地方自治体は、子育て支援策の充実と保育人材の確保、高齢化が進行する中での医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持など、果たす役割が拡大する中で、人口減少対策を含む地方版総合戦略の実行やマイナンバー制度への対応、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施など、新たな政策課題に直面しています。
一方、地方公務員をはじめとした公的サービスを担う人材が限られる中で、新たなニーズへの対応と細やかな公的サービスの提供が困難となっており、人材確保を進めるとともに、これに見合う地方財政の確立を目指す必要があります。
このため、2019年度の政府予算と地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、人的サービスとしての社会保障予算の充実と地方財政の確立を目指すことが必要です。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 社会保障、災害対策、環境対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること。
2 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。
3 災害時においても住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体庁舎をはじめとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充と十分な期間の確保を行うこと。
4 地方財政計画に計上されているまち・ひと・しごと創生事業費については、自治体の財政運営に不可欠な財源となっていることから、現行水準を確保すること。
5 自治体基金は、財政調整や特定目的のために積み立てられているものであり、当該自治体の財政に余裕があって積み立てられるものではない。従って、自治体基金の残高を理由に交付税の削減等を強行しないこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
意見書・決議(議員提出議案第13号~16号)
議員提出議案第13号・地方財政の充実・強化を求める意見書
議員提出議案第14号・ヘルプマークのさらなる普及推進を求める意見書
義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方、また妊娠初期の方など、外見からは容易に判断が難しいハンディキャップのある方が、周囲に援助や配慮が必要であることを知らせるヘルプマーク及びそのマークを配したヘルプカードについては、平成24年に作成・配布を開始した東京都をはじめ、導入を検討・開始している自治体が増えています。特に昨年7月、ヘルプマークが日本工業規格(JIS)の案内用図記号として追加され、国としての統一的な規格となってからは、その流れが全国へと広がっています。
このヘルプマーク及びヘルプカードについては、援助や配慮を必要とする方が所持・携帯していることはもちろんのこと、周囲でそのマークを見た人が理解していないと意味を持たないため、今後は、その意味を広く国民全体に周知し、思いやりのある行動を更に進めていくことが重要となります。
しかし、国民全体における認知度はいまだ低い状況にあり、また公共交通機関へのヘルプマークの導入など課題も浮き彫りになってきているところです。
よって、本市議会は、政府に対し、心のバリアフリーであるヘルプマーク及びヘルプカードの更なる普及促進を図るため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 「心のバリアフリー推進事業」など、自治体が行うヘルプマーク及びヘルプカードの普及や理解促進の取組に対しての財政的な支援を今後も充実させること。
2 関係省庁のホームページや公共広告の活用など、国民への更なる情報提供や普及、理解促進を図ること。
3 鉄道事業者など自治体を越境している公共交通機関では、ヘルプマーク導入の連携が難しい状況にあるため、今後はスムーズな導入が図れるよう国としての指針を示すこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第15号・日本年金機構の情報セキュリティ対策の見直しを求める意見書
日本年金機構がデータ入力を委託した株式会社SAY企画の入力漏れと入力誤りにより、本年2月、本来支払われるべき年金が正しく支払われない事態が発生しました。さらに、当事業者は契約違反である再委託まで行っていました。また同機構は、平成27年5月にもサイバー攻撃を受け、個人情報の流出問題を起こしています。
膨大な個人情報を管理する機関が二度にわたって個人情報に関する問題を引き起こしたことは、年金制度や個人情報保護制度の信頼を損ねる重大な問題です。複雑化した年金制度を正確かつ公正に運営しなければならない同機構は、信頼回復のために情報セキュリティ対策を抜本的に見直すべきです。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 外部有識者の調査組織により本事案の業務プロセスを徹底的に検証すること。
2 委託業者の作業進捗管理の手法や納品物の検証・監査体制を確立すること。
3 日本年金機構が保有する氏名、生年月日、住所、電話番号等の個人情報保護の在り方を再検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第15号・旧優生保護法による不妊手術の被害者救済を求める意見書
昭和23年に施行された旧優生保護法は、知的障がいや精神疾患を理由に本人の同意がなくても不妊手術を認めていましたが、同法は平成8年に障がい者差別に該当する条文を削除して母体保護法に改正されました。
厚生労働省によると、旧優生保護法の下で不妊手術を受けた障がい者らは、約2万5,000人に上り、このうち、本人の同意なしに不妊手術を施されたのは1万6,475人と報告されています。
本人の意思に反して手術が施されたとすれば、人権上問題があります。また、同様の不妊手術を行っていたドイツやスウェーデンでは、当事者に対する補償等の措置が講じられています。旧優生保護法の下で不妊手術を受けた障がい者らの高齢化が進んでいることを考慮すると、我が国においても早急な救済措置を講じるべきです。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 現在、国が行っている旧優生保護法に基づく不妊手術の実態調査について、調査結果の公表を速やかに行うこと。
2 上記の調査において、都道府県の所有する優生保護審査会の資料などの保全を図るとともに、資料保管状況の調査を行うこと。併せて個人が特定できる資料について、当事者の心情に配慮しつつ、できる限り幅広い範囲で収集するよう努めること。
3 旧優生保護法改正から20年以上が経過しており、関係者の高齢化が進んでいることから、的確な救済措置を一刻も早く講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
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