本年5月、国会において「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、国民健康保険の財政基盤の強化や都道府県による安定的な財政運営等に向けた具体的な改革作業が始まります。
また、国民健康保険改革に当たっては、本年2月に、「国民健康保険制度の基盤に関する国と地方の協議」(国保基盤強化協議会)において、地方単独事業に係る国庫負担調整措置の見直しなどが今後の検討課題とされました。
一方、地方創生の観点から人口減少問題に真正面から取り組むことが求められており、全国の自治体では単独事業として乳幼児医療費の助成制度の拡充などに取り組む事例が多くみられます。
さらに、国の平成26年度補正予算で計上された「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用し、対象年齢の引上げなどの事業内容の拡充に取り組む自治体も報告されているところです。
よって、本市議会は、政府に対し、こうした状況の中で、多くの自治体で取り組まれている乳幼児医療の助成制度など、単独の医療費助成制度に対する国庫負担の減額調整措置の早急な見直しについて、次の措置を講じるよう強く要請します。
1人口減少問題に取り組むいわゆる地方創生作業が進む中、地方単独事業による子ども等に係る医療費助成と国民健康保険の国庫負担の減額調整措置の在り方について、早急に検討の場を設け、結論を出すこと。
2検討に当たっては、少子高齢化が進行する中、子育て支援、地方創生、地域包括ケア等の幅広い観点から実効性ある施策を進めることが必要であり、そうした観点から子ども等に係る医療の支援策を総合的に検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
意見書・決議(議員提出議案第21号~24号)
議員提出議案第21号・地方単独事業に係る国民健康保険の減額調整措置の見直しを求める意見書
議員提出議案第22号・認知症に対する取組の充実強化に関する意見書
今日、認知症は世界規模で取り組むべき課題であり、本年3月、スイス・ジュネーブで開催された「認知症に対する世界的アクションに関する第1回WHO大臣級会合」では、各国が認知症対策への政策的優先度をより高位に位置付けるべきとの考えが確認されました。
世界最速で高齢化が進む我が国では、団塊の世代が全て75歳以上となる 2025年には、認知症高齢者数は約700万人にも達すると推計されており、認知症に対する日本の取組が世界各国から注目されています。
本年1月、政府は、認知症対策を国家的課題として位置付け、認知症施策推進総合戦略いわゆる新オレンジプランを策定し、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現、「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を目指すこととしました。
しかし、今後の認知症高齢者の増加等を考えれば、認知症に対する理解の一層の促進、当事者や家族の生活を支える体制の整備、予防及び治療法の確立など、総合的な取組が求められています。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1認知症の方々の尊厳、意思、プライバシー等が尊重される社会の構築を目指し、学校教育などにより認知症への理解を一層促進するとともに、認知症の予防及び治療法確立、ケアやサービスなど認知症に対する総合的な施策について、具体的な計画を策定することを定めた「認知症の人と家族を支えるための基本法(仮称)」を早期に制定すること。
2認知症に見られる妄想、うつ、徘徊等の行動・心理症状の発症や悪化を防ぐため、訪問型の医療や看護サービスなどの普及促進を、地域包括ケアシステムの中に適切に組み入れること。
3家族介護、老老介護、独居認知症高齢者など、より配慮の必要な方々に対する自治体などの取組について、サービスの好事例(サロン設置、買物弱者への支援等)を広く国民に周知すること。
4認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の効果を見極めるため、当事者や介護者の視点を入れた点検及び評価を適切に行い、その結果を施策に反映させること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第23号・少人数学級の推進などの定数改善と教育条件の整備に関する意見書
我が国は、OECD(経済協力開発機構)諸国に比べて、一学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数は、OECD加盟国の平均より多くなっています。しかしながら、第7次教職員定数改善計画の終了後9年もの間、国による改善計画のない状況が続いています。自治体が見通しを持って安定的に教職員を配置するためには、国段階での国庫負担に裏付けされた定数改善計画の策定が必要です。
一人一人の子どもに対するきめ細かな対応や学びの質を高めるための教育環境の実現が求められる一方、新しい学習指導要領による授業時数や指導内容の増加、日本語指導などを必要とする子どもたちや障害のある子どもたちへの対応、いじめ、不登校など生徒指導の課題もあります。こうした諸課題を解決し、一人一人の子どもたちに丁寧な対応を行うためには、一クラスの学級規模を引き下げる少人数学級の推進を含む計画的な教職員の定数改善が必要です。
本市を含むいくつかの自治体において、厳しい財政状況の中、独自財源による30人~35人以下学級が行われています。このことは、自治体の判断として少人数学級の必要性を認識していることの現れであり、国の施策として財源保障をする必要があります。
また、平成18年に義務教育費国庫負担制度における国の負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられた結果、現在、自治体財政が圧迫され非正規教職員も増えています。
子どもたちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが大切です。
よって、本市議会は、政府に対し、一人一人の子どもに対するきめ細かな対応を行うための教育条件整備に向けて、次の措置を講じるよう強く要請します。
1少人数学級の推進など教職員の適正な配置を図ること。
2教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、義務教育費国庫負担制度における国の負担割合を2分の1に復元すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
議員提出議案第24号・農林水産業の輸出促進に向けた施策の拡充を求める意見書
少子高齢化社会の到来により、農林水産物の国内マーケットは縮小するおそれがある一方、海外には、世界的な日本食ブームの広がりやアジア諸国等における経済発展に伴う富裕層の増加、人口増加などにより今後伸びていくと考えられる有望なマーケットが存在します。
農林水産物及び食品の輸出促進により、産地及び地域にとっては、新たな販路拡大や所得の向上、国内価格の下落に対するリスクの軽減、国内ブランドの価値の向上、経営に対する意識改革などが図られ、国民全体にとっては、生産量の増加による食料自給率の向上や輸出入バランスの改善、日本食文化の海外への普及などの幅広いメリットが考えられます。
政府は、昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014において、2020年の農林水産物及び食品の輸出額の目標を1兆円と定めています。近年の輸出は、円高や原発事故の影響などにより、落ち込みが生じていましたが、2014年の輸出額は過去最高の6,117億円となりました。今後、官民一体となった一層の促進策によって、農林水産物の輸出拡大につなげていくことが必要です。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1原発事故に伴う輸入規制を行っている国々に対し、科学的根拠に基づいて国境措置の判断を行うよう多国間協議の場で提議及び要請するなど、その撤廃に向けた働きかけを行うこと。
2国や独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)等が一体となって、ブランドの確立や産地間の連携を図るとともに、諸外国の輸入規制情報の提供や関連する相談窓口の設置、諸外国等から要求される証明書の国による一元的な発行など、国内輸出事業者への支援策を行うこと。
3輸出先となる国や事業者から求められるHACCP、ハラール、GLOBALG.A.P.等の認証取得を促進するとともに、国際的な取引にも通用する、HACCPをベースとした食品安全管理に関する規格及び認証の仕組みや、GAPに関する規格及び認証の仕組みの構築を推進すること。
4国内及び海外商談会の開催や輸出に必要な情報の提供、輸出相談窓口体制の充実、トップセールスによる支援など、日本食文化及び産業の一体的な海外展開を一層推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
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