北九州イクボス同盟

今こそイクボス

企業インタビュー

株式会社ケアリング

■業種:福祉介護事業
■従業員数:従業員数:103名(うち女性80名)

■イクボス推進の取組

  • 休みを取りやすい雰囲気作り
    職員同士が理解し合い休みを取れる風土を浸透させ、育児・介護と両立できる職場を作る。
  • 週1回の管理者会議の実施
    問題点や改善点を話し合い、部下に伝えることで次代のリーダーを育成する。

お互い様の気持ちで助け合える、笑い声の絶えない職場に

居宅、訪問介護、デイサービス、グループホーム2ユニット、小規模多機能、認知症対応型デイサービス、看護付き小規模多機能と7つの事業所を展開する株式会社ケアリング北九州支店。第16回北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰では市長賞を受賞しました。休みを取りやすく、育児や介護をしながらも働ける環境作りに努めています。

取締役 介護事業部 本部長 友松 浩子さん

休むときはお互い様の精神で

 「イクボス」という言葉をよく耳にするようになってからワーク・ライフ・バランスをより意識してきたのは確かですが、ここに入社した頃から自然とそれを踏まえて働いてきたと思います。当時、非常勤のヘルパーからこの仕事を始め、3人の子どもの育児を中心に過ごしてきました。子どもが成人し、今は支店長を務めています。自分が経験してきたからこそ、子育て中の職員を理解することができています。
 子どもがいると病気で休むことが多く、周りに迷惑をかけることはよくあります。私自身も休むことと、何かそれ以上の申し訳なさを感じてしまい、意味もなく子どもを責めてしまうことも。それをできるだけなくしたいと思い、お互い様の気持ちを持って頑張れる社風を作ってきました。休むときは休んで、その分、出勤したときに頑張れば良いのです。この風土が浸透して、今では職員同士がお互いを思いあえるようになっています。「少し早く帰らせてあげたらいいんじゃないの?」と、職員からわたしたちに提案してくれたり、「こういう状況だったので帰ってもらいました」と、管理者がその場にいなくても現場で判断して、報告してくれることもあります。表彰を機に、管理職のみならず、職員の中で意識が変わったのではないでしょうか。

男女問わず休みを取りやすい雰囲気に

(右)主任ケアマネージャー 山本和代さん

 女性がほとんどの職場で、女性が活躍しやすい環境である一方で、男性が子どもを優先することがまだ十分浸透していないように思います。今は男性も育児をするのが当たり前で、育休を取ることもある時代。当社でも男性が育休を取ることを推進しており、職員もそれに慣れて来ました。しかし、男性が子どもの病気で休んだり早退したりすると、まだ、周りが「ん?」という反応になることがあります。これは今後の課題です。男女問わず誰もが同じ状況なのだと、少しずつ理解してもらえたら良いですね。

目的を忘れずメリハリをつけて働く

 介護職は本当に人手不足です。一人休むと利用者にも職員にも負担がかかり、休むことが難しいのが現実です。真面目な人ほど仕事に没頭して、残業したり子どもに我慢させたり、無理をしてしまいます。このようなことを無くしていかなければなりません。家庭、お金、キャリア、自分が何のために働いているのか目的をもう一度思い出して、我慢することと優先することを決めて欲しいと思います。大変なことや理不尽なことも多いですが、パートも正社員も管理職も誇りを持って働ける環境にしたいです。声をあげていくことで、だんだんとそれが一人ひとりに浸透してきたように思います。

思いを伝え続け、次の世代へ引き継ぐ

  • 屋上庭園

 今後、今の良い状態を継続していくことが重要です。わたし自身、年齢的にもあと10年働けるか分かりません。自分がいない状態のときのために、今何をしなければいけないかを考えるようになりました。管理者たちは考えを理解してくれていますが、次の世代を育てる難しさを感じています。同じ考えを持つ職員を少しでも増やし、考え方を維持していくこと、それが一番の課題だと思っています。そこで、週に1回、管理者会議を行い、困りごとや改善方法ついて話します。思いに賛同してくれる管理者たちが部下に話してくれることで、より多くの職員に伝わります。人材が少ない中できちんとしたものを形として残していくために、頻繁に話し合いの機会を設け、言葉にして伝え続けていかなければならないと考えています。

介護職に誇りを持ち、笑顔で明るい職場であり続ける

 苦しいこと、思い通りにいかないことが多い介護の仕事。辛いこともたくさんあり、時には我慢して頑張っている職員がいます。利用者の方も来たくないところに連れてこられて辛いという人もいるかもしれません。だから、スタッフも利用者も笑ってほしいんです。職員が休憩室で笑っているところを聞くとホッとします。オフィスではなくて人相手の仕事なので、ざわざわしているのが良い環境だと思っています。どこに行っても笑顔があって明るいと言ってもらえる、それが北九州支店の自慢です。それを作ってくれているのは職員なので、とても感謝しています。わたしが望んでいた笑い声のある職場が今実現しているので、これが続いていけばいいなと思います。

社員からのコメント

看護師 船越 直子さん

 去年7月、ここに勤めている友人から職員が皆優しくて良い職場だと聞いて入社しました。また、職員や利用者のリフレッシュのための屋上庭園にも魅力を感じました。わたしは看護師としての健康管理や服薬管理のほか、介護全般の仕事を担当しています。もともと介護経験がなかったのですが、支店長がトイレ介助やおむつ交換など基礎から教えてくれ、見様見真似で覚えています。良い姿を見せてくれて、とても尊敬しています。
 現在、3人の子育て中ですが、育児と仕事を両立しやすい環境だと感じています。子どもの熱で休むことが多いのですが、周りが「大丈夫だよ」と言ってくれます。全職員にその考えが浸透しているのでとてもありがたいです。今はパートとして働いていますが、子育てが落ち着いたら社員として頑張りたいと考えています。看護的な知識はもちろん、介護の知識技術も高めて、支店長が作ってくれた環境を受け継ぎながら、下の世代をフォローしていける存在や立場になりたいです。

【企業プロフィール】

企業名:株式会社ケアリング
代表者:代表取締役 中尾 光明
所在地:北九州市八幡西区八千代町9番30号
創業:平成12年11月29日
企業HP:https://www.caring.jp/