目的に、女性活躍プロジェクトを立ち上げました。具体的な取組の一つとして、生活環境の変化により、仕事と生活の両立が難しく退職した正社員が、これまで培った経験や技能を再度戻ってきて発揮する再雇用制度「おかえりなさい制度」や、私生活を充実させることを目的に、連続した5日間以上の休暇を取得できる「おこもり休暇制度」を導入しました。
 また、有給取得が伸び悩んでいたため、2022年9月より半日有給休暇制度を設けました。終日の休みは必要ないという声が多く導入したところ、午後から出勤するなど働き方の選択肢が増えたと非常に好評です。導入から半年で有給取得率は前年より約5〜6%上がっており、多くの方が利用されているのを実感します。特に、女性から使いやすくなったという声をよく聞きます。

管理職に挑戦することへの不安をなくす研修を実施

 プロジェクト立ち上げ前から女性がチャレンジしやすいような取組を行ってきました。以前は転勤のある社員のみが管理職登用にチャレンジできたのですが、2017年より地域限定で勤務するエリア社員でもチャレンジできるよう制度を変えました。一時は挑戦する人が増えたのですが、管理職になると私生活を削られるイメージを持つ人も多く、不安が大きいとの声もありました。そこで、管理職の一歩手前の社員を対象にキャリアデザイン研修を実施し、ロールモデルの紹介や情報発信をすると、研修を受けた女性社員3名のうち2名が管理職になりました。年3回のプログラムを受けて気持ちに変化が生まれ、挑戦しようと思っていただけたようです。現在、男性管理職340名に対して、女性管理職は19名。大型店舗の店長やバイヤーなど、職種の垣根を超えて様々な箇所で女性管理職が活躍しています。今後は、若い社員に向けてもキャリアを考える研修を導入したいと考えています。

社内でキャリアアップできる風土作り

 近年、育児や介護に限らず、キャリアを積むために転職する若者も増えています。転職せずとも弊社の中でキャリアを積めるような風土を作りたいです。与えるだけの研修ではなくて、自ら考えて動けるような研修ができないか、今後取り組んでいきたい課題として上げています。若者が今企業に求めているものを考えたとき、給与だけでなく、地域や雰囲気なども重視していることに気づきました。そこで、2024年度からエリア社員の採用を始めました。以前にも取り組んでいた時期はあるのですが、再度ニーズに応えて募集することにしました。今の学生のニーズにあった採用をしていきたいと考えています。また、スキルやライフスタイルに応じて、全地域勤務の社員に変わったり、エリア社員に戻ったりすることができる制度もあります。臨機応変に制度を利用して、スキルアップしてもらえたらと思います。

従業員の声に耳を傾け、スピード感を持って課題解決

 全社員を対象に、当社で働き続けるために何が必要かアンケートを実施しました。半日有給休暇がありがたいといったプラスの声もある一方で、様々な問題も浮き彫りになりました。中でも多かったのが介護についてです。介護をしながら仕事を続けられるのか不安に思っている社員が多く見られました。このような従業員の声や思いに耳を傾けること、諸問題にスピード感を持って真摯に対応することが、働きやすい職場作りにとって大切だと考えています。弊社は、広範囲に店舗を構えているため、現場で働く社員の声がわたしたちのところまで伝わりにくいのが課題でした。そこで、県外の各店舗やバイヤーなど、様々な部署から声を上げてもらうことにしました。その声から生まれたのが「おかえりなさい制度」です。
 従業員の声を聴くと同時に、こちらから従業員に伝えることも大切です。昨年3名の男性が育休を取得してくれました。彼らにインタビューして、取得して良かったことや奥さんの言葉などを聞き、社内通信を発行して発信しています。取組が社内に浸透し、より多くの人に制度を利用してもらえるようにしたいです。その中でまた新たな課題も見えてくるので、現場の声を経営に反映できるような、風通しの良い会社にできたらと考えています。

社員からのコメント

CS推進部 スーパーバイザー 向井 佐知子さん

 パートから社員登用制度で社員になりました。接客が楽しかったのと、どの店舗でもスタッフ同士が仲良く楽しそうで、長く働き続けている人が多いのを見て、社員になることを決めました。
 現在は、CS推進部で、多くのお客様に喜んでもらえるよう接客の向上に努めています。担当する14店舗に直接足を運んで従業員と話したり、新しいレジを導入した際に使い方を教えたり、新店舗の研修を行ったりするのが主な業務です。女性ばかりの部署で上司にも何でも話しやすく、居心地の良い職場だと感じています。
 女性活躍プロジェクトにも携わっており、意見を集約してメンバーに発信する事務局を担当しています。プロジェクトに携わる前は、社内にどれぐらい女性管理職がいるのかも知らない程、女性活躍を意識したことがなかったのですが、今では、各店舗で活躍する女性たちを見ると、ぜひ管理職にチャレンジしてもらいたいと思いますし、自分自身も管理職を目指すことについて考えるようになりました。今後、会社に働きやすい環境を作ってもらうのではなく、自分がその環境を作るきっかけとなり、多くの従業員に長く働いてもらえたら嬉しいです。そして、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら、わたしも長く働き続けたいと思っています。

【企業プロフィール】

企業名:株式会社サンリブ
代表者: 代表取締役社長 眞田 義文
所在地:北九州市若松区本町二丁目17番1号 ベイサイドプラザ若松2F
創業:昭和30年9月15日
企業HP:https://www.sunlive.co.jp/