北九州イクボス同盟

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企業インタビュー

異島電設株式会社

女性活躍が好循環を生み出し、企業風土を変革

 地元企業の工場設備を中心に、電気工事業を展開している異島電設株式会社。中小企業ならではの柔軟性を生かして、経営者が社員の要望や相談にスピーディーに応じ、解決策を次々と実行してきました。女性活躍、育児休業などの新しい取組によって、会社全体の意識も変化。長年の課題だった人材不足の解消にも、良い影響を与えています。

取締役 異島 明子さん

6年連続で健康優良法人に認定

 当社の事業である電気工事は、知識と経験を備えた技術者が欠かせない仕事です。朝から夕方まで客先に出向き、体力と気力を要する作業を行うため、社員の健康や安全管理には特に配慮してきました。全社員の生命保険を会社が負担し、入院給付金などの保障も充実させています。社員の健康診断はもちろん扶養家族を含めた、インフルエンザ予防接種なども継続して行ってきました。
 2017年、経済産業省が健康経営に取り組む企業を認定する「健康経営優良法人認定制度」がスタートしました。
 人材不足や高齢化が顕著な課題となっている建設業界において、若手社員の確保に繋がればとの思いで申請したところ、「中小規模法人部門」で市内初の認定をいただくことができました。
以来、今年まで6年連続で受賞しています。

初の女性電気工事士の採用で現場が変化

 4年前、初めて女性の電気工事士を採用したことが、社風を変える一つの転機になりました。以前大手企業で電気工事の一部に関わっていた30代の女性で、本格的に電気工事士として働きたいという希望で求人に応募して来ました。入社が決まるとすぐに女性用の休憩室を整備し、教育係として担当者を決めるなど、できるだけ不自由なく働けるようにサポートをしました。
 彼女の前向きな仕事ぶりに触発され、周囲の意識や態度が変わったのは思いがけない成果でした。それまでは、「現場作業は見て覚える」という考え方が根強く残っていたのですが、ちょうど同じ時期にベトナムの研修生を受け入れたこともあり、新人がわからないことは親切に教え、チームでサポートしながら人を育てていく風土が醸成されてきました。
 彼女の明るさと熱心な姿勢が、建設現場での雰囲気作りや環境整備に多大な効果を生み出し、顧客への物腰も柔らかくなりました。仕事の話だけではなく昼食時の雑談も増え、コミュニケーションが円滑になりましたね。

女性管理職が社内のパイプ役に

 事務部門で初の女性管理職を登用したことも、予想以上に大きな影響がありました。中途採用で入社し、子どもが小さいときは短時間勤務を利用して働いてきた女性です。もともと明るくて頑張り屋でしたが、総務・経理の管理職に就いたことで積極的に新しい提案をしたり、工事部門に働きかけたり、事務所と現場をつなぐ重要な役目を果たしてくれるようになりました。
 月初めの工程会議には毎回参加し、現場の動きを把握するとともに、総務からの情報を伝えています。新型コロナ感染予防など季節に応じた健康情報の発信、熱中症対策用品の準備など、現場の役に立つことを考えて主体的に動いてくれるので助かっています。SNSを活用したきめ細やかな連絡も、現場の人から好評です。工事担当者は朝8時には現地に入り、帰社するのは17時以降。本社のフロアも違うため、事務職と接する機会は少なかったのですが、今では帰社すると事務所にも顔を出す人が増えました。
 また、4年前には男性が初めて育児休業を取得しました。奥さんが2人目の出産で入院する際に、上の子の面倒を見るために育休を希望。前例ができたことで、今後も育児世代が利用しやすくなると思います。他にも、出退勤時間の融通、子連れ出勤など、社員から相談があるたびに、できることはすぐに実現してきました。前向きな申し出には、これからもどんどん応えていきたいですね。

長年の課題だった人材採用に成果

 働き方改革を推進する時代の流れや、女性活躍をはじめとする新しい取組を進めてきたことで、当社の雰囲気はかなり変化してきました。ここ数年、毎年新入社員が入るようになり、定着してきたのは大きな成果です。今年は3名の高校新卒を迎え入れることができました。電気工事は覚えることが多く、資格取得も必要です。一人前になるまで何年もかかるので、しっかり育てていきたいです。
 手探り状態で始めた取組ですが、熟年社員の意識改革や情報の共有化が進み、業務の効率化にもつながってきました。
 今後はさらに長時間労働を減らし、仕事の効率を上げていくことを目指しています。そのためには一人ひとりが実力をつけ、仕事の全体像を把握したうえで担当業務に臨む姿勢が大事。昔は残業で稼ぐ人もいましたが、今は利益が出た分を社員に還元し、モチベーションアップを図っています。会社と社員の信頼関係を軸に、10代から70代までの社員が力を合わせ、みんなが幸せに働ける会社でありたいですね。

社員からのコメント

工務課長 濱田 秀一さん

 電気工事の現地調査、見積もりなどの準備から完了後の請求まで、一貫して担当しています。社歴は26年ですが、5年ほど前から会社の変化を実感しています。以前は休暇を取りにくい面があったのですが、予め申請すれば工事の人員調整ができ、子どもの学校行事にも参加しやすくなりましたね。女性の活躍によって現場の雰囲気が温和になり、社員同士の会話が増えてきました。スマホの活用で情報伝達も円滑になっています。若手社員が増えているので、育成にはもっと力を入れていきたいと考えています。

【企業プロフィール】

企業名:異島電設株式会社
代表者:代表取締役社長 異島 洋
所在地:北九州市戸畑区新池3-3-18
業種:電気工事業
創業:1985年
従業員数: 20人(うち女性4人)
企業HP:https://ijimads.com/