北九州イクボス同盟

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企業インタビュー

大東コーポレートサービス株式会社

DXを活用した業務改善で、誰もが働きやすい職場を実現

 大東建託株式会社の特例子会社として設立され、障がい者雇用の促進、グループ内の業務の集約と効率化に取り組んでいる大東コーポレートサービス株式会社。北九州事業所の地図情報センターでは、全国各地の土地調査をはじめダイレクトメールの発送業務などが行われています。DX(デジタル・トランスフォーメーション)で働きやすい仕組みをもつくり、着実に成果を上げています。

北九州事業所 センター事業部 次長 塩塚 亮作さん(地図情報センター 拠点責任者)

従業員が長く勤められる仕組みづくり

 北九州事業所に当センターを立ち上げたのは、8年ほど前になります。従業員の約9割が女性ということもあり、当初からワーク・ライフ・バランスを意識した経営をしてきました。スキルアップした人が出産や育児で辞めてしまうのは、会社にとっても損失です。従業員の皆さんが「ここに勤めたい」「長く働き続けたい」と思えるような、仕組みづくりを心がけてきました。当社では「多様な個性と能力を活かし、新たな活躍の場を創造する」ことを理念に掲げているため、人材活用に関する新しい取組は導入しやすかったですね。

 10人ほどでスタートした事業ですが、今では従業員が110人を超え、育児休業からの復帰率は85%となっています。求人に対して応募が多く、離職者も非常に少ない状況です。また、家庭の事情や転居などでやむを得ず退職した人でも、希望があれば再入社できる「ウェルカムバック制度」を設けており、これまで実際に2人が復帰した実績があります。

自社開発のシステムを導入し、劇的に作業効率がアップ

 北九州事業所では、誰もが働きやすい職場をつくるために、DXを積極的に活用してきました。パソコン業務が中心となるので、PRA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、ルーティン作業を自動化。今まで時間をかけていた土地の調査業務がワンクリックで済み、15分の作業を3分30秒ほどでできるようになりました。作業工程がシンプルになって業務効率がアップしたことで、仕事を分担しやすくなり、気兼ねなく休暇も取れるようになりました。
 私自身、大東建託のシステム開発に携わってきたエンジニアなので、本当に現場で役立つDXを推進したいという思いがありました。通常はシステム開発をする部署と運用する部署が違うため、業務の流れを把握するのに時間がかかったり、認識にズレが生じてしまったり、難しい面があるのです。当センターでは、開発から運用まで一貫してできるので、メリットは大きかったですね。

 業務の標準化を進める一方で、個々に応じた業務フローも構築してきました。人にはさまざまな特性があり、入力が得意な人もいれば、チェックが正確な人もいます。こうした一人ひとりの能力を見極め、担当業務を見直したことで、従業員のストレスが軽減され、全体的に作業効率もアップしました。

それぞれのスタイルで、自分らしく働く

 在宅勤務は、他社に先駆けて実施してきました。2018年にはトライアルを経て完全在宅勤務ができる体制を整え、現在は39人(約4割)が利用しています。自宅が遠い人や子育て中の人が多く、中には、漫画家になるために在宅勤務を選び、時間を有効活用しながら夢を叶えた従業員もいます。
 導入当初は、会社で仕事をするよりも生産性が落ちないか心配しましたが、実際には一人で集中できる時間が増えたことで効率は上がりました。在宅勤務のベテラン従業員に代わって、社内では他の従業員が後輩指導に関わるようになり、成長を促す良い循環も生まれました。
 また、休みを取りやすい雰囲気づくりのために、「ユーモア(You More)休暇」を導入しました。「クスっと笑える理由」で有給休暇を申請し、4半期に一度、社内で投票を行い、みんなが面白いと思った理由の1位から3位にクオカードをプレゼント。「ドラゴンボールを集めるため」「投票1位に選ばれるユーモアを考えるため」などユニークな理由が掲示され、見る人も楽しみにしています。

培ったスキルを地域貢献に活かす

 当社は大東建託の特例子会社として設立され、障がい者雇用を促進することを一つの目的としています。北九州事業所の地図情報センターでも、今後はさらに多様な人材が一緒に働ける職場環境づくりを進めていきたいと考えています。昨年は職業体験の実習に6人が参加し、そのうち2人が当センターの従業員になりました。
 また、新しい取組として、昨年からハローワークと提携した職業訓練事業を行っています。パソコン業務に携わってきた強みを活かし、求職者支援として4カ月にわたるビジネスパソコン講座を開いています。在宅勤務者が増えたことで空いた事務所スペースを有効活用し、地域貢献につながればと考え、始めました。
 さらに、この事業を発展させ、一般の方向けのパソコン教室もスタートしました。SDGsとリンクした教育活動になるため助成金で運営でき、どなたでも無料で参加していただけます。こうした活動にも力を入れ、皆さんに喜んでいただけるサービスを提供し、地域とともに歩んでいきたいと思っています。

社員からのコメント

地図情報センター 加藤 奈実さん

 入社した翌年に出産し、すぐに2人目もできたため、3年半ほど産休と育休を取りました。育休中も社内報が届き、会社の様子がわかるので安心して過ごせました。3年前に復帰し、今は保育園と小学生の子どもを育てながらフレックスタイムで勤務しています。子どものお迎え時間に合わせて退社でき、助かっています。仕事では、事務だけではなく営業企画にも関わり、自分で提案ができることにやりがいを感じています。今後、出産や育児を経験する従業員が増えてくると思うので、相談に乗りながら一緒に勤務をしていけたらいいですね。

【企業プロフィール】

企業名:大東コーポレートサービス株式会社 北九州事業所 センター事業部 地図情報センター
代表者:センター事業部 地図情報センター 拠点責任者 塩塚 亮作
所在地:北九州市八幡西区熊西1-2-5
業種:サービス業
創業:2014年
従業員数: 114人(うち女性103人)
企業HP:https://www.daito-copo.com/