北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

極東ファディ株式会社

■業種:卸売業、小売業
■従業員数:社員150名(うち女性50名)

■イクボス推進の取組

  • 女性店長の育成とサポート
    女性店長候補の持ち味を活かした取組を行い、モチベーションに繋げる。
  • 女性同士のネットワーク「ファディ じょ の会」
    社内外の女性の横の繋がりを作り、相談しやすい関係性を構築する。

リーダーシップのあり方を見直し、女性店長を育成

 自社焙煎コーヒーと冷凍食品の卸売・小売とカフェを手掛ける極東ファディ株式会社。店長を目指して入社した女性たちが体力的なハンデを感じ、店長になることを諦めてしまっていたことを背景に、女性のモチベーションアップのための取組を行い、4名の女性店長を育成しました。

取締役 吉水 請子さん

望ましいリーダー像を考える

 2016年から、ライフイベントと並行してキャリアを継続させることを目的に、女性活躍プロジェクトを行っています。当時、女性社員にキャリア振り返りのアンケートを行ったのがきっかけでした。採用の際、将来店長になりたいと話していた女性たちが、アンケートでは誰一人店長になりたいと回答しなかったのです。優秀なアシスタントになりたいという回答が多く、その結果に驚きました。消費者は女性が大半なので、もっと女性社員を活用したいと考えていたのですが、彼女たちは、働くうちに店長になるという目標を諦めかけていたのです。そこで、できるだけ最短で女性店長を育成しようと決めました。
 原因は組織風土にあったと思います。望ましいリーダーシップのあり方が、「背中を見ながらついてこい」といった、強く画一的なものになっていました。取扱商品も数多くあり、バックヤードの冷凍庫の整理が一番早く上手い人がリーダーに相応しいと見えていたようです。体力的な負荷を考えると、女性は支える側にならざるをえないと思い込んでいたのです。

女性店長候補たちの持ち味を活かし、モチベーションアップ

 制度面を整えることももちろんですが、プロジェクトの1つとして集合研修を行い、女性総合職社員全員のボトムアップを図りました。その他、女性店長候補としての中核メンバーを人選して、課題を乗り越え、持ち味を発揮しながら店長になるにはどうしたら良いか、自分たちで道筋を考えます。最初に持ち味発見を行ったとき、このメンバーは情報発信が得意なのではないかと気づき、店舗に手書きポップを普及させることを自ら決めました。会社に提案し、今では手書きポップが標準装備になりました。自分たちが提案したことが会社のスタンダードになっているのです。周りの従業員も素敵な取組だと評価してくれ、自信に繋がりました。この自信が、女性店長が生まれるための大きな1歩となったと感じます。
 活動が進むに連れて、すでに店長を務めている男性たちにも良い影響を及ぼすことができました。女性がリーダーとして活躍できる環境は、同時に男性にとっても働きやすい職場であるという考えが社内に広がっていきました。

社内外の横の繋がりを作る「ファディ じょ の会」

 各店に配属された女性同士を繋ぐネットワーク「ファディ女の会」を作りました。何か困ったことがあれば、他店の先輩や同世代の女性社員に気軽に相談できる、そんなネットワークづくりに活用してもらっています。この会で集合研修を行い、店長たちの一皮向けた経験についてパネルディスカッションを行ったり、社外で学んだことをフィードバックしたりします。さらに、社外の女性との繋がりにも発展しました。仕入先が食品メーカーで、全国転勤のある女性営業社員の方も少しずつ増えてきましたが、その方々も仕事以外で結びつきがありません。そこで彼女たちともネットワークを繋ごうと、研修後の懇親会に合流してもらっています。お店選びにもこだわって、“エレガント”な会場を心がけています。社外の女性たちも含めて「ファディ女の会」なのです。外部に友達ができ、趣味の話をしたり、一緒に出かけるまでの仲になったり、良い関係を築いています。

  • 手作りウェルカムボード

人間力を磨き、収益につながる変革を起こす

 取組を始めて、組織風土が劇的に変わったと感じます。持ち味を活かす、育成する、支えるという組織風土がこのプロジェクトを契機に広がっていきました。女性たちは課題を突破していく中で、共感力を持ち、他者の理解を含め、人間力を磨いています。今活躍している女性社員は常に人間力を磨き続けている人たちばかりで、こちらも見習いたい部分が多いですね。
具体的な働き方改革の課題はまだ大手企業に追いつかないところもありますが、今後は具体的なビジネスに直結する変革を起こしていくことが目標です。例えば、今まで体力任せに行われていた業務をどのようにパートさんを活用しながら割り振っていくか。方法そのものを、会社にプラスになる形で構築しなければなりません。ここまで順調に女性店長が生まれる道筋はつきましたが、このプロジェクトを通じて、会社全体のマネジメント力の向上に関心を持ち続けていきたいです。

社員からのコメント

(左から)小倉店店長 桑野 美奈子さん、桃園店店長 夫津木 彩さん、守恒店店長 上村 舞さん、御笠川店店長 小森 玲奈さん

 現在、22店舗中4店舗が女性店長です。店長は、店舗運営に関わる全般を担当します。売り場づくりやお客様相手の接客はもちろん、売上予算や在庫の管理、パートさんのマネジメントなど業務内容は多岐に渡ります。

[上村]
就活の際の社長セミナーで、当社は成長途中の会社で、いろんなことにチャレンジできると聞き、やりがいがありそうだと思って入社しました。
[小森]
店舗の従業員は年齢層も幅広く、わきあいあいとした雰囲気で距離が近いです。娘のように叱ってくれるパートさんがいて協力しながら成果を出すことにやりがいを感じています。
[上村]
縦と横のつながりがあり、女性店長同士が連絡を取り合って困ったことを相談しあえる環境です。また、他のことで本部から電話があっても、困ったことがないかいつも気にかけてくれます。
[夫津木]
社内外で交流する機会があるのも魅力です。女性社員のキャリアアップ研修や女性社員のための研修があるのがありがたいですね。
[桑野]
まだまだ店長としての資質を高めていきたいです。子育てしながら働いている人にも働きやすい環境にしたいです。わたし自身も、将来結婚して子どもができる機会があれば、時短勤務を利用するなどして、仕事と子育てを両立できるように頑張りたいです。多様な働き方をしている店長が増えれば、店長のモデル像に厚みが増すのではないでしょうか。

【企業プロフィール】

企業名:極東ファディ株式会社
代表者:代表取締役社長 秋本修治
所在地:福岡県北九州市小倉北区浅野3-6-6
創業:昭和28年7月10日
企業HP:https://www.fadie.com/