文部科学省の学校基本調査によると、特別支援教育を受ける幼児児童生徒は年々増加しており、平成24年度からの10年間で、特別支援学校については学校数が約10.6パーセント増加、幼児児童生徒数は約14.3パーセント増加、特別支援学級は約1.6倍に増え、児童生徒数は約2.1倍に増加しています。また、通級による指導を受けている児童生徒数は、平成24年度から令和2年度にかけて約2.3倍に増え、教育現場では新たな特別支援教育体制の整備が必要となっています。
このような状況に適切に対処するためには、特別支援学校、特別支援学級等への専門的な知識や経験を持った教員等の増員が必要不可欠です。また今日、共生社会の形成に向けて、障害者の権利に関する条約に基づき、子どもたちの多様性を尊重するインクルーシブ教育システムの構築が求められており、そのためにも我が国の特別支援教育の更なる拡充が必要です。
よって、本市議会は、政府に対し、医療的ケアを含めた特別支援教育が必要な子どもの増加や、様々な障害のある児童生徒に的確に対応した教育を実現するために、特別支援学校、特別支援学級等への教員等の適切な配置に向けて、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 障害のある児童生徒に対し、食事、排泄、教室移動の補助等学校における日常生活動作の介助を行い、また、発達障害等のある児童生徒へ対し、学習活動上のサポート等を行う、特別支援教育支援員の適切な配置を支援すること。
2 保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また、学校内の関係者や福祉、医療等の関係機関との連絡調整の役割を担い、子どもたちのニーズに合わせた支援をサポートする特別支援教育コーディネーターの適切な配置を支援すること。
3 医療的ケアが必要な子どもや、障害のある子どもへの支援を的確に実施するために、看護師、ST(言語聴覚士)、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)等の専門家の必要に応じた適切な配置を支援すること。
4 各学校でインクルーシブ教育を一体的に進めるために、担当の教員だけでなく学校長等に対する指導や研修等を実施すること。さらに、校内全体での取組を促進するために、特別支援学校のセンター的機能強化を支援すること。
5 GIGAスクール構想により整備された1人1台の端末を、特別支援学級や特別支援学校において、授業はもとより、個々の特性や教育的ニーズに応じた支援ツールとして有効に活用するための特別支援教育デジタル支援員(仮称)の配置を支援すること。
6 特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状の保有率は87.2パーセントとなっており、特別支援学校における教育の質の向上の観点から、教職員への取得支援の強化や、大学等における特別支援教育に関する科目の修得促進等、教職員に対する特別支援学校教諭免許状の取得を支援すること。あわせて、特別免許状についても強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。