北九州福祉サービス株式会社
■業種:福祉介護事業
■従業員数:610名(うち女性568名)
■イクボス推進の取組
- 職種に合った柔軟な働き方を実践
スーパーフレックス制や定年制の廃止など、職場のニーズに沿った制度を運用している。 - IT化により業務を効率化
紙の報告書をスマートフォンで入力できるシステムに変更し、記録・報告業務の効率化を図る。
一人ひとりに合った柔軟な働き方を、会社が全力でサポートする
居宅介護支援や訪問介護など、高齢者向けの福祉事業を中心に幅広いサービスを提供している北九州福祉サービス株式会社。設立当初よりヘルパーやケアマネジャーの女性が多く活躍しており、職種に合わせて柔軟な勤務体制を整えてきました。IT化によるペーパーレスも進め、作業負担を軽減して人を活かす環境づくりに努めています。

子育て中の女性も高齢者も活躍できる職場
当社は介護保険の施行時に設立された会社で、ちょうど25周年を迎えました。前身の北九州市福祉サービス協会が提供してきた訪問介護を軸に、居宅介護支援やデイサービス、グループホーム、障がい者支援など事業を広げ、現在は市内に10カ所ほど拠点があります。
もともと女性が8~9割を占め、子育て中の社員も多いため、有給休暇の活用やフレックス制は早くから定着していました。女性活躍推進やワーク・ライフ・バランスを特に意識することなく、社員のニーズに即して柔軟に対応してきたというのが正直なところです。職種によって勤務形態が違い、個人のライフステージによって働き方も変わってくるので、雇用体制を細かく分け、面談で希望を聞きながらできるだけ社員の意向に沿うよう対応してきました。年1回は42項目の意識調査を行い、会社に対する要望も汲み上げています。
例えば、当社の「登録ヘルパー社員」は定年がありません。働く時間は本人の希望次第で、フルタイムに近い働き方の社員から月20時間くらいの社員までさまざまです。ヘルパーは社員全体の半数以上の390名ほどで、年齢層は20代から80代まで幅広く、最高齢は83歳です。健康に留意しながら、皆さん生き生きと活躍しています。

個人の希望やお客様の要望に応じて、選べる勤務時間
ケアマネジャーの場合は、お客様の要望に応じてご自宅を訪問することが多いので、コアタイムのないスーパーフレックス制にしています。実際には9時頃にセンターに出社し、お客様を訪問して18時頃に退社するケースが多いですが、1カ月160時間の中で、5時から22時まで勤務時間を選べるようにしています。
デイサービスセンターのスタッフは基本の勤務時間が決まっていますが、中には1日3時間勤務の社員もいます。子育て中の女性が多いため、特に喜ばれているのが子連れ出社制度です。急に休校になったときなど、お子さんの預け先がないときは一緒に出社しています。
訪問看護のスタッフは24時間体制で採用が難しい職種ですが、若いスタッフが増えています。子連れ出勤も利用されており、皆さんお互いにカバーし合って働いていますね。こうした柔軟な働き方によって社員の離職率が低くなり、お客様の要望に沿った対応にもつながっています。
スマホを活用してIT化を推進し、記録・報告業務を効率化
従来からの取組に加え、時代の流れに合わせて取り入れたのがIT化です。介護保険のヘルパーは計画書や報告書の公的書類作成が必要ですが、以前は紙で作成しており、直行直帰のヘルパーでは提出までに時間がかかったり事務所でパソコンに入力しなおしたりする等の業務が生じていました。そのため2022年に実績記録システムを導入し、スマホで簡単に入力できるようにしました。高齢のヘルパーもいるので、全員が対応できるか心配でしたが、最初は抵抗があった方も数カ月すると慣れてきて、スムーズに運用できています。紙で提出する手間が省けただけでなく、集計する社員の事務時間が大幅に短縮されました。特に月末の業務は楽になりましたね。
訪問看護ではタブレットを導入し、朝のミーティングはオンラインで実施しています。出社しなくても情報の共有が可能になり、時間を有効に使えています。全社的にIT化を進めたことで、業務効率はかなり上がったと実感しています。

人を大切にして、活躍を支援していきたい
昨年はキャリア支援として厚生労働省のセルフ・キャリアドックを試行し、社内公募で手を挙げた18名が受講しました。講習会や面談などを通して自分自身を見つめ、中長期的な視点でキャリアビジョンを描いています。受講者からは、「管理職になることは考えていなかったけれど、ちょっと意識するようになりました」という声もあり、視野を広げる良い機会になったようです。受講の機会提供だけではなく、本人の目標をサポートできるような仕組みづくりも、会社として考えていきたいと思っています。
また、今年度は指針の1つとして社員の安全を掲げ、交通事故や健康管理などに加え、カスタマーハラスメント対策に力を入れていきます。カスハラの基準を明確にして、マニュアル作成なども進めていく予定です。
私たちの会社は、人そのものが事業の主体であり、一人ひとりが大切な財産です。みんなが笑顔で元気に働き続けられる会社であるために、これからも精一杯サポートしていきたいです。
【企業プロフィール】
企業名:北九州福祉サービス株式会社
代表者:代表取締役社長 吉塚 浩
所在地:北九州市小倉北区馬借1-3-21
創業:平成11年12月1日
企業HP:https://kitafuku.co.jp/
社員からのコメント
介護士 森 琴美さん
デイサービスセンターで、お客様の送迎や入浴介助などを担当しています。入社して5カ月ほどですが、年の近い20代のスタッフも多く、和気あいあいとした雰囲気でコミュニケーションが取りやすい職場だと感じています。
私は幼稚園の子どもが2人いるため、休園のときなど子連れ出勤ができるのがとても助かっています。当日でも相談すれば連れて来られるので、急に仕事を休まなくて済みます。午後のレクリエーションには子どもたちも参加し、とても楽しそうです。小さな子がいると、お客様にも喜んでもらえるのがうれしいですね。
現在は、初任者研修の資格取得に向けて勉強中です。会社からの補助制度があり、テキスト代のみの自己負担で受けられるのでありがたいです。