今、地方公共団体には、急激な少子・高齢化の進展に伴う子育て、医療・介護等社会保障制度の整備、また、人口減少下における地域活性化対策、脱炭素化を目指した環境対策、あるいは行政のデジタル化推進等、より新しく、かつ極めて多岐にわたる役割が求められつつあります。
しかし、現実に地域公共サービスを担う人材は不足しており、疲弊する職場実態にある中、新型コロナウイルスや近年多発している大規模災害への対応も迫られています。これらに対応するための地方財政について、政府は「骨太方針2021」において、2021年度の地方一般財源水準を2024年度まで確保するとしていますが、それをもって増大する行政需要に十分対応し得るのか、大きな不安が残されています。
よって、本市議会は、政府に対し、2023年度の政府予算と地方財政の検討に当たっては、コロナ禍への対応も勘案しながら、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立を目指すため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 社会保障の維持・確保、防災・減災、脱炭素化対策、地域活性化に向けた取組や、デジタル化対策等、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握し、それを支える人件費も含めて、十分な地方一般財源総額の確保を図ること。
2 とりわけ、子育て、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、地方単独事業分も含めた十分な社会保障関係経費の拡充を図ること。また、これらの分野を支える人材確保に向けた自治体の取組を十分に支える財政措置を講じること。
3 地方交付税の法定率を引き上げるなどし、臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組み、地域間の税源偏在性の是正に向けては、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、より抜本的な改善を行うこと。また、コロナ禍対策を契機に実施してきた固定資産税の軽減措置については2022年度をもって終了するとともに、今後、国の施策の一環として、各種税制の廃止や変更、又は減税等を検討する際は、地方の財政運営における予見性を損なわないよう、十分に地方団体等の意見を反映し、慎重に検討すること。
4 引き続きの新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種体制の確保、感染症対応業務のみに限定しない、より全体的な保健所体制・機能の強化、その他の新型コロナウイルス対応事業、また地域経済の活性化まで踏まえ、十分な財源措置を図ること。
5 「まち・ひと・しごと創生事業費」として確保されている1兆円については持続可能な地域社会の維持・発展に向けて恒久的な財源とすること。また、同規模の財源確保はもとより、その拡充を含めて検討すること。
6 会計年度任用職員制度の運用においては、今後も当該職員の処遇改善が求められることから、引き続き所要額の調査を行うなどし、更なる財政需要を十分に満たすこと。
7 デジタル・ガバメント化に向け、地域デジタル社会推進費に相当する財源を継続して確保するなど、十分な財源を保障すること。また、デジタル化が定着化していく過渡期において生じ得る行政需要についても、人材・財源を含めた対応を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。