2004年に犯罪被害者等基本法が成立し、犯罪被害者等は「個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利」の主体であることが宣言され、犯罪被害者等支援施策は一定の前進を果たしました。しかしながら、犯罪被害者等の多種多様なニーズに応えられるだけの整備は、いまだ十分になされているとは言い難い状況です。
例えば、被害直後から公費によって弁護士の支援を受ける制度や、国による損害の補償制度といった、財政支援を必要とする施策はいまだに実現されていません。
また、犯罪被害者等支援条例の制定や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設立といった施策も、地域によって大きな格差を残しています。
犯罪被害者等の権利に対応して、国は、たゆまず支援施策の充実を進めていく責務を負っています。
よって、本市議会は、政府に対し、犯罪被害者等支援の充実を図るため次の措置を講じるよう強く要請します。
1 犯罪被害者等が民事訴訟等を通じて迅速かつ確実に損害の賠償を受けられるよう、損害回復の実効性を確保するための必要な措置を講じること。
2 (犯罪被害者等補償法を制定して)犯罪被害者等に対する経済的支援を充実させるとともに、手続的な負担を軽減する施策を講じること。
3 犯罪被害者等の誰もが、事件発生直後から弁護士による法的支援を受けられるよう、公費による被害者支援弁護士制度を創設すること。
4 性犯罪・性暴力被害者のための病院拠点型ワンストップ支援センターを、都道府県に最低1か所は設立し、人的・財政的支援を行うこと。
5 地域の状況に応じた犯罪被害者等支援施策を実施するため、全ての地方公共団体において、犯罪被害者等支援条例が制定できるよう支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。