美術館へようこそ ~所蔵作品のご紹介~
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エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》
1868-69年 油彩・画布
右側が空白のまま残された不思議なカンヴァス。印象派の先駆者マネとその夫人を、印象派のドガが描いた絵。マネはくつろいだ様子で夫人のピアノを聴いています。しかし夫人の姿は顔のところから無残に断ち切られています。マネが夫人の描き方が気に入らず画面を切断したと言うエピソードが残っていますが、真相は不明です。ただ、マネは同じ年、ピアノを弾く夫人の姿を、お手本を示すかのように自ら描いています。一方、ドガは切られた絵を持ち帰って額に入れ、晩年までその絵を自室に飾っています。
ふたりの間に何があったのか、ふたりが何を思ったのか、今となっては想像するしかありません。ともあれ、ドガの死後に継ぎ足された空白の画布は、19世紀に生きたふたりの画家の思い、そのひそやかな友情と確執の物語を、語り掛けてくるようです。
*5月18日(土)から「コレクション展Ⅰ」に展示。
館長 後小路 雅弘