令和3年度の義務教育段階における不登校児童生徒数は全国で24万4,940人と9年連続で増加しており、北九州市内でも1,530人が不登校と、依然高水準で推移しています。
また不登校の定義となっている年間欠席30日以上の条件に当てはまらないが、保護者や学校の配慮により出席扱いになっているなど事実上の不登校児童生徒数も鑑みると、文部科学省調査だけでは実態が把握しきれているとは言い難く、潜在的な不登校児童生徒も多数存在していると考えられます。
このような中、フリースクールなどの民間団体を利用する際の家庭の実情を見ると、利用料月3万3,000円程度(文部科学省調べ)という経済的負担に加え、身近に通うフリースクールなどの民間団体が無い場合には遠方への通学のための身体的、時間的、心理的負担も加味しなければなりません。
多様な学習機会を提供するフリースクールなどの民間団体への需要が高まっているのに対し、フリースクールなどの民間団体を設立するための経済的支援制度は一部の自治体が制定しているのにとどまっており、必要な資金が確保できず設立を断念している個人や団体も少なくありません。
以上のことから、現状では、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)の基本理念2に明記される「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援」が果たされているとは言えない状態であり、早急な具体的対策を講じる必要があると考えます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、不登校支援の一部である多様な学習機会を確保するための具体的対策として、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 教育機会確保法制定に際し、衆議院文部科学委員会と参議院文教科学委員会がそれぞれ附帯決議した内容である「不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること」を進めること。
2 いわゆるフリースクールなどの民間団体の設立及び運営補助金等の経済的支援制度の確立を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。