第4号・モーダルシフトの一層の推進を求める意見書
地球温暖化を国際的な枠組みで防止することで合意された、京都議定書の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けて、物流分野においても排出規制策を強化することが必要となっています。
平成11年度の我が国の運輸部門における二酸化炭素排出量は、平成2年度と比べ23パーセントも増加しており、運輸部門における排出削減が急務となっています。また、運輸部門における二酸化炭素排出量の88パーセントは自動車部門のものであるため、輸送機関の二酸化炭素排出原単位が、営業用自動車に比べて8分の1と少ない鉄道や、4分の1と少ない内航船舶へのシフトが必要です。
しかしながら現状は、トンキロベースの輸送分担率で、鉄道が下降傾向、内航海運は横ばいであり、対策が十分に講じられているとはいえません。
既存の枠組みだけでは、自動車中心の物流から、より環境に優しい物流へ転換する「モーダルシフト」の推進は困難な状況です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、モーダルシフトを一層推進するため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 鉄道や船舶の輸送分担率目標などを盛り込んだモーダルシフト基本計画を策定すること。
2 一定の事業者に対して、モーダルシフト計画の策定や実績報告を義務付けることなどを内容とする「(仮称)複合一貫輸送の推進に関する法律」(モーダルシフト法)を制定すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第5号・JR三島会社及びJR貨物に対する支援策に関する意見書
昭和62年4月1日、当時の国鉄は分割・民営化され、公共輸送の使命と鉄道の再生を図るべく、JR7社が誕生しました。北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社のJR三島会社については、発足当時から営業損失は避けることは出来ないとして経営安定基金が設けられ、その運用益と固定資産税等の軽減措置による負担軽減で営業損失を補填してきました。また、毎年運賃を値上げしなければ当該エリアの鉄道を維持することは困難であるとの見通しにありましたが、経営悪化を理由とする運賃値上げは過去一度だけにとどめています。
しかし、この間も低金利による影響を受け、経営安定基金の運用益は大幅に減少することとなり、経営努力の範疇をはるかに超える事態の改善のため、平成9年度から5年間、経営安定基金の運用益確保を目的とした新たな支援策が確立され、平成14年度からは5年間の延伸が行われています。しかしながら、経営安定基金運用益は会社発足当初の半分程度に減少し、基金の機能を発揮するには厳しい環境となっています。
また、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)は、環境負荷が小さく大量に輸送できる特性を有しているものの、鉄道貨物のシェアは依然として低位であり、脆弱な経営基盤であるため、課題も山積しています。
JR三島会社及びJR貨物は、地域住民の足として、また社会生活に密着する物流として国民生活に欠くことのできない存在です。しかし、現在の支援策が期限切れを迎える平成19年3月末以降に、何らの支援策も講じられなければ、再び赤字線の廃止や運賃改定などによって、利用者や地域住民に犠牲が押し付けられることは必至です。
よって、本市議会は、政府に対し、平成19年度以降も、JR三島会社及びJR貨物に講じられている現行と同等以上の効果をもたらす支援策の継続を強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第6号・JR不採用問題の早期解決を求める意見書
国鉄が分割・民営化されて、JR各社が発足した際に、当時の国鉄労働組合員などが採用されなかった、いわゆるJR不採用問題が発生して19年が経過しようとしています。
この事件に関して、最高裁判所は、2003年12月に、JRは労働組合法上の使用者としての不当労働行為の責任を負わない、との判決を示しました。
これに対し、昨年9月、当該組合員の一部が、旧国鉄清算事業団の地位を引き継いだ独立行政法人鉄道建設運輸施設整備機構を相手取って起こした訴訟の判決があり、東京地裁は、職場復帰の訴えは退けたものの、旧国鉄の不当労働行為を認め、慰謝料として1人当たり500万円の支払いを命じました。しかし、双方とも、この判決に納得がいかず、既に東京高裁に控訴している状況です。
また、2004年6月には、国際労働機関(ILO)がこの問題について、「本件申立の深刻さとともに多くの労働者が被っている深刻な社会的・経済的な影響を考慮し、この問題の解決のためには、一度は大勢となった政治的・人道的見地の精神に立った話し合いを、すべての関係当事者との間で推進するよう勧める」と政府に6度目の勧告を出しています。
当該組合員は、高齢化が進み、経済的な問題だけでなく、健康や年金問題も重要になってきています。まさに一刻の猶予も許されない深刻な事態となっています。
よって、本市議会は、政府に対し、ILO勧告などを踏まえ、JR不採用問題の早期解決に向けて、一層努力するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第7号・航空保安の充実を求める意見書
平成13年9月11日の米国における同時多発テロ事件は、航空需要を減少させただけにとどまらず、世界経済に大きな影響を与えました。
テロやハイジャックを防止し、航空の保安を確保する必要性は、今日一層高まっており、それはもはや民間事業者に任せておけばよい、というレベルの課題ではありません。
しかし、我が国の現行法では、国や空港管理者、航空運送事業者などの航空保安に関する関係者の責任範囲は不明確なままであり、問題が生じた場合に、責任の押し付け合いになるという事態が繰り返されてきました。
このような状況を踏まえて、航空の安全を確保するためには、国や空港管理者をはじめ、航空関係者の責務を明確にするほか、保安検査の実施等を法令で明記することなどが必要です。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、以下のように現行の航空法を改正し、一層の航空保安の充実を図るよう強く要請します。
1 空港設置申請者の航空保安施設設置計画の明確化と、国土交通大臣による審査及び完成検査の実施
2 飛行場管理者の保安基準に沿った航空保安施設管理義務と国土交通大臣による定期検査の実施
3 航空運送事業者による航空保安検査の実施
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第8号・障害者福祉制度の充実に関する意見書
平成15年度から導入された障害者支援費制度は、施行当初から財政上の問題を抱えつつも、利用の定着が進んできましたが、昨年10月、第163回特別国会で障害者自立支援法が成立し、障害者施策は大きく転換することとなりました。
この法律は、支援費制度下で度々生じた財源不足を解消するため、国と都道府県の負担を義務化する一方、障害者サービス利用に応じて利用料を負担する応益負担を導入することとなっており、我が国の障害者福祉を大きく後退させかねないとの懸念が高まっています。
障害者施策を充実することは、現在障害を持って生活をされている方々に限定されたものではなく、誰もが障害を負う可能性がある社会全体の安定に寄与し、安心の暮らしの確立に通じるものです。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 障害者の自立支援のための具体的施策の実施に当たっては、当事者の意見を十分に反映すること。
2 サービス利用の自己負担については、当事者の収入状況を勘案し、低所得者向けの負担軽減等を有効に活用すること。また、応益負担の見直しや、所得保障のための施策を速やかに検討、整備すること。
3 重度の障害を持ち、長時間サービスを必要とする者については、サービスを十分に確保するとともに、国の財政的支援を行うこと。
4 障害者福祉計画の策定に当たっては、サービス利用の潜在的なニーズを把握し、数値目標を取り入れるとともに、地域におけるサービス提供体制の基盤整備を速やかに図るための施策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第9号・さらなる総合的な少子化対策を求める意見書
平成17年版少子化社会白書は、平成16年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)が1.288と過去最低を更新したことを踏まえ、我が国を初めて「超少子化国」と位置づけました。予想を上回る少子化の進行によって、これまでの予測よりも一年早く、今年にも人口減少社会に転じる可能性があると指摘しています。
これまでも様々な少子化対策が講じられてきましたが、依然として少子化傾向に歯止めがかかっておらず、これまでの施策を検証するとともに、効果的な支援策についての更なる検討が必要です。
子育ては今や地域や社会全体が取り組む課題です。我が国の将来を担う子どもたちの健やかな成長のために、社会全体で子育てをサポートする体制を充実することが必要であり、そのためには子育てへの経済的支援のほか、地域や社会における子育てのための環境整備や働き方を見直す社会の構造改革など、総合的な子育て支援策を展開するべきです。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 児童手当の更なる拡充や、出産費用等の負担軽減といった経済的支援
2 公共住宅における優遇措置の拡充などの子育て世帯向けの住宅支援
3 保護者の就労形態の多様化にも対応できる保育所の整備や、入所要件の弾力化といった、子どもを預けやすい保育システムへの転換
4 放課後児童クラブの受け入れ対象年齢の拡充など、放課後児童健全育成事業等の充実
5 弾力的な労働時間等の確保やパートタイムから正社員への転換支援など、仕事と生活の調和が図れる働き方の見直し
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第10号・脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書
脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ、出産時などの身体への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れることから起こるもので、激しい頭痛、めまい、うつ病、耳鳴り、睡眠障害になるなどの症状が現れる疾患です。
全国でも、この疾患に苦しんでいる数多くの症例が報告されていますが、これまでは原因不明で有効な治療法のない「むちうち症」で処置されたり、怠け病や精神的なものと捉えられたりするなど、患者の肉体的、精神的苦痛を助長していました。
そのような中、患者本人の血液を注射して血液の凝固作用により脳脊髄液の漏れを防ぐ「ブラッドパッチ療法」という治療法が開発され、その効果が大きいことも明らかになってきています。
しかしながら、脳脊髄液減少症の認知度は高いとはいえず、「ブラッドパッチ療法」への保険診療が適用されていないこと、自動車保険でも治療費が認められる例が少ないことなど、患者の負担が大きいのが現状です。
よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 脳脊髄液減少症の研究の更なる推進と、ブラッドパッチ療法を含めた治療法の早期確立を行うこと。
2 ブラッドパッチ療法に対する保険診療の適用を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第11号・米国産牛肉の拙速な輸入再開に反対する意見書
昨年12月に輸入が再開されたばかりの米国産牛肉から、BSE(牛海綿状脳症)の病原体がたまりやすいために、除去が義務付けられている背骨が見つかりました。
米農務省は2月17日に公表した調査報告書で、違反を起こした食肉業者と米農務省の検査官は日本向けの輸出条件を知らなかったと、今回はあくまで例外的なケースであると釈明しました。
しかしながら、今回背骨つき牛肉を日本へ輸出した食肉業者のほかにも、日本向け輸出プログラム違反をおこした食肉処理業者があったことが明らかになりました。
また、農林水産省及び厚生労働省の両省は、輸入再開後の日本側の査察において、実際に危険部位を除去しているところを見ていないにも関わらず、食品安全委員会に対して問題ないと報告していたことも明らかになり、政府の責任は重大です。
1日約5,000頭の牛を解体する米国の大規模な食肉処理場では、わずかな検査員で、日本向け米国産牛肉からの危険部位除去や、生後20カ月以下という条件を順守できる保証はありません。
よって、本市議会は、政府に対し、全頭検査、全月齢の危険部位除去という国内と同等の安全基準が確保されるまで、輸入再開を行わないよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第12号・次期教職員定数改善計画の実施を求める意見書
政府は、公務員の総人件費改革実行計画の中で、一般公務員とは別に、人員が多いとして教職員の人件費削減を求めました。これにより、少人数教育推進等のため教員定数を増員するという、第8次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画及び第7次公立高等学校教職員定数改善計画の、2006年度の実施が見送られました。
これは、教育の重要性や水準のあり方や、様々な教育課題を踏まえたうえでの教育論から議論されたものではなく、財政縮減のみの議論から出されたものです。
現在、多くの都道府県では、児童生徒の実態に応じ、きめ細やかな対応ができるようにするための少人数教育が実施されており、保護者や子どもたちから大変有益であるとされています。したがって、国に求められているのは、これら次期教職員定数改善計画の早期策定であり、教職員配置の更なる充実です。
教育予算は未来への先行投資であり、子どもたちがどこに生まれ育ったとしても、等しく良質な教育が受けられることは、憲法が保障しています。
よって、本市議会は、政府に対し、国の責務である教育水準の最低保障を確保するため、公立の小・中学校及び高等学校における次期教職員定数改善計画を実施し、自然減を上回る教職員の削減を行うことなく、学校現場に必要な教職員の人員、人材を確保するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第13号・北朝鮮による日本人拉致事件の早期解決を求める意見書
平成14年9月17日の日朝首脳会談で北朝鮮が認めた拉致事件は、想像をはるかに超えた極めて凶悪な事件です。これは、我が国の国家主権を侵しただけでなく、拉致された方々の基本的人権を踏みにじるとともに、暴力的に否定するものであり、金正日が主導する北朝鮮による国家犯罪に対し、強い憤りを感じずにはいられません。
また、北朝鮮が一方的に亡くなったとして発表した方々の調査結果も、別人の遺骨を提出するなど不誠実なものに終始し、とうてい納得できるものではありません。
現在も、拉致された多くの被害者は不安な気持ちで、また、その家族の方々もやるせない気持ちで、一日も早い救出を待ち望んでいます。
政府により拉致被害者として認定されている方以外にも、北朝鮮に拉致された疑いが高いとされる方が全国に多くおられ、本市でも、昭和45年8月に失踪した加藤久美子さんはその疑いが極めて高く、早期の真相究明が望まれるところです。
昨年5月、本市で拉致被害者の早期救出を求める大会が開かれましたが、国民一人ひとりに向け、このような重大かつ凶悪な事件の早期解決の必要性を発信することは急務であり、今こそ思想を超え、党派を超えて、官民がひとつになり、北朝鮮に対し、毅然とした姿勢で正々堂々と交渉を進めていく必要があります。
よって、本市議会は、政府に対し、北朝鮮による拉致事件の早期解決に向け、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 拉致被害者の証言などにより国際指名手配中となっている辛光洙容疑者をはじめとする拉致実行犯の身柄引渡しについて、北朝鮮に対し引き続き強く求めていくこと。
2 北朝鮮に対する経済制裁の発動も視野に入れ、拉致被害者の一日も早い救出に当たること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第14号・電気用品安全法の中古家電製品等への適用延期等を求める意見書
平成13年4月に施行された電気用品安全法の今年4月からの本格実施を前に、中古の家電製品や電子楽器などを扱うリサイクル業者や質屋、オーディオ店などに不安の声が大きく広がっています。
電気用品安全法は、電気用品の製造業者と輸入業者に対し、出荷前に製品を自主検査し、安全確認済みを示す「PSEマーク」を表示することを義務付けています。マーク表示のない電気用品は販売できず、平成13年の同法施行後、製品によって5年、7年、10年の猶予を設ける経過措置がとられました。
今年4月には、テレビや冷蔵庫、音響機器などの259品目が、5年の経過措置の期限切れを迎えますが、国民への制度の周知徹底は遅れています。特に中古品については対象となること自体がほとんど知られておらず、リサイクル業界では中古家電が対象となることを最近知り、あわてて買い取りを停止するなどの事態が相次いでいます。
大量の中古家電が再利用されず、そのまま廃棄されることになれば事態は重大であり、これは政府が目標に掲げる循環型社会の実現にも反します。
よって、本市議会は、政府に対し、電気用品の安全性についての自主検査は、中小・零細業者が多い中古リサイクル業者には負担が大きいことから、中古家電への法律適用に当たっては、その安全性を担保できる検査、認証機関を国の責任で設置するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第15号・実効ある男女雇用機会均等法の改正を求める意見書
政府は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)の改正法案を、今国会へ提出しました。既に示された法律案要綱では、妊娠や出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止や、セクシュアルハラスメント対策などとともに、間接差別の禁止が盛り込まれています。
法の施行から21年が経過しましたが、使用者は依然として、女性を昇格できない一般職やパートなどへ振り分けることにより、性差別を温存しています。
これまで抜け穴となっていた間接差別を禁止することは、女性たちが待ち望んでいた改正です。また、間接差別の是正については、政府がILOからの意見や、国連女性差別撤廃委員会からの勧告を受けている課題でもあります。
しかし同要綱では、間接差別の対象を3点に限定し、募集や採用における身長、体重、体力を要件とすること、総合職の募集、採用において全国転勤を要件とすること、また、昇進の際に転勤経験を要件とすることを、省令として列挙しています。
間接差別の対象を限定的に列挙することは、様々な形態で変化する差別や、拡大する賃金格差などの是正を困難にします。さらに、世帯主要件やパート差別など、対象となる三点以外のものが間接差別ではないと見なされ、改善の道が閉ざされる危険もあります。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、雇用における真の男女平等を求め、法の実効を高める立場から、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 間接差別禁止の対象を3点に限定して省令化するのではなく、例示列挙とすること。
2 間接差別の定義を法律に明記すること。
3 事業主に対し、女性の登用を推進するポジティブ・アクション(行動計画)の策定とその実行を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第18号・第31回オリンピック競技大会の福岡市招致に関する決議
2016年に開催される第31回オリンピック競技大会の開催地に、福岡市が昨年名乗りをあげた。
福岡市が示したオリンピック開催計画案では、福岡市のみならず、近隣都市での開催も検討することとしている。その中で、本市では、自転車競技の会場として、北九州メディアドームが候補としてあげられている。
新しい地方の時代に、九州の多くの都市と連携してオリンピックを開催する意義は大きく、九州全体の活力を一層飛躍させるとともに、子どもたちに夢と希望を与え、世界の平和に貢献するものである。
本市にとっても、オリンピックの会場となれば、多くの人々が訪れ、世界に向けてPRしていく絶好の機会となるだけでなく、観光やビジネスなどの需要が増え、まちの活性化にもつながる。
また、近年オリンピックは、「スポーツ」「文化」に「環境」という3本目の柱を加え、世界に対し、環境意識や環境保護、環境への強化の機会を高めるよう先導してきた。福岡市と協力していく中で、本市が、これまで世界の環境首都を目指して取り組んできた実績を、十分に発揮することができる。
よって、本市議会は、第31回オリンピック競技大会の福岡市招致を要望する。
以上、決議する。
第19号・国勢調査の抜本的見直しを求める意見書
国勢調査は、1920年に始まり今日に及んでいますが、この間、調査員が調査対象者を直接訪問するという対面式の調査方法等は基本的に踏襲されてきました。
市民のプライバシー意識や防犯意識の高まりの中で、このような調査に対する不信感が広がっています。また、オートロックマンションの増加やライフスタイルの多様化で在宅時間が一定でないことなどから、調査票の配布自体がままならない事例や、調査協力を得られないことなど、 対面式の調査方法自体に困難さが際立っている現状にあります。
また、調査事項は、統計法上では人口に関する全数調査としながら、国勢調査令では世帯員に関する事項や世帯に関する事項とし、氏名や出生の年月等にとどまらず、在学、卒業等教育の状況や就業時間、家計の収入の種類など詳細に及んでいます。
調査結果は、広く行政施策の基礎資料作成に資するものとされていますが、必ずしも有用ではなく、むしろ他の指定統計調査等の中でも把握できるものも少なくありません。
このように、国勢調査は、調査される国民の側と、調査員及び指導員など調査する側双方に過酷であり、自治体の負担も大きくなっています。その原因には詳細な調査項目、記名調査があることは明白です。
また、昨年10月に行われた調査は簡易調査でしたが、2010年実施予定の調査は大規模調査となるため、ますます過酷な調査になることが懸念されます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、国勢調査のあり方について、調査方法はもとより、調査自体の意義や必要性を含め、早急に抜本的見直しを図るよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第20号・「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」及び「貸金業の規制等に関する法律」の改正を求める意見書
今日の破産申立件数は、平成14年に20万件を突破して以来、依然として高水準にあります。また、警察庁の統計によれば、平成15年度の経済的理由による自殺者は8,897人にも上っており、このような多重債務問題が、ホームレス、離婚、配偶者間暴力、児童虐待、犯罪等の被害を引き起こす要因になっているケースも多く、深刻な問題です。
多重債務問題の原因のひとつと考えられる出資法の上限金利については、平成15年7月に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)の一部改正及び、貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)などの、いわゆるヤミ金融対策法制定の際に、同法施行3年後の平成19年1月をめどに見直すこととされています。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、出資法及び貸金業規制法の改正について、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 出資法の上限金利を、利息制限法の制限金利まで引き下げること。
2 出資法における日賦貸金業者及び電話担保金融に対する特例金利を廃止すること。
3 貸金業規制法の改正に当たっては、第43条におけるみなし弁済規定を撤廃すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第21号・介護にかかる福祉用具利用の充実に関する意見書
介護保険法が改正され、特に軽度の高齢者支援は大きく転換することとなりました。
同法に関連して、本年3月17日に厚生労働省が都道府県等に出した通知によれば、介護度が軽度である要支援1、2及び要介護1の高齢者に対して、「車いす」「車いす付属品」「特殊寝台」「特殊寝台付属品」「床ずれ防止用具」「体位変換器」「認知症老人徘徊感知機器」「移動用リフト」といった福祉用具を貸与した場合、これらを対象外種目として、介護サービスに要する費用に算定できないようになっています。
しかし、これら軽度な高齢者においても、状況や状態によっては、対象外種目が在宅生活を続ける上で不可欠な場合も想定されます。
通知では、特定の状態に該当する人については、軽度であっても、その状態に応じて利用が想定される対象外種目の福祉用具について、費用の算定が可能としています。しかし、この場合でも、「特殊寝台」については、日常的に起きあがりが困難な人や、日常的に寝返りが困難な人のみが対象となっています。
このため、退院後間もない人や内臓疾患により背部又は脚部の傾斜角度の調整が出来る機能が必要な人、夜間や体調不良時に床板の高さを無段階に調整できる機能が必要な人は利用できず、安心・安全な在宅生活を送る上で大変支障をきたしています。
よって、本市議会は、政府に対し、要支援1、2及び要介護1の軽度の高齢者の福祉用具の利用について、より柔軟に運用するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第22号・「(仮称)がん対策基本法」の早期制定等を求める意見書
我が国における、一生涯でがんにり患する確率の推定値は、男性が2人に1人、女性は3人に1人とのデータがあります。がんのり患率や死亡率は年々上昇を続けており、1981年以降、死亡原因の第1位はがんであり、現在では死因の3割を占めています。
政府は、「対がん10か年総合戦略」を実施し、現在は第3次となっていますが、り患率や死亡率の上昇に一向に歯止めがかかっていません。
そのため、政府は昨年5月、厚生労働大臣を本部長とするがん対策推進本部を設置しました。しかし、さらに国を挙げて本格的に取り組む体制をつくるためには、日本のがん対策に欠けている課題の解決に向けた具体的な施策を法制化する「(仮称)がん対策基本法」を一日も早く制定し、国家戦略として、がん対策を大きく推進すべきです。
この法律に盛り込むべき具体的な施策の柱は、(1)がん患者の痛み、苦しみを和らげる緩和ケアの充実、(2)治療に極めて有効でニーズも急増している放射線治療の専門医やスタッフの早急な育成、(3)患者が最適な治療を受けられるようにするために欠かせないがん登録制度の実施、の3つです。この3つは、現在の日本のがん対策に欠けている施策であり、そのため日本のがん対策は欧米に比べて著しく遅れています。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、患者の立場に立ったがん対策を推進するため、「(仮称)がん対策基本法」の早期制定を行うとともに、内閣府へのがん対策推進本部の設置や、国によるがん対策推進計画の策定など、総合的ながん対策に取り組むよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第23号・耐震構造計算書偽装問題による被害者の救済に関する意見書
耐震構造計算書偽造問題で、長期ローンを組んで住宅を購入した善意の住民は地獄に突き落とされ、周辺住民もいつ倒壊するかわからないという恐怖と不安にさいなまれています。
地震大国といわれる我が国では、震度5強程度の地震はいつ起きても不思議ではありません。当該建物住民のみならず、周辺住民の生命をも脅かす極めて悪質な行為が、建築物の設計・施工・検査の場で行われたことを深刻に受け止める必要があります。
このような状況に対し、政府は、昨年12月に「構造計算書問題への当面の対応」をまとめました。偽装によって、強度が基準の50パーセント以下の分譲マンションについては、既存制度を利用して建て替え費用の一部を支援するとしています。しかし、政府の支援策に基づいて自治体が提示した建て替え案に対し、居住者の合意は進んでいません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、耐震偽装の被害者の救済に国を挙げて全力で取り組み、国民が安心して生活できる住居を確保するため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 「構造計算書問題への当面の対応」の抜本的な見直しを含めた、被害者救済に関する特別 措置を講じること。
2 被害者の生活再建に向けた、既住ローン債務の軽減のための銀行との交渉、補償責任のあ る販売主や関係企業からの被害金額の回収、また被害者の経済負担を少なくするための無 利子基金の設立などに取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第24号・北九州空港へのアクセス鉄道の整備に関する意見書
本年3月に開港した北九州空港は、本市を中心とする空港圏域200万人の航空交通の利便性向上に不可欠であるとともに、北九州・京築地域活性化の起爆剤として、大きな期待が寄せられています。
また、近年、北部九州地域では、自動車関連産業をはじめとする企業の立地や拡張が進み、東アジア地域との輸出入や技術交流の可能性が高まっています。さらに、市民からは、今後、空港を核とした新たなまちづくりを望む声も上がっています。
このような中、同空港が、空港圏域の需要を確実に受け止め、空港利用者の利便性を向上させることが重要です。このためには、都心小倉と空港とを直結する鉄道の導入がぜひとも必要です。
平成15年に九州運輸局と福岡県により設置された「新北九州空港軌道系アクセス検討委員会」の調査結果では、軌道系の事業が成立する航空需要の目安や実現化に向けた今後の課題が示されるとともに、同空港の重要性と軌道系アクセスの将来的な社会的重要性が認識されました。
同空港は、開港後2カ月の旅客数が約23万人に達するなど、1年目の旅客数は100万人を超す勢いで推移しています。今後の空港利用者の伸びや、新たなまちづくりを踏まえると、鉄道の導入は必須であり、鉄道整備に長い期間を要することを考えれば、早急に事業化に向けた取組が必要です。
よって、本市議会は、福岡県に対し、北九州空港の利便性向上や県域の発展に必要な空港へのアクセス鉄道の整備に関し、引き続き、調査・検討の実施と、事業化に向けた積極的な支援を行うよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第31号・特例なき高金利引き下げを求める意見書
金融庁が示した貸金業制度・出資法の上限金利の見直しを検討していた自民党は、9月15日の政務調査会において、「貸金業法の抜本改正の骨子」を承認しました。同骨子では、多重債務者対策本部の設置等が示されたものの、結局は出資法の上限金利引き下げまでの期間を3年間とし、少額・短期融資に25.5パーセントという高金利を適用する特例を2年間にわたって認めています。これにより法改正後5年間にわたり、グレーゾーン金利が温存されることになります。
そもそも今回の法改正の目的は、深刻な多重債務問題の解決です。最高裁判所も、貸金業規制法43条のみなし弁済規定の適用を否定して、利息制限法による債務者救済を図る判決を相次いで示しています。
8月24日に開催された貸金業制度等に関する懇談会でも、この特例が案として示されましたが、「法改正の目的は多重債務者の救済。今の状況で改善を目指すべきで、一部でも利上げになるのはおかしい」という意見が相次ぎました。
全国では、高金利引き下げの署名が300万人を超え、多くの都道府県、市町村議会でも、高金利引き下げの意見書を採択しています。
長期にわたってグレーゾーン金利を存続させ、利息制限法の上限金利を超える特例の金利を新たに導入するやり方は、同懇談会の意見を無視するとともに、高金利の引き下げを求める国民の声に逆行するものと言わざるを得ません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、少額・短期融資の特例を設置せず、直ちに貸金業規制法43条のみなし弁済規定を廃止し、高金利の引き下げを行うよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第32号・児童扶養手当の減額率の緩和等を求める意見書
母子家庭は、次代を担う子どもの健やかな成長を願って、子育てと生計の維持に努めていますが、生活全般にわたって多くの困難を抱えています。
一方、児童扶養手当法は、昭和36年に制定され、以来児童扶養手当は、このような多くの母子家庭の暮らしを支えてきました。
しかし、国の母子家庭対策は、平成14年に、児童扶養手当法をはじめとした関連法案の改正により、これまでの児童扶養手当中心の支援から、就業・自立に向けた総合的な支援へと転換しました。
この改正では、児童扶養手当法に、児童扶養手当の支給を受けた母は、自ら進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならないとの趣旨が追加されました。さらに、児童扶養手当の受給期間が5年を超える場合には、その額の2分の1を超えない範囲で減額する措置が、平成20年4月から適用されることも規定されました。
また、併せて改正された母子及び寡婦福祉法においても、母子家庭の就業支援策を強化する規定が盛り込まれました。このほか、平成15年には、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法が、平成20年3月までの時限立法で制定されました。
しかし、その後の各方面の支援にもかかわらず、母の就業は困難な状況下にあります。このような状況下で児童扶養手当を減額することは、母子家庭の生活を脅かすものです。
よって、本市議会は、政府に対し、児童扶養手当の受給期間が5年を超える場合の減額率を緩和するとともに、母子家庭の自立に向けた就業支援策をより一層充実するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第33号・障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書
本年4月から、身体・知的・精神の3障害のサービスが一元化された障害者自立支援法が施行されました。精神障害が、福祉政策分野に組み込まれたことは評価できるものの、障害者の施設や居宅支援の利用などに応益(定率)負担制度が導入されたことで、障害者の生活を直撃し、施設の退所や作業所への通所の断念、ホームヘルプサービス利用を控えるなど、生活水準の低下を引き起こしています。また、障害者施設は、報酬単価の引き下げや日払い化によって、運営の継続が困難な状況に追い込まれています。
さらに、10月からは、新サービス体系への移行や、新たな障害程度区分に基づく支給決定など本格的な施行が始まるため、障害者やその家族、障害者施設への影響は深刻さを増すことが予想されます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、障害者自立支援法について、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 障害者自立支援法の施行による障害者やその家族、障害者施設の事業者及び地方自治体への影響を調査し、同法の検証を行うこと。
2 授産施設など就労支援施設及び10月から導入される障害児施設に関する利用料金については、引き続き見直すこと。
3 障害程度区分の認定については、実際の障害程度より軽くなるなど、生活実態を反映することが難しいため、介護保険制度に準じた判定基準を当てはめるのではなく、障害者の個々の生活実態に基づく支給決定となるよう見直すこと。
4 地域生活支援事業は、自治体の積極的な取り組みが可能となるよう予算を増額すること。また、移動支援は国の義務的経費とし、障害者の社会参加を保障すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第34号・産婦人科医等の確保に向けた抜本的対策の推進を求める意見書
少子高齢化の進展や医療ニーズの多様化など、我が国の医療を取り巻く環境は大きく変化しています。
特定の地域における医師不足は、これまでにも大きな課題となっていましたが、産婦人科や小児科といった特定診療科における医師不足が、全国的にも深刻化してきており、医療供給体制の確保に支障が生じている地域もあります。
誰もがいつでも必要とする医療を受けることができ、安心して子どもを生み育てられる環境づくりは極めて重要であり、そのための医師を確保していくことは喫緊の課題です。
日本産科婦人科学会が6月に発表した実態調査では、平成17年12月現在で、全国の分娩を扱う施設数は3,056施設、常勤の産婦人科医師数は7,873人、大学産婦人科を除いた分娩施設の常勤医師数の平均は約2人となっています。これまで、厚生労働省の調査を基に、分娩可能な施設は5,000以上、分娩に関する産婦人科医は1万1,000人以上存在するとされていましたが、その数字を大きく下回るものです。
4月現在、本市でお産ができる医療機関は32ヶ所であり、このうち難産等に対応できる基幹病院は4ヶ所となっていますが、基幹病院の医師数は減り続け、診療所の医師も高齢化が進むなど、抜本的な医師確保の対策が急務となっています。
産婦人科や小児科が不足している要因は、人手がかかり、採算が取りにくいことや過密労働であること、人員不足の中での分娩でリスクが大きくなることなどがあります。また、医療訴訟の中で産婦人科関連が占める割合が高くなっていることも原因の一つです。
よって、本市議会は、政府に対し、適切な地域医療提供体制を確保できるよう、産婦人科医及び小児科医の就業環境を改善し、関係省庁の連携による産婦人科医及び小児科医の確保に向けた抜本的な対策を講じるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第35号・進行性化骨筋炎の難病指定を求める意見書
進行性化骨筋炎は、約200万人に1人の確率で発病し、いまだ原因不明な部分が多く、治療法も確立されていません。また、この病気は、医師や看護師の中でも認知度が低く、支援団体もないため、病気に悩む患者の実数も正確には把握できていないのが現状です。
進行性化骨筋炎は、筋肉が骨に変化し、骨が身体の関節を固め、あらゆる部分の動きの自由を奪うとともに、身体の変形に伴い呼吸器官や内臓へも影響を及ぼすものです。また、病気の進行は患者により様々であり、予測が出来ないため、患者は毎日不安を抱えながら闘病生活を続けています。
国は、症例が少なく、全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない難病について、昭和47年から、難治性疾患(難病)克服研究事業で研究を推進しています。対象となる難治性疾患は、希少性があり、原因が不明なこと、効果的な治療法が未確立であること、経済的な問題のみならず、家族の負担が重く精神的にも負担が大きいこと、生活面への長期にわたる支障があることなどの要件が必要とされています。
しかしながら、進行性化骨筋炎はこれらすべての要件を満たしているにもかかわらず、いまだに難病指定がなされていません。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、早期に進行性化骨筋炎を難治性疾患克服研究事業の対象疾患に指定(難病指定)し、その研究を進め、1日も早く効果的な治療法を確立するとともに、難病患者の医療費の助成制度である特定疾患治療研究事業の対象疾患としても認定するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第36号・国民の祝日「主権回復記念日」制定に関する意見書
昭和27年4月28日、サンフランシスコ平和条約が発効しました。これにより、我が国は、アメリカ合衆国をはじめとする連合国による7年近くに及んだ占領から解放され、独立国家として主権を回復しました。
現在、我が国では、8月15日を終戦記念日としています。しかし、同条約第1条からも明らかなように、我が国と各連合国との戦争状態は、この昭和27年4月28日にようやく終了したと言えます。したがって、この日を真の終戦の日と位置づけることができます。
本来なら、昭和27年4月28日は、我が国の歴史上大きな節目となる記念すべき日であったはずですが、半世紀以上を経て、ほとんどの国民から忘れ去られようとしています。
独立記念日を設けている多くの国と同様、今こそ、国民がこぞって祝い、この大切な日の意義を忘れないようにすることが必要です。
よって、本市議会は、政府に対し、4月28日を我が国の「主権回復記念日」として国民の祝日に制定するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第37号・飲酒運転撲滅のための市民啓発に関する決議
去る8月25日、福岡市で飲酒運転による衝突事故が起こり、3人の幼い命が奪われた。この事件は、飲酒運転に対する大きな怒りを呼んでいる。
もとより、飲酒運転は、運転手の自覚の問題ではあるが、酒を提供する側や飲酒を勧める側の責任も問われるものである。
飲酒運転撲滅を目指し、平成13年に危険運転致死傷罪が新設されたが、適用されたものは平成14年で300件余りに過ぎず、飲酒運転の摘発も進まない状況である。
昨年の福岡県内での飲酒運転による交通事故は674件、死亡者は10人、負傷者は889人で、そのうち本市では、飲酒運転による交通事故が90件、負傷者が131人となっている。
福岡市での事件以後も、飲酒運転による交通事故が相次いでいる。「止まらぬ飲酒運転」「高まる飲酒運転撲滅の声」と報道されているように、飲酒運転に対して、今まで以上に市民の厳しい目が注がれている。
よって、本市議会は、本市に対し、安全・安心のまちづくりの取組として、飲酒運転撲滅のための市民啓発を行うよう強く要望する。
以上、決議する。
第38号・ゲーミング(カジノ)について迅速な調査研究を求める決議
本市を含む多くの地方公共団体では、三位一体の改革の影響で地方交付税交付金や国庫補助金が大幅に削減されたことにより、深刻な財政状況にある。今後、この状況が継続すれば、少子高齢化社会に適応した福祉施策の実施などが困難になるのは明白である。
このような状況を受けて、現在、国レベルでは、国会議員連盟によるゲーミング(カジノ)を新たな財源とするための研究や、自由民主党政務調査会におけるゲーミング導入に向けた積極的な検討などが進められている。また、平成16年3月に出された地方自治体カジノ研究会の報告書によると、東京都や大阪府、九州でも沖縄県や宮崎県、大分県別府市など16の地方公共団体で、ゲーミングの誘致や調査研究に取り組んでいる。
このほか、民間でも、日本カジノ学会が、全国で30兆円の年間売り上げと30万人の雇用が見込めるとの調査結果を発表したほか、熱海カジノ誘致協議会では、年間610万人の観光客増や650億円の経済効果が見込めるなどの調査結果を発表している。
本市においても、厳しい財政状況を考えると、新たな財源として、国や他の地方公共団体、民間団体に遅れることなく、ゲーミングが設置された場合の税収や経済波及効果、誘致可能性等について調査研究をしなければならない時期に来ていると考える。
また、ゲーミングには、ギャンブル依存症の問題や風紀の問題など負の側面もあるため、市民からのコンセンサスが得られるか等の点も併せて調査する必要がある。
よって、本市議会は、国におけるゲーミングの認可に関する状況や、仮に認可が得られた場合の本市における設置の是非など、様々な観点から迅速に調査研究するよう強く要請する。
以上、決議する。
第42号・官製談合の根絶のための抜本的対策を求める意見書
前福島県知事、和歌山県知事に続き、宮城県松島町でも町長が逮捕されるなど、地方自治体が発注する公共事業での官製談合が相次いで発覚しています。
いずれの談合も、国民の税金でまかなわれる地方自治体の公共事業をめぐり、業者が高値で受注して法外な利益を確保しようとするものです。そして、知事らが業者に便宜を与え賄賂を手にしようとした構図が、地方検察庁等の捜査により明らかになろうとしています。
税金を食い物にした卑劣な犯罪は、厳しく指弾されなければなりません。また同時に、再発防止のための措置が求められています。
よって、本市議会は、政府に対し、官製談合の根絶のために、公共事業や入札制度の見直しなど抜本的な対策を講じるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第43号・法テラスの更なる体制整備・充実を求める意見書
司法制度改革の一環として、法律サービスをより身近に受けられるようにするため、総合法律支援法が2004年に施行されました。同法に基づき、日本司法支援センター(愛称・法テラス)が設立され、本年10月2日に全国で一斉に業務を開始しました。本市でも、法テラス北九州が開設されました。
法テラスは、身近な司法実現への中核となる組織で、情報提供、民事法律扶助、司法過疎対策、犯罪被害者支援、国選弁護関連事務を主な業務としています。業務開始の初日だけで全国で2,368件もの相談があり、期待のほどが伺えます。
今後、法的トラブルの増加も予想されるだけに、法テラスは時代の大きな要請に応える機関です。昨年に鳥取県で、本年に茨城県で試行を実施した結果からは、全国で相談件数が年間200万件に達するとも予測されており、これに対応できるだけの体制整備が望まれます。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、法テラスの体制をさらに充実させるため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 各地の地方事務所などで勤務するスタッフ弁護士が、法テラスの業務を開始した当初には全国で21人しか配置されていないため、早急に大幅増員すること。
2 司法過疎対策を推進し、いわゆるゼロワン地域を早急に解決すること。
3 高齢者、障害者などの司法アクセス困難者への配慮として、訪問や出張による相談等を実施すること。
4 法テラスについて、特に高齢者、障害者、外国人、若者等に配慮し、きめ細かく周知徹底を図ること。
5 利用者の利便性をかんがみ、法テラスは日曜日も業務を行うこと。
6 電子メールによる相談サービスを早期に導入すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第44号・賃金不払い残業と偽装請負の根絶を求める意見書
賃金不払い残業(サービス残業)と偽装請負の一掃は、社会が取り組むべき緊急の課題となっています。
サービス残業は、週40時間、1日8時間の法定労働時間を超える労働に支払われるべき割増賃金を不払いにするという明白な労働基準法違反であり、違反した事業主は刑事罰の対象となるものです。これについて、厚生労働省は、2001年4月、サービス残業の是正を求める通達を出しました。
一方、偽装請負とは、労働者を受け入れている企業が指揮命令している派遣であるにもかかわらず請負を装うことです。派遣の場合に生じる労働者の安全衛生義務と直接雇用の申し出の義務を免れるため、企業が偽装請負を仕組んでいるのです。
政府は、2003年に、労働者派遣法を改正し、製造業にも派遣を認めたため、法施行後は、製造現場での偽装請負がまんえんしました。
このような状況の中、労働者が大企業の工場で横行していた偽装請負を告発したことを受けて、厚生労働省は、9月4日、製造企業の多くに見られる偽装請負の防止や解消のための監督指導を強化するとの通達を出しました。また、10月3日には、大阪労働局が請負業最大手企業に対し、偽装請負問題で初めての事業停止命令を出しました。
このように、労働者の告発等が政府を動かし、世論を広げていますが、サービス残業や偽装請負の根絶には至っていません。
よって、本市議会は、政府に対し、サービス残業と偽装請負に関する通達をすべての企業に徹底するとともに、残業に対する適正な賃金の支払いや偽装請負に対する直接雇用の働きかけなど、企業への監督指導を強化し、サービス残業と偽装請負を根絶するよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。
第45号・肝炎問題の早期全面解決とウイルス性肝炎患者の早期救済を求める意見書
B型肝炎及びC型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変となり、そして肝がんを合併する危険性の高い深刻な病気です。肝がん患者のうち9割近くは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスへの感染が認められており、年間死亡者数は3万人を超えています。
わが国のC型肝炎患者は約200万人、B型肝炎患者は約150万人と言われており、ウイルス性肝炎はまさに国民病です。その一部は、輸血や血液製剤の投与、予防接種における注射器の不交換等による感染など、医師や看護師の医療行為が原因であると言われています。
C型肝炎訴訟では、本年6月と8月に国の行政責任及び製薬企業の不法行為責任を認める判決が言い渡されました。このように司法の場でも、ウイルス性肝炎が医師等の医療行為が原因であることについて、国の政策の過ちを明確に認定しています。
このような事態にかんがみれば、すべてのウイルス性肝炎患者の救済を実現するための諸施策に取りかかるべきです。
よって、本市議会は、政府に対し、肝炎問題の早期全面解決とウイルス性肝炎患者の早期救済について、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 ウイルス検診体制の拡充及び検査費用の負担軽減を行うこと。
2 ウイルス性肝炎の治療体制の整備、とりわけ治療の地域格差の解消に努めること。
3 ウイルス性肝炎治療の医療費補助及び治療中の生活支援策を実施すること。
4 ウイルスキャリアに対する偏見、差別を一掃すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。