北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

株式会社山本工作所

プロジェクトを立ち上げ、職場環境や意識面の改革を一気に推進

 ドラム缶業界で国内シェア第3位、西日本でトップクラスの株式会社山本工作所。1946年の創業以来、北九州における製造業を支えてきた歴史ある企業です。 2019年2月にブランディングプロジェクトを立ち上げ、職場環境や人事制度などハード面・ソフト面ともに改革を推進。長年抱えてきた課題に取り組み、短期間で大きな変化を遂げています。

(取締役管理本部長 三木 信之さん)

社会の変化に対応できる組織づくりをスタート

 当社にはドラム缶事業、エンジニアリング事業、請負事業の3つの柱となる事業があり、お客さまが求める品質にしっかり応えられる現場力が強みです。山本工作所にしか対応できないものづくりは、取引先から高い評価を受けています。しかしその一方で、働き方改革が進む世の中の動きと比べ、制度や職場環境では遅れている面がありました。 2019年2月、当社はブランディングプロジェクトを立ち上げ、課題解決に着手しました。背景には、平成から令和に時代が代わるタイミング、一部業務の業務移管など、大きな節目となる出来事がありました。こうした中、「社内の古い設備や仕組みを見直そう」という指示が経営トップから出たのです。
  プロジェクトは、社長をトップに各部門、各年齢層から20人ほどのメンバーでスタートしました。ミーティングを開いて会社の課題や改善点を挙げ、それをハード面とソフト面に分け、さらに短期的対策と中長期的対策に分けて、取り組むべき内容と時期を決めていきました。

目に見える環境や備品を次々とリニューアル

 数回のミーティングで方向性は定まったので、社長と私がスピード感をもって意思決定し、スタッフと共に改革に取り組みました。プロジェクトを機に社員から積極的な意見や提案が出るようになりました。
  まずは、着手しやすいハード面の改革を実施しました。会社の顔であるエントランスを全面リニューアルし、賞状等の古い掲示物を外してディスプレイを一新。照明も今風にかつ明るくして、カラフルなドラム缶を置き、外観が大きく変わりました。当社は小学3年生の社会見学を受け入れていますので、小学生が見ても事業内容がわかるようなものにしました。エントランスのリニューアルは、社内にかなりのインパクトがあったと思います。
  黒一色だった名刺のデザインもカラーに変え、SDGsへの機運を高めるためにSDGsバッチを部長以上に配布。翌年には総合職、一般職にも配布しました。SDGsバッチは今では当たり前になっていますが、配布した時期は市内企業の中ではかなり早かったと思います。また、社員が休憩できるリフレッシュルームの設置や、デスク、チェア、キャビネット等のオフィス什器を全面リニューアルするなど職場環境を刷新していきました。

変化のハードルを越えて、働きやすい職場をつくる

 労働時間や人事制度などソフト面の改革は、ハード面よりも容易にいきません。人は今までと違うものに抵抗がありますし、内面はすぐに変われるものではありません。社内の課題だけではなく、今の社会が求める働き方やルールを説明し、職場の理解が得られるように努めています。根気強く何度も伝えたり、時には毅然とした態度で接したりすることも大事だと考えています。
  2021年4月、改革の目玉となる新しい人事制度がスタートしました。社員一人ひとりが目標を掲げ、結果に対して適正な評価ができる仕組みをつくり、運用を開始しています。社員教育にも力を入れており、階層別研修では「新たな刺激を受けて視野が広がった。他の部署に対する理解が深まった」という声が聞かれるようになりました。
  長時間労働削減に向けた取組に関しては、工場の生産工程の見直しや設備の更新、見える化の取り組み等により、生産性が上がることによって着実な成果が表れています。私が担当する管理部門では、慣習化された非効率的な事務作業を減らしています。半日年休制度を年12回から20回に拡大、時間単位年休制度の導入など、ワーク・ライフ・バランスも推進中です。

外から見ても中から見ても、良い会社を目指して

 この2年でさまざまな取組を一気に進め、「変わっていかなければならない」という意識が社内で育ってきました。ハード面・ソフト面ともに、中長期で取り組む課題はまだまだありますので、着実に実現していきたいと思います。
  来年は「健康経営」をテーマに、女性社員がリーダーとなって取り組んでいきます。定年延長も検討中なので、健康で長く活躍いただけるように個々人の健康増進の後押しをしていく予定です。また、社内サークルの補助制度を開始し、スポーツや趣味を通して心身の健康づくりをサポートするとともに、社内の活性化を図っていきます。
  私は常日頃、「外から見ても中から見ても、いい会社にしていこう」と話しています。社会的に高い評価を受け、自分たちも満足して働いていける職場を目指して、これからも改革を推進していきます。

社員からのコメント

総務部 総務室 坂田 いくみさん

 女性初の事務系総合職として2013年に入社しました。現在は7名の女性総合職社員が働いています。入社した当初はロールモデルとなる先輩社員もおらず、やりづらさを感じる面もありました。女性総合職の人数も増え、三木取締役が上司になってからは、より意見が伝えやすくなり、幅広い仕事に挑戦できるようになりました。新しい風を起こしてくれたイクボスです。自分が提案したリフレッシュルームも実現し、社員の思いを汲み取ってくれるいい会社だと思います。将来に希望を感じ、ワクワクした気持ちで楽しく仕事をしています。

【企業プロフィール】

企業名:株式会社山本工作所
代表者:代表取締役社長 山本 和男
所在地:北九州市八幡東区大字枝光1950-10
業種:製造業
創業:1946年5月
従業員数:268人(うち女性31人)
企業HP:https://www.k-yamako.co.jp/