学校現場では、貧困、いじめ、不登校、教職員の長時間労働や未配置等、解決すべき課題が山積しており、子どもたちの豊かな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっています。豊かな学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増等、教職員定数改善が不可欠です。
2021年の法改正により、小学校の学級編制標準は段階的に35人に引き下げられ、計画通りに進捗すれば、2025年度に完了となります。今後は、小学校にとどまることなく、中学校及び高等学校での早期実施と、きめ細かい教育活動を進めるために、更なる学級編制標準の引下げ、少人数学級の実現が必要です。
一方、厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方自治体もありますが、地方自治体間の教育格差が生じることは大きな問題です。義務教育費国庫負担制度については、小泉政権下の「三位一体改革」の中で国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられました。国の施策として定数改善にむけた財源保障をし、子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請です。豊かな子どもの学びを保障するための条件整備は不可欠です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、地方教育行政の実情を十分に認識され、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるように、次の措置を講じられるよう強く要請します。
1 中学校及び高等学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる学級編成標準の引下げ等、少人数学級について検討すること。
2 学校の働き方改革や長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
3 地方自治体で国の標準を下回る「学級編制基準の弾力的運用」の実施ができるよう加配の削減は行わないこと。
4 教職員の処遇について、新規採用を持続的に確保し、専門性を発揮し意欲をもって働くことができるよう、改善に必要な財政措置を講じること。
5 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財政を確保した上で義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。