北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

社会保険労務士法人 九州人事マネジメント

■業種:社会保険労務士法人
■従業員数:27名(うち女性23名)

■イクボス推進の取組

  • ITツール活用で業務を効率化
    RPA等のITツールを導入し、事業成長に伴う時間外勤務を削減する。
  • 子育てと両立できる勤務制度を導入
    リモートワーク、フレックス制を導入し、女性が仕事を続けられる職場にする。

ITツール活用と柔軟な勤務形態で、人材が定着する環境をつくる

 人事のプロとして顧客企業の労務管理をサポートしている社会保険労務士法人九州人事マネジメント。事業成長に伴い時間外労働が増えたことで、従業員の多数を占める女性に負荷がかかるようになり、ITツールやリモートワークなどの導入で改善を図ってきました。家庭と仕事を両立しやすい職場環境となり、優秀な人材の定着につながっています。

顧問 三原 靖さん

事業成長を支えられる職場体制の構築が急務に

 当事務所は、私と副代表(現代表)2人の社会保険労務士が立ち上げた会社で、今年で16年目を迎えます。企業から依頼を受け、労務関係の諸手続きや給与計算を代行するのが主な業務です。社員の主体は女性で、子育て中の人もたくさんいます。当初は女性をパートで雇って少しずつ人数を増やし、正社員に移行する形でうまく回っていたのですが、事業の成長に伴ってどんどん業務量が増え、5年ほど前から無理が生じてきました。
  私たち経営者にとって新規の依頼はありがたいし、できるだけお受けしたい。しかし、実際に作業を担当する人たちは大変です。当時は20名ほどの組織でしたが、時間外労働が増えて、みんなが疲弊していきました。退職者が出て、他の人にますます負荷がかかったこともありました。知識や経験が必要とされる業務なので、人を採用すれば教育にも時間がかかり、作業が滞ってしまいます。こうした状況に危機感を持ち、人材が定着し、子育てをしやすい働き方ができる環境づくりを何としても進めなければならないと思いました。

RPA等のITツール導入で、時間外労働を大幅に削減

 業務改善の必要性を感じていた頃、SEの平野友麻さんが入社してくれたことは、DXを推進する大きな力になりました。アナログ的なやり方を変えるべきだと分かっていても、何をどこまで変えられるのか、実際にどんなツールを導入すべきか、どんなふうに操作すればいいのか、私には見当がつかなかったのでとても助かりました。社内の意見を取りまとめながら業務改善の方向を定め、平野さんに相談しながらITツールの活用に取り組んでいきました。
  すべての業務内容を棚卸して、まずは定型的な作業の自動化を進めました。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入によって、パソコンのソフトウエアロボットに作業を記憶させて自動処理ができるようになりました。業務の省力化・標準化に成功し、時間外勤務を大幅に削減できたことは大きな成果です。

働く場所と時間を選べるフレキシブルワークへ

 こうした取り組みを進めていた矢先、コロナ禍が始まりました。現場に出向くことが少ない当社の業態はリモートワークと相性が良く、在宅で仕事ができる体制を整えました。コロナが落ち着いて在宅勤務を縮小した企業さんもありますが、当社では今も続けています。
 フレックスタイムの導入も、非常に有効でした。以前は子どもの学校行事やお迎えなどがあれば有給休暇を使っていましたが、フレックスであれば特別に申請することなく自分で時間を調整できます。2時間ほど中抜けで通院し、また業務に戻ることも可能で、皆さん上手く活用していますね。
 リモートワークを導入したことにより、配偶者の転勤に伴って以前なら退職せざるを得なかった社員が、勤務を続けることができました。一時期は、鹿児島と長崎で2人が在宅で働いていました。また、昨年は育児休業を3人取得し、そのうち2人が復帰しました。私たちのように小さな組織では、一人ひとりの存在がとても大きく、経験を積んだ優秀な人材が定着してくれて本当に助かっています。

定着化からさらなるスキルアップを目指す

 新しい制度が定着する過程では、いろいろと試行錯誤がありました。中でも苦労したのは、コミュニケーションです。リモートワークを導入した当初は、どうしてもコミュニケーション不足になってしまい、朝礼や出社の回数を調整することで解消に努めました。遠方の社員以外はフルリモートではなく、毎週出社するようにしています。また、ITツールを活用して情報共有を行い、チャット機能で気軽に状況を知らせたり、顧客情報や業務の流れを全員が見られるようにしたり、距離を感じない環境づくりに努めました。
 当初、主眼を置いていた定着の目的は果たすことができたと思っています。資格取得に関しては、費用を会社が負担するなど積極的に支援してきました。現在、社会保険労務士の資格は10人が持っています。こうした支援も継続しつつ、社員のさらなるスキルアップを目指し、組織としてレベルアップしていきたいと考えています。お客様の人事労務の悩みをしっかり汲み取り、それに対して適切な対応ができる組織にもっと発展していきたいですね。

社員からのコメント

平野 友麻さん

 以前はSEとして給与計算のソフトを作成する会社に勤めていたので、社労士業務に興味があり、ご縁あって入社しました。DXの推進に意欲的なトップのもと、ITツールの選定や導入についてメインで担当してきました。
  5年ほど前と比べると職場環境が変化し、とても働きやすくなったと感じています。在宅勤務とフレックスの導入によって、仕事の効率が上がりました。通勤時間がかからず、自分で時間を調整できるのはありがたいですね。子育て中の社員も多いため、お子さんの体調不良が重なることもあり、リモートワークでみんなが助かっています。
  業務を効率化する本来の目的は、社員が楽になって生まれた時間を有効に使い、品質を向上していくことだと思います。お客様へのサービスの質を高めていけるよう、これからも頑張っていきたいです。

【企業プロフィール】

企業名:社会保険労務士法人 九州人事マネジメント
代表者:代表 髙橋 良知
所在地:北九州市小倉北区浅野2-14-1 KMMビル404号
創業:平成21年12月14日
企業HP:https://sr-kyusyujinji.com/