北九州空港を本拠地に、羽田空港と各地を結ぶ路線を運航する株式会社スターフライヤー。「感動のあるエアライン」を企業理念に掲げ、ホスピタリティに富んだ顧客満足度の高いサービスを提供しています。2017年に「イクボス宣言」を行い、働き方改革やワーク・ライフ・バランスと連動して、社員一人ひとりが輝ける職場づくりに取り組んできました。

イクボス宣言でダイバーシティを推進

　ダイバーシティ推進の一環として、2017年に「イクボス企業同盟」（NPO法人ファザーリング・ジャパン主催）に加盟しました。当時はちょうど中期経営計画を立て、プロジェクトを立ち上げて働き方改革やワーク・ライフ・バランスに取り組んでいこうとしていた時期でした。プロジェクトとイクボスの趣旨が合致していたことから、相乗効果があると考え、イクボスの取組を始めました。
　イクボス企業加盟にあたって、スターフライヤーらしいイクボスのあり方を考え、ホスピタリティあふれるリーダーを目指すことを決意。社長以下70名の管理職が集まり、北九州空港の格納庫にある飛行機の前で「イクボス宣言」を行いました。社員の価値観やライフスタイルを大切にしながら、個々が活躍できる環境を整え、一人ひとりが輝いて働き続けられる企業を目指すことを誓いました。

仕事と育児の両立を支援するガイドブックを作成

　　2018年からは、管理職研修や目標管理シートの設定項目にイクボスの内容を取り入れ、実践に向けた取組を行いました。イクボスの評価項目として、管理職が個人目標を立てる際に、「働き方改革」や「職場の風土改革」などの項目を新たに入れるなど、育成の意識を高め、具体的な行動につなげる工夫をしました。現在は特に指定せずとも、課長以上の管理職の目標には「部下育成」が自然に入るようになりました。
　また、2019年4月には、育児中の女性社員4人を中心にした「D＆I推進プロジェクト」がスタートし、約1年かけて、仕事と育児の両立を支援するガイドブックを作成しました。D＆Iとは、ダイバーシティ＆インクリュージョンの略で、多様性とその受容を表しています。
　このガイドブックは40ページの冊子で、冒頭には社長や役員のメッセージがあり、育児に関する会社の制度を詳しく説明しています。さらに、いろいろな職種の社員の体験談が掲載され、育休取得までの準備、育休中の過ごし方、職場復帰、復帰後の働き方に至るまで、実際のケースを知ることができます。「これを読んで安心した」「とても役に立った」という声が多くの社員から寄せられました。写真やイラストもふんだんに使われ、とても読みやすく、みんなの想いが伝わるコミュニケーションツールになりました。

多様性を活かして働ける職場に

　当社の社員は、職種によって勤務形態も男女比も違います。整備は男性が多く、CAは女性が多いなどの特徴はありますが、全体として男女の比率は半々くらいです。女性で部長以上の管理職はまだ少ないため、今後さらに増やしていきたいと考えています。女性の育児休暇の取得率は100％で、ほとんどの人が職場に復帰しています。男性の取得率は50％くらいですね。国が掲げる目標30％と比較すれば多いほうですが、取得する日数は少ないので、もっと長く取ってもらうように働きかけています。
　テレワークについては、模索しながら進めているところです。導入が難しい職種もあるため、目安としては月4回以上を推奨しています。逆に利用しやすい職種もありますので、週1回の出社というルールを外し、長い期間テレワークができる働き方も試みています。顔を合わせたコミュニケーションが大切なのは言うまでもありませんが、これからの時代に合わせてワーケーションなどの新しい働き方も取り入れつつ、多様な社員が能力を発揮しやすい環境づくりを推進していければと思います。

「感動のあるエアライン」であり続けるために

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　当社の経営理念は「感動のあるエアライン」であり、人とその心を大切にすることを理念の中でも謳っています。人とはお客さまであると同時に、社員のことも意味しています。社員一人ひとりの心を大切に、個性を活かして働くことができ、さらに異なる職種の社員たちが支え合いながら、共に成長していける企業でありたいと考えています。
　スターフライヤーのホスピタリティは、社員の自由な発想がベースになっています。例えば「プラネタリウムフライト」や、ペットと同伴搭乗できる「FRY WITH PET」といった新しいサービスは、ボトムアップで実現したものです。お客さまに感動を届けるためには、社員が仕事も余暇も人生も楽しみ、豊かな心で日々を過ごすことが大事だと思うのです。
　航空業界はコロナで厳しい状況が続いていますが、お客さまの励ましの言葉が私たちの大きな支えになっています。地域の皆さまのお役に立てるよう、従業員一同力を合わせて頑張ってまいります。