北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

株式会社プロデュース

多様性を活かす職場環境を育み、一人ひとりの違いを力に

 グループホーム、小規模多機能ホームなど高齢者の介護事業を展開し、北九州市で6事業所を運営する株式会社プロデュース。多様なスタッフが働きやすい職場環境を整え、第12回北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰では市長賞を受賞しました。社長をはじめ管理職がイクボスとなり、「違いを力にする」経営をしています。

(代表取締役 中原 亜希子さん)

子連れ勤務ができる働きやすい職場

 当社では10代から70代のスタッフが、約100人働いています。子育て世代は約3分の1で、子どもと一緒に出勤するスタッフもいます。子連れ勤務のメリットは、夜勤、土日、長期休暇、急な休校でも安心して働けることですね。子どもたちは親が働く姿を見て、「お母さんはいつもキラキラ輝いている!」と素直に言うので、頑張る力にもなっています。
 子育て支援に力を入れ始めたのは、2013年に2事業所目となるグループホームを開設し、若い人を採用するようになってから。ある女性スタッフに、「仕事を頑張りたいので、自分の勤務中は、小学1年生の子どもをここに帰らせていいですか?」と相談されたことが、子連れ勤務を認めたきっかけでした。
  学校帰りにスタッフの子どもたちが来て、大きい子が小さい子の面倒を見たり、一緒に宿題をしたり。そのうち地域の子どもたちも遊びに来るようになり、グループホームの利用者さんも交流を楽しんでいました。コロナ禍になる前は賑やかで、大家族のような感じでしたね。

男性社員の育児休業も普及

 男性のスタッフは全体の2割ほどで、子育て世代は男女を問わず、育児休業を利用するなど家庭と両立しながら働いてます。最初に育児休業を取得した男性は、6年前に子どもが生まれ、美容師の奥さんが職場復帰するときに1週間休みました。その後も夫婦でシフト調整を行い、スケジュールを工夫しながら2人の子どもを育てています。子どもが病気のときは気兼ねなく休める風土が根付き、「お父さんが一人で子どもを看るってすごいですね」と女性スタッフから褒められるそうです。
  介護職の男性たちは、普段から利用者さんのお世話をしていることもあり、育児に抵抗なく参加しますし、育児経験が職場で活かされることも多いと思います。スタッフを育てるイクボスとしても、みんな活躍してくれています。

地域の人材を活用し、お互い無理なく業務を分担

 2017年には介護職員の求人を出しても人が集まらず、人手不足に悩んで業務改革を進めたことが、会社として一つの転機となりました。細かく業務の洗い出しを行ったところ、介護業務だけではなく、調理、掃除、洗濯などの家事に多くの時間を使っていることがわかったんです。そこで、介護資格を持っている人にしかできない仕事、資格がなくてもできる仕事に切り分け、1日2時間の家事業務など、柔軟な勤務ができる求人を出しました。
  すると、「社会とのつながりを持ちたい」「短時間なら働きたい」という高齢者や主婦の方、障害を持つ方たちから応募があり、喜んで働いてもらえるようになりました。多くの業務を担っていた介護職員の負担も軽くなり、お互いの特長を活かした業務分担ができています。こうした多様な人材を活用するダイバーシティの取組が、2018年の「北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰」にもつながりました。

0歳から100歳までが共に生きる社会をつくる

 いろいろな取組を進めるうえでカギとなったのは、OJTを中心とした社員教育です。事業をスタートした頃から教育には力を注ぎ、時間を費やしてきました。幹部、子育て中、若手、パートなどあらゆる階層で勉強会を毎月開き、自己理解を深める学びを中心に行っています。まずは自分という人間を知り、価値観の異なる他者を理解していく。この考え方は、「違いを力にする」という経営理念を実現するうえで欠かせないものです。
 さらに管理職は、傾聴・承認・理解・受容というコーチングスキルを磨いています。働きやすい職場づくりには、いろいろな人の意見を聴いて、問題解決に導くプロセスが重要です。
 例えば過去には、スタッフが赤ちゃんを連れて来たことで、他のスタッフに業務のしわ寄せが起こり、不平不満が出たこともありました。こじれずに解決できたのは、普段から共に学び、話し合えるベースがあったから。相互理解に対する共通認識や、目指すべき理想をわかっていることは大きかったですね。
 これから私が成し遂げたいのは、「0歳から100歳までが共に生きる会社、そして共に生きる地域をつくる」というビジョンの実現です。経営者として、事業継承の準備をしていくことも大事なテーマです。そのためにも、人間力のあるイクボスを育てていくことが、未来の希望になると信じています。

社員からのコメント

(写真左:緒方さん)

管理者 介護福祉士  緒方 夏砂さん

職場結婚をして、昨年子どもが生まれ、妻が出産後に入院したとき10日間の育児休業を取りました。介護に慣れているので不安はありませんでしたが、言葉を話せない赤ちゃんを看るのは大変でしたね。施設の利用者さんも、自分の思いを口に出さないこともありますし、気持ちを汲み取る大切さを感じました。また、子どもの成長を見て、できなかったことができるようになる姿に感動し、スタッフの成長に対する喜びもさらに深くなりました。管理職として人を育てるうえでも、プラスの経験になっています。

【企業プロフィール】

企業名:株式会社プロデュース
代表者:代表取締役 中原 亜希子
所在地:北九州市八幡西区本城東1-11-27
業種:介護・福祉事業
創業:2000年10月
従業員数:89人(うち女性従業員数71名)
企業HP:https://www.pro-kirameki.com/