近年、子どもをはじめ、地域住民を巻き込んだ凶悪事件が頻発しており、防犯に対する国民の関心は高まっています。民間交番の設置など、地域住民が自ら防犯活動を行う防犯ボランティア活動も活発化し、地域住民による防犯ボランティア団体は、昨年末時点では全国で3万1,931団体にも上ります。
安全で安心して暮らせる地域社会を築くためには、警察だけでなく住民自らの防犯活動が欠かせません。住民による活動が盛り上がりを見せる中、防犯ボランティア団体の活動を多角的にサポートするための法律制定が強く求められています。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、国や地方自治体が、犯罪に強いまちづくりへの住民による自発的な取組や防犯意識の向上のための活動を、総合的かつ計画的に支援するため、次の施策を盛り込んだ「(仮称)地域安全・安心まちづくり推進法」を早期に制定するよう強く要請します。
1 防犯ボランティア団体が民間交番をつくる際、公有地や建物の貸出、賃貸料補助等の財政支援を行うこと。また、防犯拠点を整備するため、地域住民や防犯ボランティア団体が管理・運営する「地域安全安心ステーション」モデル事業の実施箇所を増やすこと。
2 子どもの安全を確保するため、スクールガードリーダー(地域学校安全指導員)等の配置を進めること。また、公園や駅など多くの地域住民が利用する場所に、子ども用の緊急通報装置の設置を促進すること。
3 地方自治体への防犯担当窓口の設置を促進するなど、地域の安全のために住民と地方自治体が協力しやすい環境整備を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第41号・割賦販売法の抜本的改正を求める意見書
クレジット契約は、代金後払いで商品が購入できる利便性により消費者に広く普及している一方で、強引・悪質な販売方法と結びつくと高額かつ深刻な被害を引き起こす危険性もあります。
現在、クレジット会社の与信審査の甘さから、年金暮らしの高齢者に対し、支払能力を超える大量のリフォーム工事、呉服等の販売が繰り返されています。また、年齢・性別を問わず、クレジット契約を悪用したマルチ商法などの詐欺的商法の被害も絶えません。
このような深刻なクレジット被害を防止するため、経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は、本年2月から、割賦販売法の改正に関する審議を進めており、来年の通常国会に改正法案を提出する予定です。
今回の改正では、消費者に対し、安心・安全なクレジット契約を提供するために、クレジット会社の責任においてクレジット被害の防止と取引適正化の実現が必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、割賦販売法を抜本的に改正し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 クレジット会社が、消費者の支払能力を超えるクレジット契約を提供しないよう、具体的な与信基準を伴う実効性ある規制を行うこと。
2 クレジット会社には、悪質販売行為等にクレジット契約を提供しないよう、加盟店を調査する義務だけでなく、販売契約が無効・取消・解除となったときは、既払金の返還義務を含むクレジット会社の民事共同責任を規定すること。
3 1~2回払いのクレジット契約も適用対象に含めるとともに、消費者トラブルのある商品やサービスを政令で指定し規制する指定商品制を廃止することにより、原則としてすべてのクレジット契約を適用対象とすること。
4 個品割賦を行うクレジット会社にも登録制を導入し、割賦販売の取引条件を記載した書面の交付義務及びクーリング・オフ制度を規定すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第42号・地方財政の充実・強化のための税財政制度改革などを求める意見書
地方分権改革の推進や地域経済・雇用創出の促進、少子高齢化への対応など、基礎自治体である市町村が果たす役割は一段と高まっています。
それにもかかわらず、政府は、地域間の経済格差を放置したまま、歳出・歳入一体改革に基づく歳出削減により、地方財政の圧縮を進めています。また、総務省の新地方行革指針に基づく集中改革プランの策定を地方自治体に押しつけ、行財政改革を推進しています。
そもそも、地方自治体における財政の硬直化は、景気対策による公共事業に伴う公債の増発が主な要因です。このような政府による一方的な地方財政の圧縮は、国の財政赤字を地方に転嫁するものであり、容認できません。
よって、本市議会は、政府に対し、地方自治体がより住民に身近なところで政策や税金の使途を決定し、住民の意向に沿った自治体運営を行うことができるよう、地方財政の充実・強化を目指し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 国と地方の税収割合5:5の実現に向けて、さらなる税源移譲と国庫補助負担金の見直しなど、地方自治の確立と分権改革の基盤整備につながる税財政制度の改革を進めること。
2 地方自治体の財政力格差が大きいにもかかわらず、国が法令に基づく事業実施を地方自治体に義務づけている現状においては、地方交付税制度の財源保障と財政調整の機能を堅持し、地方自治体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保すること。
3 上記項目を実施する際には、地方自治体の意見を十分に踏まえること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第43号・中小企業の事業承継円滑化のための税制改正を求める意見書
団塊の世代が引退時期に差し掛かる状況下、特に中小企業では事業承継がなかなか進んでいません。
2007年版中小企業白書によると、昨年の企業全体の社長交代率は3.08パーセントと過去最低を記録しました。従業員規模別では、規模が小さいほど社長交代率が低下する傾向にあり、中小企業における事業承継の難しさを示しています。
また、年間廃業者29万社(2001~2004年平均)のうち、少なくとも4分の1の企業は後継者の不在が理由となっています。これに伴う雇用の喪失は毎年20万人から35万人とも言われ、雇用情勢に与える影響も少なくありません。
こうした中小企業の廃業や事業承継をめぐる問題は、日本経済の発展を阻害する大きな要因となっています。中小企業の雇用や高度な技術を守り、事業承継を円滑に進めていくための総合的な対策を早急に講じる必要があります。
事業承継に係る課題のうち、とりわけ相続税を中心とする税制の問題は、承継当事者・関係者にとって最大関心事の1つです。平成19年度の税制改正大綱においても、今後の検討課題として、事業承継の円滑化を支援するための枠組を検討する必要性が明記されました。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、中小企業の事業承継円滑化のために税制改正し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 事業承継者が負担する非上場株式等の事業用資産に係る相続税の減免措置を、抜本的に拡充すること。
2 非上場株式の相続税法上の評価制度を見直し、合理的な評価制度を構築す
ること。
3 相続税納税の円滑化を図るために必要な措置を講じること。
4 税制面のみならず、情報面、金融面、法制面など、事業承継の円滑化を支援するための枠組を検討し、総合的な対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第44号・認可外保育施設への指導監督の強化を求める意見書
7月27日、本市の認可外保育施設において、炎天下の車中に取り残された園児が、熱射病で死亡するという痛ましい事故が発生しました。
事故を起こした施設は、園児の安全確保をないがしろにし、保育士の配置や業務内容についても虚偽の宣伝を行うなど、その業務内容は保育とは呼び難い劣悪なものであったことが明らかになっています。
認可外保育施設は、厚生労働省の認可外保育施設指導監督基準をもとに、地方自治体による指導監督が行われてはいるものの、事故を起こした施設のように、営利を優先し、指導監督基準を満たそうとしない施設が数多くあります。
また、認可保育所と認可外保育施設との違いが明確でなく、保護者による保育施設の選択基準にも混乱が生じています。このため、保護者が適切な判断と選択を行えるよう、認可外保育施設についての正確な情報が提供されなければなりません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、子どもの安全確保と保育内容の改善を図るとともに、認可外保育施設への指導監督を強化するため、実効性のある法整備等を行い、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 地方自治体による認可外保育施設への立入や監査、勧告命令等が効果的に実施できるよう、指導監督基準等を見直すこと。
2 保護者等に対し、認可外保育施設の正確で適切な情報を提供するとともに、認可外保育施設が虚偽の情報提供を行った場合の罰則を強化すること。
3 認可外保育施設に対して、認可保育所との違いが明確となる施設名を使用させるよう指導すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第45号・医師等医療従事者の不足解消の対策を求める意見書
我が国では、医療水準が高いにもかかわらず、最善の医療を受けることが難しいばかりか、生命すら脅かされるような危険が日常的に生じるなど、地域において医師をはじめとする医療従事者不足が深刻な問題となっています。
このような中、医療制度改革により、医療費削減に重点が置かれた結果、国民の望む医療体制と現実の医療体制の間に、さらに大きな乖離が生じ、小児科医や産科医等が地域からいなくなるという現象が全国的に生じています。
これから迎える超高齢社会において、すべての国民が平等に医療を受けることができる制度にすることは、国民が安心して暮らすために欠かすことはできません。そのためには、欧米先進諸国に比べて不足している医療従事者の確保のため、実効性のある対策を実施していくことが必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、医師をはじめとする医療従事者不足解消のため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 診療科や地域ごとの医療従事者不足の状況について、全国的な調査を早急に行うこと。
2 診療科によって医師が偏在しているとの指摘を踏まえ、小児科医、産科医等の各診療科において、国が医師数の数値目標を明示すること。
3 小児医療及び産科医療の地域格差を改善するため、開業医と病院との連携強化など、小児医療及び産科医療連携体制の整備を強力に支援すること。また、小児科医及び産科医の過重労働を改善し、中長期的に小児科医及び産科医の増加を図ること。
4 女性医師が結婚や出産後も働き続けやすく、また、仕事に復帰しやすい環境を整備すること。
5 大学における歯学部から医学部への編入や、医学部の学士編入学に地元出身者の枠を設けることなど、地方自治体による医師確保策を支援すること。
6 医療従事者の資質向上を図る研修の拡充や、労働条件の改善を図ること。また、休業や退職した医療従事者の復帰のための研修制度などの整備を促進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第46号・身近な地域で安心して出産できる助産所の存続を求める意見書
昨年6月に成立した改正医療法第19条によって、助産所の開設者が嘱託医と連携医療機関を定めることになりました。この改正は、出産の異常時などにおける母子の安全を確保することが趣旨です。
しかし、現実には、産科医師や地域の産科病院・診療所が不足する中、助産所が嘱託医や連携医療機関を確保することは極めて困難です。問題は、本来機能すべき地域医療体制や周産期医療システムの整備が不十分であるために、妊産婦・新生児の緊急時搬送体制が整っていないことにあります。このままでは、助産所は、新たな開業はもとより存続さえ困難になります。参議院厚生労働委員会の附帯決議においても、政府に対し、助産所の連携医療機関が確実に確保されるよう努めることを求めています。
また、出産の8割は正常分娩であるため、助産師が十分担えることは、我が国の母子保健の歴史や、助産師を十分に活用しているオランダ、ニュージーランド、イギリスなどで証明されています。現在、出産は病院や診療所が主流となっていますが、助産所は妊産婦に寄り添った出産のみならず、その後の子育て支援を行うなど、重要な役割を果たしており、助産所を失うことは、女性にとっても社会にとっても大きな損失です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、身近な地域において、安心して出産できる助産所を存続させるため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 各都道府県の総合周産期母子医療センター、各地域の中核病院や公的医療機関が助産所や診療所からの緊急搬送を円滑に受け入れられるよう、適宜適切な支援を講じること。
2 各都道府県における助産師養成枠の増加と、質の高い助産師教育を促進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第47号・地方議会制度の充実強化を求める意見書
地方分権の進展に伴って、地方自治体の自己決定権がますます拡大する中で、二元代表制のもと、地方議会の役割と機能は極めて重要なものとなっています。
今後、地方議会が住民の代表機関としてその負託にこたえ、その役割と機能を一層強力に発揮していくためには、地方議会制度をさらに充実強化していく必要があります。
地方議会制度については、第28次地方制度調査会答申に基づき、平成18年の地方自治法の改正によって一定の措置が図られましたが、残された課題もあり、なお一層の取組が必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、7月に発足した第29次地方制度調査会において、早期に「議会制度のあり方」について調査・審議を行い、議会の招集権や附属機関の設置、調査権・監視権をはじめとする権限制約的諸規定の緩和など、地方議会の一層の充実強化を図る抜本的な制度改正を図るとともに、議員の法的位置づけを、市民の直接選挙によってその地位に就任したという「公選職」として明確に規定し、この位置づけにふさわしい諸制度の改正を早急に図るよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第48号・福岡県森林環境税による事業に関する意見書
福岡県森林環境税条例は、昨年12月福岡県議会において可決され、公布の日から2年以内に施行することになっています。
福岡県によると、森林環境税は、「荒廃した森林の再生」や「県民参加型の森林づくりの推進」という新たな事業のために使われることになっており、荒廃したスギ、ヒノキ等の人工林の再生に重点が置かれています。
しかしながら、集落や市街地に近接した竹林や里山においても、人工林と同様に荒廃が進んでおり、洪水や土砂災害の発生、野生鳥獣による被害の拡大等、県民生活に重大な影響が出ることが懸念されています。
よって、本市議会は、福岡県に対し、森林環境税による事業効果を福岡県下全市町村が等しく享受するため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 事業の実施に当たって、市町村の負担が増えることのないよう十分に配慮し、福岡県が責任を持って主体的に取り組むこと。
2 集落や市街地に近接した竹林や里山を、人工林と同等に整備するなど、すべての県民の目に見える形で事業を実施すること。
3 各市町村の実情を踏まえ、荒廃森林の現況調査等には十分な期間をとり、必要な予算措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第49号・北部九州の総合的な空港政策として現福岡空港と北九州空港等との連携案を再検討することを求める意見書
国土交通省、福岡県及び福岡市で構成する福岡空港調査連絡調整会議は、「福岡空港の総合的な調査(ステップ3)」を公表しました。
同会議はこの中で、将来的に需要がひっ迫する可能性のある福岡空港の対応策として、新空港建設と現空港での滑走路増設の2つの案を選択し、北九州空港など近隣空港との連携案については、抜本的な対応策になりえないとして否定的な見解を示しました。
しかし、新空港建設の事業費の試算は約1兆円であり、新空港までの交通基盤を整備すると更なる財政負担が生じます。また、現空港での滑走路増設案も、その試算は2,500億円から7,500億円であり、これに加えて地権者や周辺住民への環境対策費も必要となります。
一方、近隣空港との連携案は、新空港建設や現空港での滑走路増設よりも少ない財政負担で、福岡空港の混雑を緩和することができます。
例えば、福岡空港において伸びが顕著である国際線の一部を北九州空港に移し、併せて同空港へのアクセス鉄道整備と、国際線に接続する国内線の充実を図れば、福岡空港の離発着数を減少させることが可能です。北九州空港へのアクセス鉄道は、新幹線の場合でも約960億円と試算されており、実現すれば博多駅から同空港へ約30分で移動することができます。
このように、近隣空港との連携案は、福岡都市圏の住民の利便性を損なわず、既存空港の活用によって財政負担を抑制できることから、福岡空港の対応策として効果的です。また、北部九州の拠点として、政令指定都市である本市と福岡市が連携することは、北部九州全体の更なる発展にも寄与します。
よって、本市議会は、政府、福岡県及び福岡市に対し、北九州空港アクセス鉄道の必要性を認識してもらうとともに、福岡空港調査連絡調整会議において、北部九州の総合的な空港政策として、北九州空港など近隣空港との連携案を再検討するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第50号・いじめ・不登校のための対策を求める意見書
教育現場では、いじめや不登校の問題が深刻です。平成17年度のいじめの発生件数は、報告されているだけでも、公立の小・中・高等学校及び特殊教育諸学校で2万件を超え、各地で深刻ないじめが発生し続けています。
いじめを苦にした児童・生徒の自殺が相次いだ昨年の秋以降、改めていじめ問題に大きな関心が集まり、文部科学省の「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」でも議論されました。同会議は、本年春に教師や保護者、地域住民に向けた提言をまとめ、教師向けの「いじめ対策Q&A」も含めて全国に配布しました。
一方、不登校も深刻化しており、平成17年度の文部科学省の調査によれば、不登校の子どもが全体に占める割合は、小学校で0.32パーセント(317人に1人)、中学校では2.75パーセント(36人に1人、1学級に1人の割合)と、学年が上がるにつれて増加する傾向にあります。
いじめや不登校で苦しんでいる子どもたちに、どう手を差し伸べるのか、各地で様々な試みがなされていますが、現場で効果を上げているものも参考にしながら、具体的な施策を速やかに実施すべきです。
よって、本市議会は、政府に対し、子どもたちの笑顔と希望があふれる教育環境づくりのために、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 「(仮称)いじめレスキュー隊」設置の推進
子どもや親などからのSOSに瞬時に対応するため、第三者機関による「いじめレスキュー隊」を設置すること。
2 「(仮称)ほっとステーション」づくり
NPO法人による不登校のためのフリースクールなどを活用して、子どもが安心できる居場所として、地域に「ほっとステーション」を設置し、そこへ通えば学校の授業出席に認定する仕組を作ること。
3 「メンタルフレンド制度」の実施
子どものよき話し相手・相談相手として、教員志望の学生等を家庭や学校に派遣する制度を、全国で実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第51号・障害者自立支援法の抜本的な見直しを求める意見書
昨年4月の障害者自立支援法施行により、障害者福祉の現場はいまだに混乱が収まらない状況です。
特に、障害福祉サービスの利用にかかる応益負担の導入は、障害者の生活を直撃し、障害者施設からの退所、作業所への通所やホームヘルプサービス利用の制限など、障害者の生活水準の低下を引き起こしています。また、障害者施設側も、報酬単価の引き下げや日払い化によって、事業運営の継続が困難な状況に追い込まれています。
政府は、来年度までの特別対策として、利用者負担の軽減措置や障害者施設への激変緩和措置を行ったものの、一方では、多くの地方自治体が、障害者の切実な訴えと厳しい生活実態を重く受けとめ、独自の負担軽減策を行っているという実態があります。
同法施行から1年余りで多方面にわたる見直しを余儀なくされるということは、所得が低い障害者に対して、応益負担を導入した制度自体に無理があると言えます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、真に障害者に対する差別を撤廃し、障害者の自立と社会参加を求める立場から、障害者自立支援法の抜本的な見直しを求めるため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 利用者負担を応益負担ではなく、負担できる能カに応じた応能負担を原則とすること。また、利用料の算定に当たっては、利用者本人の収入のみに着目すること。
2 障害者が地域で人間らしく生きていけるよう、社会基盤整備についての拡充策を同法に盛り込むこと。
3 地方自治体が支給決定した障害福祉サービスや地域支援事業に対しては、財源保障を行うこと。
4 障害の定義を国際的な基準に見直し、難病や発達障害、高次脳機能障害を含め、あらゆる障害を同法の対象とすること。
5 昨年12月に国連で採択された「障害者の権利条約」を、我が国が早期に批准できるよう、同法をはじめとする国内法制の見直しや整備に積極的に取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。