新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は令和3年12月下旬以降、オミクロン株の感染、置き換わりが進み急速に増加傾向となり、本市においては、感染の場が児童施設や学校にまで広がる事態となりました。
政府は、新型コロナワクチンの3回目の接種、治療薬の普及等の対策を強化するなど、国民の命と健康を損なう事態を回避するため感染リスクを引き下げながら、経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図ることとしています。その実現の上で重要な、保育所及び認定こども園等による保育について政府は、基本的対処方針において「保育所等が果たす社会的機能を維持するため原則開所を要請するとともに、医療従事者等の社会機能維持者等の就労継続が可能となるよう、休園した保育所等の児童に対する代替保育を確保するなど、地域の保育機能を維持する」としており、児童の感染拡大防止策に関し厚生労働大臣は、本年2月3日の全国知事会による要望や、同月4日の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言等に基づき、2歳以上の児童のマスク着用の推奨について「前向きに進めていくべき」との見解を示しました。しかし、この見解を受け全国の保育現場や有識者等から「自己管理できる年齢ではない2歳児等に長時間、正しくマスクを着用させることは困難」「顔色や表情、唇の色等が分からず、児童の体調不良に早期に対応できない」「マスク内で嘔吐した際に気付かなければ、窒息の危険性がある」「落としたマスクを他の児童が着用するなど、かえって感染が広まる」「デメリットが上回る」など政府の方針を疑問視する声が広がったことから、同大臣は同月8日に「可能な範囲内で、子どもや保護者の意図に反して無理強いすることのないように留意して、一時的にマスクの着用を推奨する。なお、2歳未満児についてはマスクの着用は推奨しない」との見解を示しましたが、一時的とはいえ、マスクの着用を推奨するとの基本方針は変えていません。
オミクロン株の感染拡大により感染の主流が高齢者と子どもに移ってきている中、高齢者の重症化予防、児童の感染拡大防止等を図り、国民の命と健康を守り抜くことが何よりも重要であることは言うまでもありませんが、保育関係者や保護者等からは困惑の声が上がっていることから、児童への対応については同関係者等の意見を十分に聴き、理解を得ることができる、保育現場の実情に即した方針を示すことが強く求められています。
よって、本市議会は、政府に対し、保育所及び認定こども園等児童の新型コロナウイルス感染防止対策については、子どもたちの健やかな育ちの保障や経済社会活動の継続等に尽力されている保育現場の実情に即し、保育関係者や保護者等に過度な負担を強いることのない、科学的知見に基づく実効性の高い方針を示すとともに、その周知をしっかりと徹底されるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。