第4号・後藤議長の不信任に関する決議
議長は、市民の負託を受けた北九州市議会の最高責任者として、その責務は極めて重大であり、議会運営及び発言は慎重かつ公平・公正でなければならない。
しかし、次期市長選挙への出馬を前提とし、議長職を自らの経歴の一つに加え利用したい旨の発言、来年度の市政運営の方向性を決める予算審議を放棄した予算特別委員会離脱の言動、また、10名以上で構成される会派が4会派ありながら、最大会派が常任委員会の委員長ポストや特別委員会の副委員長ポストを独占するごとき運営では、他会派をも巻き込み、議会運営全般に無用の混乱を起こし、執行部との正常な緊張関係はもとより、今後の公正・公平な議会運営を望むべくもない。
これまでは、同じ会派に所属する議員として、議長の独断的な議会運営に対し、自重を求め、再考を促しながら支えてきたが、いっこうに改善される兆しはない。
このような後藤議長のもとでは、正常かつ公正な議会運営は到底困難なばかりか、市政運営ひいては事業執行を通じて市民生活にまで悪影響を及ぼす事態を招きかねない。
以上の理由により、本市議会は後藤議長の不信任を決議する。
第12号・裁判員制度開始に向けた環境整備に関する意見書
第159通常国会において、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、及び「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立し、2009年5月までに裁判員制度が開始されることになりました。裁判員制度の導入により、国民が主権者として裁判に参加し、司法に健全な社会常識を反映することが期待されています。裁判員の意見を最大限反映し、公正な裁判を実施するためには、制度に対する国民の理解を深め、国民が参加しやすくなる環境を整備するとともに、被告人の防御権を保障し、かつ裁判員にわかりやすい審理に資する刑事訴訟手続の確立が必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
- 国民に対し、裁判員制度に関する広報・教育活動、裁判官・裁判所職員等に対する研修、法廷における裁判員席の確保といった裁判所内の整備等、裁判員制度導入までの準備計画を策定・公表し、十分な予算をもって実施すること。
- 裁判員の守秘義務ややむを得ない辞退理由について政令等で定める際は、国民に分かりやすいよう明確に定め、広く国民に説明すること。
- 仕事や育児、介護等をかかえた国民が裁判員として参加しやすくなるよう、広く国民の意見を聴取しながら環境整備をはかること。
- 刑事訴訟手続の適正化に向け、録画・録音等による取調べの可視化、取調べ段階における弁護人立会権の確立、及び証拠の全面開示の徹底等を内容とした刑事訴訟法等の改正を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第13号・政令指定都市に対する県費補助の改善を求める意見書
本市では、乳幼児や重度心身障害者など、いわゆる社会的弱者とされる市民を対象に、保健の向上と福祉の増進を図るため、自己負担分に係る医療費の助成制度を実施していますが、近年の厳しい財政状況において、事業継続に当たり、その財源確保は喫緊の最重要課題の一つとなっています。
福岡県においては、県下の市町村を対象に、乳幼児や重度心身障害者などの医療費公費負担対策として県費補助を行い、県民の福祉の増進に寄与しているところですが、乳幼児及び重度心身障害者医療費支給事業費県補助金については、県内の政令指定都市は、補助の対象から除外されています。
しかしながら、これらと同様の医療費助成事業を実施している他の道府県においては、政令指定都市も補助対象とされています。本市は、福岡県に対して、県民に等しく福祉行政の受益が及ぶよう、その早急な改善を求めてきたところですが、いまだにその状況は改められていません。
また、福岡県心身障害者共同作業所運営費補助金などの医療費助成事業以外の補助事業においても、同様の取り扱いがなされている状況にあります。
よって、本市議会は、福岡県に対し、乳幼児及び重度心身障害者医療費支給事業費県補助金について、政令指定都市も補助対象とするとともに、福岡県心身障害者共同作業所運営費補助金などの医療費助成事業以外の補助事業についても、同様の改善措置を講じるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第14号・発達障害児(者)に対する支援促進を求める意見書
自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群などの発達障害は、低年齢で現れることが多く、文部科学省の調査では、小中学生の6パーセントに上る可能性があるとされています。
本年4月から施行される発達障害者支援法では、国及び地方公共団体の責務として、発達障害の早期発見や支援などについて必要な措置を講じるよう示されていますが、発達障害に対しては、幼児期から学齢期、就労まで一貫した支援策が必要です。そのためには、教育・福祉・保健・就労などの関係機関が連携し、一人ひとりの状況に応じた個別指導を行うなどの対応が欠かせません。
国は、都道府県ごとに発達障害者支援センターを設置するとしていますが、よりきめ細かな支援対策を実施するためには市区町村の役割が極めて重要であり、支援のネットワークづくりが求められます。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を早急に講じるよう強く要請します。
- 各市区町村が関係機関と連携して支援体制を整備する際に、財政支援を講じること。
- 発達障害の早期発見に向けて、乳幼児健診の充実と新たな児童健診制度(5歳児健診)や就学時健診制度を確立すること。
- 保育所、幼稚園、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)における発達障害児の受け入れと指導員の養成・配置をすること。
- 発達障害者のための雇用支援コンサルタント、相談員等を配置すること。
- 専門医の養成及び人材の確保を図ること。
- 発達障害児(者)への理解の普及、意識啓発を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第15号・BSE対策における全頭検査の継続を求める意見書
日本のBSE対策である全頭検査は、牛肉に対する国民の信頼を支える柱です。消費者が安心して牛肉を食べられるよう、安全性の確保が求められています。
米政府は、米国産牛肉の早期輸入再開を要求するための日本政府への圧力を強めています。
しかし、米国産牛肉の輸入が再開されないのは、日本のBSE対策に原因があるのではなく、米政府のBSE対策が不十分だからです。米国BSE検査の検査率は1パーセント未満で、ほぼすべての牛が無検査のまま、と畜されています。米政府は、異常プリオンが蓄積する危険部位の除去により安全性を担保し、全頭検査の廃止を求めています。しかし、その危険部位の除去も、日本のようにすべての牛を対象にするのではなく、30カ月齢以上とされています。しかも日本のような月齢を正確に判断する生産履歴システムがありません。
また、米政府は、輸入再開を急ぐために、牛の肉質などで評価する牛肉の格付けで月齢を判断するという方法を編み出しましたが、肉の値段を付けるための格付けと月齢をリンクさせるやり方は、世界に通用するものではありません。
小泉首相は、今国会での施政方針演説で、輸入再開には日本と同等の措置を米国に求めることを基本に協議すると述べています。改めなければならないのは、米政府のBSE対策です。
よって、本市議会は、政府に対し、牛肉に対する国民の信頼を支えるため、BSE対策における全頭検査を継続するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第16号・在日外国人の無年金障害者と在日外国人及び在外邦人の無年金高齢者に対する国による救済措置を求める意見書
昨年12月、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が成立しました。同法によって、国民年金が任意加入であった時期に年金未加入であったため、障害基礎年金を受け取れずに無年金障害者となった元学生と専業主婦について、本年4月から特別障害給付金が支給されることになりました。
昨年の東京、新潟地方裁判所における学生無年金損害賠償訴訟は、いずれも原告が勝訴し、救済を怠った国の責任を認める判決が本法の成立につながったことで、制度の谷間にやっと光が当てられました。
その一方で、国民年金に加入が認められていなかった在日外国人の無年金障害者については、同法附則に検討を記すにとどまっています。また、同様の在日外国人と在外邦人の無年金高齢者についても、衆参両院で出された同法附帯決議に検討が記されたに過ぎません。
在日外国人及び在外邦人の無年金問題は、今回法的な解決をみた学生無年金問題と同様に、国民年金制度の発展過程で生じた制度の谷間であり、国の責任による救済措置が早急に求められています。
よって、本市議会は、政府に対し、在日外国人の無年金障害者と在日外国人及び在外邦人の無年金高齢者に対する生活の安定及び福祉の増進を図る立場から、直ちに必要な検討を開始し、国の責任で所要の措置を講じるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第17号・九州厚生年金病院の売却・民営化に反対し、存続・充実を求める意見書
政府は、今国会に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案を提出しました。この法案が成立すれば、今年の10月には、同機構で厚生年金病院など年金福祉施設等の売却・民営化が具体化されることになっています。
九州厚生年金病院は、病床数575床、心臓血管外科、小児科、整形外科、内科、脳神経外科等20科の診療科を擁し、設立50年の歴史ある総合病院です。厚生年金被保険者はもとより、小児医療、救急医療、健康の維持管理などの不採算といわれる医療も行うなど地域の中核病院として、地域医療に大きく貢献し、信頼を得ています。
今後も、地域の基幹病院として、良質の医療の確保、地域医療連携を充実させ、地域医療に責任を果たしていくためには、その存続が不可欠です。
よって、本市議会は、政府に対し、このような地域事情を考慮し、九州厚生年金病院の売却・民営化は行わず、現状のまま存続させ、いっそうの充実を図るよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。< /p>
第18号・総合交通体系の確立と移動の権利を保障するための法整備を求める意見書
現在の厳しい財政状況の中、効率的な社会資本整備が求められています。特に交通分野における陸海空の特性に応じた役割分担を明確化するために、総合交通体系を確立することが極めて重要な課題となっています。
また、すべての人が安全・円滑・快適に移動できるよう、交通機関のバリアフリー化や移送サービスの充実、過疎地における公共交通機関の整備が求められています。特に、障害者や高齢者などの移動制約者が社会参加するためには、交通機関の利用が必須であり、移動の権利を保障することが極めて重要であると考えられます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、国が総合交通体系を確立し、移動の権利を保障するための法整備を行うよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第28号・北朝鮮による核問題の早期解決を求める意見書
本年2月、北朝鮮は核兵器保有を公式に宣言し、また5月には原子炉からの使用済み核燃料棒取り出し完了を表明するなど、核開発を加速させており、核実験を行うのではないかとの観測も出ています。
北朝鮮は、過去に日本全域が射程に入るような中距離ミサイルの発射実験も行っており、もし、このミサイルに核弾頭が搭載可能ならば、日本全土が再び核爆弾の恐怖に包まれます。
我が国は世界で唯一の被爆国として、核廃絶は国民の痛切な願いであり、国際社会において核廃絶のイニシアチブをとることは、我が国の当然の使命です。
また、本市は、太平洋戦争中に広島の次の核兵器の標的とされていたことから、本市民は広島、長崎両市民と同様に核廃絶に対する高い意識を持っています。
よって、本市議会は、政府に対し、北朝鮮に核兵器の開発及び核実験を停止させるとともに、6カ国協議の早期再開に同意させるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第29号・住民基本台帳の閲覧制度の早期見直しを求める意見書
本年4月から個人情報の保護に関する法律が全面施行されるなど、個人情報保護に関する法整備の進展とともに、行政機関のみならず民間事業者においても、より適切な個人情報の保護が求められています。
しかしながら、市町村の窓口においては、住民基本台帳の閲覧制度に基づき、氏名、住所、生年月日、性別の4情報が、原則として誰でも大量に閲覧できる状況にあります。
住民基本台帳制度は、昭和42年制定以来、住民の利便の増進、国及び地方公共団体の行政の合理化を目的とし、居住関係を公証する唯一の公簿として、広く活用されてきたところです。
しかし一方、高度情報化社会の急速な進展により、住民のプライバシーに関する関心が高まるにつれて、住民基本台帳の閲覧制度に対する住民の不満や不安は高まっているのも事実です。
さらに、最近では閲覧制度を悪用した悪徳商法や不幸な犯罪事件が発生するなど、現実として閲覧制度が住民の権利を著しく侵害しつつあり、自治体独自の取り組みでは補いきれない課題を生じさせています。住民の権利を保護すべき自治体としては、住民基本台帳法に「何人でも閲覧を請求することができる」と規定されている現行の閲覧制度の下では、こうした事態への対応は極めて困難です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、住民基本台帳の閲覧制度を、原則として行政機関等の職務上の請求や世論調査等の公益に資する目的に限定するなどの抜本的な改革を早急に講じるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第30号・鉄道事故再発防止と運輸安全基本法(仮称)の制定を求める意見書
4月25日に発生したJR福知山線の脱線事故は、107名の方が亡くなられ、500人以上の方が負傷するという大惨事となりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族の方々にお悔やみ申し上げるとともに、負傷された方々の一日も早いご回復をお祈りいたします。
今回の事故は、1987年の国鉄分割民営化以降はもとより、国鉄時代から見ても1963年に発生した鶴見駅構内列車三重衝突脱線事故以来の最悪の大惨事です。特にJR西日本では、信楽高原鉄道の事故や東海道線の事故現場で救助活動中の救急隊員が電車にはねられるという事故が起きているにもかかわらず、過去の事故の教訓がどれだけ生かされているか極めて疑問です。
事故原因を解明することは、事故の再発防止だけではく、事故に遭遇した遺族、被害者にとって事故により病んだ心を癒すことにつながります。今回死傷した多くの人々の不幸を、次の万一の事態に生かすとともに、多数の命を預かる交通機関は、改めて安全第一を最優先にすることを胸に刻まねばなりません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、事故の内容、原因の徹底究明と再発防止を求める立場から、次の措置を講じるよう強く要請します。
- 航空・鉄道事故調査委員会は、ハード面は無論のこと、ソフト面など、事故の背景要因に至るまで、あらゆる角度から調査を行い、結論を出すこと。
- JR西日本に対し、遺族と負傷者のケア、被害者の救済、事故の原因究明、再発防止に向け、会社を挙げて誠意を持って対策を講じるよう強く指導すること。
- 運輸行政のこれまでのあり方も含めて十分な検証を行い、基準の改定をはじめ必要な対策を講じるとともに、安全投資に対する国の補助制度を充実・強化すること。
- 事故調査委員会の強化、被害者ケアの充実、事業者・行政の責務、安全基準の強化等を内容とする「運輸安全基本法」(仮称)を制定すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第33号・郵政民営化法案の撤回を求める意見書
政府は、今国会において郵政民営化法案審議のための特別委員会を設置し、法案の成立を強行しようとしています。この法案は、郵政3事業を郵便局(ネットワーク)会社・郵便公社・郵便貯金銀行・簡易保険会社にそれぞれ分割して民営化し、持ち株会社として日本郵政株式会社を設立したうえで、政府が株式の3分の1以上を所有して管理下におくというものです。また、4社のうち郵貯と簡保の2社については完全売却を義務付け、その売却益で2兆円の社会・地域貢献基金を創設するとしています。
そもそも平成10年の中央省庁等基本法で、郵政公社については民営化等の見直しは行わないと明記しています。小泉首相は当時の厚生大臣でもあることから、内閣の一員としての責任があり、今回の法案も国民への約束を破るものといえます。
政府が郵政民営化の理由に掲げている民業圧迫は、かねてから銀行、保険会社及び米国政府が掲げてきた主張です。国民の多くが郵貯を選ぶのは、銀行の相次ぐ不祥事、金融犯罪による不信があり、低金利政策で庶民の暮らしを圧迫し、取引にあたって高い手数料をとり利便性を省みない身勝手が原因です。また、政府は民業圧迫論が通用しないと見ると、一転して国営のままだとジリ貧になると、180度民営化の態度を変えるなど、民営化に道理がないことを自ら証明しています。
今の郵政には郵便、郵貯、簡保の全国共通サービスが義務付けられており、全国の黒字郵便局の黒字で全国の赤字郵便局の赤字を補てんできるため、税金も一切投入されていません。郵政事業をわざわざ民営化し、郵貯・簡保の株式を完全売却した後に巨額の資金を投入しての買い戻しや兆円規模の基金を創設するうえ、郵便局網を破壊することなどは壮大なむだというほかありません。
よって、本市議会は、政府に対し、郵政民営化法案を撤回するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第35号・悪質住宅リフォームから高齢者等を守るための対策強化を求める意見書
認知症など判断能力の不十分な高齢者を狙って、不要な住宅リフォームを契約させ、法外な代金を請求するといった悪質住宅リフォームが大きな社会問題になっています。
こうした犯罪行為の横行を防ぐためには、あらゆる法律や制度を駆使し、関係機関が連携して悪質な業者を摘発することや、再発防止に対する早急な取組の強化が必要です。
そのため、政府は悪質業者に対する行政処分や取り締まりの強化及び関係業界に再発防止策を求めるなどの緊急対策を決定しました。その上で、今後の課題として、成年後見制度をより利用しやすくするための措置などが指摘されています。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、高齢者等を悪質住宅リフォームの被害から守るため、次の措置を講じるよう強く要請します。
- 成年後見制度の周知徹底のための広報活動を強化するとともに、申し立て時の費用や後見人への報酬を助成する成年後見制度利用支援事業を拡充・周知すること。また、制度拡充のために必要な第三者後見人の人材を確保すること。
- 全国各地の窓口で気軽に法的サービスが受けられる日本司法支援センターの来年秋の開始にあたっては、高齢者等に対する出張相談などを積極的に実施する施設とすること。
- 特定商取引法や消費者契約法、割賦販売法などを活用した被害者の早期救済や、悪質リフォームを対象とした取締法規の制定を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します
第36号・障害者福祉サービスの充実を求める意見書
政府は、現在開会中の特別国会において、これまで身体、知的、精神の障害種別ごとに違っていたサービスを統合するとともに、利用料の応能負担から応益負担への転換を柱とする障害者自立支援法を制定しようとしています。
平成15年度にスタートした支援費制度は、利用者がそれぞれの収入に応じて利用料を負担する応能負担でした。今回の法案は、これまで障害者福祉には使われてこなかった応益負担を導入し、サービス料に応じて定率1割の負担を利用者に求める仕組みに変えるものです。
障害者が地域で生きていくために必要なサービスを応益負担に変えることは、障害が重ければ重いほど、利用料負担が重くなることから、障害者の生存権を揺るがしかねません。
また、多くの障害者の収入は、障害年金(障害基礎年金1級で月額約8万3,000円、2級で月額約6万6,000円)のみであり、応益負担の導入は、障害者の収入の実態と整合性を持った負担の仕組みとは言えません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、同法案の制定にあたっては、障害者福祉制度を後退させることなく、更なるサービスの充実を図るため、次の措置を講じるよう強く要請します。
- サービス利用における自己負担の導入については、低所得者向けの免除・軽減制度をさらに整備すること。
- 障害者福祉サービスの総合化にあたっては、サービス活用の利便性を拡充するとともに、障害の特性に合わせたサービス内容を確保すること。
- 市町村または都道府県が行っている手話通訳の派遣、移動支援などの地域生活支援事業に要する経費についても、国の義務的経費と位置付け、予算措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第37号・米国産牛肉の拙速な輸入再開に反対し、BSE問題への万全な対策を求める意見書
政府は、国内でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されて以来、と畜されるすべての牛の検査及び特定危険部位の除去、飼料規制の徹底等を行い、牛肉に対する信頼回復に努めてきました。
また、平成15年に米国でBSEの発生が確認されてからは、米国産の牛肉及び牛肉加工品等の輸入を禁止してきました。ところが政府は、20か月齢以下の牛を全頭検査の対象から除外する新基準を適用し、さらに、米国産牛肉の輸入再開に向けた動きを進めています。
しかし、米国では6月に2頭目のBSEが発生し、その後も疑わしい事案が出るなど、米国での検査体制の不備が明らかになっています。BSEはその発生原因も科学的に十分解明されておらず、特に米国産牛肉は、検査体制や特定危険部位の除去、飼料規制、生産・流通履歴が不明確であるなど、多くの問題があります。
こうした中で、米国産牛肉の輸入を再開することは、「食」に対する安全を脅かし、消費者の不安を増大させるものであると言わざるを得ません。
よって、本市議会は、政府に対し、国民の生命の安全とBSE問題への万全な対策を求めるため次の措置を講じるよう強く要請します。
- 米国産牛肉については、検査体制などの問題点が解消されない以上、拙速な輸入再開を行わないこと。
- 国内において、特定危険部位の除去に関する監視体制の構築や検査技術の開発などを一層進めること。
- 各自治体で行う全頭検査に対する財政措置を継続すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第38号・自治体病院の医師確保対策を求める意見書
少子高齢社会を迎え、地域住民が安心で安全な生活を送る上において、地域における医療環境の整備・充実が極めて重要な課題となっています。
こうした中、自治体病院は地域医療の中核として、小児医療や夜間救急、輪番制二次救急医療等多くの不採算部門を担いつつ、医療提供体制の確保と医療水準の向上に努めているところです。
しかしながら、昨年4月から実施された新たな医師臨床研修制度の必修化に伴う大学による医師の引き揚げや、地域や診療科による医師の偏り等により、地域医療を担う医師の不足が深刻化しています。
特に、小児科や産婦人科については、過酷な勤務条件、医療訴訟の多さなどの要因により医師希望者が減少しており、医師の確保が極めて困難な状況にあることから、診療の縮小・休止や廃止に追い込まれる病院が相次いでいます。
このような医師不足は、全国的な問題となっており、各自治体は、医師確保に向けて、懸命の努力を続けていますが、大変困難な状況にあります。本市の市立若松病院においても、産婦人科の出産入院ができなくなるなど、地域医療の確保・継続が危ぶまれています。
よって、本市議会は、政府に対し、都道府県、大学、学会、医師会等との連携のもと、早急に抜本的な医師確保対策を講じられるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第39号・IT投資促進税制の存続と拡充を求める意見書
IT投資促進税制は、ソフトウェア・ハードウェア双方のIT投資を促進することで、企業経営の効率化と新たなビジネスモデルの創出を加速し、産業の高度化を図ることを目的として平成15年1月に創設されました。この税制の創設により、本市においても企業のIT投資が加速し、地域経済の高度化・活性化が進展しています。
しかし、同税制が本年度で終了することで、加速しつつある市内企業の高度化が著しく阻害され、経営に大きな影響を与えることが危惧されています。特に、今後セキュリティー対策に向けたIT投資を進めようとしている中小企業へは多大な影響があります。
また、本市では、「北九州e-PORT構想」の推進により、ITインフラの整備・充実やIT関連企業の集積を積極的に進めていますが、今後予定されている市内IT企業によるiDC(インターネットデータセンター)の設置やシステム開発などにも深刻な影響を与え、本市のIT産業振興の大きな妨げになります。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します
- IT投資促進税制を来年度以降も存続すること。
- 現在、資本金3億円以下の企業に限定しているリースについての税額控除措置を、すべての企業に広げること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第40号・耐震化促進に向けた施策の拡充を求める意見書
昨年10月の新潟県中越地震、そして今年3月には大地震発生の可能性は低いと言われていた福岡県でも福岡県西方沖地震が発生し、多大な被害をもたらしました。
いつどこで発生してもおかしくないこのような大地震への備えとして、防災対策だけでなく被害を最小限に抑える減災への取組が求められています。この最も有効な対策が住宅や建築物の耐震化です。
国土交通省の住宅・建築物の地震防災推進会議が今年6月にまとめた提言では、今後10年間で住宅や建築物の耐震化率をそれぞれ9割まで引き上げるという数値目標を設定し、達成に向けた促進策を提示しました。まさに、耐震化は時間との競争であり、地震による人的・経済的被害を最小限に抑えるためにも、耐震化促進に向けた施策を早急に拡充する必要があります。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
- 今年度から用途を広げるなどした耐震診断・耐震改修の補助制度や、さきの通常国会で成立した地域住宅交付金制度を全国に普及させるとともに、耐震改修税額控除制度などの税の優遇措置を創設すること。
- 耐震性が不十分な密集市街地の住宅に対し、耐震診断の指示や正当な理由なく改修に従わない建築物を公表することや、大規模建築物に耐震診断や改修を義務付け、実施しない場合は改修命令を出せるなど、耐震改修促進法のさらなる充実、強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第41号・アスベスト総合対策の徹底を求める意見書
過去にアスベスト(石綿)製品を製造していた企業の従業員やその家族、工場周辺の住民などに、アスベストが原因と思われる中皮腫や肺がんで死亡した事例が相次いで報告されています。健康被害を受けながら労災補償されていない被害者からも救済を求める声が相次いでいます。
政府は、このような事態を受けて、アスベスト問題に関する関係閣僚会議を設置し、石綿工場の周辺住民や従業員家族らの健康被害を救済するための新法を制定する方針を決めました。厚生労働省と環境省を中心に法の具体的な内容を検討し、次期通常国会に提出することとしています。
しかし、教育施設をはじめとする公共建築物など、アスベスト使用に関する実態が日増しに明らかになっていることから、アスベスト健康被害に対する国民の不安は非常に高まっており、徹底した実態調査と適切な情報開示を求める声が強くなっています。
よって、本市議会は、政府に対し、被害者救済を図る新法の早期成立とアスベスト使用等の早期禁止や建物解体時の安全確保、患者のための相談体制の強化など、アスベスト総合対策を徹底するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第42号・定率減税の半減及び全廃方針の撤回と所得税等の抜本改革を求める意見書
谷垣財務大臣は、政府税制調査会の見解と同様に、2006年度税制改正において、所得税・住民税の定率減税を全廃する意向を示しています。
政府は既に来年からの定率減税の半減を決定しており、それが給与所得者層の生活を直撃し、ひいては景気後退にもつながりかねないことが強く懸念されています。その中での定率減税の全廃方針は、不況を通じて可処分所得が大幅に減少する一方で、医療費や年金保険料引き上げなど、負担増を強いられている勤労者の生活実態を顧みない、一方的増税路線の表明にほかなりません。
政府税制調査会はさきに「個人所得課税に関する論点整理」と題した報告書を発表しましたが、その増税項目の羅列がサラリーマン大増税であるとの厳しい批判を浴びたことから、首相をはじめ与党も増税を否定する政権公約を発表してきました。
定率減税の見直しは、一部にサラリーマン増税とは異なるとの主張があるものの、その半減及び全廃で最も痛手を被るのは、源泉徴収によって所得がガラス張りである給与所得者です。定率減税を見直すのであれば、特例措置として、同時に実施されてきた所得税の最高税率や法人税率の引き下げも同時に見直されなければなりません。
また、政府税制調査会が示した給与所得控除の縮小など、各種控除の縮小廃止よりも、格差拡大に歯止めをかけ、不公平を是正する所得税や住民税等の抜本的な税制改革こそが進められるべきです。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、定率減税の半減及び全廃方針の撤回と所得税等の抜本改革を進めるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第46号・九州厚生年金会館の機能存続を求める意見書
政府は、厚生年金会館など全国に328ある年金福祉施設を譲渡・廃止するため、10月1日に、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構を設立しました。同機構は、今後、5年以内にこれらすべての施設を譲渡・廃止し、売却益を国の特別会計に戻すこととしており、本市にある九州厚生年金会館も整理・合理化の対象となっています。
現在、本市では、北九州市ルネッサンス構想に基づき、芸術・文化の振興及び観光振興等に積極的に取り組んでいます。このような状況の中での今回の整理合理化計画は、芸術文化の振興、北九州経済圏の活性化を願う多くの市民、周辺住民、文化・観光関係者に大きな衝撃を与えています。
また本市には、同会館の大ホール以外に2,000人を超える収容能力を持つ芸術・音楽ホールはなく、本市になくてはならない施設として定着しており、同会館の廃止は芸術文化の振興や街のにぎわいに大きな支障を来します。
よって、本市議会は、政府に対し、年金福祉施設の整理合理化に当たっては、地域の実情を十分に勘案し、本市のまちづくりに不可欠な九州厚生年金会館の機能を引き続き存続させるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第47号・改造エアガン対策の強化を求める意見書
通行人や対向車両などに対して改造エアガンを発砲するという事件が相次いで発生し、大きな社会問題となっています。本市においても、走行中のバスやコンビニエンスストアに向けてエアガンが発射される事件が発生し、また、青少年に対するエアガンの販売が明るみになるなど、市民の安全が脅かされています。
エアガンは、法律上は玩具ですが、改造により威力を増すことによって、大変危険な武器、凶器ともなります。また、インターネットを通じて、改造エアガンや部品、改造方法などの情報の入手が容易になっています。
警察庁は、このような事態を受けて、10月11日、各都道府県警察等に対して、改造エアガンに対する取り締まりの強化等の通達を出しました。しかし、事件の再発防止のためには、単なる警察による取り締まり強化のみならず、関連する業界団体による自主規制の強化、販売店等への指導強化など、多角的、総合的に改造エアガン対策に取り組むべきです。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
- インターネットにおけるサイバーパトロールを徹底し、改造エアガン等の販売の取り締まりを強化すること。また、プロバイダーやサイト運営者に対して、改造エアガンの出品や情報提供に関する自主規制を促すこと。
- 玩具としてエアガンを取り扱っている業界団体に、改造防止のための自主規制などを行うよう求めること。
- 青少年への影響を考え、警察などから、保護者等に対してエアガンに関する広報を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第48号・「事業仕分け」による行財政の効率化を求める意見書
政府は、財政の健全化のために歳出の削減に取り組み、一定の成果を上げていますが、一方で、高齢化の進展に伴って社会保障関係費は伸び続けています。また、国債残高は今年度末には約538兆円に達する見込みであり、財政事情はますます厳しくなることが予想されます。
このような現状において、歳入や税制の改革は避けて通れない問題ですが、安易に増税論議を先行させるのは早計であり、まずは徹底した歳出の見直しや削減が先決です。
そのための手法として、国の事業を洗い直し、行政の仕事として本当に必要であるかどうかを判断する「事業仕分け」の実施が必要です。
既に、一部の自治体(8県4市)では、民間シンクタンク等の協力を得て実施しています。その結果、県・市ともに「不要」及び「民間委託」と仕分けされた事業を合わせると全体の約1割に上り、予算の大幅な削減が見込まれています。
よって、本市議会は、政府に対し、「事業仕分け」の手法による大胆な歳出の削減を行い、そこから捻出された財源を財政再建に振り向けるだけでなく、その一定部分は、国民ニーズに応じて必要な新規事業などに活用するなどの行財政の効率化を図るよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。