企業の業務を支えるシステム開発を担い、計画から運用まで総合的なサービスを展開している株式会社ビー・エス・エス。社員の9割近くがエンジニアという特性に合わせ、コミュニケーションを重視し、自律的な成長を促す研修を導入してきました。子育て中の女性も活躍し、ライフステージが変化しても長く働ける職場風土が確立されています。

日々の対話を重視したコミュニケーション

　私たちは製造、公共、サービス業のお客さまを中心に、Web系や業務系のシステム開発、運用サポートを行っている会社です。開発環境や機密情報などの関係で社内対応できない案件については、エンジニアが顧客企業に常駐して業務を行っています。本社勤務の社員もパソコンに向かう業務が多いため、社内イベントや研修などで社員同士が顔を合わせる機会を増やし、コミュニケーションを大切にしてきました。
　私自身は当社に中途採用で入社し、エンジニアとして17年働いてきました。創業者はとても人を大切にする人だったので、築いてきた社風を守っていきたいという思いがあります。4年前に社長に就任して以来、できるだけ社員に話しかけ、生の声を聴くように努めてきました。
　当社は昨年4月からテレワーク制度を導入しました。テレワークの利用を週2回としたのは、社員同士が対面する時間も取ってほしいと思ったからです。将来的に週5日になったとしても、今はコミュニケーションから新しいアイデアが生まれるような土台をしっかり構築していきたいと考えています。

技術と人間力を備えた社員を育てる

　当社では2010年に「人財育成方針」を作成し、技術教育だけではなくマネジメントや課題解決などを取り入れた社員研修を行ってきました。導入した頃は受け身の社員が多く、研修中も積極的な発言がなかなか出ない傾向がありました。私も社員として受講した当初は、あまり主体的ではなかったのですが、ポジションが上がるにつれて研修の重要性に気づくようになったんです。
　お客さまから依頼された仕事だけではなく、いろいろな提案を聞き入れてもらおうとすると、プレゼンテーションやコミュニケーション力が必要になります。そして何よりも、自分が人間として信頼されているかどうかが決め手になる。人間力を磨くことは仕事力に直結すると考えるようになりました。
　社長に就任した2年目、2018年度には30代のリーダーを育成するために「次世代リーダープロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは社員がやりたいことを提案し、予算をつけて実行していきます。お金の管理、スケジュール、メンバーとの調整・連絡などが必要となり、実践を通してマネジメント力を養えるプログラムです。昨年度からは20代のメンバーも加わり、導入時よりも自発的に行動する社員が増え、だんだん成果が出てきているところです。

女性が自然体で活躍できる職場風土

　前社長は創業者の配偶者でワーキングマザーだったこともあり、子育て支援に関してはいち早く取り組んできました。15年以上前から仕事と育児・介護を両立する制度を整え、子育て応援宣言企業として2009年には福岡県から表彰を受けました。女性の育児休業取得率・復職率は100％を維持し、出産や子育てで1年近く休んでも全員が職場に復帰しています。
　3年前からは、より積極的に女性を採用し、5人だった女性社員が13人に増えました。もともと当社は男女による職種や資格の差はなく、平等に働ける風土があります。この風土を活かして多様な人材を集め、「働きやすく、働きがいのある職場環境」の実現を目指して計画的に取り組んできました。今年度の次世代リーダープロジェクトでは、女性リーダーたちが活躍し、全体を引っ張っています。
　また、社員の健康づくりにも以前から力を入れてきました。定期健康診断のほかにも、3カ月に1回、全社員にストレスチェックを実施。社員が１人でストレスを抱え込まないよう、メンタルのケアも大事にしています。

自律的に生き生きと働ける会社を目指して

　この3年間で、残業の削減にも取り組んできました。まずは所定外労働時間の状況について実態を把握し、全社員の残業時間を毎月集計してグループウエアで公開をするようにしました。部門ごとに原因を分析し、残業の多い社員と上長に注意喚起を行った結果、残業は目に見えて減ってきましたね。
　教育研修、家庭との両立支援制度、日頃のコミュニケーションなど、当社のさまざまな取組はすべて、「社員が自律的に生き生きと働ける組織づくり」を目指したものです。一人ひとりが成長し、やりがいのある仕事や幸せな人生をつかんでほしい。社員がやりたいことを実現できる組織であるために、私はみんなを後押しできる経営者でありたいと思っています。