国際社会が繰り返し強く自制を求めてきたにもかかわらず、北朝鮮政府は核実験に続き、弾道ミサイルの発射を強行した。これは、我が国のみならず、国際社会の平和と安全を脅かす重大な行為であり、断じて容認することはできない。
こうした行為は、全ての核兵器や核計画の放棄を求め、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務づけた国際連合安全保障理事会決議第2094号をはじめとする累次の決議及び日朝平壌宣言に違反し、六者会合共同声明の趣旨にも反するものである。
我が国は世界で唯一の被爆国であることから、本市においても平成22年2月10日、核兵器の廃絶、恒久平和の実現を希求し、平和に対する理念を示す北九州市非核平和都市宣言を行っている。この宣言は、平和な世界の実現のために、市が市民とともに前進していく決意を示し、宣言都市が互いに手を結び合い、国内外の都市に賛同と協力を呼び掛ける役割を果たすものである。
よって、本市議会は、北朝鮮政府に対し、度重なる核実験の強行に強く抗議するとともに、弾道ミサイルの発射禁止や弾道ミサイル計画に係る全ての活動の停止を強く求める。
以上、決議する。
意見書・決議(議員提出議案第3号、5号~9号)
議員提出議案第3号・北朝鮮の核実験及びミサイル発射に抗議する決議
議員提出議案第5号・児童虐待防止対策の抜本強化を求める意見書
本年1月の埼玉県狭山市における3歳女児の死亡事件や、東京都大田区での3歳男児の死亡事件など、児童虐待により幼い命が奪われる深刻な事態が続いています。
家庭及び地域における養育力の低下や子育て家庭の孤立化、子育てに対する不安感、負担感の増大等により、児童虐待の相談対応件数は増加の一途を辿り、複雑なケースや困難なケースも増加しています。こうした現状に鑑み、政府は昨年12月、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトにおいて、児童虐待防止対策強化プロジェクトを策定しました。
よって、本市議会は、政府に対し、児童虐待防止対策強化プロジェクトの施策の方向性を踏まえ、児童虐待発生予防から発生時の迅速かつ的確な対応、自立支援に至るまでの一連の対策強化のため、早期に児童福祉法等改正案を国会に提出するとともに、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 児童虐待の発生を予防し、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を実現するため、子育て世代包括支援センターを法定化し、全国展開を図ること。また、孤立しがちな子育て家庭へのアウトリーチ型支援を強化するため、子育ての不安や悩み等を抱える家庭への養育支援訪問事業や、ホームスタート(家庭訪問型子育て支援)事業を全ての自治体で実施できるようにすること。
2 児童相談所全国共通ダイヤル189の更なる周知を図るとともに、児童相談所につながるまでに数分かかっている実態等を早急に見直し、通報しやすい体制を整えること。また、通報に対し、緊急性の判断や関係機関との連携を的確に行える体制整備にも努めること。
3 児童虐待が発生した場合、迅速かつ的確な初期対応が行われるよう、児童相談所の体制や専門性を抜本的に強化すること。特に児童福祉司、児童心理司、保健師等はじめ職員配置の充実、子どもの権利を擁護する観点等から弁護士の活用等を積極的に図ること。
4 学校や医療機関、警察等関係機関における早期発見と適切な対応を図るため、児童相談所と関係機関との間における緊密な連携体制を再構築すること。特に、警察と児童相談所においては、虐待の通報を受けた場合、虐待の有無にかかわらず、情報共有を図ること。また、一時保護等において警察と児童相談所が共同対応する仕組みを全国で構築すること。
5 一時保護所における環境改善を早急に図るとともに、量的拡大を図ること。また、里親や養子縁組を推進し、家庭的養護の下で子どもたちが安心して養育される環境を整えること。
6 被虐待児童について、18歳を超えても引き続き自立支援が受けられるようにするとともに、施設退所後や里親委託後の児童等に対しきめ細かなアフターケア事業を全国で実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第6号・奨学金制度の充実等を求める意見書
家庭における教育費の負担は、学費の高騰や世帯年収が下がり続ける中でかつてないほど重くなっており、既に大学生や大学院生の5割超が何らかの奨学金を受給しなくては学業を続けられない実態があります。
独立行政法人日本学生支援機構は、我が国の公的な奨学金制度の中心的役割を担っていますが、その制度は貸与型の奨学金制度であり、貸与金額の7割超が、年3パーセントを上限とする利息付の奨学金である第二種奨学金となっています。
近年、奨学生の数や貸与される金額が増加を続ける一方で、卒業後も奨学金の返還ができずに生活に苦しむ若者が多数存在します。しかし、独立行政法人日本学生支援機構は、返還期限の猶予や減額返還などの制度を設けているものの適用の要件が厳しく、一方で、返済が滞ると民間のサービサーと呼ばれる債権回収の専門会社に委託して債権回収などを行っていますが、その非情な取立てが社会問題となっています。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、学習意欲と能力のある若者が家庭の経済状況にかかわらず進学し、安心して学業に専念できる環境を作るため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 高校生を対象とした給付型奨学金制度を拡充し、大学生等を対象とした給付型奨学金制度を創設すること。
2 無利子奨学金を充実させ、延滞金制度の加算利息については更に引き下げること。
3 返還猶予、返還免除、減額返還などの救済制度の周知と拡充を図り、柔軟に適用させること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第7号・地方公会計の整備促進に係る意見書
地方公会計の整備促進に関しては、平成27年1月の総務大臣通知により、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用するよう要請されています。
この通知に基づき、財務書類等の作成、活用を進めるに当たっては、高齢化や人口減少という深刻かつ共通の課題を抱えている各地方公共団体の厳しい財政事情に鑑み、可能な限り早期に国の支援が必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 統一的な基準による財務書類等を可能な限り早期に作成するため、その前提となる固定資産台帳の整備に取り組む必要があるが、固定資産台帳の整備には相当な作業コストを要するため、各地方公共団体の財政力に応じた適切な財政措置を講じること。
2 統一的な基準による財務書類等を作成するに当たり様々な相談内容に対応できるよう、公認会計士等の専門家を派遣するなど、実務面でのきめ細かな支援を実施すること。
3 統一的な基準による財務書類等を作成し、それを活用するためには複式簿記の知識等が必要となるため、自治大学校等における自治体職員向けの研修を更に充実するとともに、今後、財務書類等を議会審議等で積極的に活用することができるよう、地方議員向けの研修も充実すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第8号・TPPの影響に関する国民の不安を払拭し、対策の確実な実行を求める意見書
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定は、平成27年10月5日に大筋合意に至り、平成28年2月4日に署名されました。TPPは、アジア太平洋地域に巨大な経済圏を創造し、幅広い分野で21世紀型のルールを構築する試みであり、我が国の輸出を拡大し、経済再生に資するものと期待されます。
一方で、我が国の農林水産業については、関税が即時撤廃されるものや時間をかけて削減されるもの、輸入枠が拡大されるものがあり、地域への長期にわたる影響が懸念されます。
農林水産業は地域の基幹産業であって、食の安全の確保のみならず、国土や自然環境、観光資源となる農村景観の保全に不可欠な産業です。そこで、政府は平成27年11月25日、TPPの影響に関する国民の不安や懸念を払拭し、農林水産業全体を成長産業として支援していくために総合的なTPP関連政策大綱を策定しました。
よって、本市議会は、政府に対し、今後、総合的なTPP関連政策大綱に基づいて、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 食糧を安定的に国民に供給できる人材と技術力を確保するための恒久的な対策を担保する法整備を行うとともに、政府の責任の下で必要な財源を確保すること。
2 農林水産業の体質強化を念頭に、中長期的な対策を講じること。
3 農林水産物の輸出促進に向けた物流インフラの整備を図るとともに、6次産業化を更に推進し新たな需要創出を図ること。
4 検疫体制の強化により、輸入食品の安全性を確保し、国民の不安を解消すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第9号・軽減税率の円滑な導入に向け事業者支援の強化などを求める意見書
政府は、平成29年4月の消費税率10パーセントへの引上げと同時に、消費税の軽減税率制度の導入を決定し、既に国会において関係法律案の審議が開始されています。
複数税率は、我が国において初めて導入されるものであり、流通段階の川上から川下に至る多くの事業者の事務負担をできるだけ軽減し、円滑な導入を進めることが極めて重要です。
また、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入までの間は、現行の請求書等保存方式の維持などの経過措置も講じられているところですが、事業者の十分な理解を得るため事業者に対するサポート体制を整備することが急務と考えられます。
よって、本市議会は、政府に対し、平成27年度予備費や補正予算を活用の上、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 中小・小規模事業者等に対して複数税率に対応するレジの導入支援を行うこととされているが、必要な財源を確保の上、補助を希望する全ての事業者に対して実施すること。
2 電子的受発注システムを導入している事業者のシステム改修等についても適切な補助を行うとともに、費用が高額となる場合は低利融資など必要な支援を行うこと。
3 地域の中小企業団体等の協力を得て、中小・小規模事業者等の理解を深めるため講習会の開催や相談窓口の設置など積極的な取組を行うとともに巡回指導や専門家の派遣などアウトリーチによるサポート体制を構築すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
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