下水汚泥の処理と活用
市内の浄化センターへは、平均して1日約40万立方メートルの下水が流れてきます。この下水を浄化する際に、1日約165トンの汚泥が発生します。以前は、この汚泥は焼却・埋立等で処分していましたが、現在は、セメント原料化及び燃料化を行って資源・熱源として有効利用しています。
セメント原料化
セメントの主原料は、石灰石75%、粘土及び珪石20%、その他5%となっています。その中の粘土と下水汚泥の成分がとてもよく似ていることから、粘土の代替原料として平成9年から有効活用するようになりました。
下水汚泥のセメント原料化の特徴
(1)セメントの製造工程中に汚泥を直接投入するため、全量をセメントの原料として有効に活用でき、廃棄物が生じません。
(2)約1500度という高温の中で投入するため、臭いの成分は完全に分解され、臭気は発生しません。
(3)年間4万トンの下水汚泥のセメント原料化は、全国最大規模です。
(4)民間セメント工場と本市浄化センターは隣接しているため、次のようなメリットがあります。
・運搬費用が安い
・運搬時の臭気問題が少ない
・運搬操作等の連携がとりやすい
下水汚泥の燃料化
北九州市下水汚泥燃料化事業は、日明浄化センターに集約された、市内4浄化センター(新町・曽根・北湊・皇后崎)の脱水汚泥を原料とする燃料化物を製造するとともに、市内で石炭ボイラ等を所有する事業者に燃料化物を売却し、石炭代替燃料としての利用を図るもので、平成27年10月1日に稼動しました。
下水汚泥から製造された燃料化物はバイオ燃料であるため、代替石炭量に相当するCO2削減(年間11,200トン)が見込まれます。
事業の実施にあたっては、新技術を用いた下水汚泥燃料化施設の設計・施工、維持管理、運営及び燃料化物の売却を長期にわたり安定的かつ低コストで実現するために、民間のノウハウを活用できるDBO方式を採用しました。
施設概要
(処理方式)造粒乾燥方式
(処理能力)日量70トン×1系列
(処理可能量)年間23,100トン
(燃料化物生成量)年間約7,000トン
システムの特徴
(1)下水汚泥の持つエネルギーをほぼ100%燃料化物に活かす“造粒乾燥方式”を採用しています。
→発熱量の高い燃料化物を生成します。
(2)燃料化物を全量市内で利用することで、本市の温室効果ガスの削減に寄与します。
(3)日明浄化センター内で発生する消化ガスを設備の燃料として利用することで、発生するCO2を大幅に削減できるほか、ランニングコストが大幅に削減されます。
(4)施設の建設から維持管理・運営、燃料化物利用までを全て地元企業で行っています。