2023年12月に米軍嘉手納基地所属の空軍兵が、沖縄県内に住む16歳未満の少女に性的暴行を加えたとして、わいせつ目的誘拐及び不同意性交等の罪で那覇地方検察庁が起訴していたことが、今年6月末の報道により発覚しました。外務省及び在日米軍は、1997年の日米合意に基づき在日米軍に係る事件・事故の情報を把握した場合、防衛省及び地元自治体へ速やかに通報するよう定めています。しかし、外務省は事件発生後間もなく情報を把握したにもかかわらず、防衛省や沖縄県に通報せず、在日米軍もまた同様に、沖縄防衛当局に通報を行っていませんでした。
また、当該事件の報道に合わせ、2023年1月から2024年5月末までの間、捜査当局が報道発表していない沖縄県での米軍構成員等による性的暴行事件は合計5件あったことが明らかになりました。沖縄県以外でも、青森、東京、神奈川、山口、福岡、長崎の各都県で米軍構成員等による性犯罪が地元自治体に情報共有されていなかったり、公表されていなかったりしたことが報道で明らかになっています。
また、上川外務大臣は本件について、捜査当局が被害者のプライバシーや捜査への影響等を踏まえて事案を非公表としたと答弁し、適宜適切に対応したとしています。しかし、非公表の事件であっても、プライバシーに配慮した上で、地元自治体や地元防衛局は、犯罪予防・再発防止、被害者救済・補償など住民の安全、被害者の尊厳を守るため、迅速に通報を受ける必要があります。このような政府の対応は受け入れられず、速やかな改善が必要です。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 1997年の日米合同委員会合意にのっとり、在日米軍から遅滞なく日本側関係者に通報が行われるよう担保する方策を同委員会で協議すること。
2 犯罪被害者への補償、丁寧な精神的ケアを行うこと。
3 米軍構成員等の綱紀粛正の徹底及び事件関係者の夜間外出の規制等、抜本的かつ具体的で実効性のある再発防止策を取るようにアメリカ側に求めること。
4 米軍構成員等による犯罪事案については、被害者のプライバシーを守ることを第一としつつ、政府内での性犯罪などの非公表事案の情報共有の在り方の検討、改善を行い、政府内での適切な情報共有、地元自治体への迅速な通報を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。